第七話 ちょっと待った! アイテム回収はもっと『慎重』に!
『空は彼女の舞台! 鳴き、わめき、うなりながらやって来る! 竜巻の精霊女ゥ!』
GWOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOーーーーーー!!!
TSCHUMM!! ZOSCHH!! TSCHUMM!! HIUUUーーー!!!
「うっ! これが精霊術っ!? た、竜巻が触手をつぎつぎとっ!?」
リリーさんの杖にホタルのような光が集って。
青白く光る女の人? があわらわれて、二本の竜巻が起きたんだ。
今まさに〈ペヨーテ・テンタクル〉を押しつぶして!
やばい! このままだと天井がっ!?
「ウィン! 今よ! やっちゃいなさい!」
「このエロモンスターッ!! クタバレェェェェェッ!!」
BAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAANG!!
うわ……ぉ。
ものすごい速さの連射。
あっという間にハチの巣に。
もしかして二人とも、当初の目的を忘れているんじゃ……。
でも、こんな地獄の絵面でも花は無事だ。
幸いなことに。
「ヒャハハッハハッ! オラオラオラオラ!」
うん、この一家と組むの早まったかもしれないな。
もう二人を怒らせないようにしよう。
さもないと、気絶しているレヴィンの二の前になる。
『GYUSHHHHHHH…………』
DOOOOOOOOOOOOOOMM!!
ついに〈ペヨーテ・テンタクル〉を倒した。けど――。
PISH!!
「マズイ、ヒビが! くずれる! 早くこっちへ!」
「えっ! やばっ! でも花が!」
「いいからはやく!」
〈ペヨーテ・テンタクル〉ががれきに埋もれていく。
正直ここで死ぬんだろうなぁって思ったよ。でも……。
「あれ? 収まった……?」
「……ハァ……ハァ……思ったより……くずれなかったね」
「そ、そうね。ちょっとまって、二人とも、あれ何かしら?」
なんと、くずれた壁の向こうに、未知の空間が!?
何度か来ているけど、あんなの知らないぞ?
「ウィン! フィルくん! 見て! 花は無事よ! がれきの間に見えるわ!」
「あ、ほんとだ! 良かったぁ~これであの子を助けられるね! リリー姉!」
もうすこしで花まで穴だらけにするところだったけどね。
「さてと、そしたらひとまず――」
DONK!!
「痛たぁぁぁ! なにしやがる!」
「レヴィン! いつまで寝ているの! さっさと行くわよ!」
ひどい……。
「行くってどこへ!?」
ぽかんとしているレヴィンをほっておいて、現れた未知の空間へ。
「なんですかね? この壁に描かれているの」
「壁画ね。それも相当古いものみたい……子供のころお父さんに聞いたことがある。多分これ、ヌー族の『流れ星』の伝説じゃないかしら」
「たしか、リリー。それってたしかヌー族に伝わる伝説じゃなかったか? 親父も昔はなしていたのよな?」
「うん、そう……」
「これ? なんだろう? みんなちょっとこっちきて!」
ウィンに手まねきされ来てみれば、部屋のすみにあやしげな箱が二つ。
「なんだこりゃ?」
「カギ穴とかまったく見当たらないわね」
「それに完全な正方形って見るからにあやし――」
PLOKK。
「あっ! バカ!」
「ちょっと、ウィン!」
「なに開けちゃってんの! トラップかもしれないじゃん! もっと慎重に!」
「はぁ? もう、なに!? みんなして! 別になんも起こらなかったじゃん!」
起こってからじゃおそいんだって。
「でも、みて! これ! 中から銃が出てきたよ! しかも二丁も、なにこれチェーンでつながっている!?」
「あっ! またっ!」
「フィルくんの言う通り、あなたはもっと注意して行動しなさい、ウィン。昔っから後先考えず突っ走るんだから。その銃だってトラップかもしれないのよ?」
「……はーい、でも霜色して、とてもきれい」
「多分【遺物】ってやつじゃねぇか? 親父が前に話してくれたことがある。ジェードロッジの酋長に聞いてみようぜ?」
「そうだね。そしたら、こっちはなにかなぁ~」
「ちょっと待ってよウィン! おねがいだから開けないで! いま調べるから!」
「えぇ~」
あぶなかったぁ~。
「キキ。おねがいできる?」
「クューンクューン!」
「なにその子、トラップがあるかどうかわかるの!?」
「うん、今のところ百発百中、キキの特技なんだ」
クンクンと箱のにおいをかぐこと数秒後――。
「キューンキューン!」
「だいじょうぶだって」
「んじゃ、さっそく……イシシ」
出てきたのはまたしてもさっきと同じ色をした一丁の銃。
「何これ!? 銃身が下についてるじゃん! 変な形……」
「うん、そうだね。それに全体的に角ばって、おもしろい形してるね」
「んじゃ、はい」
「は?」
「フィルが使って?」
「いやいや、ちょっと待ってよ。新参者というか、まだウィンたちと出会って日の浅い自分が使うわけにはいかないよ!」
「別にいいんじゃねぇか? オレはちいせぇ銃ってのはどうも苦手でよ」
「私は銃をつかえないから」
「アタシにはこっちのチェーンでつながったやつがあるから、もらってよ。だってさっきなんだかんだ助けてくれたでしょ? そのお礼」
「……そういうことなら」
「でも、次からはしないかからね。だって仲間をたすけるのは当然でしょ?」
そんな風に自分の力が報われたの初めてだ。
やばい……ちょっと目が熱くなってくる。
「……ありがとう、みんな、でも一応借りてるって形にしてくれないかな? ほら、気持ち的にさ」
「ふ~ん。フィルがそういうのなら、アタシたちあげたつもりでいるね……さてとあとは、あの花をつみとるだけね。ふふふーん」
なんかウィンって不思議な子。
「よかったな。フィル!」
「それじゃ、帰りましょうか」
「うん……えっと、アニキ、それとアネサン……」
「フィル……お前……」
「ごめん、フィルくん、おねがい。アネサンはやめてくれる?」
みんなで声を上げて笑った。
楽しい! こんなの生まれて初めてかもしれない。
ただそんな楽しい時間はほんと長く続かなかったんだ。
なぜなら――。
「せいの! おりゃぁ! やったぁ! 花、とれたよーっ!!」
「あ、だめだ! ウィン! それを無理やり取ったりなんかしたら!」
「え……」
すっかり忘れていた。
〈ペヨーテ・テンタクル〉の花は、無理に引っこ抜くと果汁をぶちまけて爆発する。
つまり――。
BADOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOMM!!!
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
ここまで読んで頂いた読者の皆様、読んでくださって誠にありがとうございます(人''▽`)
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「暗殺少女を『護』るたった一つの方法」
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