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雑文ラノベ「スマホで『ざまぁ』を読んでいたら婚約破棄王子と悪役令嬢の両方から相談のメッセージが届いた件」

ここは日本国。そして私は花の女子高生。但し著しく貧乏。でもなんとかスマホの料金は払えています。

そんな私は今、ネットに投稿されてくる素人投稿小説を読むのが日課だ。そして昨今の流行は異世界貴族社会における『婚約破棄』と『ざまぁ』である。


なので私は今、学校帰りの電車の中にてランキング333位のそれ系小説をスマホで読んでいる。

その始まりは定番ともいえる王宮内の一室にての王子側からの婚約破棄宣言から始まっていた。


******

「エスカレータよっ!お前との婚約はなかったものとするっ!」

「あーっ、一応理由をお聞きしてもよろしいかしら?エレベータ王子さま。」


「理由だと?ふんっ、いいだろうっ!そもそもお前と私の名前が紛らわしいんだっ!」

「それは・・、まぁ私も常々思ってはいましたが、文句を言う相手をお間違えです。あなた様のお名前を決めたのはあなたのお父上であられるハシゴ王様ですし、私の名前を決めたのは私の父であるスロープ侯爵です。なので名前の類似を私に言うのはお門違いですわ。」


「言いがかりを正論で返すなっ!俺はお前のそうゆうところが嫌なんだよっ!」

「そりゃ、私だって本当ならば言いたくはないのですけど、言わないと王子様は理解されないじゃないですか。いえ、言っても殆ど納得しませんけどね。なので私も王子様のそうゆうところは嫌いです。」


「あーっ、嫌いで結構っ!別にお前に好かれたいなどとは思っていないっ!」

「王子様、私だって好きであなたの婚約者になった訳ではありません。私たちの事は王様と父が勝手に決めたことです。なので本当ならばもっと素敵な殿方と婚約したかったですわっ!」


「なんだとっ!」

「なんだとは、なんですかっ!」


「「ふんっ!」」

******


この後、小説の中ではふたりは互いに顔を背けて部屋を出て行ってしまった。むーっ、なんかテンプレ系とは毛色が違う作品だなぁ。

だからランキングも333位に低迷しているのか・・。と言うか、これって婚約破棄じゃなくて痴話喧嘩だよね?


私がそんな感想を抱いていると、スマホのアプリに一通のメッセージが届いた。

そのアプリの名前は恋のお悩み相談所『ラブラブになろう』と表示されていた。あれ?私、こんなアプリ登録してたっけ?


でもまぁ、スマホのセキュリティチェックに引っかからなかったんだから安全なメッセージなはずだ。なので私はそのメッセージを開いた。


送信者:エスカレータ・スロープ

2025/09/33 12:33


ラブラブマスター様っ!聞いて下さいっ!私の彼ったら酷いんですっ!いきなり別れ話を持ち出すんですっ!

いえ、別れ話自体は単に私の気を引きたいが為の方便だとは判っているんです。でもそれでも酷いと思いません?


全く彼ったら何時まで経ってもお子ちゃまなんだからっ!

どうしたらそんな彼を大人な紳士にできるでしょうか?ご教授お願いします。


- 恋のお悩み相談所『ラブラブになろう』 -



ラブラブマスター・・。えっ、なんで?私っていつの間にそんな名称になってたの?と言うかエスカレータ・スロープって今読んでいた小説のヒロインの名前じゃんっ!

なにこれ?あの作品って、読むとこうゆう事を仕掛けてくるようになってたの?なんだよっ!あの小説投稿サイトったらアダルト広告だけじゃなくこうゆうのまで許すようになったのかよっ!


で、なにがなんだか判らない私は、取り合えずアプリの問い合わせコーナーに質問してみた。すると次のような返事が届いたわ。


送信者:恋のお悩み相談所『ラブラブになろう』運営

2025/09/33 12:44


質問を確認いたしました。

そしておめでとうございますっ!あなたは33万人の中から当社が運営する恋のお悩み相談所『ラブラブになろう』の相談員にご当選しましたっ!

なのでご当選の賞金である10万円をご指定になられた口座へ先ほど送金させて頂きました。


また、相談員様への報酬はご相談1件に付き3千300円税別でございます。それを週ごとに合算しご指定の口座に送金させて頂きます。

それでは今後も恋に悩める子羊たちへのご指導をよろしくお願い申し上げます。


- 恋のお悩み相談所『ラブラブになろう』運営 担当:腹黒 -


「当選詐欺かよっ!」

返事を呼んだ途端、私は突っ込んだ。だが、次の瞬間またまた私のスマホがメッセージを受け取ったと表示してきた。

そのメッセージは私が日頃使っているキャッシュレス決済サービス『ペンペン』からだった。そしてそこには確かに恋のお悩み相談所『ラブラブになろう』から10万円の送金があったと書かれていた。


「えっ、マジで?近頃の詐欺はまず送金して相手を安心させるのか?でも10万円だぞ?と言うかどうやって私の口座を知ったんだっ!」


だが今の私に10万円は魅力すぎた。このお金があれば滞納していた修学旅行積立金が払えるっ!

