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美の基準

作者: 月森香苗

※ふわっとした世界観(現実世界とは異なる部分が多数あるという意)

※恋愛要素はうっすい方

 その女は、その国で暗黙の了解とされる美の基準とは全く異なる姿をしていた。

 女性であれば、小柄で華奢な体躯、金色の髪の毛、澄んだ青色の瞳が美しいとされている。しかし、女は背が高く、肉感的で、黒髪に赤の目が印象的であった。

 美の基準で言えば間違いなくその女は不美人とされていた。

 だが、女は己の外見がこの国基準で他よりも劣っていると理解するとそれ以外を磨く事に専念した。洗練された所作、詰め込まれ豊富な話題。外見とて放置していたわけではなく、豊かで波打つ黒髪を美しく保つために髪油は上等なものを求め、肌にしみ一つ残さぬよう化粧水だってこだわりぬいていた。それでも彼女は不美人だと言われ、両親からもどこかよそよそしく扱われていた。兄もまた妹に対してはどこか一線を引いていた。

 決定打となったのは母が亡くなりしばらくして父が再婚した事だろう。継母には前夫との間に娘がいたが、その前夫が亡くなり寄る辺が無いという事で父が救いの手を差し伸べ再婚したのだ。その最大の理由は、継母と娘が金色の髪の毛に澄んだ青色の目、そして華奢な体格をしていたからだ。

 この国でも最も美しいと評されるような外見をした二人を父は傍に置き、何れはその娘をさらなる高位貴族、もしかしたら王族にすら見初められるかもしれないと引き取ったのだ。

 女の家は侯爵家であったので、その夢とて叶わぬものではないだろう。女は不美人だと言われ続けたけれども侯爵家の令嬢である以上対応こそ素っ気無いものであったが金を使う事は咎められていなかった。

 しかし、再婚した継母とその娘は欲深く、女に使わせる金はもったいないと父に進言したことにより女が使える金は極めて少なくなった。

 女は博識で聡明であったので、この国で生きていく必要性をあまり感じていなかった。そもそも彼女の亡くなった母は彼女に対して冷たい対応をしていたが、母の血筋にこの黒髪と赤い目が出ることを女は知っていたし、祖先が女と全く同じ色彩を有していた。その故郷となるのはこの国ではない所で、その国では黒髪と赤い目というのは高貴な色であることを女は知っていた。

 父に対する愛情など最早存在しない女は見切りをつけていた。守られるだけしかしないこの国の女性の在り方が女にはどうにも受け付けられなかったというのが一番の理由である。


 運命の日というのは存外あっけないほど簡単にやってくるものだ。

 夏の王宮主催の夜会は同盟を結んでいる諸外国からの来賓を招いて開催される。今回は前々から周辺諸国の王族が来訪するという噂があった。婚姻適齢期で王太子ではない王子達が各国の美しい女性を求め舞踏会に参加しているという噂も同時に流れている。

 つまり、今年の夜会は他国の王族に見初められる可能性が高いという事で未婚で婚約者のいない令嬢やその親にとっては何が何でも参加したいものであった。

 女はどれだけ冷遇されようとも侯爵家の令嬢であり、その外見から婚約者もいない為、夜会への招待状が送られていた。流石に父は継母とその娘があれこれ言おうとも家名が関係している以上、女にドレスを仕立てるように指示した。

 この国ではプリンセスラインやベルラインで色は淡い色彩が好まれているが女には致命的なほど似合っていなかった。デザイナーと相談し、昨今他国で流行しているという物語でも描かれる人魚を連想させるようなマーメイドラインを深紅の生地で仕立てる事となった。

 完成したドレスを身に纏えば、豊かな胸元と引き締まったウエスト、そしてなだらかに美しいラインを描くヒップラインをより際立たせていた。

 お金をどれだけ絞られても決して買うのをやめなかったおかげで維持された艶やかな黒髪と、肌理細やかな肌は無駄な化粧など殆ど不要であると言えた。

 継母とその娘は女を見てふしだらだ、はしたないと失笑していたが、女はこの衣装は決して嘲られるものではないという確信を得ていた。ある程度情報を入手していれば今回の夜会にどの国の王族がやってくるのか分かるものだ。

 はっきりとは言わないまでも今回の夜会はある種のお見合いにも近いのでエスコート役は親族が務める必要があり、女のエスコートは母方の従兄に頼んだ。この男もどちらかというと国の美男の基準とは外れていて、上背があり筋肉質の暗い茶髪に赤に近い茶色の目をしていた。

 並び立って歩けば蔑まれるような視線を向けられるが、女も従兄も一向に気にしない。亡くなった母は金色の髪の毛に青い目をしていて、それこそ自分の家族はどこまでも不細工な中で自分は美しく生まれたという変な誇りがあったので、自分が産んだ娘が黒髪赤目であることを受け入れられていなかったが、何故一族自体がその色彩を持っていたのに蔑む事が出来たのか未だに女は理解出来ないままだった。

