第64話:決着そして、王都に鳴り響く警鐘!
「──これで決まりだ!」
──ガイルの剣が閃く。
──レインの双剣が残像を描く。
次の瞬間──
ズバァァッ!
観客席の誰もが息を呑んだ。
『勝者は……!!!』
『勝者は……王都騎士団所属──ガイル・ヴォルフハルト!!!』
実況役のギルド職員が勝者の名前を叫ぶと、観客席は大歓声に包まれた。
「「「「おおおおおお!!!」」」」
フィルミナ、リヴィア、カインも息を呑んでその瞬間を見届ける。
「やっぱり王国の騎士団は強い……!」
リヴィアが感嘆の声を漏らす。
「うん……でも、ギルド側もすごく善戦してた」
フィルミナも、倒れたレイン・アーディスの姿を見つめながら呟いた。
王都騎士団が誇る精鋭が優勝を飾り、大会は盛況のうちに幕を閉じる──。
だが、その直後。
──ゴォォォン! ゴォォォン!
王都全域に鳴り響く、緊急事態を告げる警鐘!
「緊急事態発生! 各ギルド、直ちに対応願います!」
ギルドの連絡員が駆け込んできた。
冒険者ギルド、魔道士ギルド、鍛冶屋ギルド、そして王都騎士団の関係者たちに一斉に連絡が入る。
「内容は?」
オルグが即座に尋ねる。
「王都の外れで"異常な魔物"の発生が確認されました! 王都騎士団の部隊が対応しましたが、未確認の魔力反応により撤退を余儀なくされました!」
「未確認の魔力反応……?」
ゼルヴォードが静かに呟く。
「さらに……通常の魔物とは異なる"魔力汚染"の兆候が確認されています!」
その言葉に、魔道士ギルドの関係者が顔色を変えた。
「魔力汚染だと……?」
フィルミナも不安そうにゼルヴォードを見た。
「魔力汚染って……魔法が暴走する現象のこと?」
リヴィアが心配そうに言うと、カインが冷静に頷いた。
「それもあるが、魔物が異常進化を遂げることもある。"通常の手段では倒せない"ような存在になる可能性もあるんだ」
観客席の熱狂が一瞬で不安と緊張に変わる。
ギルドマスターや騎士団の指揮官たちは、それぞれ部隊を編成し、王都郊外へ向かう準備を始める。
だが、ゼルヴォードは腕を組みながら、静かに思考を巡らせていた。
(……何かがおかしい)
通常の魔物の発生なら、騎士団が対処できるはず。
だが、"未確認の魔力反応"と"魔力汚染"というワードが気にかかる。
「……オルグ」
「ん?」
「俺はギルドとは別に動く。こいつはただの魔物騒ぎじゃねぇ」
オルグは驚いた表情を見せたが、すぐに納得したように笑った。
「わかった。お前の"勘"は当たるからな……好きに動け」
ゼルヴォードは軽く頷くと、独自のルートで調査を開始するため、その場を後にした。
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