#1 改革の雨
人類は他人を傷つけようと、それを誰かのせいに仕立て上げる。傷つけ合い、助け合い、そしてまた傷つける。戦争はその代名詞だ。
敵だから、先に攻撃したから、危険人物がいるから、思想が違うから。そうやって言い訳をし続ける。
17年前。北太平洋で発見された紫と緑の2対が合わさってできた古代の遺物にして永久機関『ヴァルハラモーメント』。
全長5mほど、それぞれの色のクリスタルの中心に3つの歯車が回転し、各クリスタルから際限なく利用できる万能エネルギー『バビロン粒子』が放出され続けている。
つまり、ヴァルハラモーメントさえあれば原子力の代用にもなり、国全体、はたまた地球全体のエネルギー問題を解決できる。
しかし、人間とは愚かな生き物である、とは誰が言ったものか。
ヴァルハラモーメントを巡って戦争が勃発。
後にヴァルハラ戦争と呼ばれた戦いは、紫は北半球を占める巨大国家オーディス合衆国が回収、緑は過去火星に生活圏を移したバルド国が強奪するという形で所有している。
オーディス合衆国61代大統領、サルバ・リーゲルは強奪されたヴァルハラモーメントを危惧し、バルド国と友好条約を結ぶことにより戦争は終結。サルバはこれ以上争いを起こさないことを宣言し、紫のヴァルハラモーメントは地球のために利用するとした。
しかし、戦争中に開発された、ゼロフレームと呼ばれる人型戦闘兵器の開発に使用されていると噂が流れ、サルバ政権は困窮し始める。
* * *
聖歴3000年。
高テクノロジーを得た人類に、17年前の大規模戦争の面影を思わせるものは無いかのように、地球の街は自然に作り上げられていた。
高くそびえ立つマンション群、空を飛び回る車。その全ては戦争以前のものと変わりはない。
日の光が頂上へ向かう頃。高等学校の校舎内も暖かく、眠気を誘う静かな講義がされていた。
大画面ディスプレイに映し出される映像には、例の戦争中に撮られた映像が流されている。
「ちょうど君たちが生まれた頃ね。このヴァルハラ戦争はヴァルハラモーメントを追及して起こった戦争で、私たちの国、オーディスが開発したゼロフレームによって戦争は地球全域に拡大したわ。それに……」
まだ就任したばかりとも見て取れる女性教師は最前列で居眠りしている黒髪の男子生徒の頭をパンッ!と叩く。
驚いた彼は「うえっ!?」と情けない声を上げながら飛び起きる。
整った顔立ちで明らかな美少年だが、それを無駄にするかのように寝癖が立っている。
「サツキくん。たしかにもう終わった話だし、興味がないのは分かる。……けど!」
サツキ・カミシロ。西暦が終わりを告げた日からかなりの時が過ぎているのにも関わらず、旧ニッポン国の姓を持つ者は珍しい。旧ニッポン国の名前はちらほら見かけるが、ほぼオシャレ程度といったところだ。
姓名ともに旧ニッポン国を受け継いでいる人は地球上で、ほんの一握りしかいないだろう。
そんなサツキはその迫力に少し竦む。普段本ばかり読んでる大人しい性格ということもあり、怒られることに慣れていないのだ。
「す、すいませんでした。……気をつけます」
先生は反省するサツキを見ると少し申し訳なさそうに笑顔で頷き、授業を再開する。
「続けますね。ゼロフレームと呼ばれるこの人型戦闘兵器のうち……まあ、言っちゃえばロボットね。Xフレームと呼ばれるこの白い機体はその圧倒的な戦力で、他の国がゼロフレームに影響されて開発した、量産型のZフレームを圧倒してきました。このXフレームはその白く美しい騎士みたいな見た目から、パラディンと呼ばれていて、この戦争を拡大させた元凶とも言われています。要するに……」
淡々と授業が進んでいく。こうも何も変わりがない毎日が続くと、何か劇的なイベントが起きて欲しいと願ってしまうものである。
いきなり不審者が学校に入っているとか、好きな子に告白されるとか、アニメの世界に転生するとか。
あげればきりがないが、平凡とはつまり何もないの訳だ。
サツキはノートの隅に『なにか起きないかな〜』と書くとそれを破り、先生に見つからないようそっと左隣の友達に渡す。
小学生の頃からずっと腐れ縁、とサツキは思っているが正直、親友の1人と心のどこかで認知している。
左隣に座っているスタイルの良い金髪のショートカットの女子生徒は走らせるペンを止め、紙を眺めると、それをひっくり返してささっと書いた後、サツキの方へスライドさせるように返す。
そこには『さっき怒られたでしょ』と殴り書きされていた。
「そういうことじゃないっ」
サツキは小声で反論した。
横目に見える綺麗な顔立ちをした彼女は、少し微笑んでみせた。
校内に放課後を知らせるチャイムが鳴り響く。
各々帰宅する者や部活へ向かう者、ただ駄弁る者などに分かれ、いつもと変わりない1日の学校生活が終わりを迎え始めた。
サツキは図書委員会に入っているが、ほぼ幽霊のような存在であり、それを引き止めるのは先ほどの女子生徒、アイラ・フィリスしかいない。