 継母は父が、義妹は兄がエスコートする中、家族で会場に入ると早々に女は従兄と共に家族から離れて壁に向かった。


「実に面倒だな」

「ええ、本当に。エスコートありがとうございます」

「気にするな。それにしても、お前の兄とあの女は結婚でもするのか?まるで恋人の様な距離感じゃないか」

「さあ?わたくしは全く興味ありませんわ」


 視線の先では美しいとされる兄と継母の連れ子がそれはもうべったりと寄り添い合っている。血の繋がりはないので好きにすればいいとは思うけれども、それにしても今回の夜会の趣旨を考えれば振る舞いを考える必要があると思っている。


「父はあの娘を王族の誰かにと思っているようですけれど……知識も教養もなく侯爵家としての振る舞いも身につかない女を王家に入れたいと思うものでしょうか。そもそも、侯爵家の血を一滴も引いていないのは貴族院がご存じだというのに」

「痛烈だな。まあ、この国の人間はそもそも他国を知らない者が多いからな。もしも知っているのなら、これほどまでに金色の髪に青い目の令嬢を集めやしないさ」

「本当に。ああ、でもわかっている所はちゃんと令嬢を連れてきてるわね。まあ、国王陛下や外交官であれば現実を知っているので本命はちゃんと用意しているという事かしら」

「その中の一人がお前という事もな」

「ふふ。国王陛下は聡明でいらっしゃいますから」


 貴族ともなれば派閥というのは存在し、父は現在己の派閥の者達と会話をしている。継母は茶会などで知り合った夫人たちと会話し、兄と義妹は彼らを美しいと思う者達に囲まれている状態である。

 壁にいるのは金髪青目ではない子息令嬢たちで、女は従兄と共にその者達へ挨拶をする為に足をすすめる。


「ヴィクトリア様、ごきげんよう」

「まあ。ローザリンデ様。ごきげんよう」


 燃えるような赤髪に神秘的な紫の目をしたヴィクトリアと呼んだ女性は同じ侯爵家の令嬢である。女―ローザリンデとは幼い頃からの友人で同じ不美人の扱いをされている。


「ヴィクトリア様のドレス、とても素敵ね。マカッサス王国で流行していると言われている型ではなくって?」

「ええ、そうよ。刺繍もマカッサス王国の伝統模様を入れてもらっているの」

「こちらでは目にする事もない意匠だけれどヴィクトリア様によく似合っているわ」

「ありがとう。ローザリンデ様もとても素敵だわ。そのドレスは……フォリタニア帝国かしら?」

「わかって下さる?デザイナーから教えていただいたの」


 女性同士が会話している間、エスコート役の男性である従兄とヴィクトリアの傍にいた男性、後に紹介してもらったところ彼女の兄であるが、が談笑している。

 そうしている間に王族達も揃ったところでそれぞれ爵位に応じて挨拶に向かう。この時ばかりはローザリンデも逃げることは出来ないので父を視線で探して従兄と共に向かう。同じ爵位でも格が存在し、ヴィクトリアの家の方が僅かに低いので彼女とはここで別れることになる。

 父と継母、兄と義妹、ローザリンデと従兄が並ぶ。血の順で言えば本来兄がエスコートすべきなのはローザリンデなのだが、その常識は継母と義妹には通じない。高位貴族の何たるかを把握していない証拠だ。そしてそれを許した父と兄も同様であるとローザリンデは恥は彼らが掻いてしまえばいいとすら思っている。


 順番が来て父が挨拶をし、次期当主である兄が挨拶をしたところで普段であれば去っていくのだが、今回はそうはならなかった。


「ローザリンデ嬢。顔を上げよ」

「はい」

「ふむ。お主、分かっておるな?」

「委細承知しております」

「ならばよい。話はそれだけだ」


 突如名を呼ばれて少しばかり動揺したものの、国王自ら声をかけられ告げられたのは予想通りのことでローザリンデは美しく一礼する。頭の先から足の先まで徹底的に叩き込んだマナーは他人から見ても美しいと思えるものだ。ただ、色彩がこの国と合わないだけで。

 場を離れたところで父から声を掛けられる。


「ローザリンデ、先ほどの陛下の言葉の意味の何をわかっているというのか」

「後になればわかりますわ。それよりも、あちらで公爵閣下が視線を向けていらっしゃいますわ。よろしいのですか?」

「……兎に角、お前は何もするな。いいな」

「畏まりました」


 いつの間にか愚物になり果てた父にはきっと一生分からない事だろう。公爵に挨拶に向かった父を他所目に、継母と兄、義妹からは実に蔑むような視線を向けられる。特に兄からは酷く冷たい視線を、だ。


