第102話:魔道士ギルドのギルドマスター、アルテリアの訪問
──コン、コン。
静かに扉が叩かれた後、扉がスッと開かれる。
「ゼルヴォード、少し時間をもらえるかしら?」
「……ん? お前か」
ゼルヴォードが顔を上げると、そこには魔道士ギルドのギルドマスター、アステリア・ルーメンの姿があった。
知的な雰囲気を漂わせる彼女は、落ち着いた態度でゼルヴォードの前に立つ。
フィルミナがすぐに駆け寄り、にこやかに声をかける。
「アステリアさん、いらっしゃいませ!」
アステリアは軽く微笑みながら、フィルミナの頭を優しく撫でる。
「久しぶりね、フィルミナ。あなたも元気そうで何よりだわ」
「はいっ! 今日はどんなご用事ですか?」
・アステリアの目的は、ある"魔道具"についての相談だった。
・しかし、その内容が意外なものだった──。
ゼルヴォードが腕を組みながら尋ねる。
「で、今日は何の用だ?」
アステリアは優雅に微笑みながら、懐から"小さな宝石のような魔道具"を取り出した。
「これについて、あなたの意見を聞きたくてね」
ゼルヴォードがそれを受け取り、じっくり観察する。
・名称:"魔力増幅結晶"
・ランク:A
・特性:"魔法の威力を増幅する"機能を持つが、安定性に問題あり
ゼルヴォードは宝石を指先で弾きながら、興味深げに眺める。
「……ほう。魔力増幅の仕組みか。だが、"まだ安定してねぇ"な?」
アステリアは頷く。
「ええ、そこが問題なの。現在、魔道士ギルドで研究しているけれど、"どうしても暴走する可能性"があって……」
「なるほどな。それで、俺に何ができるかって話か」
アステリアが静かに言う。
「……あなたの技術なら、この"制御の問題"を解決できるかもしれないと思ったのよ」
3. フィルミナとカリーナの反応
カリーナが興味津々な様子で、ゼルヴォードとアステリアのやりとりを見ていた。
「魔力増幅結晶……すごく珍しいですね! でも、どうして暴走するんでしょう?」
アステリアはカリーナに向き直ると、軽く説明を加える。
「この結晶は、魔力を一点に集中させることで威力を高める仕組みなの。でも、その"集中"が過剰になると、一気に暴走してしまうのよ」
フィルミナも心配そうに言う。
「それって……下手したら"魔法を暴発"させる危険もありますよね?」
アステリアは小さく頷く。
「ええ。だからこそ、"安定した制御装置"が必要なの」
ゼルヴォードは少し考えた後、ニヤリと笑った。
「……面白ぇ。ちょっと試してみるか」
ゼルヴォードは鍛冶場の奥から、ある素材を取り出す。
・素材名:"練晶石"
・ランク:C-(低ランクだが、魔力の流れを安定させる性質を持つ)
・特性:"魔力を穏やかに伝導する"能力があるため、暴走を抑制できる可能性がある
ゼルヴォードはアステリアに向かって言う。
「お前の結晶、"魔力の流れが一点に集中しすぎる"のが問題なんだよな?」
アステリアが頷く。
「そうね」
ゼルヴォードは練晶石を指で弾きながら続ける。
「だったら、この石を"フィルター"として組み込めば、魔力の流れを"分散"できるかもしれねぇ」
カリーナが驚いたように言う。
「なるほど……! 魔力を"均等に流す"ことで、暴走を防ぐんですね!」
アステリアは興味深そうにゼルヴォードを見つめる。
「……試してみる価値はありそうね」
・ゼルヴォード、鍛冶技術を活かして"魔道具の安定化"を試みる!
・アステリア、カリーナ、フィルミナと共に、実験が開始される!!
・魔力暴走の原因は、本当に"制御の問題"だけなのか!?
ゼルヴォードは魔力増幅結晶を慎重に扱いながら、作業に取り掛かった。
「……さて。お前のギルドの研究が、どこまで通用するか、見せてもらおうか?」
アステリアは微笑を浮かべながら、静かに答える。
「ええ、あなたの"鍛冶の技術"が、どれほどのものかもね」




