第十九話 ホントの『キモチ』伝えるとこうなる!? なんでキマズイ関係に!?
――水の都 モルガバレー――
サギ……こわいなぁ。
気を付けないと。
なにはともあれ、目的地に到着!
「とぉーちゃーくっ! わぁ! きれいな町! 水路がいっぱい!」
「ほんとだぁ! こんな大量の水、はじめてみたよ」
「なんだか今日は一段と夕日がきれいに見えるね。フィル?」
「うん、そうだね」
「クーン! クーン!」
「キキもうれしい? そっか!」
「こぉら、二人とも観光は後、まずは宿をとらなきゃ、って、レヴィン、ちょっとだいじょうぶ?」
「……うぅ、お……う……うぷ……」
ぜんぜん平気じゃなさそう。
そりゃ、二日酔いのまま半日ゆられればね。
とにかく今は宿だ。
一刻も早くアニキを休ませないと。
宿へ探して歩いていると、なんか町の様子がおかしい。
それが何かってはっきり言えないんだけど、どうも変なんだ。
「なんか、男の人ばっかりだね。女の人は子供か、お年寄りばかり」
「ああ、そっか。何か変だと思ったのはそれだ。若い女の人がいないんだ」
自分が若いっていうのもおかしいけど。
例えるなら、そうウィンとかリリーさんぐらいの10代の女の人を見かけないんだ。
「なんか不気味――」
「同感」
「何かが起こっているのは間違いないようね」
「……宿は……まだ……か……うぷっ……」
「……ハァ……もうしようがないわね。もう少しだから、がんばって」
それからしばらく歩いていると――。
「ねぇ! そこのお姉さんたち! もしかして宿を探してるの!?」
ふいに女の子から声をかけられた。
なんだかこの子、元気いっぱいで、どことなく感じがウィンに似てる気がする。
「よかったらボクんちの宿に泊まっていきなよ! こんな時間じゃどこもやってないよ!?」
「そうなの? じゃあそうしようかしら」
「ちょっとリリー姉ぇ。もう考えて選ぼうよ。ぼったくられるかもしれないよ!?」
「人聞きわるいなぁ~おねーさん……」
「わ、悪かったね!」
「じゃあ、今日は特別にあまけてあげます! いつもなら1泊3ノル5ネントのところ、なんと2ノル5ネント、どうですか??」
悪くないと思う。
「クーン!」
「え? ウソついてはいない。そっか」
キキが言うならだいじょうぶかな。
「ね? お兄さん? いいでしょぉ~、とまってってぇ~、『さ~びす』しますからぁ~」
MUNU……。
「はぅ! ちょ、ちょっと!?」
いきなりこの女の子、ふにゃっとだきついてきた!
や、やばい、す、すごくいい香りが……。
RMBLRMBL……
「――ヒッ!」
悪寒を感じて振り返ると、ウィンがものすんごい形相で見つめていて。
「いいんじゃないかしら? 聞きたいんだけど昼食は?」
「ちょ、ちょっとリリー姉ぇ!」
「ぬけ目ないなぁ。もちろん無料ですよ!」
「レヴィンも限界そうですし、ここにしましょう? リリー姉さん」
「そ、そうね。じゃあ、おねがいできるかしら?」
「ありがとうございます! 4名さまごあんな~い!」
こうして僕らは陽気な女の子、ミシェルのお父さんの経営する宿、〈優美なるバラ〉に泊まることになったんだ。
てっきり売春宿かと思った?
自分も最初に名前を聞いたときそうおもったよ。
でも安心して、そんなことはなかったよ。
残念そうだって? そんなわけないだろ!
とにかくオンボロっていうこともなかったよ。
むしろ悪くない、それどころかシャワーまでついているっていう優良物件。
さすがは水の町。まぁ共同だけど。
ただ一つ言わせてもらうなら、四人部屋しか取れなかったこと。
もうここについてはしょうがない。
「アニキ、だいじょうぶ?」
「ホロロロロ……」
「……ああ、すこし落ち着いた。わりぃな。キキ、お前にも心配かけたな」
二人はいまシャワーを浴びている。
「そぉいやぁよぉ、なんで、リリーのこと、『姉さん』って呼ぶことにしたんだ?」
「う~ん、そうだなぁ、したってるからかな。実の姉みたいに、僕は一人っ子だけど、姉ってこんな感じなのかなぁって」
「へぇ……言っておくが、リリーは渡さねぇぞ?」
アニキはいったい何をいってるんだ?
まぁ、アニキがリリー姉さんにホレていることは気づいていたけど。
「心配しなくても、そんな気はまったくないよ」
「……おぅ……じゃあ、ウィンのことはどう思っている? 」
「な、なんでそこでウィンの名前が出てくるのさ? というか、そもそも男同士でコイバナに花を咲かさなきゃなんないんだよ」
なんだか、こう、ぞわっとする。
これなんて言うんだっけ? ムジズ?
「っていうことは、まんざらでもねぇんだな? なぁに安心しろ。オレはなぁ、お前にならウィンのことまかせてもいいんじゃねぇかって思ってんだ」
「何言ってんのさ。縁起でもない」
「まぁ聞けって、ウィンに残された時間は、長いようで短けぇ、だからその分、あいつには幸せになってもらいてぇんだ」
「辛気くさいなぁ。らしくないよ、そうならないために旅をしてるんじゃん」
グロッキーになりすぎてナーバスになっているのかな?
そんな話聞いたことないけど。
「けどよ……」
「まぁ、アニキのいわんとしていることはわかるよ」
「そうか。ならとごまかさずで、はっきり聞かせてくれ、フィル。お前、ウィンのことどう思っている?」
真剣――ごまかせないか。
まぁ、口にしてアニキが落ち着くのなら……。
「うん、僕はウィンのことが好きだよ。正直時々《《いやらしい》》目でみてしまうくらいにね」
「クーン! クーン!」
「なに? どうしたの? キキ?」
キキがいきなりほえだして、ゆっくりとふりかえたら――。
Klack……。
ドアが開いて……る?
え? いつから?
「あ……」
扉の前に顔を真っ赤にして、カチンと固まっているウィンが……いた。
「え、あ、えっと、あああああ、アタシ、リリー姉ぇとお話しし、ししてこないとっ! ご、ごめん!」
「あぁーーっ!! まってっ! ウィン! ちがうんだ! そうじゃなくて!」
あ……どうしよう。
ぜったい誤解したよ。うぅ……。
「そう気を落すなって、シャワーでも浴びてきりかえて行こうぜ」
「いったいだれのせいだと!?」
ここまで読んで頂いた読者の皆様、読んでくださって誠にありがとうございます(人''▽`)
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