「貴様は壁にいればいい。大人しくしていろ」

「そうですわ。お兄様、あちらに行きましょう。お母様も」

「ええそうね」


 人目があるからあまり言葉はなかったが、彼らも実に愚かだとローザリンデは呆れかえる。国王自ら告げた意味合いを全く理解している者がいないというのは何と情けない事か。


「本当に馬鹿だな、あいつらは」

「いいのよ。そもそも今回の舞踏会のメインは彼らではないのだから」


 開いた扇で口元を隠しながら笑うローザリンデを従兄は目を細め見下ろす。その目には愉快という感情がありありと浮かんでいた。


「この国は閉鎖的すぎた。いい加減に現実を知る時間だろう」




 貴族たちの挨拶も終わり、国王陛下の夜会開始の挨拶が始まると優雅な曲が流れ始める。ホールの中心で踊るのは国王陛下と王妃殿下。この王妃は東方から輿入れした由緒正しき高貴な姫君ではあるが、緑がかった黒髪と黒目で実に不美人だと蔑まれていた。だが国王はその王妃を誰よりも愛している為、声高に非難することは出来ない。

 嫁いで早々王妃はあまりの色彩差別に心を病んだそうだが、国王の献身的な愛情で何とか立ち直れたという事を知っている者はきっと少ないのではないだろうか。

 国王と王妃のダンスが終わると次に中央に向かったのは王太子とその婚約者、第二王子と第一王女である。王子王女は国王と王妃の実子でここにいる中では国王と王妃の次に貴い身分である。

 国王には二人の側室がいてそれぞれの間に王女が一人ずついるのだがこういった場合に彼女たちが出ることは許されていない。当然ながら同じ国王の子供であっても王妃が持つ権限というのは側室よりもはるかに高く、その子供たちにも適用されている。

 王太子たちのダンスが終わったところで漸く他の貴族たちが踊る事が出来るようになるのだが、ローザリンデは従兄と共に壁の花になっている。それは父に言われたからではない。

 会話やダンスを楽しみ始める中で、金髪青目ではない令嬢たちは大人しく壁際に立っている。


 少しして、ローザリンデの元に一人の男がやってくる。黒髪に赤い目が特徴的な、長身で肉厚な体格をした男だ。その色彩と、服に付けられている装飾品の一つを確認したローザリンデは速やかに礼をする。従兄はローザリンデの礼を見て直ぐに判断し同じように礼をする。

 男のしっとりと低い声がローザリンデに向けられている。


「真に美しい花は壁に咲き誇っていると王は言っていたが正しかったな。顔を上げることを許す。名を伺いたい」

「帝国が若き獅子にご挨拶申し上げます。わたくしはオレンハウアー侯爵家のローザリンデと申します」

「俺の国が分かるのか」

「ええ。御身の黒き髪に赤き目は帝国皇族特有の色にございます。そして御召し物に付けられておりますそちらの銀の台座にルビーの装飾品は、皇太子殿下がお生まれになられる際に先代皇帝陛下が大陸中よりルビーを集めて誂えた唯一の品であると愚考いたします」

「間違っていないな。名乗りが遅れた。フォリタニア帝国皇太子、アドニス=カブローリ=フォリタニアだ」

「御名をお伺いする機会を与えてくださいまして感謝申し上げます」

「畏まらないでくれ。さて、そこにいる男を紹介してもらってもいいだろうか、オレンハウアー嬢」

「はい。わたくしの母方の従兄でガリンド侯爵家の嫡男アルフレードにございます」

「ガリンド侯爵家……なるほど、数代前の皇妹の降嫁先か」

「その通りにございます。その為、わたくしも従兄もこの色彩を有しております」

「ガリンド殿、顔を上げてよい」

「帝国が若き獅子に感謝申し上げます」


 ローザリンデに話しかけてきたのは、この夜会において多くの令嬢たちが婚姻を結びたいと思っている他国の王族の一人。その中でも最も力強く国力のあるとされるフォリタニア帝国の皇太子。

 他にもちらりと視線を向ければ壁際でおとなしくしていた「金の髪の毛に青の瞳ではない」令嬢の元にこの国とは異なる雰囲気の男性方が近寄っては話しかけている。それに対して過敏に反応しているのは、自分たちが選ばれると信じていた「この国基準」の美女たちである。だが、そんな彼女たちに声をかける他国の男性は一人としていない。

