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5覚醒

凍っていた骸骨は俺の貧弱な剣の一振りでひび割れ、それが広がり霧散していった。


そして精霊の声が聞こえた。


『イレギュラー、ネクロマンサー狂気の堕落者ついらくしゃを討伐しました。初回討伐者一覧に如月 伊織、姫野 氷華を記録します』


『イレギュラー討伐報酬の授与を行います』


『討伐報酬、継承礼装【不死の咎人】を如月 伊織に授与します』


『討伐報酬、継承礼装【咎人の束縛】を姫野 氷華に授与します』


『資格習得に伴い、如月 伊織にURスキル選択箱レベル5を贈呈します』


『資格習得に伴い、姫野 氷華にURスキル選択箱レベル5を贈呈します』


『如月 伊織の覚醒条件完遂を確認、これによりレベル99からの覚醒を開始します』


『姫野 氷華の覚醒条件完遂を確認、これによりレベル99からの覚醒を開始します』


通称天の声。


その正体は宿った精霊の声だと言われている未だ解明されていないダンジョンの謎の一つ。


俺はイレギュラーを倒す事に成功した事、姫野を助けられた事に安堵していた、だが。


「あんた、馬鹿ぁ!!」


「お前、それは酷くないか? 一応助けただろ?」


「相手がイレギュラーだってわかっていて助けに入るなんて、良く考えたの?」


「いや、つい咄嗟に、反射的に、何となくかな」


「こ、の、あんぽんたんかぁ!」


「ちゃんと勝っただろ?」


「グァ! 論破された。絶対こいつだけには論破されちゃいけないヤツに論破された」


「お前、ツッコミの癖にダメだな」


「あんただけには言われたくないわ! 天然の癖に論破するな!」


いや、そんな事言ったてな。


「まあ、一応勝ったし・・・ん?」


姫野からいきなり罵倒されて視線を向けていて驚いた。


眼鏡がない。おそらく、さっき俺の左前方で宙返りを披露した際にすっ飛んだんだろう。


「ひ、姫野、お前、眼鏡!」


「え? あれ? あたし、眼鏡してない?」


顔に手をやり眼鏡の存在を探す姫野。


なんで眼鏡にそんなに興味があるのかって?


いや、問題は眼鏡じゃない。姫野の素顔の方だ。


おさげに長めの学生服のスカートに色気一つないダッサイ筈の姫野。


これに牛乳瓶の眼鏡があれば、完全な地味女が完成する。


だが眼鏡がない姫野はというと・・・。


「姫野。お前、なんで眼鏡なんてしてんだ? その・・・容姿の事に触れるのは失礼だけど」


「いいこと! 今日見た私の顔の事は絶対秘密よ! 暴露したらぶっ殺すからね!」


おさげでダッサイ姿の姫野はそれでも信じられない位の美少女だった。


俺達の通う高校で一二を争う俺の元幼馴染、つむぎや委員長の一ノ瀬がかすむ程の容姿。


身近で一番可愛い女の子じゃなく、女優級の容姿。


「なんで隠す必要あるんだ? 正直メリットの方が大きいだろ?」


「色々あるのよ。特に色恋沙汰とか面倒としか思えないの、私にとってはね。私にはやらなきゃいけない使命があるから」


「そんなモノなのか? でも、お前の使命ってなんだよ?」


「一応助けてもらったお礼に特別に教えてあげるわ。私のお母さんは病気なの。難病で、お父さんのお給料の大半はお母さんの命を繋ぐ為に使っている。でも、いつか、ね。それを打開するには・・・」


「エリクサーか?」


「そうよ」


エリクサー。どんな難病、例え心臓が止まり、脳死に至っていようが、四肢が切断されていようが健全な状態に戻してしまう幻のポーション。


マーケットで十数年程前に出た時は日本円換算で兆の桁になった。


購入する事が出来る筈もない。


そもそもマーケットに出回っていない。


探索者にとって、一番大事なのは命。


それを売りに出す者はいない。


その上、エリクサーは未踏破のダンジョンのラスボスを討伐した時位しかドロップしないと言われている。


「ね、それよりあたしとあんた、覚醒したんじゃない? これって、何十年ぶり? て、言うか、やっぱり覚醒は実在したのね。あんたにしては良くやったわ。褒めてあげる」


「お前、助けてもらった癖になんで上から目線なんだよ。せめて感謝位しろよ!」


「あんたばかぁ! さっき助けてもらったお礼に特別にエリクサーの事教えたでしょ」


「あれって、感謝の言葉だったの? お前、ちょっと心療内科に行った方がいいぞ」


「あたしは性格破綻者か! どっちかと言うと、あんたが行くべきだわ」


軽口を言い合っていると姫野が言い出した。


「まあ、それは置いといて、お互いやる事があるでしょ?」


「だな。新しく獲得した報酬。継承念装なんてトップクラスの探索者しか持っていないぜ。それにURスキル選択箱っておいし過ぎるよな。早く能力を確認したいよな」


「覚醒の事忘れてない? 覚醒したらレベルが100になる以外にも色々恩恵があるって言われているけど・・・あんたみたいなヤツに言っても馬の耳に念仏か。反論は禁止よ」


「お前な。同意するけど、もう少し言葉を慎んだら?」


無視かい! 本当に反論禁止なんだな。


とはいえ、俺も姫野と同じようにステータスボードを開いて確認する。


ステータスオープンなんてわざわざ言わなくていい。


見たいと思えばいつでも見る事ができるまるでゲームの様なボード。


精霊を宿している者なら誰でも他者のボードの内容も確認できる。


マナー違反になるから普通他人のは覗かないが。


実際、姫野も俺と少し距離を取った処でボードを確認している。


この習慣が定着したのは探索者個人情報保護法の制定に伴っての事。


おかげで探索者の情報がかなり制限されてしまった点も否めない。


俺は気を取り直して自身のステータスを確認する。


探索者レベル99:如月伊織きさらぎいおり


精霊;アディヨーギー・シヴァ


STR(筋力):54(+11)


DEF(耐久力):54(+11)


SPD(敏捷力):486


INT(知力):54


MAG(魔法攻撃力):54


REG(魔法防御力):54


HP(生命値):103


MP(魔力値):103


固有スキル:【次元波動爆縮アブソリュートゼロ


継承礼装:【不死の咎人】


ステータス:筋力、耐久力20%アップ、


エクストラスキル:一回不死(クーリングタイム24時間)


パーティスキル:魔法攻撃力、魔法防御力20%アップ


保有スキル:【マルチキャスト】【筋力強化支援】【耐久力強化支援】【敏捷力強化支援】【知力強化支援】【魔法攻撃力強化支援】【魔法防御力強化支援】【 MP強化支援】【魔力付与】【物理防御デバフ】【魔法防御デバフ】


俺が継承念装の能力の高さに驚いていると脳内に天の声、いや精霊の声が響いた。


『如月 伊織の覚醒ファイルのダウンロード完了、これより覚醒シーケンスに移行します』

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