第111.5話:ギルド大騒ぎ、試練石破壊の後始末
翌朝、王都ギルドは異様な熱気に包まれていた。
「おい、聞いたか!? 試練石が砕けたって話!」
「ウソだろ!? あの石を壊せる武器なんて、この王都にあるのか!?」
「しかも犯人(?)はゼルヴォードさんらしい……」
「えええええええええっ!?!?」
──街の鍛冶師や冒険者たちの間で、大きな話題になっていた。
・試練石とは、王都の鍛冶師ギルドが管理する「武器試験用の超硬質魔石」
・通常の武器では傷一つつかないと言われていた
・それが、まさか「貫通」どころか「完全に砕けた」と報告され、ギルドが騒然となった
カリーナがゼルヴォードの隣で気まずそうに歩く。
「えっと……すごいことをしちゃいましたね」
フィルミナも苦笑いしながら頷く。
「ゼルさん、どうしましょう? これ、すっごく大事になってますけど……」
ゼルヴォードは肩をすくめる。
「ま、素直に謝るしかねぇな」
──そして、ゼルヴォード一行はギルドの門をくぐった。
鍛冶師ギルドの奥、ギルドマスターの部屋。
「……試練石を、ぶっ壊した……だと?」
鍛冶屋ギルドマスター・グランツは、ゼルヴォードの報告を聞いて、頭を抱えた。
「いや……お前、まさかとは思っていたが……」
ゼルヴォードは椅子に腰かけ、肩をすくめる。
「まさかじゃねぇ。"やっちまった"が正解だ」
「それが問題なんだよ!!!」
グランツが机をバンと叩く。
・試練石は、王都の鍛冶師たちの技術力を試すために設置されたものであり、破壊するためのものではない
・そのため、今後の試験に支障が出る可能性がある
・ギルドとしては「どうやって修復するか」を検討しなければならない
カリーナが申し訳なさそうに言う。
「あの……修復って、できるんでしょうか?」
グランツは溜息をついた。
「試練石は特殊な魔石でできていてな……通常の手段では復元できん。だが……」
ゼルヴォードが腕を組む。
「"だが"?」
グランツはゼルヴォードをじっと見つめ、ニヤリと笑った。
「お前が壊したんだから、お前が直せよ」
・試練石は「特殊な魔石融合」の技術で形成されている
・修復するには、砕けた魔石を「再融合」させる必要がある
・だが、その技術を持つのは限られた鍛冶師のみ──
ゼルヴォードは溜息をついた。
「……なるほどな。修復は可能だが、簡単じゃねぇってことか」
カリーナが考え込みながら言う。
「ゼルヴォードさんの"精融"で接合しつつ、錬金術で魔石の結晶構造を再生させれば、安定化できるかもしれません」
アステリアも頷く。
「さらに、魔法で"再定着"の儀式を施せば、完全な修復が可能ね」
ゼルヴォードは笑う。
「なるほど……なら、みんなでやるか」
修復開始──"精融"×"錬金術"×"魔法"
ゼルヴォード、カリーナ、アステリアの三人は、ギルドの作業場に集まった。
・ゼルヴォード──「精融」:砕けた魔石の魔力の流れを再構築する
・カリーナ──「錬金術」:魔石の結晶構造を再形成する
・アステリア──「魔法」:定着と安定化を施す
──精融発動
ゼルヴォードの手のひらが淡く輝き、試練石の破片がわずかに浮き上がる。
(……砕けた魔石同士の"魔力のつながり"を再形成する)
カリーナが薬剤を魔石の隙間に注ぎ、魔力を流し込む。
「……ゼルヴォードさん、魔石が元の形を取り戻しつつあります!」
アステリアが呪文を唱え、魔石の周囲に魔法陣を展開する。
「……安定化魔法、発動。これで、元の強度に戻るはずよ」
──ゴゴゴゴ……!!
試練石がゆっくりと一つに融合し、眩い光を放つ。
数時間後──
試練石は完全に修復されていた。
砕ける前と遜色ないどころか、より強固になっている ほどだった。
ゼルヴォードは汗を拭いながら、槌を置く。
「……よし、これで文句ねぇだろ」
グランツが試練石を叩き、その強度を確認する。
「……元通りどころか、前より頑丈になってるな」
カリーナが測定器を見ながら驚く。
「強度が約10%向上しています……!?」
ゼルヴォードはニヤリと笑う。
「ま、壊した責任ってやつだな」
15:00に予約いれました。