 ローザリンデの友人であるヴィクトリアの元にはマカッサス王国の王族が近付いて積極的に話しかけているようだ。


「この国の王は中々に豪胆な性格をしているな」

「ええ。国王陛下は王妃殿下をこよなく愛しておりますが故……お忘れにならないのです」


 国王は異国から嫁いできた王妃を愛してやまない。だが、この国が掲げる美人の基準にそぐわないというだけで精神的に攻撃し傷つけ負担をかけた者達を許していない。あの国王は豪胆だが粘着質で執念深く心が狭いところがあるのだ。

 家の者は知らないが、ローザリンデはいくつかの家を経由して王妃を紹介された。黒の髪が故郷を思わせ懐かしいのだとおっとりと話す王妃に、心の慰めになればと交流を重ねてきた。直接だとどうしても家の者がうるさく関与しようとする上、オレンハウアー侯爵家は金髪青目至上主義で既に亡くなったローザリンデの母がこれ以上ないほど王妃を攻撃していたので国王が一計を講じたのだ。不敬で処罰しようとしたが、何せローザリンデの母の血筋は他国の皇族の流れを汲んでいるので下手に当時は動けなかった。

 ローザリンデに罪はないとローザリンデを許した国王だが、オレンハウアーを許すと言っていないあたりが中々に心の狭さを見せていると思っている。


「ところで、オレンハウアー嬢はこの夜会の趣旨を理解しているのか?」

「ええ。ですので、わたくしのエスコートは婚約者のいるアルフレードお兄様に任せましたの」

「このドレスは帝国でも最近よく見かける最新のスタイルだな」

「デザイナーと共に決めましたのよ」


 帝国の情報を得ること、その手段を持つこと。時折紛れ込まされる帝国語での会話で語学力の確認。会話の端々で見定められている事が分かるだけに気が抜けない。


「オレンハウアー嬢の好む花は何か?」

「そうですね……グロリオサを二本でございましょうか」


 アドニスは笑みを深める。フォリタニア帝国の国章に描かれているのは皇帝を象徴する「大鷲と一本のラナンキュラス」である。そして皇太子章として使われるのは「若き獅子と二本のグロリオサ」である。皇太子はただの皇子よりも力はあるが皇帝ほどの権力はない為、独立した紋章を使用するようになっている。

 これを知ることが出来るのは皇太子に関わりがある者か、その者から話を聞く事が出来る立場の者である。ローザリンデは王妃からこの話を聞かされており覚えていた。

 知らなければ己の好きな花を告げるだろう。だが、ここで大事なのは「皇太子に選ばれるために、帝国のことをどこまで知っているのか、価値を示す事」であるので、皇太子章に描かれている花を出すのが正解だと判断した。

 それは正解だったようで、アドニスはローザリンデに手を差し出す。


「ダンスを踊っていただけないだろうか」

「ええ、是非」


 至る所から、他国の王族達に手を引かれて壁の花になっていた女性がホールに足を踏み入れる。格の違いから、それまで踊っていた女性達は隅に追いやられ、中央には「金髪でも青い目でもない、この国基準では美人ではない」女性が集まってきた。


「はは、愉快だな。誰も彼も、自分が選ばれないのは信じられないという目だ」

「この国しか知らぬ者達ばかりですから」


 初めて会ったばかりなので踊るのは一度だけ。

 どこからか強い視線を感じてそちらに意識を向けてみれば、継母とその娘が酷くこちらを睨んでいる。兄も何とも言えないような苦々しい表情。そして父はほんの少しだけ顔色が悪くなっている。漸く思い出したのだろうか。前妻の一族に帝国の皇女の血が流れていた事を。


「帝国のことをよく学んでいるようだな」

「勿論でございますわ。今宵の縁がなくとも何れは帝国に赴こうと思っておりましたので」

「それは貴族籍を抜けてか?」

「ええ。帝国でしたらわたくしのこの外見でも受け入れてくれますでしょう?」

「それどころか、ここまで純粋な黒い髪に赤い目であれば間違いなく高位貴族に引き取られて皇族に差し出されていたな」

「まあ……そこまで?」

「ああ。君は知っていたのだろう?」


 知っていた。ローザリンデは出奔するつもりで帝国についてとことん調べ上げていた。言葉も風習も所作も何もかも、この国の者以上に身に付けている。この国の貴族籍を抜いたとしても生きて行けるように。


「この夜会が終わり次第、婚約の契約を結ぼう。ともなれば、君は一度王家の養女になった方がいい。生家を切り離した方がいいと思うが」

「まあ、そんなに直ぐに行動してくださいますの?」

「ああいう厄介な視線を向けてくる者がいる家というのは碌な行動をしない」

「よくお判りになりますことで」


 くすくすと笑うローザリンデはアドニスに手を引かれ再び壁際に立つ。そこに足取り勇ましく、父と兄、継母とその娘がやってくる。兄の表情は怒りに満ちていて何とも醜悪だ。父の顔色は悪い。ローザリンデの隣に立つアドニスを無視して怒りを向けてくる姿にオレンハウアー侯爵家の未来が垣間見えるというものだ。


