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28藤堂への疑惑

「それで藤堂君が毒の魔法を使ったのですの?」


「毒だけじゃない。闇の単体攻撃魔法も使った」


「そんな事があり得ますの?」


俺は氷華、結菜と藤堂の事で話しあっていた。


藤堂は俺の知らない二つのスキルを使った。


空きスロットはもうなく、謎のスキル一つだけの筈。


その謎のスキルが特殊なスキルで、複数のスキルを使用可能にしているのか?


「あたし。藤堂にちょっと気になった事があるの」


「なんなんだ?」


氷華が藤堂に何か気になる点があると。当然、例のスキルの謎に拘るのだろう。


「以前、藤堂のパーティに勧誘された事、覚えてる?」


「ああ、覚えてる。でも、それが何なんだ?」


ちょっと話が見えて来ない。


「あの時、私は眼鏡を外してなかったのよ。おかしいと思わない?」


「なんで?」


「なんで思わないんだよッ!」


氷華が何故か謎のぶち切れをする。


「伊織君。氷華さんは眼鏡を外したら超絶美人である事を知らない藤堂君がパーティに誘うのは不自然だと言っているのですわ」


「そこまで思ってないわッ!」


「でも、かなり美人である自覚はあるのですわ」


「突っ込まれた! 天然の委員長に突っ込まれた! 絶対突っ込まれたくない天然に突っ込まれた!」


「氷華が美人な事と、藤堂に何の関係があるんだ?」


「だから、なんでわからんのだッ!」


「伊織君。氷華さんは超絶美形の自分なら誘われて当然だけど、地味眼鏡で変装していた頃ならあり得ない。だけど、これ程の美少女がバレたなら当然と言いたいのですわ」


「そこまで言っとらんわッ!」


「氷華って、そんなに美形なの?」


「はうッ!」


何故か氷華が地面に両手をついて突っ伏した。


「あら、伊織君は氷華さんの事、好みのタイプじゃないのですの? 女の私から見ても綺麗な方だし、その凶悪な胸なんて、さぞかし多くの男性を惑わすのですわ」


「俺、氷華の事をそういう目で見たことないし、胸って、前からこんなじゃなかったっけ?」


「少しは見ろよッ!」


何故か氷華に突っ込まれた。いや、女の子の胸を凝視してたらヤバいだろ?


「胸は眼鏡をかけていた頃と明らかに違いますの。以前はまっ平だったのですわ。それに比べて今はG位はありますの。多分、さらしか何かで隠していたと思われますの」


「だって、男の子の視線が怖くて、それで隠すように・・・」


「それじゃ、なんで今は隠さないんだ?」


「乙女心! 察しろ! 勇気出したあたしの立場を察しろ!」


「伊織君。ちょっとデリカシーに欠けますわ。と、言うより、ほんとに氷華さんの事全然見てないですの?」


いや、ちゃんと見てるけど、友達の事そんな目で見るのはおかしいだろ?


俺は絶賛女性不信中で、氷華や結菜の事は異性として見れない。


いい奴らだとは思うけど、だからこそ女の子として見れない。


「まあ、それはおいておいて、どういう事なんだ?」


「今日の放課後、駅前通りのあんみつ屋で奢って! じゃないと喋らない!」


「わかったよ。あんみつ位なら奢るよ」


「私もお願いいたします」


「なんで、お前が乗っかってくるんだよ!」


何故か氷華と結菜にあんみつを奢る事になった。


「伊織君。私も氷華さんの意見に賛成なのですわ。藤堂君の性格から考えておかしいのですわ。つまり、藤堂君は眼鏡を外した姿を知っていた。それも伊織君達がイレギュラー黄泉川よみかわ 零一郎れいいちろうを討伐した明くる日に。何か気が付く点があるという事ですわ」