サツキは校門を抜け、細い道を進んでいる。
空を見上げると、青く澄み渡る空に複数の飛行車が行き交っていた。
せっかくの空が台無しに感じながらも、家路に着く彼の後ろから走り寄ってくる音が聞こえる。
「サツキ〜。図書委員会、行かなくていいの?」
勢いよく左肩に手をかけられ、サツキは少しよろけながらもアイラの顔をチラッと見ると右手でその手を振り払う。
「別に、今始まったことじゃないよ。僕は一人で読むのが好きだって、気づいたんだ」
納得したような顔をしたアイラはずれた鞄を肩にかけ直すと、授業中のことを思い出す。
「何か起きないかなって言ってたけど、何が起こって欲しいの?」
サツキは少し考えるが、これといって具体的なものは出てこない。
「なんだっていいさ。なんかこう、退屈が一変するようなこと」
「具体さが足りないのよ、具体さが〜」
「お前はいいよな〜、毎日のように告白されてさぁ」
「さすがに毎日じゃないよ。でも、そんなことされても疲れるだけなんだよね。全部断ってるし」
サツキは少し呆れたような顔をみせる。
自分には想像のできない世界というのは意外と身近にあるものだと感じながらも、それを実感できない自分と、現にそれに困らされてる人が隣を歩いているからだ。
「お前がいつも一緒にいるから、変な噂流されてんだぞ」
アイラはそっぽを向いたサツキを横目に、そのまま目線を空へと移す。
「なんかさぁ、もったいないよね」
「なにが?」
アイラはそのまま空を見つめ続けながら、どこか遠くを見ているようだった。
「昔はこの空、一面に広がってたんだってね。飛行機雲が流れて、夕焼けの時はすごい綺麗な景色だったとか」
サツキはまた空を仰ぐ。
この空が目の前に広がっている景色を想像したが、なかなかできない。経験したことのないことを想像の中で駆り立てることは思ったより容易ではない。それが身近なことであるなら余計かもしれない。
自然と空を睨んでいた。
「結局、戦争があっても、何も変わってないんだ」
サツキは自分が気づかないうちに呟いていた。
アイラは「え?」と反射的に出ると、唐突に神妙な物言いをするサツキの顔を見つめる。
サツキは空を見つめながら歩いている。
「ヴァルハラモーメントを求めて人がいっぱい死んで、ようやく手に入れた後に変わったのは、ゼロフレームの開発だけ。戦争が終わっても戦争に使う兵器を作ってるんだよ。……まだ」
「サツキ……」
サツキは普段から大人しく、平和主義な性格をしている。休み時間はずっと本を読んでいるため、何を考えているか分からないが、アイラには分かる。
小学生の頃、アイラのいる学校に転校してきてから間も無く、ヴァルハラモーメントを発見し、あの戦争を招いた小さい田舎のクーゼンモルグ州出身ということだけでいじめられていた。
見かねたアイラはサツキを庇い、反抗してきたいじめっ子を1人残らず倒すと、泣いていたサツキを慰めた。それが2人の初めての出会いだった。
事あるごとにサツキを守っていたアイラは、サツキを兄弟のような存在として認知し始め、サツキはアイラに依存し、気づかぬうちにお互い半ば共生関係となっていた。
それから互いに考えていることは何となく察せるようになり、常に一緒にいることから恋人同士なのではないかと噂され始めている。
しかし、そんなことはない。互いが互いを必要とし、互いが互いを理解する。まさに家族のような存在である。
アイラは同じ飛行車が飛び交う空を見ながら、サツキの言葉に繋げる。
「Xフレームに影響されて、他の国がZフレームを作って、それに影響された国がまたZフレームを作る。最初のゼロフレーム、パラディンが生まれなければ戦争で亡くなった人はもっと減ってたかもしれないって、今日先生も言ってたね」
その言葉を聞いてサツキはアイラの影を見ながら、「ああ……」と頷く。
数秒の沈黙の後、お互いのポケットに入っている携帯型ホロ端末が耳障りな音を響かせる。
「警報か!?」
2人はその5センチほどの正方形をした端末のスイッチを入れると、長方形のホログラムでできた仮想ディスプレイが表示される。
画面中央には『61代大統領サルバ・リーゲルが何者かにより暗殺。それと同時刻、地球軌道上に不明な熱源体を確認。政府は緊急事態と判断し、国民に警戒するよう指示』と見出しが出されている。
アイラは携帯型ホロ端末の電源を落とし、それを胸の前で抑える。
「大統領暗殺って……」
サツキはその記事に目を通すと、その姿勢のまま左手に持つ携帯型ホロ端末が震える。
「いや、それよりも……この熱源体ってやつもしかしたら……」
そう呟いたと同時に、空から轟音が鳴り響く。
真っ赤に発光する巨大な戦艦が上空前方に出現する。
大気圏を突破し、街の上空に現れたそれは摩擦熱が纏っていた姿とは異なり、全体が黒く塗装されていて、巨大な翼のようなスラスターが両端に装備されており、中央上部には戦艦半分ほどの大きさを誇る主砲と思わしきものがせり出ていた。
