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ミツルとミチルとミクニとミコロ 〜 Romance Trium Regnorum et nobilis gladius 〜  作者: 硝酸塩硫化水素


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4/8

Ep4 Chapter“1” Scene“1” Cut“4” Take“1” 休校は唐突に

挿絵(By みてみん)


 ――事の発端は1999年1月に起こった「イジュウランスインの光」を起源とする。事の本質は本来人間が持ってはいけない力に目覚めた事にある。

 更にその力を求めようと求めなかろうと、持ってしまった以上「特別」高等学校への入学を強要される――


 ――それは国からの()()()()()()()という事だ――



 ミチルはそれが嫌だった。だからある日突然、自分の「目」に起こった違和感を誰にも相談する事無く隠した。それまで仲の良かった友達を、これまで培って来た生活を奪われたくなかった。

 それだけが理由だった――



 ミチルは現代日本に於いて、社会問題になっているその「力」の事をテレビ報道でよく見ている。だからこそ、自分が当事者になりたくはなかったし、()()()()()()()()()()()()()()()


 それは「目」に違和感を持ったその日から、極力その「目」が持つ力を、見て見ぬフリをして過ごして来たという事だ。

 その結果、友達と別れる事にはなったが「全てを奪われるよりはマシ」と考えた結果、故郷を無理してでも離れる事を選んだ。

 まぁ親と離れる事には大賛成だったので、上京した当初はこれまた無い胸を期待に膨らませていた。

 そして念願の高校デビューも果たし、順風満帆な「普通の女子高生」を満喫していたのだ。


 だからこそ今でも、()()()()()()()()()()()であるように振る舞っている。

 ※見た目年齢は除く


 だが昨日の一件は、今後の不安を増長させる要因となり、集中出来ずにいたのだった――



お仕事(バイト)行くの今日は憂鬱だなぁ……またあの女性に遭ったらどうしよ……」


 斯くしてベッドの上で寝転がりながら、気付けばうたた寝……どころか爆睡をしていたのである――



 ―― Return to Previous Cut ――



Serva(記憶) constituer(喚び出し)e "pluma() alba(白い) ventilabru(扇子)m"〜

「字は孔明(こうめい)。舞えよ羽扇!誇れよ明智・上屋抽梯(第二十八計)


「お呼びですか?(ミコロ)、貴女の敵はどこです?」


 ここは(ミコロ)の部屋。(ミコロ)益徳(えきとく)と別れてからは、誰にも会わないように()()()()()()()()そそくさと家路を急いだ。

 そして部屋に駆け込むなり孔明を呼び出すに至る。


「あ……いや……あのですね。孔明先生に策を頂きたくて、お呼びしました……です」


「なるほど……だから上屋抽梯(第二十八計)と?ですが、貴女がその“計”を選んだのであれば、(わたくし)の“策”などいらないのではないでしょうか?もう既に(ミコロ)の中で方策は決まっているのでしょうから」


「い……いえ、先生!ミコロは先生のお知恵も拝借したく……是非ともお願いします……ですッ!」


 先程までの益徳の時とは話し方も立ち方も一人称すらも違う(ミコロ)がここにいる。よって、清楚な出で立ちの美少女と言うよりは、今はまるで飼い主に甘える猫のようと言えるだろう。


「まったく……(ミコロ)の甘えグセには困ったものですね。仕方ありません、それでは(わたくし)謹製の“錦袋”でも授けましょうか?」


「孔明先生……ミコロをバカにしてます?どうやって“錦袋”をミコロに渡すって言うんです?渡せもしない“錦袋”で話しをはぐらかすのはやめて下さい!……です」


 くれぐれも注意すべき点、それは(ミコロ)の独り言と言う事にある。傍から見れば、声色まで変えた独り言を話しているこの美少女は、類稀(たぐいまれ)な変質者に見えるだろう。

 要するに先程の“益徳”しかり、今回の“孔明”しかり、何も知らない第三者から見れば「そんなモノは存在していない」と言わざるを得ない――



「大丈夫ですよ、(ミコロ)。貴女は見どころがある策士です。貴女になら街亭(がいてい)を任せても(わたくし)は平気だと思っています」


 ――ぽう

「孔明先生……いえ、それじゃミコロはダマされませんッ……ですよ?」


 孔明の言葉に顔を赤らめた(ミコロ)だったが、その一瞬後にはハッとした表情で直ぐに反論していた。

 やはり猫のようにコロコロと感情が揺れ動いている。


 ――フっ

「あーーーッ!先生、今ッ!笑いましたね?笑いましたよね?」


「では、(ミコロ)、敵がいないなら(わたくし)は失礼致します。くれぐれも“失街亭”なされませぬよう」


「えっ?!」


 (ミコロ)は自分の内心を見透かされたような気がして、“孔明”に対して()()()()みせた訳だが、一方的に(ミコロ)の独り言劇場は幕を降ろした。

 最後まではぐらかされたと思っていた(ミコロ)だったが、“孔明”が消える間際に言った“失街亭”こそが、“錦袋”だったのではないかと考えると、その足取りは軽やかになり部屋から階下へと降りていった――



「明日学校で会えるのを楽しみにしてますねミチル先輩」


 翌日、学校が休校になる事を知った(ミコロ)の気持ちは、現状に於いて察するのは無理だろう――




 時は西暦2026年7月9日に遡る。それは「イジュウランスインの光」から27年と半年余りが過ぎた頃に起きた。

 日本は超大国に巻き込まれる形で戦争に強制参加させられ、この国の情勢は悪化の一途を辿っていた。

 故に教育機関は戦争次第で臨時休校など当たり前だった。


 そんな時代背景がある事をここに明記しておく――



 ―― To the Next Scene ――

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