28 夏の番外編 3. 世界は勝手に動いてる
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生き霊を送り返すにはそれ相応の強い力が必要だろう。
わたしの普段の背中ぽんぽん程度では太刀打ちできない。そこでわたしは名案を思い付いた。
バットで殴ろう!(社長を)
そうしたら「殺したいなら相談にのる」と、恐ろしいことを言われてしまった。
若頭はなぜスーパーに出没するのか。
これで何回めだ?スーパーで遭遇したの。
いや、今は若頭のことはどうでもいい。
明日店に行ったらりんちゃんと相談してみよう。
ああ、勝手に問題解決してくれてたらいいのに。
せっかくの休日なのに心が休まらない。
翌日。
「・・・」
あれ?なんかスッキリしてる。
あの薄暗くてどよーん、じとーん、ジメジメーっとしたのが消えている。
と、いうか、店内の物質的部分が実際に一部消えている。
パソコンデスクがない。椅子もない。まて、パソコンそのものがない。パソコンデスクそばにあったカウンターもない。食器棚もなければミニキッチンも給湯器もIHコンロもない。なんにもない。
まさか・・・、倒産?!
借金のカタに全て持っていかれたのか?
遅かったか。
女の恨みはなんて恐ろしい!
「あ、みーちゃん先輩!おはようございます!」
りんちゃんが元気よく出勤してきた。
「うち、倒産したの!?借金のカタに取られたの?!」
りんちゃんがキョトンとした。
「どこが倒産したって?!」
社長、出勤。こんなに早く。やはり倒産?身辺整理の為に早く出勤?
仕方ない、少しくらいは慰めてあげよう。
「社長、元気出してください。社長は才能はあるんですからいくらでもやり直しができますよ」
りんちゃんが笑う。
「おはようございます!西島家具ですー!ご注文の家具類お持ちしましたー!」
「おう!こっちだ、運んでくれ!」
「家具?」
社長は運ばれてきた家具の置き場所を次々と指示し始めた。
「ソファとテーブルとベッドは二階だ。パソコンデスクはとりあえず隅っこに寄せといてくれ。新しいパソコンがきてから決める。」
「新しいパソコン?」
「みーちゃん先輩がお休みの間に七十先輩がケガしたんです」
「え?!大丈夫なの?」
「ケガはたいしたことなかったんですけど、七十先輩すごい怒っちゃって」
"パソコンを使おうとしたらあの女があたしを突き飛ばしたんだよ!
あの女が使ってたものは全部捨てちまいな!!"
「・・って、すごい剣幕でした。社長もたじたじになってオロオロしちゃって、子供みたいで可愛かったですよ。で、すぐに業者を呼んで、全部処分してもらったんです。社長が全部燃やしちまえって。物がなくなったらなんだかスッキリして。あのひと、もしかして社長じゃなくて物に執着してたんですかね」
「・・、じゃあ、わたし達ももう話題にするのはよそう」
「そうですね。わざわざ呼び寄せるようなものですもんね」
問題は解決した。
世界は動いている。
わたしがなんとかしなくても、勝手になんとかなってたりする。
悩んだ時間を返せと言いたいが、とりあえずよかった。




