むにむに……むにに!?
――――もにゅ
寝返りを打つと、手に温かくも柔らかい感触が支配する。
もにゅもにゅ……もにゅもにゅ。
何度も揉むように触って確かめる。
「……んあ」
艶かしい声がした。
これは自分のではないと、寝惚けた頭でも理解する。
これは……夢?
――夢だよ。
もう一人の自分が答える。
ならいいか。
また揉む。
もにゅもにゅ……むに。
なんだか感触が変わった気がする。
さっきのが弾力あるマシュマロとしたら、今はもちっとしたハリのある大福だ。
なんだか頭がボーッとして変なこと言った気がする。気にしないけど。
柔らかく気持ちいい。
いつまでも触っていたい。感触を味わっていたい。
そう思えた。
むにむにむに……むにに。
「……んあ……そ、そこは……ダメなのぉっ」
なんだか囁くように悩ましく艶のある声が聞こえる。
何がどうなっているんだろうか。
感触を味わっていると、女性のような……だけどどこか聞いたことあるような、そんな声がする。
むにむに……――むに。
「――あんっ」
先程より一際大きく聞こえた。
これは夢なのか?本当に夢なんだろうか…。
――これは夢なんだよ……だからもっと好きにしていいんだよ。
もう一人の自分がまた答えた。
というか、なんだか自分の知ってる自分の声ではないような……あれ?
足りない頭で考える。
自分は夢だと思いながら揉んでいる。感触を楽しみ味わいたいから。
じゃあ、何を揉んでいる?
「……」
「……ん、あん……そこ、ん……もっとぉ」
甘えたような淫靡な声がまだ耳に聞こえてくる。
それも間近に。
しかもわざとらしく。
「…………」
段々と思考がクリアになってきた。
手を蠢めかすのをとめる。
「……ん、そこぉん……あ、んあ……」
止めた……はずなのにまだ聞こえる。
……、
…………、
………………。
反対に振り向くと、そこにはピンク色したチェックのかわいいパジャマを来た、中学生の妹の姿があった。
「……何してるの?」
「……んあ……っ。ん、何って、そんなのお兄ちゃんにいい夢見させて快感を忘れさせないようにしてから現実でも、快感を随時求めるように調教できるように睡眠学習をさせ…て……」
「……へぇ」
ジト目で夢中になって説明に入る妹を見る。
「――お、お兄ちゃん……起きていらっしゃったんですか」
ギギギという擬音が似合うような固まり方をした妹はひきつった笑顔で対応する。
「うん」
「どの辺りから……?」
「ものの数分くらい前から」
「……そう、ですか……はは」
「そう。んで、その睡眠学習とやらは続けなくていいの?」
「あ、いや……あはは。睡眠学習するより断然頭がスッキリした頭で自力で必死こいて机に向かって学習した方が身に入りますよねっ」
「うん。それは同感かな」
「……ですよね……、…………」
「で、いつまでそこにいるの?」
「――ご、ごめんなさい!今すぐにでもお兄ちゃんの前から――」
「ほら、入りなよ」
「消えますから……っ。……て、ふぇ?」
「隣に来いって言ってるんだけど。いやならいいけど」
「へ?へ??怒って……ないの?」
「もう怒ってないから。一緒に寝ようよ。お兄ちゃん眠くて、暖かいものがそばにでもあれば快眠できると思うんだけど」
「うん!」
場所を開けると、そこに妹が入ってくる。
とことん妹に甘い自分に呆れ半分、嬉しさ半分。
「……えへへ」
妹は胸元に嬉しそうに寄り添ってくる。
自分は妹の頭を撫でながら目を閉じる。
そのまま微睡みの底へと沈んで行った。