「イレギュラーを討伐した時、眼鏡を落としてしまった。あたしの素顔は伊織しか知らない筈だった」


「・・・それはつまり」


「そう、それしか考えられない」


「中学位の頃に氷華の素顔見た事があるって事だな」


「こ、この、あんぽんたんかッ!」


酷くないか? あんぽんたんって、酷すぎん。


そりゃ、俺、推理小説とかの犯人、さっぱりわからないタイプだけどね。


「あたしの代わりに説明して、結菜」


「伊織君。中学の頃から知っているならタイミングが不自然でしょう。藤堂君はつむぎさんだけじゃなく、宮本さんとも影で付き合っているともっぱらの噂ですの。そんな藤堂君が氷華さんを誘うとしたら、ダンジョン内で氷華さんの素顔を見てしまった」


「つまり、黄泉川と戦っている最中に見ていたって事か?」


「そういう事になります。そして、伊織君があの殺人現場近くにいたという事は氷華さんだけではなく、藤堂君もまた殺人現場近くにいたという事になりますの」


俺は段々氷華や結菜の言いたい事がわかって来た。


「つまり、藤堂も殺人事件の容疑者って事か?」


「そう。あたし、さっき気になってスマホで調べたんだけど、wikiに一つだけ複数のスキルを一つで使う事が出来るのを発見したわ」


「どんなスキルなんだ?」


「【スキルスチール】というスキル。人のスキルを奪う。そしてこのスキルの達成条件に問題があるの」


「どんな問題なんだ?」


「それはスキルを盗む条件として、相手を殺害する必要があるって事よ」


俺は全ての謎の点と線が結ばれたと感じた。


そもそも誰が、あの殺人現場近くにいると密告したのか?


宮本の謎の行動。


藤堂が複数のスキルを使う事ができる訳。


「俺にもようやく理解できた。藤堂が俺を密告した。そして、あいつは瀕死の探索者に偶然遭遇してスキルを奪った。信じられない位スッキリする!」


「こーのー、あんぽんたんッ!」


「伊織君。残念過ぎる推理力ですの。むしろなんでそうなりますの?」


なんで、なんであんぽんたん扱い?


「そうよ。藤堂の性格の悪さを考えたら、殺人犯が藤堂って考える方が自然だろ?」


「・・・そ、そういう事か」


ようやく俺も合点がいった。確かにそれだと藤堂のスキルの謎もわかる。


「じゃ、そういう訳だから、伊織、かがみなさい」


「え? なんで?」


「いいから屈め!」


何故か怒気をはらんだ氷華に命じられるままに屈む。


「―――――~~~~ッ!!!!」


声にならない声が出た。


「全くけしからん乳ですわ。こんなに育ってしまって」


「委員長! 女の子がしちゃだめな事してるけど、いいのか?」


「あら、こんなに柔らかくて心地よいものに男も女もないのですわ」


委員長は氷華の胸を後ろから鷲掴みにしていた。


「二人共いつも仲がいいんだね」


「伊織! そんな目で見るな!」


「久しぶりに揉むといいのですわ」


「久しぶりどころか一度もされた事ねーわ!」


「俺の事は気にしないでくれ。誰にも言わないから」


「伊織! お前、何言ってんだよッ!」


俺は察した。氷華と委員長の関係に。


そう言えばいつも一緒だもんな。


もっと早く気が付くべきだった。


「俺は応援するよ。今は多様性の時代だからね」


「あたしが多様性満載みたいに言うな!」


「あ! これは癖になりますわ」


「委員長! 何を考えている?」


「エロい事ですの」


「あたし達の関係がおかしいみたいに言うな!」


「そんな勘違い起きる筈がないのですわ」


「あるだろ!」


「じゃ、俺はこの辺で失礼するよ」


俺は二人きりにしてあげるべく、その場を離れた。


「伊織の顔をこの胸に埋めるつもりだったのに!」


「そんな事はさせないのですわ」


「お前もダメージ負ってるわ!」


「今度は私がノーパンでスカートを自らたくし上げるのですわ」


「なんでそんな痴女みたいになるんだよ!」


俺は仲睦まじい様子に思わず笑顔になった。


なんか氷華と委員長が変な事を言ったようだけど、気のせいだろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] あぁ…これで分かったかも…。 だから、ネクロマンサー討伐時に藤堂も近くに居た、そして氷華の素顔を見た。でも、スキル上限を解放する『覚醒者』にはなってない。 つまりは、殺人事件の犯人は、藤…
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