「ローザリンデ!大人しくしていろと言っただろう」

「お兄様、恥をさらすのはおやめください」

「恥をさらしているのはお前だろう!そもそもこの男は誰だ!」


 ローザリンデを責め立てようとする声。アドニスが身に着ける意匠を何一つとして汲み取れないのは致命的だ。紹介されなくても一つ一つ洗練されている事に気付けば警戒するだろうに。出来ないから義妹を恋人のように連れまわす事が出来ているのだろう。


「……お父様。我が家を残したいならば速やかにお兄様をお下げください」

「あ、ああ。テオバルト、直ぐに別の場所に行きなさい」

「父上、何故!」


 悲鳴を上げる兄に父は顔色を悪くしたまま退席を命じる。父は現在どれだけ必死に情報を記憶から引き出している事だろう。ガリンド侯爵家に数代前降嫁したフォリタニア帝国の皇妹。その血筋は尊く誇り高い。ローザリンデの母は愚かな女であったのでこの国の美しさに囚われていたが、彼女以外の誰もが帝国の尊い血を斬り捨てていない。捨てられたのはローザリンデの母だった。

 兄を退けようとした父を絶望させるかのように、継母とその娘がアドニスを見て色めき立ち、礼儀も何もかもを捨てていきなり話しかけてきた。


「まあ、とても素敵なお顔立ちですわね!お姉様と同じ黒髪に赤い目でいらっしゃるようですけれども……」

「まさかとは思いますが、その娘を気に入ったというわけではございませんよね?ここにいるわたくしの娘は金の髪に青い目を持っておりますの。この娘の方がお隣に相応しいかと」

「マリアネア!ヒルデガルド!直ぐにここから去りなさい!」

「あ、貴方?」

「お父様?」

「て……帝国の若き獅子に、無礼を深くお詫び申し上げます」


 国で生まれて育った侯爵である父は流石に帝国のことを少しはわかっているようだ。きっと母の実親でありローザリンデにとっては祖父母から深く言い含められていたのだろう。

 帝国にとって「黒髪に赤い目」は「最も高貴なる色。それ以上の色はない」という事を。帝国でなければ先ほどの二人の様に否定する言葉が出たとしても救いはあったが、こと、この帝国に関しては絶対に許されない事である。


「お家存続を望むのであれば、速やかに対処したほうが宜しくてよ、お父様。わたくし、殿下に婚約を申し込まれましたの。この後契約を致しますのでお父様も同席なさってくださいね」

「……わかった」

「オレンハウアー侯爵。ローザリンデの顔を立てて此度のことは目こぼしするが、一度だけだ。二度目があった場合、速やかに行動に移す」

「畏まりました……」


 揃いの色が並び立つ姿は圧巻の一言である。下がらせた兄と継母とその娘を罪に問う事は簡単だ。だがその手間すら面倒なので放置することにした。

 深紅の薔薇の如き美しさを兼ね備えたローザリンデの横に立ち腰に手を添えるアドニスは若いながら貫禄がある。

 いつもであれば金に溢れているダンスホールからその色は殆ど排除されている。色彩が溢れ、異国を思わせるドレスが花開くように優美な線を描いていた。


 至る所でこの国基準の美人とされる女性が、どうして、なんでと嫉妬と憎悪に満ちた目で見つめる中、ある場所からとんでもない発言が大声と共に発せられた。


「この国は不美人ばかりだ!とは言えども美人も混じっているが!金の髪と青の目に痩せ細った体の女なぞ誰が連れ帰るか!我が国を虚仮にしているのか!?」


 視線を向ければ腕の中に白に極めて近い真っ直ぐな髪をした令嬢を抱き寄せている男がいた。恰好を見る限り、北の大国の王族のようだ。あの国は冬の女神を信仰しており、銀色の髪の乙女こそ最高であるとされている。それに対して金色の髪に青い目の女は――破滅を象徴する災いの女神の色として忌避している。

 令嬢に文句をつけて北の王子にでもすり寄ったのだろうか。それは何とも命知らずだ。あの国では災いの女神の色を嫌悪している。この国に来たのは、まさにその腕の中にいる令嬢を連れ帰る為だけなのだろう。彼女の両親と思われる男女が心配そうに見つめている。確か、母親もまた同じく銀の髪をした美しい人だった。


「我が国で最も忌避される色をしている貴様の無礼な態度は許されぬ!王家に連なる私に対する無礼、その命でもって贖ってもらうぞ!」


 実によく通る声だ。音楽が止まりダンスも止まる中、激高したその男に、銀の乙女は恐る恐る何かしらの声をかけているようだ。それで漸く落ち着いたのか、男は怒りをどうにか収めた。それでもやはり不満はあるようで。


