第63話:熱狂する観客、準決勝へ!
王都・大競技場の熱気は、最高潮に達しつつあった。
1回戦から続いてきた戦いは、ついに準決勝へと突入する。
「ここまで勝ち残ったのは、たったの4名……!
激戦を勝ち抜いてきた猛者たちが、いよいよぶつかり合う!」
ギルド公認実況者フレイ・ザックの興奮した声が、会場中に響き渡る。
観客席からは地響きのような歓声が巻き起こり、大競技場全体が揺れるほどだった。
観客席──フィルミナと同級生たちの視点
「う、うわぁ……! ここまで白熱するとは思わなかった……!」
フィルミナは、目の前の光景に驚きを隠せなかった。
隣に座るリヴィア・エインズワースも、興奮した様子で拳を握りしめている。
「準決勝ともなると、もう桁違いのレベルね……! これ、本当に人間同士の戦いなの……!?」
「俺も驚いている……」
冷静な性格のカイン・フェルガルでさえ、目を見開いていた。
──フィルミナたちは、これまで"鍛冶師"や"学者"の目線で武器や魔法の技術に興味を持っていたが、
"純粋な戦闘"の迫力を目の当たりにしたのは初めてだった。
準決勝──第1試合
「さあ、準決勝の第1試合!
ここまで驚異的な勝ち上がりを見せた《大剣使い》と《雷属性の魔導士》が激突する!」
大剣使いは、既に多くの試合で圧倒的な物理火力を見せつけてきた。
一撃で相手を沈めるその破壊力は、観客の間でも話題になっている。
一方、雷の魔導士は、俊敏な動きと精密な魔法制御で、次々と対戦相手を撃破してきた強者だった。
「この試合、どちらが勝つかまったく読めない! 果たして、決勝戦へと駒を進めるのは……!?」
──カァァン!!
号砲と同時に、試合が開始された。
熾烈な戦い──力 vs 技
「おっと! 大剣使いが開幕から超重量級の一撃! 雷の魔導士はどうする!?」
「っ……!」
魔導士は素早く回避しながら、雷の魔法を唱える。
──ズドォォォン!!
雷撃が地面を抉り、砂煙が舞い上がる。
しかし、大剣使いは怯むことなく、さらに距離を詰めていく!
「これはすごい! 魔法使いの天敵とも言える接近戦の達人が、完全に詰め寄っている!」
「雷魔法は速攻が強みだが、大剣の圧がすごいな……! 一瞬の判断ミスが命取りになる!」
──観客席は悲鳴と歓声に包まれる。
フィルミナたちも、拳を握りしめながら試合の行方を見守っていた。
決着──決勝戦への切符を手にするのは!?
「さぁ……ここで決めにかかるか!?」
──ゴゴゴゴ……
魔導士の足元から、雷の魔力が渦を巻くように集まり始める。
「……雷鳴よ、裁きを下せ!」
──ズガァァァァン!!!
巨大な雷撃が、大剣使いを直撃した——かに見えた。
「決まったか!?」
しかし、その瞬間——
「甘ぇな」
砂煙が晴れると、そこには微動だにしない大剣使いの姿があった。
雷の直撃を、剣を盾のように構えて耐えたのだ。
「な、なんて耐久力だ……!」
観客席から驚愕の声が上がる。
魔導士は一瞬、信じられないといった表情を浮かべた——
しかし、その刹那。
──ドゴォォォォン!!
大剣の一撃が、雷の魔導士を吹き飛ばした。
「試合終了ォォォ!!! 決勝戦進出は、大剣使いだァァァ!!!」
観客席が、一斉に沸き立つ。
そして、もう一人の決勝進出者は……
続く準決勝第2試合では、弓使いと双剣使いが激突。
両者とも俊敏な動きが得意で、まさにスピード勝負となった。
白熱した戦いの末——
双剣使いが決勝進出を決める!
「ついに決まったァァァ!!!
決勝戦のカードは、大剣 vs 双剣!!
これは予想外の組み合わせだッ!!!」




