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15天使達の目的

「かはッ!」


俺の口から血が飛び散る。


天使に貫かれた剣は俺の心臓をひと突きにすると、そのまま剣を薙いで俺の身体の半分を切り裂いた。


「無駄だったな。できもしない事に挑むなど、茶番でしかない。そもそもこの私と対峙しようだなどとおこがましい。私は天使。存在が始まった時から貴様ら人間とは格が違う。私はお前達の様に弱い人間が死ぬほど嫌いなんだよ。反吐がでる」


「確かに。できない事は早めに諦めた方が賢いし、自分を客観的に見て立場をわきまえることは大切な・・・事だ」


「ほう、ようやくわかったか? その瀕死の中でようやく悟ったか?」


「ああ。良くわかったよ。氷華、頼む」


「ええ、任された!」


俺がこと切れると、氷華が【咎人の束縛】で天使を光る輪で縛り付ける。


「何のマネだ?」


「何のマネって、お前をぶっちめる為に決まってんじゃないか?」


俺がそう声をかけた時、天使の表情が変化した様に見えた。


「驚いているのか? 一度死んだ人間が死に戻った事に。あるだろ、ダンジョンならこんな理不尽な仕様。他でもねえ、お前達が考えたって事だろ?」


「ば、馬鹿な。どうしてそこに立っている? あれはつい最近解き放ったばかりでこんなに早く人間の手に渡る筈が―――「ないっていいたいのか? この状況で?」


「いや。驚きはしたが、この呪縛の礼装の効果は永久ではない。それにお前達には私を滅ぼす力はないであろう。結局、お前達は私に殺され、無様な姿を晒す運命であろう」


どうかな? 俺の次元波動爆縮アブソリュートゼロを喰らっても平気かな?


既に術は発動している。知力もMPも大幅に上昇した。


そうだな。発射まで、あと十秒ってとこかな。


「俺はお前の原子か霊子かしらないが、その活動を停止させる事ができる。いわゆる絶対零度ってヤツにできるって言ったら?」


「待て。止めろ。止めてくれ!」


「お前は止めてくれと言った者に止めた事はあるのか? あの天使の軍勢は元人間だろう? 今まで一人でも許した事はあるのか?」


「わ、私は天使。至高の存在なのだ。お前らたかが人間と同列な訳がなかろう。お前達も蚊を払うのにいちいち躊躇しないであろう」


「そうか。高慢ちきなご意見をありがとう。ところで、俺は言ったよな? できない事は早めに諦めた方が賢いし、自分を客観的に見て立場をわきまえることは大切な事だって? えぇ?」


「ま、まさかあれは?」


今更気が付いてももう遅い。お前に慢心がなければこの罠も上手く行かなかったかもな。


だが、お前は油断した。人間を格下のモノと見下し、熟考しなかった。


だからお前は死ぬんだよ。


「まあ、最後に言っておいてやるよ。俺達って牛や豚を食べるけど、牛や豚は食肉にされる事なんて知らないだろ? お前も知らない方がいいぜ」


「私を家畜と比較するのだと? あり得ん! そんな事があってはならない!」


ああ。それはその通りだったな。お前はな。


家畜以下のクソ野郎だ!


「【次元波動爆縮アブソリュートゼロ】!」


俺の前方から光が射出され天使に突き刺さる。


たちまち氷結して行く天使。


天使を構成しているのが通常の原子核か霊子核かは知らんが、どちらも俺のアブソリュートゼロを喰らえばその時間は永久に停止する。


白面の端正な顔を持つその男はそのまま氷づけになったが、何と意識を持っていた。


「・・・り・・・えん。に・・・んげん、ごと・・・き」


気が付くと俺は天使の顔を殴っていた。


「ひっ・・・!? あっ、あぐっ・・・!」


その身体は完全に時間が停止し、二度と動かない状態にも拘らず、声は聞こえる。


信じられない事になおも天使は意識を保っていた。


俺は構わず、この高慢ちきな男の整った顔に拳をめり込ませた。


鼻もちならないその鼻をへし折り、ひび割れた顔の破片を巻き散らし、歯らしきモノをぶっとばしながら。


「て、天使であるこの私の顔を殴るなど・・・不敬、不敬にもほどがあるぞ! 人間風情がぁ・・・!!」


天使が今なお話し続ける。おそらく身体とは別の次元に魂か本体があるのだろう。


それにしても腹が立つ。この高慢ちきな天使はこの状況でも未だに態度を改めない。


「俺、言ったよな? 客観的に見て立場をわきまえろってさ!」


「まっ、待――――――!! 話す! 話すから!」


一体何を話す気だ? 聞いた覚えもないが。


「我らが智天使アリエル様がこのダンジョンを創造したのは、人間をこの世界から抹消するため。ダンジョンは育ち、世界の何処かにあるダンジョンのコアキーを破壊しなければ、ダンジョン内のモンスターは下界に解き放たれる。教えた。だから、だから―――あぶッ!」


ドゴ――ン!


【斬撃】で筋力、耐久力、敏捷力を百倍に跳ね上げて天使の腹をおもいっきり殴る。


キン


という音叉のような音を奏でて天使の肉体は爆散した。


『天使メタトロンの消滅を確認しました。第二十五階層攻略を完了しました』


『如月 伊織のレベルが299になりました。固有スキル【次元波動障壁】を獲得しました』


『姫野 氷華のレベルが299になりました。固有スキル【辟邪の太刀】を獲得しました』


『一ノ瀬結菜のレベルが99になりました』


『ダンジョン守護者ジャックフロスト討伐報酬の授与を行います』


『討伐報酬、URスキル選択箱レベル3を如月 伊織に授与します』


『討伐報酬、URスキル選択箱レベル3を姫野 氷華に授与します』


『討伐報酬、URスキル選択箱レベル3を一ノ瀬結菜に授与します』


『イレギュラー(天使メタトロン)の討伐者一覧に如月 伊織、姫野 氷華、一ノ瀬 結菜を記録します』


『イレギュラー(天使メタトロン) 討伐報酬の授与を行います』


『討伐報酬、継承礼装【智慧ちえの眼】を如月 伊織に授与します』


『討伐報酬、継承礼装【天使の羽根】を姫野 氷華に授与します』


『討伐報酬、継承礼装【炎の柱】を一ノ瀬 結菜に授与します』


『イレギュラー討伐報酬の授与を行います』


『資格習得に伴い、如月 伊織にURスキル選択箱レベル10を贈呈します』


『資格習得に伴い、姫野 氷華にURスキル選択箱レベル10を贈呈します』


『資格習得に伴い、一ノ瀬 結菜にURスキル選択箱レベル10を贈呈します』


『如月 伊織の覚醒条件完遂を確認、これによりレベル299からの覚醒を開始します』


『姫野 氷華の覚醒条件完遂を確認、これによりレベル299からの覚醒を開始します』


『一ノ瀬 結菜の覚醒条件完遂を確認、これによりレベル99からの覚醒を開始します』


精霊のリザルトアナウンスを聞きながら、俺達は勝利した事を確認した。


それにしても・・・前のイレギュラー討伐をクランのリーダーに報告する前に次のイレギュラーを倒してしまった。


その上、なんか地球規模って言うか、人類の危機を知ってしまったような気がする。


俺は密かに焦っていた。

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