まさに堕天使が舞い降りたかのようなその戦艦の左翼には、バルド国の国旗が勇ましく描かれている。
「サツキ!あれって……!」
アイラは完全に足が竦んでいた。
サツキは言葉を失い、ただそれを見上げることしかできない。
轟音と共に現れたそれはまるで終末をもたらす笛かのように、そこに鎮座している。
戦艦の各部から剥き出しになっている内部フレームが赤く発光すると、それはゆっくりと移動を始めた。それと同じくして、スピーカーから大音量で街に対して警告がされる。
「オーディス国民諸君。私はバルド国バルド軍第一小隊所属、ガンドリー・バイラゲラル大佐だ。我々の目的はオーディス国が所有する例のモノの無力化だ。それに応じて貰えれば、我々は攻撃しない。民間人は今のうちに避難することを推奨する」
街は騒然としていた。逃げ出す者、叫び出す者、泣きわめく者。戦艦一隻が現れただけで混沌と化す街は、いかにこの16年の間に平和という二文字に侵蝕されてきたかが、視覚情報だけでも理解できるほどであった。
「アイラ!!」
サツキは腰を抜かしているアイラを抱えると、学校に向かって走り出す。
帰るときは意識していなかったが、既に500メートルほど距離がある。それに、人一人を抱えたまま走るというのは想像通り酷でしかなく、20メートルほど走ったところで息切れを起こしていた。
最初の警告から10分くらい経っただろうか。そうこうしているうちに、空中を漂い続ける戦艦からまたしても音声が鳴り響く。
「オーディス政府はこれを拒否した。よって強硬手段でいかせてもらう。現段階より、民間人の命は保証しない。」
「なに!?」
サツキは思わず声を荒げた。
街中がより混乱したことは明白で、そこら中で逃げ惑う人々が押し合い状態となり小さい子供は地面に倒れ、しかしそれを気にする者は誰もいない。道路は既にバイク一台も通れないほどに渋滞しており、クラクションを鳴らす音や、車自体を乗り捨てて逃げる者もいた。
空に飛行車の姿は無く、皆避難したのだろう。
サツキは生まれて初めて、青く澄み切った空を見ることができた。
しかし、そんな感傷に浸っている暇はない。学校にはまだ多くの生徒や先生がいる。非常食だって備蓄されているはずだ。
さまざまな考えが脳裏にちらつく。
アイラを抱えたまま、荒れ出す息を抑えつけ、人混みの中を走り続ける。
体が倒れそうになり始めた頃、ビル群に囲まれた学校がようやく姿を現し始めた。
しかし、安心したのも束の間。ドォン!という音とともに、巨大な人型の機械が校庭に落ちるのが見え、直後にそれの周りに砂が舞い上がった。
うっすらとそれが姿を見せ始める。
歩みを止めたサツキから降ろされたアイラは目を見開き、両手で口を押さえながら、涙を浮かべていた。
一瞬の静寂が訪れる。皆何が起きたのかと、辺りを見回す。その後、全ての人が同じ場所で首を止める。
「ズィラン……」
サツキは静かに呟いた。
バルド国が所有する量産機の一つ。Zフレーム、ズィラン。
Zフレームに厚手の外装を着させ、少しずんぐりとした体型であり、両肩部に装備された腕の第二関節まである長方形のシールドの左肩に国旗が刻印されており、その下に白い01という数字が書かれていた。
左腰には5メートルほどある高周波ブレード、Zブレードが、右腰にはショートライフルと呼ばれる小型のエネルギー銃器を装備しており、黒いそれらは太陽の光に反射して、より人々を恐怖させるには十分な代物だった。
全体が赤く塗られた20メートル相当のその機体は、警告色ともとれる目に痛いトゲトゲした色、外装と、そのシルエットから地上に産み落とされた悪魔の子のようであった。
ゆっくりと体制を整え、直立したそれの瞳は目を背けたくなるほどの怪しい緑色に輝いていた。
サツキは数秒の間、呆気に取られていた。
しかし、人々の恐怖に満ちた悲鳴で我に返ると、周りでも同様にズィランが着地する音が次々と聞こえてくる。
上空をゆっくりと飛行していた戦艦は後部のハッチを開き、そこからズィランを降下させている。
このままではハイドランド州は占拠されてしまう。誰もがそう思っていた。
* * *
「こちら01。着陸成功」
小太りの少し老いた男はズィランの体制を立て直すと、辺りを見回す。
「校庭か?ここは」
全周囲モニターに表示されている街は、巨大なビルが立ち並び、ズィラン後方には校舎が映し出されている。
一通り見回した後、モニター右下に『Calling……』と表示されているのを確認すると、無線をズィラン02機に繋げる。
「こちら01。どうした」
モニター上部に02機のパイロットが映し出される。
少し離れた公園に着陸した、銀髪で薄い青の瞳をした美少年は、少し戸惑いながら周囲を索敵している。
「ヒュージさん。これからどうするんです?こんな市街地で、動けやしないですよ」
