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第三話

 4月25日。

 俺は愕然としていた。

 ポスターを貼って5日たったがいまだ新入部員がいないのだ。そろそろまずい時期だ。あと5日であと3人部員を集めないといけない。

 科学部は存続の危機に直面していた。


「なんで、あのポスターで人がこないんだ」

「あははは。ほら言ったじゃないすか~ 集まらないよって。あんなポスターで本気で集まると思ってたんすか。」

「何も返す言葉がない」

「ぷぷぷっ。どんな命令聞いてもらおっかな~」

「お手柔らかにお願いします」


 しかしどうしようか。

 ポスターがだめだとしたら手詰まりに思える。

 ほかにいい方法がないかここ数日考えているがほとんど思いつかない。

 

「おそらくポスターがあんまり見られていないんだよな~」

「どこに貼ったんすか?」

「まず、この理科室の前だろ、第4職員室前の廊下、図書室の掲示板、あと玄関の掲示板のすみっこだ。ポスターを貼りに行くのが遅かったから目立つところはもうとられてたんだ」

「あ~そうなんすね。じゃあ、これからの部活も私と先輩の2人っきりになりそうですね!」

「なんでうれしそうなんだよ。とにかく、あと3人絶対集めるぞ」

「え~いいじゃないっすか。本当になんで先輩はそんなに存続させたいんすか。別にいいじゃないっすか。少なくとも先輩が卒業するまではなくならないんすから。」

「だめだ」

「なんでっすか」

「聞きたいか」

「聞きたいっす」

「じゃあ。話す。笑うなよ」

「はいっす」


「実は俺小学校の時にいじめられてたんだ」

「え」

「きっかけはみんなの前でやった1分スピーチだった。そのときに盛大に噛んでな、しかもそれが恥ずかしくて俺は泣き出しちゃったんだ。クラスメイトはそのことをめっちゃいじってきて、まあそれだけならいじめではないんだけどな、そのあとも俺はいじられキャラみたいになってことあるごとにからかわれたんだ。それがつらくて、俺は次第に暗い人間になってなるべく人とかかわることを避けていった。そしてその時に俺が熱中したのが自然科学なんだ。人間関係なんてめんどくさいことはせずに、ただ自然の真理を探究するだけでよかった。そのときに俺は科学にハマったんだ。多分そういう人は俺以外にもいると思う。そいつらの居場所になるような科学部を廃部にはしたくないんだ」

「そうだったんすね。ごめんなさい。軽い気持ちで聞いてしまって」

「いやいいよ。俺も聞いてもらってすっきりした。」

「わかったっす。先輩みたいな陰キャたちのために部員集めがんばるっす!」

「ちょっと!今の話聞いて陰キャはひどくね!?」

「さあ、対策を考えますよ!」

「まあわかった」

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