表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/186

第95話:ゼルヴォード、未知の鉱石を解析する

フィルミナとカリーナは、大量の荷物を抱えながら帰宅した。


「ただいま戻りましたー!」


ゼルヴォードは鍛冶場で作業をしていたが、二人の元気な声に振り向く。


「……おう。で、そんなに買い込んでどうするんだ?」


「ゼルさん、今回はちゃんと鍋とか歪めないでくださいね!!!」


「……おい、まだ引きずってんのかよ」


「当たり前です!!!」


ゼルヴォードは苦笑しながら、荷物の山を見ていると、カリーナが小さな包みを差し出した。


「それより、ゼルヴォードさん。ちょっと見てもらいたいものがあるんです」


「ん?」


包みを開くと、中には奇妙な光沢を放つ鉱石が収められていた。


ゼルヴォードはそれを手に取り、じっと見つめる。


「……こいつは、どこで手に入れた?」


2. 鉱石に隠された違和感

フィルミナが説明する。


「市場の外れにあった怪しい露店で買いました。おじいさんが『ある鍛冶師が使っていた鉱石らしい』って言ってましたけど……詳細は不明です」


カリーナも補足する。


「普通の鉱石とは違う魔力の流れを感じるんです。でも、それが何なのかまではわかりません」


ゼルヴォードは鉱石を指先で弾く。


コン……!


普通の鉱石なら硬質な響きがするはずなのに、この鉱石はまるで"何かを包んでいる"ような鈍い音が返ってきた。


(……なるほど、"ただの鉱石"じゃねぇな)


「精融を使えば、何かわかるかもしれねぇな」


彼は深く息を吸い込み、手のひらを鉱石にかざした。


ゼルヴォードが"精融"を発動すると、鉱石が淡く輝き始める。

魔力が流れ込み、内部の構造が徐々に解き明かされていく。


「──なるほどな」


ゼルヴォードは微かに目を細めた。


「これ、ただの鉱石じゃねぇ。"封印"が施されてる」


フィルミナとカリーナが顔を見合わせる。


「封印……?」


ゼルヴォードは鉱石を持ち直し、指で軽く叩く。


「この中には何かが眠ってる。"素材"としての価値も高いが……元々は"何かを封じるための器"だったようだ」


カリーナが驚いたように息をのむ。


「じゃあ、もし封印を解いたら……?」


ゼルヴォードは少し考え込み、ニヤリと笑った。


「それは、"やってみりゃわかる"ってやつだな」


フィルミナがすかさずツッコミを入れる。


「ゼルさん!! 下手に封印を解いて変なものが出てきたらどうするんですか!!?」


「まぁ、その時は"叩き潰す"だけだろ」


「簡単に言わないでください!!!」


ゼルヴォードは少し考え、二人に向き直る。


「どうする? これを"研究対象"にするか、それとも"封印を解いて確かめる"か」


カリーナは興味津々といった表情で頷く。


「できることなら、慎重に研究したいですが……ゼルヴォードさんなら解けるんですよね?」


「まぁな。封印の仕組みはもうほぼ把握した」


フィルミナは困ったように腕を組む。


「……解くのはいいですけど、ちゃんと安全策を考えてからにしてくださいね?」


「おう、任せとけ」


ゼルヴォードは不敵な笑みを浮かべながら、鉱石を軽く掲げる。


「さて、こいつに何が眠ってるのか……楽しみにしておくか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