ヒュージ・ラーディアントは「はぁ〜」とため息を吐くと、腰にあるショートライフルを引き抜く。
下ではその動作に逃げ惑う人々がより一層狂乱する。
「隊長と呼べ隊長と〜ッ!俺たちの任務はアレを探すことだ。だが、これじゃあ動けねーな。大佐からは民間人を殺すなって言われてるし。元々殺すつもりなんてないけど、動いたら踏んづけちまうぞ、マジで」
「隊長。オーディスはどう対応してくるでしょうか……」
銀髪の少年が乗るズィラン02機は少し不安そうに01機に視線を送る。
「まあ、攻撃はしてこないだろうな。ミサイルでも撃ちゃあここら辺一体焼けちまうからなぁ」
「でも、オーディスが持ってるZフレームって確かフィーゲルとかいうやつでしたっけ。あれ、ズィランより性能良いとか……」
ヒュージは気難しそうにヘルメットの上から頭を掻く。
あえて02機から目線を外すと、そっとショートライフルを構え直す。
「全く。縁起でもないこと、言うんじゃないよ」
ヒュージは辺りを見回すふりをしながら操縦桿を握り直したとき、モニター右下部に『Emergency Notification』と半透明の赤色で表示されると、銀髪の少年の隣に、髭を蓄えたガタイの良い中年の男、ガンドリーが映し出される。
「第一小隊に通達!接近する熱源を確認!放出するニュートリア反応からみてゼロフレームの可能性が高いぞ!」
ヒュージは気付かぬうちに操縦桿を握る力が強くなっていた。
「やはり来るか……」
銀髪の少年の目線が右に移ると、おそらく拡大された望遠モニターを凝視しているように見える。
「熱源体、サウス 220!接触まで20秒!隊長、気をつけてください!」
ヒュージは、ズィランを言われた方角に転回させると、ショートライフルを構える。
スコープに目を合わせると、全周囲モニターの一部が四角で囲われた後、拡大された景色が映し出される。そこには豆粒程度の飛行する物体が映っていた。
「ルシフ、お前は自分の心配だけしてろ!映像は切る!あとは音声だけだッ」
「はっ!」
銀髪の少年、ルシフ・エルバリンデの映像枠が消える。
数秒の沈黙。ヒュージの額には冷や汗が垂れ落ちる。
「見えました!」
ルシフの声が静寂を断ち切った。
「ああ」
01機が覗くスコープの先には、200メートルほど離れた位置にゼロフレームが腰部に装備されたスラスターのキーン……という甲高い音を上げながら空中に佇んでいる。
オーディス合衆国が所有するZフレーム、フィーゲルだ。
全体的に青く、両肩部には機動力を上昇させるための小型スラスターが装備されている。装備している武器はズィランと同じだが、明らかに違う箇所はボディの装甲だ。
ズィランとは違い、全体的に薄い装甲は、防御力を捨てる代わりに両肩、腰にあるスラスターから出力される推力が直接機体全体に伝わるように設計されている。
しかし、気になることに通常では装備されてない黒い四角い箱型のものが背部に取り付いている。
「拡張パーツ。ミサイルポッドか……」
ヒュージはルシフの顔を思い浮かべる。
『なんてこと言ってくれやがったんだアイツは』
と思いながら緊張を隠すためか、口角が少し上がる。それと同時に、フィーゲルを睨みつける。
「一機しかいないって、ズィラン相手にはそれだけで十分ってことかよ」
離れた場所にも別のフィーゲルがいるのを確認できる。
しかし、今自分が置かれている状況と同じように、ズィラン二機に対してフィーゲル一機という構図になっている。
「バルド軍に警告する。直ちに撤退せよ。こちらは発砲許可を得ている。繰り返す、直ちに撤退せよ」
おそらく全ズィランと戦艦に一方通行の無線が繋がれている。
おどおどしているルシフの声が、スピーカー越しに聞こえてくるが、ヒュージはルシフを庇う暇はなかった。それ以前に、無線から聞こえた言葉がずっと引っかかっている。
「発砲許可だと!?脅しているのか……それとも……」
目視できる目の前のフィーゲルは両手を握りしめ、脚を少し広げる。
「最後の警告だ。直ちに撤退せよ。30秒以内に撤退しない場合、各ゼロフレームに対して発砲する。繰り返す」
無線越しからルシフが「隊長!」と呼びかける。
「落ち着け!照準を奴から外すな。気を抜いた瞬間にやられる可能性はある」
どうすればいいのか、ヒュージには何も思いつかない。
真左には学校があり、フィーゲルがいる付近には高いビル群が並んでいる。
こちらが発砲し、外しでもすればその流れ弾はどこかの建物に当たる可能性は高い。
「大佐ぁ……。大丈夫か?この作戦……」
ヒュージは大佐から作戦の中止が来ることを期待してたが、戦艦からの無線は一向に来る気配はない。
一刻を争う状況にも関わらず互いが静止したまま時間は流れていく。
冷や汗が首元に流れ落ち、少し不快感を覚えた瞬間、無線が鳴る。
「警告はした。発砲する」
「……ッ!!」
フィーゲル背部のミサイルポッドが解放されると、次々とミサイルが放出されていく。
