第65話:戦場突入! それぞれの戦いが始まる!
──王都中央通り。
「隊を二手に分け、包囲網を形成する!」
指揮官が的確な指示を出し、王都騎士団の部隊が速やかに動き始めた。
「本部の支援が来るまで持ちこたえろ!」
騎士たちは統制の取れた陣形を維持しつつ、戦場へと向かっていく。
(これなら、ある程度は安定して戦えそうだな)
ゼルヴォードは騎士団の動きを見ながら、わずかに目を細めた。
だが──
ギルド側は、そんな余裕のある動きではなかった。
「ったく、こっちはバラバラだな……」
オルグが舌打ちしながら、戦場を見渡す。
冒険者ギルド、魔道士ギルド、鍛冶屋ギルドの各メンバーたちは、各自のやり方で戦闘に向かうしかない。
・冒険者たち → 単独行動や小規模パーティで応戦。しかし、統率が取れておらず、各所で苦戦。
・魔道士ギルド → 魔法の支援ができるが、接近戦に弱く、守りが手薄。
・鍛冶屋ギルド → 防御と武器の扱いには優れるが、機動力に欠ける。
それぞれの特性を活かしつつ戦うが、すでに戦況は厳しいものになっていた。
「こっちも、戦闘準備を整えるぞ!」
オルグの声に、ギルドメンバーが武器を構える。
だが、その時。
「……なんだ、あれは……?」
ギルドメンバーの一人が震える声を漏らす。
遠くの森の影から、異様な魔力をまとった"何か"がゆっくりと現れた。
ギルド側が戦闘準備を進める中、ゼルヴォードはまったく別の方向へ歩いていた。
「おい、どこ行くんだ!?」
オルグの声が飛ぶが、ゼルヴォードは振り返らずに言う。
「……俺は"異変の元"を探る。お前らとは別行動だ」
オルグは苦笑しながら肩をすくめた。
「また無茶する気か?」
ゼルヴォードはニヤリと笑い、静かに答える。
「無茶じゃねぇよ。"俺の仕事"だ」
次の瞬間、ゼルヴォードの姿は闇に消えた。