ウチは私を筆頭に7人も子供がいるからあまりお金に余裕がないのだ。


いや、今は補助金が国から支給されるからかなり楽になり私もこうやって高校にまで行かせて貰っている。

でもそれでも我慢しなくちゃならない事は結構多い。


そこにこの出来事だ。怪しいといえば怪し過ぎるが実際にお金は振り込まれた。ならば取りあえずやってみてもいいのではないだろうか?

それにスマホ上でのやり取りならば時間もそう取られない。それでいて相談への返信1件で3千300円はすごくタイパがいい。


いいのだが・・、やっぱり怪し過ぎる。なので私は消費者センターに確認した。そしたらなんとこのサイトって国が承認していたのよっ!つまりお墨付きだっ!

成る程、多分私はもう直ぐ死ぬんだな。だから神様が死ぬ前に特典を授けて下さったのだろう。


と言う事で。私は早速仕事を始めた。そう、エスカレータ・スロープに返事を送ったのだ。



返信者:ラブラブマスター

2025/09/33 12:50


お悩み受け取りました。判りますっ!わざとそうゆう態度を取る男の子っていますよねっ!

でもあなたはさすがですっ!ちゃんと判っていらっしゃる。


だからと言って別れ話を持ち出すのはマナー違反です。なのでガツンといってやりましょうっ!

ただ、まともに言うと彼も意固地になるはずです。なのでここはしおらしい態度で一旦身を引くように見せかけましょう。


彼は何を言ってもあなたが離れないと高を括っているからそんな態度を取るわけですので、本当に離れてゆくと思えば慌てるはずです。

そこで迎えに来るならば許せばよいのです。仮に強情を張るようならば誰か信用のおける男性に偽装恋人になるようにお願いしてみて下さい。


そこまでして彼が折れないようならば、残念ながら彼のあなたに対する愛は偽物です。つまり彼はあなたよりも自分のプライドの方が大事だと思っているのですから。

あなたにとってはとても辛い事でしょうが、恋愛とは相手がある事ですので一方的な愛情だけでは成り立ちません。


そう、情熱とは燃え上がるものですが、あまり燃えすぎると忽ち燃料がなくなってしまう場合もあります。なのでここは一旦お互い離れて、相手のことを思う時間を作りましょう。

と言うか、多分彼の方から侘びを入れてきますよ。その時は優しく諭してあげてねっ!


- 恋のお悩み相談所『ラブラブになろう』 -



うん、これって彼氏いない歴年齢である女子高生の回答とは思えないくらい優秀な回答なんじゃないかしら?もしかして私ってこっち系の才能があるのか?


だが、これで一件落着とはならなかった。なんと私がエスカレータ・スロープに返事を送り終えた途端、今度はエスカレータ・スロープの彼氏であるエレベータ・ハシゴ王子から相談メールが届いたのだっ!


成る程、この恋のお悩み相談所『ラブラブになろう』相談員という仕事はやっぱり神様から私への贈り物だわ。

くくくっ、ならば稼がねばっ!このふたりの悩みを聞きつつ、時には煽り、また時には諭して相談を続けさせて多額の報酬を受け取ってやるっ!


さぁ、王子っ!あんたの言い分を聞かせてもらおうっ!私はあんたたちの事情を知っているから手の平の上でどうとでも転がせるわっ!

と言う事で、私はわくわくしながらエレベータ・ハシゴ王子からのメールを開いた。その文面は次のようなものだった。


- つづく - え?続きモノなの?マジ?

3千333文字前後しか投稿してはいけない真っ白な部屋に拘束されたので続きはまた今度っ!

因みに続きの投稿日はこの作品の日別PVが『0』の日が2日続いたらになります。うん、多分1週間かからないだろうな・・。


因みに短編の連載形式なのでこの作品をブクマしても続きは読めません。

続きの作品タイトルは

雑文ラノベ「スマホで『ざまぁ』を読んでいたら婚約破棄王子と悪役令嬢の両方から相談のメッセージが届いた件Part2」です。

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― 新着の感想 ―
同じ上り下りをする者同士、名前の紛らわしいさが婚約破棄に爆笑でした!(*´艸`*)<今でもたまに混乱しますよね?(笑)←自分だけ? テンプレながらもそれを打ち砕いた発想で度肝を抜かれました、お見事で…
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