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7冤罪

「姫野。パーティ参加には前向きに善処する」


「それ、遠まわしに断るセリフ!」


「いや、そんな事は・・・あるかな、はは」


「なんで? なんでなの? あたしじゃ不服なの? 言いなさい、不服だと! 言ったら殺すけどね!」


いや、そんなグイグイ来られてもな。


俺もソロよりパーティの方が無難だとは思う。


ただ、今日、振られたばかりの俺は、何となく女の子から距離を置きたかった。


そう、俺は女性不信になっているんだと思う。


姫野からも裏切られたらと・・・思うと、例えパーティメンバーとして、友人としても。


そもそも俺はパーティメンバーにも裏切られた。


人間不信も発症しているのかもな。


「あなた。人間不信になっているでしょう?」


「・・・そ、それは」


図星だ。返す言葉がない。コイツ、本当に凄いな。確信を突いて来る。


「今のあなたは人とのかかわりをあえて取るべきよ。じゃないと・・・後悔するわよ」


「何故? 何故、後悔するって言えるんだ?」


「人は一人では生きられない。あなたのお母様が私のお母さんに言った言葉よ。お母さんは昔ちょっとあってね。軽く人間不信になっていたの。それを助けてくれたのがあなたのお母様。あなた、あなたのお母様の助言が聞けないって言うの?」


「そ、それは・・・わかった。姫野のパーティに入るよ」


「よっしゃ! チョロい!」


「ん?」


なんか、もしかして俺、騙された?


「そうと決まったら、あんたのステータスを見せて。パートナーの事は熟知しておかないとね。それとあたしの事は姫野じゃなくて、氷華って呼び捨てにして、あたしはあんたの事を伊織って呼ぶから」


「あ、ああ、わかった、姫野・・・じゃなかった、氷華」


どうも女の子を下の名前で呼ぶのは抵抗がある。


俺が下の名前を呼んでいたのは幼馴染のつむぎだけだったからな。


「先ずはあたしの見せてあげる。特別なんだから、泣いて喜びなさいよ」


「へいへい」


なんでいちいち上から目線なんだろうな、この子。


姫野、じゃなかった、氷華のステータスは。


探索者レベル100:姫野氷華ひめのひょうか


精霊:建御雷神タケミカヅチ


STR(筋力):142


DEF(耐久力):142


SPD(敏捷力): 251


INT(知力):164(+33)


MAG(魔法攻撃力):273(+55)


REG(魔法防御力):164


HP(生命値):270


MP(魔力値):312


固有スキル:【百華繚蘭ひゃっかりょうらん


継承礼装:【咎人の束縛】


ステータス:知力、魔法攻撃力20%アップ、


エクストラスキル:限定束縛(視界に収めた対象を拘束する魔法)


パーティスキル:筋力、耐久力20%アップ


保有スキル:【魔力爆発】【気配察知】【筋力強化】【耐久力強化】【敏捷力強化】【知力強化】【魔法攻撃力強化】【魔法防御力強化】【 HP強化】【MP強化】【アイスブレット】【クリスタルシールド】【魔法防御デバフ】


氷華のステータスもスキルもかなり優秀。


しかし、氷華の精霊って、もしかして?


「なあ、姫野?」


「氷華よ」


「あ、すまん。氷華、お前の精霊って、日本神話の剣の神様じゃないか?」


「多分そうよ。相性が悪いって言いたいんでしょ?」


「ああ、あからさまに剣を極めるべきなのに、なんで魔法よりなんだ?」


「あたし、運動は苦手で、その。それにファーストルック、ファーストキルが持論なの」


困ったものだな。こいつ、頭いい筈なのに、苦手な物から逃げている。


「氷華。精霊の加護は固有スキルから言っても明らかに剣職向き。俺がお前を鍛え上げてやる。大丈夫だ。俺は次元流古武道の師範をしているから無料で教えてやる」


「・・・ただより怖い物はないってよく言うわよね」


「まあ、毎日血反吐でる位鍛えるけどな」


「鬼かぁ!」


氷華にちょっと引かれたけど、俺達は中々いいパーティになりそう。


特に二人共継承礼装を持っている点がデカい。


スキルを使用するには通常MPを消費する。しかも、有効時間がたいてい三分程度のバフスキルに対して継承礼装はMPを消費しない上、常時スキルが発動するパッシブタイプ。


つまり俺達は個人ステータスのバフを絶えず受けられ、パーティバフも絶えず受けられる。


覚醒してステータスおばけになった俺達は低階層のボス位なら、バフやデバフなしでも討伐できるな。


俺達は互いのステータスを確認すると、パーティでの立ち回りの基本を話しあって、八王子のD級第二ダンジョンを攻略して行った。


途中、俺は剣士職に必要な個人スキル【筋力強化】【耐久力強化】【敏捷力強化】を手に入れた。


普通誰でも真っ先に手に入れるモノなんだけど、俺はとらなかった。スキルの最大所有数は十二と縛りがあるため。


覚醒したら最大所有数は二十四になった。


第二十五階層のラスボス、サラマンダーは氷華の【アイスバレット】と【魔力爆発】で瞬殺。こいつほんとスゲーな。


最終階層のラスボスを倒すとボス部屋の一番奥に一階層までワープする光る輪が現れる。


俺達はそれを使って地上に戻った。


イレギュラー討伐についてはクランや探索者警察に報告しないとな、そう思っていると。


「君は如月伊織君か?」


「はい、そうですが?」


俺に声をかけて来たのは探索者警察だった。


ダンジョン入口の受付で素材の買い取りや報告を行おうとして名前を告げた矢先。


「ちょっと署まで同行願えないだろうか?」


「えっと。受付で手続きを済ませた後でいいですか?」


「もちろん。協力感謝する。気分を悪くしないで欲しい。私も職務上やむを得ない。ただ、ダンジョン内で殺人事件が起こって、君を現場近くで見たという者がいるんだ」


「さ、殺人事件ですか?」


俺は驚いた。ダンジョン内はある意味無法地帯。


地上と違い、誰の目も行き届かない処も多い。


探索者警察が見回りや犯罪者検挙をしているが、地上とは比べ物にならない治安の悪さ。


日本はかなり優秀な方らしい。地上で世界一安全なこの国はダンジョン内でもやはり世界でもっと安全だと言われている。


「すみません。姫野 氷華と言います。第五階層からずっと彼と一緒にいました。あたしも協力させて下さい。職務質問ですよね? これって?」


「その通り。察しがいいね。正直いい気分はしないと思うが、そこは堪えてくれ。警察は疑うしかできない組織という点を理解してくれ」


「わかりました。協力しない方が疑いが濃くなりそうですし、市民の当然の義務として協力します」


「伊織。気を付けてね。現場であなたの姿を見たなんて、どこかおかしい」


俺も確かにと思った。むしろ密告した者の方が怪しいに決まっている。


こうして俺達はダンジョン攻略早々警察でくさい飯を喰らうはめになった。

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