灰色の煙を吐き出しながら、二機がいる方向に転回し、一直線に進んでくる。
それらは01機と02機を破壊するには十分な量であった。
「飛べ!ルシフ!!熱源を追尾してくる!そのままだと地面に着弾するぞッ!」
「やってます!!」
ヒュージはスラスターの推力を最大まで上昇させる。
腰部に付いているスラスターはキーン……!と高らかな音を上げると、ズィランは瞬く間に上昇し、フィーゲルよりも高い位置へと上昇する。
「こいつら自国の民を殺す気か……!!」
ヒュージは追尾してくるミサイル群をショートライフルで撃ち落としていく。
ヴァルハラモーメントから放出されているバビロン粒子。それを基に作られたニュートリアと呼ばれるエネルギー体は一定温度下で液体化することを利用して、ゼロフレーム本体やそれらが扱う銃器、戦艦のエネルギーとして利用されている。
しかし、液体時の非常に高い溶解性は、ニュートリアの最も重要な取り扱いに関わっており、搬入出する際には厳重な審査を通さなければならない。
そんなモノが普段から人が住んでいる街中で使用されているとなれば、本末転倒である。
ショートライフルから撃ち出される弾はニュートリアを圧縮したものであり、淡い紫色のそれが着弾することによって装甲を溶かし、ミサイル内部に存在する冷え切ったニュートリアに直撃し、急激な温度変化に耐えきれなくなったニュートリアは爆発を起こす。
「ふざけやがって!!」
ヒュージは右に急旋回し、一度機体を停止させると、一気に下後方へ舵を取る。
両脇を通過していったミサイルは、先程01機が停止していた座標で激突し、連鎖的に爆散する。
降下し続けながら残り2つの追ってくるミサイルを撃ち落とし、その破片を機体で受け止める。撃ち落とされたミサイルから漏れた、まだ蒸発しきっていないニュートリアがズィランの装甲を軽く溶かす。
降下しながら空中で後ろ向きに一回転するようにして地表に接近し、先程ルシフがいた公園に着陸することにした。
着陸寸前でスラスターの出力を少し上げ、地表にダメージを与えないようにゆっくりと着陸する。
見上げると知らないうちにルシフからの無線は切れており、ルシフは先程ヒュージがいた校舎の上空をミサイルから逃げるように飛び回っていた。
ヒュージは焦りながら02機と無線を繋げる。
「ルシフ!大丈夫か!!」
ルシフはミサイルから逃げることで精一杯だったが、街の方に一瞬顔を向けると、そのまま上昇していく。
無線からは必死に応えるルシフの声が流れてくる。
「すいません……。街が………」
ヒュージは辺りを見回すとミサイルが着弾した箇所が何個か見て取れた。
経験の浅いルシフはミサイルをかわしきれず、地面に接近した際に流れ弾として飛んでいったミサイルが、地表に当たったのだ。
しかし、ヒュージはそんなことを咎める気なんて毛頭無い。
再びスラスターの推力を最大まで上げると、一直線でルシフの元へ向かう。
「バカかお前は!!まずは自分のことを考えろ!」
ショートライフルでルシフに纏わりつくミサイルを落としていくが、明らかに自分を追っていたミサイルよりも数が多い。
下を向くとフィーゲルが動かずにこちらを見ていた。
「あいつッ!」
動きなどから02機の方が戦闘下手だと察したのだろう。
確実に撃墜できるようにミサイルの配分を手慣れよりも多く追尾させたのだ。
「ルシフ!スラスターの出力を飛行最小限までに抑えろ!」
「はっ!!」
ルシフはスラスターの出力を一気に低下させる。
パイロットスーツによって少しは軽減されているとはいえ、この機体の重さからくる落下速度は並のそれとは訳が違う。
歯を食いしばり重力に耐えながらそのまま降下していく。
ヒュージはそれと同時にスラスターの出力を最大まで上昇させると、今まで02機を追っていたミサイルの照準が全て01機に集中する。
「これが熱探知の弱点というものだ!!」
ヒュージは後方に下がりながら追尾するミサイルを次々と撃ち落としていく。
順調そうに見えたが、ピピッピピッと機体から警告音が発生する。
モニター中央に半透明の赤い長方形で囲まれた中に、同じ色で『OUT OF AMMO』と表示されている。
「弾切れか...っ!」
ヒュージのショートライフルの弾は先の戦闘でほぼほぼ使い果たしてしまっていた。
その警告音を無線越しに聞いたルシフはすぐさまヒュージに呼びかける。
「隊長!私のをお使いください!!」
ルシフは自分のショートライフルを投げる姿勢をとったが、ヒュージはすぐさま応答する。
「駄目だ!それはお前の命だ!自分の命を他人に受け渡すなッ!!」
「隊長……」
ルシフはそのショートライフルを構える。
ゆっくりと照準を合わせ、高なる呼吸を抑える。
一秒間くらい目を閉じると、荒れた呼吸が少し収まる。
「俺が外したら隊長に当たる可能性もある……でも、でもやるしかないんだ……!」