「この国の美の基準がどうでもよい。だが、他国も同じだと思うな。我が国では白銀の髪と若草の目は冬の女神の色で最も尊敬されるべき色だ。お前如きが貶していい色ではない。他の国とてそうだ。帝国ならば黒髪に赤の目、マカッサスでは赤髪に紫の目。それぞれ高貴だと思う色がある。それを貶す者のどこが美しいものか」


 吐き捨てるような言葉。北の大国も、帝国も、マカッサス王国も国力で言えばこの国をはるかに上回る。その国の怒りを買っていればこの国は終わってしまう。


「北の王子よ、その怒りはよく分かる。我が妃も随分と蔑まれたものだ。東方で一番と賛美され余も我が妃を美しいと思っておるのだが、如何せんこの国の美への固定観念は覆らぬ。故に、最も大事にしてくれるであろう王子達に声を掛けさせてもらった。皆の者、よく聞け。美の基準というのは国によって異なる。そも、どれだけその色を持とうとも性根が腐りきっている者を美しいと言えるのか。好ましいと思われる色というのは確かにある。だが、それを他者が持たないからと言って蔑んでいい理由にはならぬ。特に最近の若い者ほどその傾向は悪化している。今一度考えよ」


 しんと静まり返る会場内。

 ローザリンデはなるべくしてなったと思う。一度は大きく傷をつけるべきだと思う。国王陛下は己の妃が軽んじられ続けた。彼の愛は真摯に王妃に捧げられていたけれども、周囲はそれを一切許そうとしなかった。側室だって娶りたくないと避けていたのに、国内の均衡がなどと言い連ね、王妃に散々と側室を取るよう言い立て、疲れ果てた二人がこれ以上の声を聞きたくないと受け入れたのは、近い存在であれば知っていること。

 国王はいずれ側室と離縁し実家に帰す。側室との間に愛はほんの僅かにすらない。当然であろう。嫌がりながら受け入れた側室なのだ。離縁する為に政治に一切関わらないようにさせ、王家の表面部分にしか触れさせなかった。人によってはなんて薄情なのだと非難するかもしれないが、側室になったからとより一層王妃を攻撃するような女を国王が寵愛するなどありえないのだ。子供を作ったのだって媚薬を飲んでどうにか熟せただけで、回数としては少ない。生まれたのが王子であれば命があったかどうかすら怪しい所だ。王女だから生かしていただけで、後継者争いに割り込むような存在を国王が許すとは思えない。

 その王女たちには王族としての教育を施しているし、生活だって何不自由のないものが与えられている。ただ、王女たちは母である側室たちから引き離されて育てられた。王子を産めなかった側室たちがどんな加害を与えるか分からなかった事と、彼女たちの持つ歪んだ美の基準を押し付けられて洗脳される要素を排除したかったからだ。

 国王からすれば側室の王女は遠くの王族に嫁がせるつもりであったが、娘である事に違いはなく、王妃との間に生まれた王子や王女程の愛情は注げなくとも彼女たちの幸福を願う程度には愛情はあった。故に、最高の教師を取りそろえ、侍女も惜しみない愛情を注ぐような者を選んでいた。王女たちは何時か気付く事になるだろう。父王は王妃の子のような愛情を与えてくれなくとも、確かに守ってくれていたのだと。


 国内で不美人とされていた令嬢達は気付けばいずれも他国の王族が隣に立っていた。誰もが気付かざるを得なかった。求められていたのは彼女たちで、自分たちは彼女たちを際立たせる為の存在でしかなかったという事に。

 似たり寄ったりの金色の髪に青の目。ドレスだって似たようなものばかり。その中にいて異なる色というのはどれだけ際立ったことだろう。


「国王陛下、手紙をもらった時は然程期待はしていなかった。だが、これほどまでに美しい女性が婚約者もなく無垢でいたことを帝国は嬉しく思うぞ」

「皇太子殿下にそう言っていただけるならば嬉しいものだ」

「彼女は我が国に連れ帰る。良いな」

「ああ。我が国の美しい花達を枯らすことなく美しく咲かせてくだされ」



 この夜、他国の王族に見初められた令嬢は十名。何れも夜会に出れば壁の花になり嘲笑されてきたような令嬢ばかり。だが、一夜にして彼女たちは皇太子や王子などの尊い身分の方に見初められ国を出ることになった。

 今はまだ根強い美の基準が蔓延っているが、少しずつ変化は起きている。それまで色だけで見向きもされなかった子息や令嬢達を選ぶ者達が増え始めたのだ。色合いがこの国の美の基準に合ってなかっただけで顔立ちを見れば整った者は多く、更に色で差別されていた所為で内面を磨き、持ち得る才能を磨こうと努力してきた彼らは想像以上に優秀な者が多かった。色だけにこだわる者よりも遥かに魅力にあふれているという事が少しずつ知られるようになっていった。そのきっかけは他国に赴いた者達。自分たちの国がどこまで閉鎖的であったかを知った者達だ。

