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第二話

「っていうか、部員は集まりそうなんですか」

「あ~それなんだよな~」


 そう。今科学部は俺とこはねしかいない。部活を存続させるためには5月の頭に部員が少なくとも5人いなければならない。

 そうでないと来年新しい部員が入ることができない決まりで、こはねが卒業したら廃部となってしまう。

 今は4月20日だからあと10日ほどで3人集めなければならないということだ。

 科学部は地味な部活なので勧誘をせず部員が入ってくれるということはまず考えられない。何か策を講じなければならないのだ。まあ、こはねはなぜか何もしていないのに入ってきたが。


「べつにいいじゃないっすか~先輩が卒業した後に廃部になっても」

「だめだ。科学部を廃部にはさせない」

「なんでそんなに必死になってるんすか~」


 この部活を廃部になんてさせない!

 俺は意気込んで作ったポスターをこはねに見せる。


「これをみろ。こはね」


 俺は大げさにポスターを掲げた。


「え、なんすか、これ。君も科学の深淵を覗かないか?」


 俺が作ったポスターは上部にキャッチコピーである「君も科学の深淵を覗かないか」がかかれ、真ん中にかっこいい理系用語が並べられていた。

 ベクトル、スカラー、微分方程式、積分方程式、sin、cos、フィボナッチ数列、メルカトル級数など、俺がかっこいいと思う用語をならべてみた。

 そして下部には下手なりに化学の実験の絵をかいてみた。


「どうだ。これでたくさんの新入生が入ってくれること間違いなしだろう。」

「わははは!なんすかこれ!こんなんで部員が増えるとは思えないっすよ!」


 こはねはおなかを抱えて涙が出るほど爆笑している。

 そんなに笑われると思ってなかったからショックだった。


「笑いすぎだぞ。そんなこといって、ほんとに集まったらどうする」

「そのときは何でも言うこと1つきいてあげますよ。まあ、無理でしょうけど。ぷぷっ」

「な!?」


 こはねはからかうようにその整った顔を向けてくる。


「お前、あんまり男子にそういうこと簡単に言うなよ」

「え~どんな命令するんすか~どんなエッチな命令でも聞いてあげますよ」

「っ!だから、そういうこと言うなって」

「ぷぷ!興奮してるんすか~ どうせ集まらないと思いますけど。その代わり集まらなかったら先輩が私の言うこと1つ聞いてくださいね」

「わ、分かった」


 それから俺は作ったポスターを学校中に貼った。

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