ピッ……ピッ……という音とともにショートライフルの照準が徐々にミサイルへと合わさっていく。それと同時に信号の音は早まる。
「ウェスト320からイースト168。移動距離予測確認。目標堆積予測地点、サウス208、高度1430.5フィート。発砲まで残り4……3……」
01機を追い続けるミサイルはあと十数秒もすれば完全に着弾する勢いで飛んでいる。
つまり、ルシフが外した時点でゲームオーバーという意味を持つ。
「2……」
無線越しからヒュージの断末魔が聞こえてくる。
「撃てぇぇ!!ルシフゥーーーッッ!!!!」
「あたれぇぇぇぇぇ!!」
放たれたショートライフルの弾はミサイルが全て重なった瞬間、直撃する。三発ほどのミサイルを撃ち抜いたところで、他のミサイルも連鎖的に爆発。空中で大爆発が起きた。
ルシフはまるで長距離マラソンを走りきった後かのように、荒い息遣いが治らない
「良くやった、ルシフ」
ヒュージはまるで息子をあやす父親のように笑っていた。
戦闘経験も少ないルシフが初めて第一小隊に配属されてからずっとそばで見守っていた彼は、成長したルシフを見て自分も何かを成し遂げたかのように感じられた。
ルシフは自分が成し遂げた戦果と、ヒュージの元で戦ってこれたことに感謝を表さずにはいられなかった。
「隊長!私は隊長のおか……」
いきなり耳障りな音が鳴り響く。金属と金属を勢いよく衝突させたような音だ。
「げで……。…………ッ!!」
ルシフはこれ以上ないほど目を見開いた。開いた口が塞がらないという言葉をまさに体現している。
「隊長!!!!」
スラスターの推力を上げながらズィランに取り付くフィーゲルが見えた。
急降下するフィーゲルと、ズィラン。
フィーゲルの手にはZブレードが握られている。それはズィランの胸部に突き刺さっていて、フィーゲルはそれを離そうとしない。
ゼロフレームのコックピットは胸部に格納されているため、眼光カメラが取り付けてある頭部と同等に急所に違いはない。
コックピットを貫通したZブレードは間一髪、ヒュージの息の根を止めることはなかったものの、左脇腹からへその辺りまでを抉っていた。
コックピット内は血が飛び散り、全周囲モニターにはノイズが走っている。
ヒュージは霞かけた視界で周りを見回す。よく見ると自分の肉片であろうものが浮遊しているが、何も感じなかった。
それよりももっと大切なことがあった。
機体の着地地点である。
首を後ろに向けるがシートが邪魔をしてうまく後ろのモニターが見れない。少し体を動かせば声にならない激痛が走る。まだ、脇腹を掠めているZブレードが嫌でも視界に入る。
雄叫びを上げた。
二度と動かすことはないと腹を括り、その体を右に回転させる。
ようやく後方のモニターが視界に入るとヒュージは驚愕した。
そこにはまだ大勢の人たちが残されているであろう校舎が目に入った。自分が気づかない間に、戻ってきていたのだ。
「全く。運命とか……気にしたこと無いんだけどな……」
ヒュージは笑っていた。
死ぬ間際には笑っていたい。昔ルシフに言った言葉を思い出した。
無線越しに自分を呼ぶ声が聞こえる。
ルシフからだ。
『最後に何か言ってやらないとなぁ……』
そう思いながらシートに体を預ける。
まだ残されていた、非力な腕を持ち上げて、操縦桿のボタンを押す。無線の通信スイッチを。
「ルシフ。お前は優しい奴だ……。みんなを、……守れ」
01機はフィーゲルに抱きつくと、体から赤い光を放った。
ルシフは目を逸らせなかった。それを見る、見届ける義務があると。心のどこかでそう感じていた。
校舎まで余裕がある距離でズィランは爆散した。同時にズィラン01機に内包されたニュートリアの爆発を間近で受けたフィーゲルも同様に散った。
「ヒュージさぁぁぁぁんッッ!!!!」
ルシフはヒュージの放った言葉が胸の中で高鳴るのが分かった。
『みんなを、守れ』
まるで呪いをかけられたかのように、ルシフの体は咄嗟に動いた。
ズィランのスラスター推力を最大まで上昇させると、校舎の方へと飛び立つ。
それは今までに見たことないような、先のヒュージを超えるほどの機敏な動きで、落ちて来る二機の残骸をその体で受け止める。
しかし、大気圏内でズィラン一機が持てる重量は限られている。幾ら出力を上げようが、機体は降下していく。
「このままでは!!」
ルシフは咄嗟に機体の体勢を仰向けにする。
スラスターの向きが変わったことにより、着地地点が少しずれ、被害は校舎の端の方が少し崩れる程度に収まり、校庭へと落下した。
急いでパイロットスーツを脱ぎ捨て、シートの下に置いてあった私服に着替える。
帰投命令がモニターに表示されているのを横目に、コックピットから脱出する。
逃げ遅れた人たちを助けるために、校門まで走り出す。
学校の敷地を出るとき、足を止めて、悲しい顔で振り返る。
「隊長……」
涙を堪えようと歯を食いしばり、思い残すことは沢山あったが、未練を残すことだけはしたくないと思い、学校を後にした。