 そうして少しずつ、少しずつ意識が改められて漸く煮凝りのようであった思考が廃れてきたのは、王太子が国王に即位した頃。

 ある程度の美しいと思うような基準はあってもいい。だが、固定したその色彩以外を認めようとしないのはおかしい話である。また、人が美しいと思う者はその人の感性によるものである。好ましいと思うかどうかは個人に委ねられるもので強制されるものではない、と国王になったかつての王太子は隣に新緑を思わせる髪色の王妃と並んでそう言った。彼もまた、父王と同じように婚約者であった彼女を散々に貶されてきた人間であった。


 他国では様々な美しさの基準がある。

 帝国は確かに黒髪に赤の目を尊ぶが、だからと言ってその色彩だけを優遇するわけではない。

 ローザリンデの色合いは確かに絶賛されたが、それ以上に彼女がこれまで培ってきた知識等は何物にも代えがたい優れたものとして直ぐに知られるようになった。知と美を兼ね備える皇太子妃として、他国出身の令嬢でありながら着実に地盤を固めていったローザリンデ。

 血筋としては帝国皇妹の血が流れていて確かなものだ。

 最初の頃こそ有望株というにはあまりにも優秀すぎる皇太子アドニスの妃の座を狙う令嬢達やその家族に、それこそ命を狙われることもあった。だが、ローザリンデは決して泣き寝入りすることは無かった。

 嘲笑う令嬢がいれば着実に潰し、殺そうとする者に対しては報復を行う。同時に許しを乞う者には寛大な心を見せていく様をアドニスは笑って見守っていた。


 ローザリンデの生家は現在凋落の一途を辿っている。美しさについてを改めて考えた時にそれまで隠れていた人が見いだされたのとは逆に、ただ外見だけにしか拘っていなかったが故に何の才能もない者達が次から次へと転落していった。

 オレンハウアー侯爵が後妻として娶った女は元々外見だけで前夫に見初められた下位貴族出身の令嬢であり、礼儀作法は何もかもが至っていない。その連れ子の娘も侯爵家の血を一切持たない、母に教わっただけしか学んでいない所作にがさつさが見える。色合いを取っ払って見てみれば、侯爵家の令嬢として認められないほどの酷い有様。

 嫡男も突出した才能も何もない、色合いだけで生きてきたような男だ。何かしらの才能を磨いているならまだしも、勉学に励むローザリンデを貶めることだけを楽しんでいたような男を選ぶ女などいない。

 帝国の皇太子妃となるローザリンデの生家として何かしらの恩寵を与えられてしかるべきなのだが、アドニスと母国の国王によりローザリンデは王家の養女となり、生家とは完全に絶縁している。その為、賞賛は一切ない。

 せめて連れ子の娘を良いところの家に嫁がせられるのであれば良かった。だが、外見に対する偏見を取り除こうとしている動きが始まっている中で彼女の色は持て囃されるものではなくなった。高位貴族の令嬢らしからぬ不作法は目に余るものがある。何よりも、夜会に行けば義兄と恋人のような親密さを醸し出していた彼女の純潔を疑う者が多すぎた。

 オレンハウアー侯爵は義娘が婚姻による駒になると考えて後妻と再婚したのに、その義娘が嫡男との関係を疑われた所為でどこにも出せなくなった。

 ただでさえ才能がないと言われて断られている上、義妹を愛人にするつもりなのか、など言われてしまって結婚相手が見つからない嫡男。どうしても血を繋ぎたいのであれば、もはやこの二人を結婚させ子供を産ませるしかないとオレンハウアー侯爵は気付いてしまった。

 もしも、前妻の実家の言葉をオレンハウアー侯爵が覚えていて、ローザリンデの色を疎むのではなく帝国の高位貴族に嫁がせるなどの選択肢を有していれば、オレンハウアー侯爵家の衰退は無かったのかもしれないと彼は振り返るたびに思う。

 しかし過去を変える事は出来ない。

 前妻が王妃を散々に甚振った所為で王家からオレンハウアー侯爵家は毛嫌いされている。ローザリンデがいたから許されていただけで、彼女がいないオレンハウアー侯爵家が潰れようとも王家には何の損失もない。それどころか、オレンハウアー侯爵家が没落した場合は直ぐに有能な者を配置させ、領地を栄えさせるだろう。

