番外編 お遊戯会 2
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日曜の昼下がり。
貴之とみふゆが諸用で松田家へ出向くことになった。京司朗は仕事をしつつ子供達と留守番である。
用意された車に乗り込む前に、玄関先でみふゆが三つ子達に何やら言い含めている。
「みゆちゃん、いい子にしててね。お仕事中の人にお遊戯の練習をつきあわせちゃだめよ?」
「うん!みゆちゃんいい子にしてる!ひとりで練習する!」
美之は真っ白な格好で白いマントを広げて元気に返事をした。豆腐役の自前の衣装装着済みで歌って踊る気満々だ。
美之はとにかく自分の歌と踊りを誰かに見てほしいため、屋敷の常駐組の誰かをつかまえたり、仕事中の使用人や庭師をおかまいなしにつかまえる。
つかまったが最後、正座させられ、美之の豆腐役の練習が終わるまで観客としてつきあわされることになるのだった。
「あっくんも木登りは自分で下りられるとこまでよ?わかった?」
「うん!わかった!」
朗は美之に負けじと元気に返事をした。
朗は木登りが好きだ。
好きすぎて上へ上へと登って下りられなくなることが多発していた。
泣きながら助けを求める朗を救出するのは父・京司朗や、屈強な常駐組の男達だった。
「司、寝るときはせめてお家のなかで寝てね」
「うん」
司は静かに返事をした。
司は庭のあちらこちらで心地良い場所をみつけては寝てしまう。犬小屋で寝ている時もあった。
三人三様の行動は子供らしいと言えば子供らしいが、母親からしてみれば気苦労が絶えない。なんだか心配だ。
「みゆちゃん、おじいちゃまのお部屋の前で練習する!」
「お部屋の中には入らないでね、みゆちゃん」
「うん、はいらない。ご先祖様にみてもらう!」
仏間の前で練習するらしい。
そうして貴之とみふゆを乗せた車が門から出ると、三つ子達はおのおのその場から離れた。
美之は貴之の私室のほうへ。
朗は木々が立ち並ぶほうへ。
司はてくてくと、ここではないどこかへ向かった。




