番外編 美之の黒歴史3
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どうやらウンチがくっさいと美之に友達認定されるらしい。
八人は次々と滝沢に倣い、美之からの友達認定を勝ち取った。
「やったあー!みんなみゆちゃんのくっさいウンチともだちだー!!」
喜ぶ美之はかわいかった。
アメリカ人のアニメオタク、ディーン・マークスには美之が一瞬アラレちゃんに見えた。
その時━━━━
「フッ、・・」
声を抑えて貴之が笑っていた。
貴之はドアの隙間から三つ子達の行動と会話を聞いていたのだ。
さらに母親のみふゆまでもが、ビデオカメラを片手にドアの隙間から三つ子達を撮影していた。
八人は気を取り直して質問を始めた。なんとかボスの私生活の話に持っていきたい。
ブラジル人のジョンが「お父さんのパンツ姿見たことある?」と訊いた。
司と朗なら一緒に風呂に入っているかもしれない。口を滑らせてくれないだろうか。朗あたりが。
ボスは果たしてボクサーかトランクスか、はたまたブリーフ、Tバックか。皆、興味津々である。
なのに答えたのは美之だった。
「おとーさんはフンドシだよ!かわいくないよ!」
と無邪気に言った。
八人は「褌!?」と声をあげた。
まさかの褌。
「Oh!FUNDOSHI!Japanese Culture!」
ボビーも食いついた。フンドシは知ってるようだ。
京司朗のフンドシとは、惣領家正月の伝統行事、祈願登山でフンドシ姿になった時のことだ。
「でもみゆちゃんのパンチュはかわいいパンチュだよ!」と自慢げに言った。
「あっくんはジャックマンのパンツだよ!神獣戦隊!ジャックマン!!」
朗がポーズを取ったが画面には映らない。三つ子のギュウギュウの顔しか映ってないのだ。
「おとーさんはしろいフンドシだよ!それからおやまにのぼったよ!なむにゃむしたんだよ!」
「山?」「なむにゃむ?」
八人はいよいよわけがわからない。
我々のボスは普段いったい何をしているのか。躰を鍛える一貫か。でも“なむにゃむ”ってなんなの?
そしてボビーはフンドシから始まった日本文化の素晴らしさと三つ子のかわいさを褒め称えている。
美之のおしゃべりは止まらない。
「それからね、みゆちゃんはおかあしゃんとドーナチュたべたんだよ!」
「ジャーック♪ジャックジャック♪ハイジャックー♪♪ちきゅーをまーもるハイジャックーー♪かみ(神)のつかいのケモノ(獣)となったーごにんのせんしだジャックマーーンーーー!!」
美之に負けまいと、朗はずっとジャックマンを歌っている。
「あっくん!うるさいよー!」
「ジャーックジャックジャック」
「あっくん!うるしゃいの!」
美之が朗を叩こうとして空振りした手が司を叩いて、司は頭を抑えた。
八人が「あ!」、ボビーが「oh no !!」と叫んだ。
朗が仕返しとばかりに美之を叩こうとして空振りに終わった手が、やはり司の頭に振り下ろされた。
とばっちりを受ける気の毒な司である。
エスカレートしそうな美之と朗に、
「Stop fighting!!」(ケンカはやめなさい!!)
と、画面から大きな声がした。
ボビーのひときわ大きな声に、美之と朗がびっくりして画面をみつめた。
ボビーの仲裁の声がのぞき見中の貴之にも聞こえていた。
貴之は「ほう?」と呟いた。
その後ろで━━━━
「━━━━おい。何をしてるんだ。父娘そろって」
京司朗が仁王立ちで貴之とみふゆの背に問いかけた。