 生まれた時から貴族であったオレンハウアー侯爵は平民になどなれない。ただひたすら爵位を失わないようにしがみ付く事しか今の彼には出来ない。

 唯一の救いは、ローザリンデ自身が確かに蔑ろにされたけれども必要なお金は与えられていたし、暴力も何もなかったのでオレンハウアー侯爵にだけは援助をしていた事だろうか。兄は見捨てていたし、後妻やその娘はどうでもいい。

 父とオレンハウアー侯爵家に仕える使用人、領民たちが困らないようにと帝国からガリンド侯爵家を経由してささやかな援助を続けている。それも父である侯爵が生存している間だけだ。父が死なないようにはするが、兄がどうなろうともローザリンデにはどうでもいい話である。




「アドニス様。わたくし、帝国に来て本当に良かったと思っておりますのよ」


 ある日の午後のひと時。政務の合間に設けられる皇太子と皇太子妃の休息時間。どちらも重要な政務を取り扱っている為

同じ部屋で過ごす時間は少なくなる。故にこうして交流する場を設けられている。

 ローザリンデは最近貴族夫人の間で流行している紅茶を口に含む。花の香りがほのかに漂い、味わいもすっきりとして飲みやすいものだ。


「理由を聞いてもいいか?」

「息がしやすいんですの」


 母国では散々蔑ろにされた。虐待をされたわけではないけれど、金色の髪に青い目、華奢な体をしていなかったというだけで貶められた。才能も何もない、実力も何もない、努力もせずただ生まれながらにその色合いを持っているだけで優れた者のように振舞っていた継母の連れ子。アレをローザリンデは一度として妹として思ったことは無い。

 定期的に報告させている生家の状況は芳しくない。王家に睨まれ、嫡男は良家の令嬢との婚姻が難しく、連れ子はどこにも嫁に出せないような有様。残された道は血が繋がっていないが故に嫡男と連れ子を結婚させることだけ。そして先日二人は結婚したようだ。だが、無能な嫡男も色だけしかなかった連れ子も社交に出すわけにはいかず、侯爵が選んだのは領地に留めること。

 速やかに子供を産み、その子供はきちんとした教育を受けさせるという事を侯爵は選んだ。まだ働き盛りの侯爵なので、孫の教育を間違わなければ嫡男を飛ばしてその孫に爵位を譲る事になるだろう。

 ローザリンデの色合いは確かに尊いものと憧れの眼差しを向けられるが、その色だけが特別のような扱いをしない帝国は楽だ。ずっと培ってきた実力を認められ、更に才能を伸ばす為の援助をしてくれるアドニスを支えたいと思うようになるのは直ぐだった。


「アドニス様と出会えて本当に良かったと思っていますわ」

「それは何よりだ。俺も君と出会えてよかったよ、美しく聡明で慈悲深いローザリンデ」


 くすくすと笑い合いながら二人掛けの長椅子に並んだアドニスとローザリンデは寄り添い合う。

 この二人はきちんとお互いに愛情を持ち合っている。元々政略による結婚ではなく、アドニスがローザリンデを気に入ったから連れて帰ったのである。好意がある状態なので、思い合うのはあっという間だった。


 美しさというのは一つに固執すべきではない。好ましいと思う基準は人によって異なる。なのに、一つの基準だけしか認められないのは最早洗脳である。

 ローザリンデは願う。少しでも早く母国がその洗脳から解き放たれ、多くの押さえつけられていた令嬢達が美しい花を咲かせますように、と。

■ふわっとしたネタ

金髪・青目・華奢な体。何故これが美の基準とされたのか。

数代前の当時王太子が下位貴族出身の令嬢をどうしても娶りたかったので、この色彩を基準とさせた。周りの王太子と歳の近い子息達が賛同して広めたから。

そう、乙女ゲームの世界で「ヒロイン」がその色合いだったから。なお、当時は判明しなかったが、その令嬢は手作りのクッキーを多くの男性に差し入れしていた。そのクッキーには「好きになってくれる不思議な薬★」が入っていた。それを食べると多幸感に満ち、その令嬢を見るだけでドキドキしてしまうようになった。

君の作ったそのクッキーをもっと食べさせて欲しい。というのが愛の言葉。

その「好きになってくれる不思議な薬★」って、何なのでしょうね。当時は露呈しなかったけれども、今ならすぐにわかる位には技術や医療やらが発展しているよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 鎖国中の日本みたいな環境でもない限りこんな極端な状態にならない気がするけどどうなんだろ
[一言] ルッキズムだっけ? デザインする訳でなし、遺伝子の組み合わせのような当人にはどうしようもないことで、貶めるなんてお里が知れるとは考えないのね みんながみんな判を捺したような容姿に衣装だと差が…
[良い点] 面白かったです。 ただ他国基準の美を持っていたことだけでなく、他と違う色を持ったことをいじけることなく、その色を活かすための努力を怠らなかった努力が認められてのお輿入れというところが良かっ…
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