しばらく歩いているが、生存者も死体も、全く見当たらない。
「みんな避難したのか……?」
ルシフはニュートリアによって溶かされた建物や、ミサイルの残骸が降り注いだであろう場所を横に、ただただ前だけを見て歩いていた。
被害は最小限に抑えたつもりだった。だが、この有様を見る限り逃げ回っていた人たちにとって、ただの破壊行為でしかないことなど、考えなくても分かっている。
戦死したヒュージの想いや、自分の実力の無さが痛いほど理解できる街中を歩いていると、遠くの方から叫び声らしきものが微かに聞こえてくる。
「誰かいるのか!!」
ルシフは声のする方へと走り出した。
* * *
15分ほど前のこと。上空を駆け回るズィラン。巧妙な操作でフィーゲルの放った追尾ミサイルを回避しながら撃ち落としている。
撃ち落とされた残骸はまだ蒸発しきっていないニュートリアとともに降り注ごうとしていた。
「アイラ!立て!逃げるんだよ!」
アイラは落とした顔をあげる。しかし、その目線はサツキより遠くの空を凝視している。
「あ……」と小さく呟くアイラの目線をサツキは追った。
飛び散った破片とニュートリアがすぐ上まで迫ってきていた。
「……………ッ」
サツキはアイラを庇うように覆い被さると、目を瞑った。
もう駄目なのではないかと、そう思いながらただ時が過ぎるのを待つことしかできなかった。
一秒が何十秒に感じるほど長く感じられた。死ぬ前ってこうなのかとか考える余裕すらあった。
しかし、それを拒絶するかのようにキーン……!と、スラスターの音が真上に聞こえる。
サツキはゆっくり目を開ける。見上げた空には赤い鉄の塊が真上に飛んでいる。
先程ミサイルを迎撃していたズィランが、全ての落下物をその機体で受け止めていた。
「あれは……」
『守ってくれたのか?』
確証はない、だがそう感じてはいた。
しかし、なぜ。攻め込んできたバルド国がオーディス人を守る。守る義理など無いはずだ。
サツキはそう考えているうちに、何か決定的なことが間違っているのではないかと思い始めた。
「攻め込んできたんじゃない……?」
戦艦が現れたときに言っていた、例のモノ。恐らくどちらの国にも名を出してはいけない代物なのだろう。
01と書かれたズィランは、サツキたちのいる隣の公園に着陸した後、空中で飛び回るもう一機のズィランの援護に回る。
サツキはズィランが行ったことを確認すると、アイラに肩を貸して走り出す。
前方70メートルほどから軍隊らしき人たちが見えた。
「生存者はこれだけか!!他にいないか!!」
拡声器を使って話す軍人たちは、大きな車の前で様子を伺っている。
サツキとアイラは必死にアピールをする。
「います!助けてください!!」
しかし、疲れ切っていた彼らの声はかすれ、届くことがなく、車はそのまま立ち去っていった。
一気に絶望を覚えた二人だったが、それをかき消すかのように背後で爆発音がする。
「なんだ!?」
空中で爆散したミサイルの破片が雨のように飛び散る。
ものすごい音を立てて落下してくる破片は周囲の建物を、まるで子供が紙を丸めるかのように潰していく。
サツキはアイラの腕を掴むと、そのまま顔を覗き込む。
「アイラ、走れるな……!」
サツキの顔は今まで見たことのない、勇敢な面持ちをしていた。
学校で見る彼とは明らかに別人のように感じられた。
サツキも不思議だった。今までにないほど、気が高まってくる。それは、火事場の馬鹿力とかではない。何かが目覚めた気がした。
アイラは深く頷いた。
今はサツキについて行くしかない、そう思わせるほどのオーラを纏っていた。
「いくぞ!!」
駆け出した二人は、ほぼ廃墟と化した街中を進んでいく。
疲れは相当溜まっていた。歩くだけでも足が痛む。
しかし、あと100メートルほど走ったところに駅がある。そこには何かしら救助の目処があるかもしれない、という淡い期待を持ちながらただただ走るしかなかった。
また爆発音が聞こえる。先程のものとは比べ物にならない爆音だった。
「学校がっ……!!」
アイラは後ろを見ながら叫んだ。
そこには学校に落下するズィランとフィーゲルと思われる残骸が降り注ごうとしていた。
「振り向くな!走るしかない!」
サツキはアイラの手首を無理やり引っ張り、先を急ごうとしたとき、自分の真下に影できていることが分かった。
サツキたちの上空にはあの残骸の一部が落ちてこようとしていた。
『まずい!』
サツキは手首を引っ張った勢いと、アイラの体が近づいたと同時に思いっきり両手を使い、自分より後方へと押し飛ばした。
空中に舞うアイラはそのことに理解が追いついていない。
「……え?サツキ……?」
距離が離れたサツキが視界に入ると、瞬きした次の瞬間には、轟音とともにズィランの腕のパーツと思わしき細長い巨大な鉄屑が立ち塞がっていた。
アイラは状況を理解できずにゆっくりと立ち上がり、その鉄屑まで近寄る。
