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11八王子第四C級ダンジョンラスボス戦1

八四Cダンジョンを順調に進んだ俺達は遂に最終階層である第二十五階層に到達した。


「結菜、気を引き締めてくれ。ここのラスボスはけた違いに強い」


「そうよ。攻略wikiによると人型のモンスター。名をジャック・フロスト。見かけは小柄だけど、とんでも無い悪鬼だよ」


「氷結の波動は一撃でHP100は持っていかれる極悪仕様。凍てつく吹雪はこっちのバフもデバフも全部消される超極悪仕様なんだ」


「こ、怖ッ!」


結菜もここのラスボスの脅威度がわかった様だ。


覚悟を決めてもらわないと危険だから。


「でも、ようやく私の出番がありますわ。治癒魔法もですが、私、光属性の防御魔法が使えますわ」


「それは心強いな。でも、使うタイミングは間違えないでくれ。ここのラスボスは凍てつく吹雪を撃ってから、即、氷結の波動を撃って来る。それが二回続くから、都度、防御魔法のスキルをかけ直す必要がある」


「そうなの。ここのラスボスは頭が良くて、バフやデバフ解除してから攻撃してくるの。しかもどちらもフロア全域の全体攻撃よ。極悪にも程があるでしょ!って位」


「ただ三回目は凍てつく吹雪も氷結の波動も撃って来ない。クーリングタイムの都合、三回目は通常の物理攻撃か単発の攻撃魔法だけ。だから三回目は防御魔法は必要ない」


そう、このダンジョンが高難易度とされているのは、このラスボスの極悪仕様。


このダンジョンが攻略されるまでに三年の期間が必要だった。


攻略できたのは、討伐に失敗したメンバーが一人だけ生還し、ヤツの攻撃パターンを伝える事ができたから。


犠牲者は百人近かったと言われている。


現在もなお、最難関のラスボスとして知られている。


幸い、このボスからは逃げる事が可能なのが救い。


ラスボス戦は部屋から脱出不能となる仕様が多く、扉さえ抜ければ脱出可能なこの悪鬼はまだ救いがある方だと言える。


理由は未だ不明だが、フロアボスもラスボスも他の場所には移動しない。


そう、ゲームと同じ。


同じラスボスが再び現れるのもゲームと同じ・・・。


ダンジョンの研究者の多くが創造の神の存在を信じる所以。


「こいつは魔法攻撃が強力だから、結菜の光防御魔法の他、俺の支援魔法で魔法防御力を上げておく。一回目と二回目はしのぐ事だけ考えて、三回目に一気に畳みかける。俺は物理攻撃系、魔法攻撃系の支援バフをばらまくから俺と氷華は三回目に全火力を集中。結菜は待機で、必要時治癒魔法。それを二、三回繰り返せばおそらく倒せる」


「オーケー。わかったわ。伊織」


「了解ですわ。伊織君」


結菜には言って無い事がある。俺が言った事は全部事実。


だが、通常は十人以上の複数パーティで挑む。


都度都度バフやデバフを消されたら、どんなパーティでも全滅する。


それをたったの三人で挑むのは無謀にも程がある・・・というのが常識。


だが、俺と氷華のステータスは既に化け物じみている上、俺の【斬撃】筋力、耐久力、敏捷力100倍のスキルで瞬殺できると思う。


氷華の【魔力爆発】を使えば同じ結果だろう。


しかし、あえてこの二つのスキルは封じる縛りプレイをするつもり。


パーティーでの実戦経験を得る事が今回の課題なので、あえてそうする。


氷華とは予め打ち合わせしておいた。


もちろん、万が一となったら俺か氷華が一撃で倒す。


「皆、気を引き締めていけよ。いよいよラスボス戦だ」


「任された、伊織!」


「了解なのですわ」


重いドアを開けるとそこは青くほのかに輝く広い空間だった。


☆☆☆


「一体、ジャック・フロストはどこにいるのですの?」


「一番奥の方よ。白く光っている処あるでしょ? あれは第一階層への出口、転移門よ。万が一の際は扉だけじゃなく、あの門も使用できるの。まあ、ジャック・フロストを前にどうやってあそこに辿りつけるのかって話になるんだけどね」


氷華の気配察知の能力を使うまでも無く、多分そうだろうなと察しがつく、露骨な位。


「もう少し意外性のある出現の仕方って言うか、演出位欲しいのですわ」


「結菜・・・緊張感なさすぎ」


「だから、気を引き締めて!」


「え? 私はやっぱり緊張感や恐怖を感じながらギリギリを楽しみたいのですわ」


「結菜! お前、ドMかよ!」


「天然がまた増えたんかい!」


「ち、違いますわ。私はただ心躍りながら戦いに挑みたい、唯の高校生、それも女の子なのであって、決してそういう類・・・て、来ましたわ」


結菜のおかげで緊張感台無しだが、白く光る転移門に近づいた処でヤツは姿を現した。


青白くほのかに輝く床から浮き出て来た白く輝くオーラをまとったジャック・フロスト。


「臨戦態勢。各自個人バフかけとけ!」


「はいなのですの」


「普通、もうやってるての!」


白く輝くオーラをまとっているのはジャック・フロストだけじゃない。


ステータスが高くなり過ぎた氷の女王とも言える氷華は青白く輝く氷の粒子をまき散らす。


氷のモンスター対氷の女王。どっちに軍配があがるかな?


と言う訳で、俺も支援バフを複数展開する。


どうせかき消されるが、かけないと攻撃パターンが変わる恐れを考慮した。


攻略Wikiだけじゃ把握しきれない事も多い。


俺が前のパーティで学んだ事。




ジャック・フロストが完全にその姿を現す。


小柄な小鬼の様な可愛げが無いガキと言う風体。


いや、口からは牙なんか出ているからちょっとしたホラー映像か。


「氷華! 結菜! 最初の攻撃二回はしのぐだけに徹しろ! MPの消費を抑えるんだ!」


「了解なのですわ」


「任された!」


とは言いつつ、殺気ビンビンの氷華。


多分、こいつやるよな。


「アイスバレ―――『凍てつく


やっぱりやりやがった。


氷のモンスターに氷で凌駕せんと挑む勇者。


それが俺の知っている氷華。


いきなりジャック・フロストに数十の氷の弾丸が襲った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 吹雪を吐いて、凍てつく波動をぶっぱしてくる……ゾー○みたいなやつですねwwww
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