第五話
俺とこはねは駅前で待ち合わせることにした。
俺は道に迷って想定より時間がかかる可能性を考慮して早めに家を出たのだがすんなり駅についたのですこしこはねを待っていた。
思えば友達と外で遊びに行くことって初めてだな。
ましてや女の子とデートなんて想像もできなかった。俺は少しテンションがあがってそわそわしながらこはねを待っていた。
「せんぱ~い。おまたせしましたっす」
「おお、こはね」
そう言って声のしたほうを見た瞬間俺は息をのんだ。
「どうしたっすか~せんぱい。あ~もしかして、私に見とれちゃいました?」
こはねの言う通り見とれてしまった。
こはねは春らしい白いニット素材のトップスにデニムのショートパンツをはいていた。
体にフィットしたそのトップスはこはねの女の子らしい部分をいやおうなく強調していて、ショートパンツから伸びたすらりとした足は何とも扇情的だった。
あんまりじろじろみるのは憚られたため、俺はすぐに目をそらす。
「あれ~ 私があまりに魅力的過ぎたっすか~?あんまりじろじろみたらだめっすよ~」
こはねがあおってくるが抵抗できない。
俺は何とか理性を取り戻し、言葉を発する。
「す、すごい似合ってるよ。かわいい」
「へ!?かわ……」
こはねはうつむいて顔を赤らめた。
「そんな直接言われると、恥ずかしいっす」
「ぐっ……」
顔を赤らめて上目使いでいわれたらやばい。
なんかわからんけどやばい。
「せんぱいも、かっこいいっすよ……」
「お、おう。ありがとう」
「よ、よ~し!今日もがんばるぞ~!さ、さあ行きましょうせんぱい」
こはねは真っ赤な顔でよくわからん気合を入れて手を引いてきた。
俺はされるがままこはねについていく。
おそらくはたからみたらとんだバカップルだろう。
俺たちは真っ赤な顔をならべて歩いて行った。
「この服にしてよかったっす。悩んだかいがあった」
「うん?なんかいったか?」
「い、いや。何でもないっす」
「そうか?」
こはねがなんか言ったが聞こえなかった。
まあいいか。