表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/186

第96話:魔鋼鍛錬の鍵──未知なる素材を求めて

鍛冶場の机の上には、記録石(古代技術の情報が刻まれた石)が置かれている。


ゼルヴォードは腕を組みながら、そこに刻まれた古代文字を読んでいた。


『魔鋼を鍛えるには、"蒼燐鉱"、"黒耀鉄"、"熾晶炭"の三つを用いよ』


「……まぁ、予想通りだな」


フィルミナとカリーナが横から覗き込む。


「蒼燐鉱、黒耀鉄、熾晶炭……聞いたことはあるけど、どれも簡単に手に入るものじゃないですね」


カリーナが腕を組んで考え込む。


「蒼燐鉱は、魔力の高い鉱石。だけど、最近は市場にもほとんど出回っていません」


「黒耀鉄は、騎士団が装備の強化に使うって聞いたことがありますけど……鍛えるのが難しいとか」


フィルミナも頷く。


「でも、一番の問題は"熾晶炭"ですね。これ、鍛冶屋の間でも"幻の素材"って言われてますし……」


ゼルヴォードはニヤリと笑う。


「なら、まずは"一番手に入りそうなヤツ"から探してみるか」


ゼルヴォードは指で記録石を叩きながら言う。


「"蒼燐鉱"は、魔力が高い場所で生成される鉱石だ。市場に出回ってねぇってことは……まだ採掘できる場所があるってことだろ」


「確かに、流通が止まってるってことは、採掘地が枯れたか、何か理由があって出せなくなってる可能性がありますね」


カリーナが頷く。


「なら、その採掘地を探すのが最優先ですね!」


フィルミナが勢いよく立ち上がる。


「そうと決まれば、情報を集めに行きましょう!」


ゼルヴォードは軽く伸びをしながら、鍛冶場の道具を片付ける。


「よし、じゃあまずは"鉱石関係の情報が集まる場所"だな」


ゼルヴォードたちが最初に向かったのは、王都の鉱山ギルドだった。


鉱山ギルドは、各地の鉱脈情報や採掘許可の管理をしている組織であり、貴重な鉱石の流通を握っている。


フィルミナがギルドの建物を見上げる。


「ここなら、蒼燐鉱の情報があるかもしれませんね!」


ゼルヴォードはゆっくりと扉を開けると、中には作業着を着た鉱夫たちが忙しそうに働いていた。


ギルドのカウンターには、受付の青年が座っている。


「いらっしゃいませ、鉱山ギルドへようこそ。どのようなご用件でしょう?」


ゼルヴォードが一歩前に出て、ストレートに尋ねる。


「"蒼燐鉱"が採れる場所を知りてぇんだが」


青年の表情が一瞬だけ険しくなる。


「……蒼燐鉱、ですか?」


「おう。市場に出回ってねぇってことは、採掘が止まってるか、問題が起きてるんじゃねぇか?」


ゼルヴォードの言葉に、青年は少し戸惑いながら答えた。


「実は……蒼燐鉱の主な採掘地だった"蒼星そうせいの洞窟"が、数ヶ月前から封鎖されているんです」


フィルミナが驚いた顔をする。


「封鎖!? 何かあったんですか?」


青年は少し困ったように言葉を続けた。


「……詳細はわかりませんが、採掘作業中に"異常な魔力反応"が発生して、鉱夫たちが次々と倒れたそうです。その後、ギルドの上層部が安全確保のために封鎖を決定しました」


「……なるほどな」


ゼルヴォードは顎に手を当てる。


(魔力の高い鉱石が生成される場所ってのは、"魔法的な影響"を受けやすい。何かが"異常を引き起こした"可能性が高いな)


カリーナが少し考えて、ゼルヴォードに向き直る。


「どうします? 一応、鉱山ギルドに正式な調査依頼を出す方法もありますが……」


ゼルヴォードはニヤリと笑った。


「……封鎖されてるってことは、"誰も行かねぇ場所"ってことだろ?」


「まさか……行くつもりですか!?」


フィルミナが驚くが、ゼルヴォードはもう決めていた。


「"異常な魔力反応"が発生したってのが気に食わねぇ。何が起きてるのか、自分の目で確かめるさ」


「……はぁ、やっぱりそうなりますよね」


カリーナは苦笑しながらも、準備のためにメモを取り始めた。

約1時間おきに予約しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