第81話:新たな居候!?フィルミナの部屋割り大作戦
「さて、それじゃあカリーナさんの部屋は──」
フィルミナは腕を組み、鍛冶屋の間取りを見渡す。
広さには余裕があるが、基本的にはゼルヴォードとフィルミナが生活するための空間。
そこにカリーナが加わるとなると、それなりの調整が必要だった。
「おい、俺に相談もなく話が進んでるんだが……?」
ゼルヴォードが口を挟むが、フィルミナとカリーナのタッグの前では無力だった。
「ゼルさんは黙っててください!」
「そうです! 生活の場を整えるのは、私たちの仕事です!」
ゼルヴォード「……好きにしろ」
「とりあえず、カリーナさんの部屋は二階の空いてる一室でどうですか?」
フィルミナが指をさす。
「うん、そこなら魔導具の設置もしやすそうですね!」
だが、ここで問題が発生する。
「カリーナさん、荷物どのくらいあるんです?」
「そうですね……」
カリーナは軽く考えたあと、研究員らしく冷静に答える。
「……だいたい、魔導書が300冊、実験道具が50箱、あとは秘蔵の研究資料が──」
「お断りします!!」
フィルミナが即答した。
「鍛冶屋を研究所にする気ですか!?」
「でも、研究にはこれくらいの資料が必要なんです!!」
「無理です! ここは鍛冶屋です! 錬金術ギルドの支部じゃありません!」
「くっ……でも、ゼルヴォードさんの精融技術を研究するには、少なくとも基礎データを整理するスペースが必要で……!」
「だからって、ゼルさんの鍛冶スペースを削るのはダメです!」
ゼルヴォード「……なんか俺の意見、完全に無視されてる気がするんだが」
フィルミナ「ゼルさんは黙ってて!」
カリーナ「そうです!」
ゼルヴォード「……好きにしろ」
◆最終的な部屋割り案(フィルミナ主導)
・カリーナの個室は二階の空き部屋に決定
・書庫スペースは鍛冶屋の倉庫の一角に設置(フィルミナの許可付き)
・研究道具は半分に制限!(フィルミナの強権発動)
・鍛冶場への錬金術の持ち込みは事前申請が必要!(ゼルヴォードの安全対策)
「ふぅ……なんとか落ち着きましたね」
「……納得できませんが、妥協しましょう」
フィルミナとカリーナがようやく折り合いをつけた頃、ゼルヴォードは静かに呟いた。
「……俺の家、なんかすげぇ変わりそうなんだが」
こうして、カリーナの居候生活が正式に始まるのだった。




