第四十話 語り継がれた伝説の『真実』! 集結する十二の怒れる陪審員たち!
本日は20:00頃から後二話投稿します<(_ _)>
「きれいな毛なみ……」
『ふふ、ありがとう。白き娘』
それにしてもなんて優しそうな女性の声。
でもさっき気になることを言っていなかったか?
【陪審員】?
「ウィン、座りなさい」
「あ……すいません」
あぶなかった。
先にリリー姉さんがひざまずいてくれなかったら、「不敬だ!」っていわれていたかも。
『かまいませんよ。楽にしてくだ――あらあら? どうされたのおチビちゃん?』
「クーン! クーン!」
「あ、こら! キキ!」
『ふふ、かまいませんよ どうぞお座りなさい』
「はい……」
キキがあんなにムジャキになついて。
いつもなら自分より大きな生き物とあったらほえるのに。
悪い方じゃないんだろうね。
『さて、よくぞ〈古き偉大なる獣〉たちを討ち、星霊銃を手に入れれましたね』
「は、はい! ありがとうございます」
『これで【魔族】に太刀打ちできることでしょう』
なんだって?
「待ってください! 【魔族】? 話が見えないのですが……」
さすがのリリー姉さんも、じっとしていられなくなったみたい。
そうなんだ。
話がよく分からないんだ。
『そうですね。最初から話した方がよいでしょう』
むくりとおきあがったプテ・サン・ウィン様は語り始める。
『この星に住む人間たちになぜ【烙印】があるのか。そしてその消す術を』
そう、自分達はそれを聞くためにここまで来た。
『では、その前にこの姿では少し気を張ってしまうようですね』
そう口にすると、〈プテ・サン・ウィン〉様の体がかがやいて――。
「これならどうですか?」
白い女性の姿に変わったんだ。
その身体には白い毛皮の服をまとって。
どことなくウィンに似ているかもしれない。
いや、銀髪の時のリリー姉さん?
とにかくキレイな女性の姿だったんだ。
「いえ、はい……」
「ふふ、それでは――【烙印】が刻まれた理由をお話ししますね。それははるか昔、人と魔族、いえ【古代種】との戦いにまでさかのぼります」
〈プテ・サン・ウィン〉様が語りだしたのは古代におきたという戦争の話。
だけどその内容は、僕らの知るおとぎ話とは少しちがうものだったんだ。
「星を二分するほどの戦いは、勝利者などいませんでした」
「待ってください。人間が勝ったんじゃないんですか?」
「それは【魔族】――すなわち【看守】が人間をまとめるためについたウソです」
な、なんだって……?。
「話をもどします」
古代の人間は星を滅ぼす力を持った兵器で、世界を壊滅まで追いこんだ。
いたるところできのこ雲が上がり、炎は大地を焼き。
黒い雨は土をくさらせ、空には毒がまわっていたという。
そして生き残ったのはおよそ200人の人間と、たった五人の【魔族】。
その人間の中には、罪を犯した人も当然いた。
「生き残った人間はわずか、種を守るためには、罪人の血も必要でした」
その五人と人間は二度と過ちを犯さないよう。
【烙印】を自分達に刻むことで管理しようとしたらしい。
「【烙印】は、あなた方の血そのものに刻まれて、母から子へと引きつがれていきます」
とりわけ重い罪を犯していた者の一族は、要監視対象として。
「そう、そなたのように〈重罪〉の【烙印】を刻まれました」
「そんな……」
「ちょっと待ってくれ! やっぱりそりゃおかしいだろ! なんでよくも知らねぇご先祖さまの罪がオレたちに関係があるんだよ!」
「まったくもってその通りです。私は何度もそれを提言しました」
「提言って……まさか〈プテ・サン・ウィン〉様は【魔族】?」
「ちょっとフィルくん! それは失礼にもほどが――申し訳ありません」
「気にしておりませんよ。当然の疑問ですから、ですが私は【魔族】ではありません。私はその戦争で中立であった十二人の一人なのです」
だからこそ提言する側に立てたのだ。
でも、その提言は却下された。
ほかの【陪審員】の反対によって。
「……だとすれば、アタシはいったいどうしたら」
『私といっしょにもう説得しにまいりましょう。他の十二人を……」
「えっ! それってどういう」
『待て! 八番! いい加減にしろ! キサマ! まだ疑っておったのか!?』
WUNNNNNN!!
「な、なんだ!?」
「わわわっ! な、なにこれ!? 写真っ!?」
写真と表現するのはすこしおかしいかもしれない。
だってすごく生々しいし、動いているんだから……。
「お久しぶりですね。三番?」
動く写真はシルエットでよくわらかないけど。
三番って呼ばれている人? 人なのか?
例えるなら、おとぎ話に登場する――。
「ねぇ、フィル、あれってもしかしてドラゴン?」
「う、うん、多分――」
「バ、バカ! 二人とも口をつつしみなさい!」
ぶへぇ!
リリー姉さんにガシっと頭をつかまれ、ひざまずかされた!
『ああ、このような形で会いたくはなかったがな。キサマ、あの時ことをなぜむしかえす?』
「血族の運命がかかっているのです。そんな簡単に決められるものではないでしょう。それに――」
『ワシと八番の反対だけで決が下されてしまったのだからな』
WUNNNNNN!!
「わっ! 今度は後ろから」
『おどろかせてすまない。白き娘』
今度はムキムキの大男のようなシルエットの方。
口ぶりからして老人?
『九番か……ふ、少しは同情するがな。罪はつぐなわなければならん』
FSSSSSSSSSSH――っ!!
すごい鼻息。
そして――。
WUN! WUN! WUN! WNNNN!!
『それがこの世界における法だ』
『検事は専門家。違うことなどない』
『そうです。むしろ再び過ちを犯すかもしれないのは人間の方です』
『一族は有罪! これは明白だ!』
今度は四枚の絵が!
「なんなんだ! テメェらさっきから!」
うん! アニキが声を張り上げる気持ちがよくわかる!
正直、自分もガマンの限界だった。
「なんでウィンが! オレの妹が! 苦しまなきゃいけねぇ! なんの理由もねぇじゃねぇか!」
『だまれ! ガキが! クソ生意気な人間などみな死ねばいい!』
「なっ! てめぇ!」
「落ち着いてアニキ!」
「フィル! あんなこと言われて落ち着いてられるのか!」
「正直言って、人生で一番ムカついている」
ほんとなんなんだ。
特にこの三番。
「だったら!」
「もういい! やめて! 二人とも! このまま私が死ねばすむんだよ!」
いつの間にかウィンは地面にうずくまっていてふるえていた。
しまった。
もう限界だったんだ。
でも――。
「ウィン! それは違う!」
『違いがあるものか! そうだ! それでいい! 何も考えず罪を受け入れれば済む話だ!』
「なにが【星獣】だ! クソども! いい加減にしやがれ!」
「だから落ち着いてアニキ!」
「フィル! さっきからテメェなんのつもりだ!」
「なんのつもりも何も、今落ち着かなきゃ、勝てるものも勝てないからだよ!」
そう、ここは冷静にならないと。
ウィンを救うことなんてかなわない!
『勝てるだと? なら小僧ども私のもとまで来い! 殺してやる!』
『まぁ、待ちなさい、みなさん』
WUN! WUN! WUN! WUN! WNNNN!!
すると今度はいっきに六枚の写真が現れたんだ!
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