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第138話:街道での小休止

 火山地帯を抜け、街道へと続く緩やかな下り坂を進む。

 ゼルヴォードは鋼牙馬の手綱を引き、適当な休憩地点を探していた。


 日が傾き始め、空は赤く染まりつつある。

 火山の熱気も和らぎ、乾いた風が頬を撫でた。


「ここらでひと休みするか」


 ほどよい広さの空き地を見つけ、ゼルヴォードは馬を止めた。

 荷台に積んだ炎樽酒、陽炎芋、陽炎の原石、そして火山地帯で拾った素材を改めて確認する。


 ゼルヴォードは荷台から袋を取り出し、中身を広げる。

 今回の収穫物を確認し、整理するのが目的だ。


 ● 陽炎の原石

 → 極寒耐性ポーションの主要材料

 ● 陽炎芋

 → ポーション材料、料理や燃料としても利用可能

 ● 炎樽酒(樽×1、瓶×10)

 → グレイヴへの土産、寒冷地でも役立つ温まる酒

 ● 赤い果実(火山トカゲがかじったもの)

 → 魔力を帯びた果実、何らかの効果がありそう

 ● 黒焦げの葉を持つ植物(火山魔力を帯びたもの)

 → 根元には赤い発光を伴う実がついている、錬金素材の可能性あり

 ● 焦熱の灰

 → 火山地帯で舞っていた赤黒い灰、特殊な魔力を帯びている

 ● 溶岩石マグマロック

 → 冷えて固まったが、わずかに熱を放つ石。熱源や魔道具の素材になるかもしれない

 ● 火精の粉塵

 → 溶岩地帯にまれに落ちている赤い粉末。魔導士ギルドで研究対象になる可能性あり


 ゼルヴォードは陽炎の原石を手に取り、じっくりと観察する。

 光の加減で内部に小さな炎が揺らめいているように見える。


「この輝き……魔道具に組み込めば、何かしらの効果を発揮するかもしれんな」


 しかし、今はポーション用として使うのが優先だ。

 リュシアの錬金技術なら、適切な処理を施し、最大限の効果を引き出せるだろう。


 次に、黒焦げの葉を持つ植物を手に取る。

 根元の赤い実を軽く指で押すと、わずかに熱を帯びた粘液が滲んだ。


「……ふむ、これはリュシアかアステリアに見てもらうか」


 リュシアなら錬金的な観点から、アステリアなら魔法的な側面から分析できるかもしれない。


 ゼルヴォードは整理した素材を見つめながら、ポーションの精製計画を考える。


「陽炎の原石がある以上、リュシアに調合を頼むのが最適だな」


 以前の話では、極寒耐性ポーションは効果時間が限られているため、使用するタイミングが重要になる。

 雪山を踏破するには、どれくらいの量が必要なのか も確認しなければならない。


「まずはリュシアに素材を渡し、ポーションの精製にどれくらいかかるか聞いておくべきだな」


 ゼルヴォードは荷台の整理を終え、焚き火を準備した。

 火山地帯から持ち出した陽炎芋を取り出し、手元のナイフで適当に切り分ける。


 火にかけると、芋がほのかに発熱し、芯までじんわりと温まる。

 何も味付けしていないのに、わずかに甘い香りが漂った。


「ほう、意外と食えるな」


 適当に食事を済ませ、鋼牙馬にも水を与える。

 馬は静かに鼻を鳴らしながら、満足げに水を飲んでいた。


 空にはすでに星が瞬き始めている。

 焚き火の炎が揺れ、静かな夜が訪れようとしていた。


「明日は王都へ向けてさらに進むか……」


 ゼルヴォードは小さく息を吐き、焚き火の火を落とす。


(次は寒冷地か……装備品はポーションで補うとして、他に準備が必要なものはあるか?)


 雪山では、体温の維持と移動手段が鍵になる。

 魔導士ギルドや錬金術ギルドと相談しながら、必要なものを決めるのが賢明だろう。


 ゼルヴォードは軽く伸びをし、寝る準備を始めた。

 明日からの旅に備え、しっかりと休息を取る。


「……さて、そろそろ寝るか」


 焚き火の残り火を見つめながら、ゼルヴォードは目を閉じた。

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