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第一話

 科学は最高だ。

 科学は最も信頼できる。

 科学はおもしろい。

 科学は社会の役に立っている。

 科学はかっこいい。

 科学は美しい。

 科学を学べば何でもできる。

 科学を知ればこの世界のすべてを知れる。

 科学はこの世界の理だ。

 科学は人類の最も強い武器だ。

 科学は神にも勝る。


 4月20日。

 新学期が始まって高校2年になった科学部部長である俺、山田朔がそんなことを考えながら駒込ピペットで濃硫酸をとると


「せんぱーい。今日は何やってるんすか~」


 間の抜けた声が聞こえてきた。


「こはね。お前も手伝えよ」

「え~いやっすよ。なんかアンモニアとかくさいし~ このかわいい緑のハンカチ使いたくないっすもん~ 今日のラッキーアイテムなんすよ!?」

「お前。それでも本当に科学部員かよ」


 こいつには本当にあきれる。

 こいつは俺と同じ科学部の後輩である1年七瀬こはね。

 この春俺しかいなかった科学部になぜだか入ってきて、しかも活動はろくにせず入部してから10日ほどだが、ずっと部室でだらだらして俺に話しかけてくる。

 だらだらしているので部活はせずとも勉強くらいはしろよといったが、学力は心配ないらしい。


「え~先輩星座占い見てないんすか~」


 こはねはさらさらしたセミロングの髪を揺らしながらかわいく笑っている。

 こいつ見た目はめっちゃ可愛い。

 その整った顔で笑いかけられると好きになりそうだからやめてほしい。

 友達によると身長が小さいので庇護欲が掻き立てられるそう。

 こはねの人気はすごく、中学校の時は毎月少なくとも一人に告白されていたらしい。

 まあ全員断っているそうだけど。

 そんなやつがなんで科学部でごろごろしているのか甚だ疑問である。


 俺はいつものように化学の実験をしている。顧問の先生は忙しく、部活には来ない。だからいつも俺一人でせっせと実験しているのだ。

 今日は濃硫酸でスクロースを脱水する実験をやろうと思う。

 ビーカーに砂糖を入れてっと。

 濃硫酸を少量入れるとたちまちスクロースが脱水され黒い炭素になってしまった。


「おお~ 今日は何の実験なんすか?」

「今日は濃硫酸でスクロースを脱水する実験だ。発熱反応だから触んなよ」

「触らないっすよ~こんな卑猥な形のもの」

「確かにちょっとそれっぽいけど!もっと濁せよ」

「え~なんすか~興奮しちゃってるんすか~」

「淑女の言葉使いをしろ!」

「あははは。先輩面白いっすね~」


 くそ~なんだこいつ。

 いつもそんな調子でからかってきやがって。

 いつものお返しだ!


「お前そんなこと言って本物見たことあんのかよ」

「え!?そ、それはもちろん?経験豊富ですから!」


 顔は真っ赤で視線は泳いでいる。

 こいつこんな顔でもかわいいのかよ。


「顔真っ赤だぞ」

「……っ」


 すっきりしたのでこの辺にしといてやった。

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