第2話
今日も中村君に朝の挨拶をする。
「おはよう!」
中村君も小さい声で挨拶を返してくれた。
今日は昼ごはんも中村君と初めて一緒に食べた。
すごくドキドキする。
昼ごはん中も中村君はずっとカードゲームの話をしていた。
放課後、友だちの愛華とスタバによることにした。
「中村君がさ、ずっとしゃべってくれなかったけど、最近はしゃべるようになってくれたの!」
「くるみは、マジで中村のこと好きだよねw」
愛華が笑う。
愛華とわかれて帰っていると、中村君からラインが来る。
「言いたいことがあるので、明日の放課後、校舎裏に来てもらえませんか」
次の日の朝、中村君に挨拶するとどこかに行ってしまった。
ひるごはんも一緒に食べれず、放課後になった。
校舎裏に行くと、中村君はすでに待機していた。
「好きです!付き合ってください!」
そう中村君は言うと、頭を下げ、手を伸ばす。
うれしいはずなのに、気持ち悪い以外の気持ちが出てこない。
その時私は初めて気が付いた。
私は、中村君のことをすきな自分が、自分より格下の人間にも優しく接する自分が好きだったんだ。
ああ、なんて私は性格が悪いんだろうか。
私は人をランク分けし、さらに人をアクセサリーの様に扱う人間なんだ。
一度自覚すると、自分への嫌悪感が止まらない。
「ごめん。中村君とは付き合えない」
そう中村君にこたえると、中村君は怒り出す。
「なんでだよ!あんなに思わせぶりな態度をとって!明らかに僕のことが好きじゃないか!ふざけるなよ」
そういうと中村君はつかみかかってくる。
ああ、いいよ!中村君。君が醜いひとであればあるほど、私の私への嫌悪感が安らいでいく気がするよ。
中村君は私を地面に押し倒す。
そのまま私の服を脱がそうとしてきたところを、同じクラスのサッカー部のイケメンな田中君に蹴り飛ばされた。
「中村!お前気持ち悪すぎだろ!何やってんだよ!」
そう田中君が怒る。
「やめてあげて!君田中君。私が思わせぶりな態度をしたのが悪かったんだし」
そう私は言う。
ああ、私はなんてくずなんだろう。
ここまできても、中村のことをアクセサリーとして利用する。
さよなら、名前すら知らない人。私が好きなのは、貴方じゃなく私でした。