「うそ……でしょ………?」
鉄屑に触れた瞬間、全てを理解した。自分を庇って押し出したこと、守ってくれたこと、そしてサツキは死んだかもしれないということ。
「サツキ!!サツキ!!!!」
泣きながら鉄屑を叩く。
道を塞いだその鉄屑は二人の距離どころか、関係すらも破壊してしまうかもしれない。赤い塗装が、そう呟いている。
「居るなら返事して!!サツキ!!」
いくら呼んでも返事はない。
アイラはその場に泣き崩れた。後ろから走り寄る足音にも気づかないほどに。
「君、大丈夫かい?」
背後から話しかけてきた男性は、真っ白いハンカチをアイラへと差し出す。
アイラはそのハンカチが視界に入ると、ゆっくりと後ろを振り返る。
そこには、銀髪で薄い青の瞳を持つ美しい少年が立っていた。
「ありがとうございます……」
そう応えると、ハンカチを手に取り涙を拭う。
「立てるかい?」
ルシフはまだ手を差し伸べている。
アイラは頷くと手を取り立ち上がるが、少し足が痛む。ここで初めて自分が膝を怪我していることに気がついた。
「誰かご家族や友達は?」
ルシフの言葉にアイラは人差し指を立て、後方の鉄屑を指す。
『そういうことか……』
ルシフはそれは察した。と同時にこの子も同じ境遇なんだ、そう思い少し悲しくなる。
「ここ安全じゃない。まだ他の場所で戦闘が続いてるからね。移動しようか」
二人は他に会話することなく、学校の方へと歩き始める。
このポイントでの戦闘は終わった、学校に行けば誰かいるかもしれないし、最悪校舎が守ってくれる可能性が高いとルシフは判断した。
「あ……あの」
アイラは掠れた声で話しかける。
「名前、聞いていいですか……」
「ああ、俺はルシフ。ルシフ・エルバリンデ」
アイラは少し考えた顔をする。
「珍しい苗字ですね」
ルシフは少し焦った。エルバリンデとは、バルド国での貴族であり、それに加えてバルド特有の少し長い姓も関係あった。
言い訳を考えながら、ルシフはあまり表情に出さないように少し笑顔をつくる。
「あ、ああ。ちょっと田舎の方出身でさ」
アイラも少し微笑んだ。
「私はアイラ・フィリスです。……?」
アイラは少し困った顔をする。
ルシフが返事をしようと口を動かす前に、アイラは言葉を発していた。
「泣いてるんですか……?」
「え?」
ルシフは右手で頬を触ると少し暖かい感じがした。
それは間違いなく前のものではない。今現在流れ続けているそれであったことに間違いはなかった。
【人物紹介】
⚪︎サツキ・カミシロ
性別: 男性
年齢: 17歳
身長: 172cm
体重: 54kg
一人称: 僕
血液型: O型
髪色: ブラック
瞳の色: 黒
生年月日: 聖歴3000年 4月18日
出身国: オーディス合衆国 クーゼンモルグ州
平和主義で大人しい性格の少年。
しかし、自分の決めたことは曲げない性格が災いすることもしばしば。それを気にして悩むこともあるが、それを隠すために普段は自分を繕っている。
⚪︎ルシフ・エルバリンデ
性別: 男性
年齢: 17歳
身長: 175cm
体重: 64kg
一人称: 俺、私
血液型: O型
髪色: シルバーグレー
瞳の色: シアン
生年月日: 聖歴3000年 6月20日
出身国: バルド国 ラミノス地区
階級: 少尉
搭乗機: ズィラン
銀髪で薄い青色の瞳を持つ美少年。
自分より他人を優先する人柄だが、感情的になると目の前のことしか見えなくなるのが玉に瑕。
【機体紹介】
⚪︎ズィラン
パイロット: 複数
大きさ: 21m
重さ: 28t
形式番号: Z-75
メインカラー: レッド
別名: なし
バルド国が所有するZフレームの一つ。
バルド軍ではこの量産機が一番多く使用されている。
「Zフレーム搭乗者はこの機体から」と言われるほど基本の機体となっており、この機体で学んでから他に移れと言うのが教官の口癖。しかし、性能は決して悪くない。
Zフレームに赤い厚手の装甲を着させ、ずんぐりとした体型をしている。
攻撃より防御面に振っていることから、近接戦闘は苦手で基本的に射撃武器を扱う。
防御面だけでいえばオーディス合衆国が所有するZフレーム、フィーゲルよりも上に位置する。
左腰にZブレード、右腰にショートライフルを常備しており、場合によっては大型遠距離狙撃エネルギーライフル「バスターライフル」が支給されることもある。
両肩部には腕の第二関節まである長方形のシールドがあり、左肩に装備されたシールドにはバルド国の国旗と、場合によりTACネームが刻印されている。
機動性が乏しいため、大気圏内では一定距離内に二機以上配備するという決まりがある。
背部のスラスターによって空中飛行や制御も可能。しかし、大気圏内だと重力の影響もありスラスターの推力を余計に使用する必要があるので、エネルギー効率が悪い。そのため、基本的に宇宙圏で使用することが前提に開発されている。