洗濯の国境線
やっと夏の暑さも一区切り付いたらしい。
この時期はスッキリ晴れることが少ないから休日の朝はコインランドリーも混み合う。
だから敢えて夜中に利用しようと思って来たものの…
24時間営業の弊害なのか?
確かに深夜のコインランドリーは利用者は少ないが、その少ない利用者の中には「何故?」と頭を傾げてしまう人がたまに居る。
どうやら今日がその日だったみたいだ。
現在深夜3時過ぎ、街も人も寝静まって静かな事この上ない。
秋風に吹かれて向かう道すがらも快適だった。
が、
店内に入った瞬間洗濯物が入ったランドリーバックを落としそうになった。
1回見なかった事にしよう…
まずは洗濯物を洗濯機に入れて料金を投入。
いつも通りの仕事をしてくれるみたいで安心した。
さて、一旦店を出よう。
出てもう一度確認しよう。
銭湯併設だったか?
いや、併設でも終わってるだろ…
うーん、1回タバコを吸って落ち着こう。
その後で店内の状況を確認し直そう。
…
…
…
よし、行くか。
状況変わらず…
備え付けの丸椅子には全裸の外人さんがスマホで動画観てる…
監視カメラの中の人気付いて!
これはなんだ?気にしたら負けなゲームだったりするのだろうか?
気にしない方が無理だと思うけど。
ひとまず勇気を出して外人さんに声を掛けてみる。
「Hey Mr? 」
「はい、どうしました?」
めちゃくちゃ日本語で返された、恥ずかしい。
まぁでも話が早そうで良いか。
「ここは、洗濯をする所で全裸はルール違反ですよ?」
「え…?」
「え?」
「私の国ランドリーで着てるもの脱いで洗うのが普通ですが、日本違います?」
…違います。
そんなん警察来ます。
巡回中の警察に見つからなくて良かったですね。
「日本では家で洗濯物を決めて、持ってきた物だけ洗います」
「着てるものも洗いたい」
「着替えてからそれを洗濯物にして下さい」
「Oh sorry」
この人から初めて英語を聞いた。
「ただ今のあなたでは外に出れないので誰か着替えを持って来られる人は居ますか?」
「Year」
あ、この人外人だから許してパターン使う気だ…
「持ってきて貰って何か着てください、女性の利用者さん来たら通報されますよ?」
「Oh my god」
なんかこの人の英語にムカついてきたけどお連れさんに連絡して服を届けてもらう様に説明した。
5分後お連れさん(彼女さん?)が申し訳なさそうに服を持って登場。
急いで服を着せると、タッチの差で巡回中の警察が前を通った。
これ、アウトだった時一緒に連行されてたのかな?