ドキドキ 自己紹介 〜1〜
高校生活は青春の一番大事な時期 その高校生活の第一歩を景は踏み出した。すると
景は偶然廊下であった美少女の春香に出会った。春香とは教室が同じらしく一緒に向かった
二人で教室にたどり着いて、黒板に座席表が載っていたので確認して
「景くん 席近いね」
嬉しそうに春香は俺の手を引っ張って窓側の一番後ろの方の席に向かって行く。俗に言う主人公席という所。
「近いというか前後じゃん」
「本当ね 良かったよ後ろが景くんで」
「なんでだ?」
本気で春香がそんなこと言うのかわからなかったが、答えは意外でもなかった
「うーん 色々あるけど。まず景くんと仲良くなりたいから」
「他にもね、話相手が近くにいるというのは、とても大事なことだよ」
とただ話し相手が欲しいだけらしい。
すると春香が、手招きして顔を近づけて少し声量を落として
「それに他の男子に見られるくらいなら景くんの方が何倍も良いよ」
なるほど、春香並みの美少女が前にいたら世の男性陣は、ガン見してしまうことこの上ないな、もちろん俺もガン見まではしないが、少しは拝ませて貰うつもりです。
そんなこんな春香と雑談をしていると朝礼の時間を告げるチャイムが鳴り、担任の先生らしき男性が入ってきて
「おーい〜 出歩いている連中は席に着け〜 軽く出席確認するぞ」
やっぱりあの人が担任の先生か 三十代後半あたりの年かな。というか少しだらしない感じがするな。なんというかあの人からあまりやる気が感じられないな。でも案外あーゆう先生の方が当たりだったりするんだよな。と考えていると
「ねえねえ、あの人少しこの学校の先生ぽくなくない?」
と春香が後ろを見いてさっきよりも声を落として話しかけてきて
「春香もそう思うか、俺も同じことを考えていたところだ。 当たりだと思うか?」
「うーん 外見だけで判断するのは良くないけど、個人的にはありだと思うよ。色々と融通がききそうだし」
「なるほど 全く同じ意見だな」
「私たち気があうね」
そんなこんな、俺たちが担任の先生のことを見定めていると、
「OK 入学初日は欠席者なしだな うん 結構なことだ。とりあえず自己紹介等は一限に行うから準備しておけよ」
と言い残し、教室を出て行ってしまった。
「自己紹介だって、ワクワクするね 何話そうかな」
「ワクワクって、緊張はしないのか?」
「しないね だってこれから一年間関わっていく人達との最初の一歩だよ?緊張なんてしてられないよ。むしろワクワクのほうが強いよ」
本当にこの春香という女性は眩しい。いまこの一瞬そしてその先も見ている。俺もこんな風にならないと
「景くんも緊張なんてしないでしょ」
「俺はするぞ いかに自分を良く見せようかって。 人間は最初に自分の立ち位置を決めるっていうかさ。だから最初の自己紹介は緊張するんだよ」
少し冗談を交えながらでもこれは嘘偽りない本音だ。人間という生き物はなんでも順位いや序列というものをつけたくなる生き物だ。だからこそカースト制度なんて馬鹿げたものができる。陽キャだからとか隠キャだからとか馬鹿馬鹿しい。自分は自分だろ。
「景くん顔怖くなってるよ」
「おっとそれは 失礼」
自分でも知らないうちに少し人間関係の話題になると力が入ってしまうのかもしれない。忌々しい過去のせいで。
「もしかして 中学の時人間関係で何かあった」
少し聞きずらそうに、さっきまで明るく話していた春香が少し悲しそうにそう尋ねてきて、この先はあまり顔に出さないようにしようと感じて
「大丈夫だよ 」
「そう? でも話したくなった言ってね 話聞くから」
悲しそうな声は変わらないが、さっきよりは明るい声でそう言ってくれた
「ありがとう」
それしか言えなかった。しかしなぜ春香は知り合って一時間もない俺のことをここまで心配してくれるんだろう?
ほんといい性格してるよな。
「よ〜し 一限始めるぞ」
さっきよりも一段とダルそうな声で先生が入ってきた