<第一話> 〜二学期〜
「ピピピピピ、ピピピピピ、ピピピブチッ、」
「ん〜、もう朝か」
目覚まし時計を止め、起き上がる。
私は普通の高校に通っている高二の野崎杏。
夏休みはあっという間にすぎてしまい、今日は新学期である二学期の最初の登校日。
私は制服に着替えて髪の毛をハーフアップに結んだ。
「よし!朝ごはん食べに行こっと、」
私は学校に行く支度をして、一階に朝ごはんを食べに行った。
いつも通り兄の海斗兄さんが朝ごはんを作ってくれていて、とてもいい匂いがする。
私たちは私とお兄さん、二人兄妹だ。
「兄さんおはようって、この匂い、、もしかしてフレンチトースト!?」
一階に行くと大好きなフレンチトーストのいい匂いがした。
兄さんはニコッと笑って説明してくれた。
「そうだよ。今日杏も俺も新学期だから、朝から好物食べたほうが気分がいいかと思って。」
うちの海斗兄さんは、私と同じ高校に通う高校三年生、料理も勉強も運動もできるし、イケメンだし性格もいいという自慢の兄さんなんだ!学校ではかなりモテモテだと、噂で聞いたことある。
(確かに兄さんがモテなかったら誰がモテるんだか…)
「ほら杏、早く食べないと冷めちゃうよ。」
兄さんは私がごちゃごちゃ考えてる間に朝ごはんをテーブルに全員分並べて自分の席について食べ始めている。
「はーい!」
私も自分の席について冷めないうちに熱々のフレンチトーストをいただくことにした。
ナイフとフォークを持ち、一口サイズに切ったフレンチトーストを口に運んだ。
「ん〜!!おいひい!」
「今日もちゃんと美味しくできてたみたいでよかったよ。」
「てか、お父さん今日も寝坊してる、、」
お母さんが、私が3、4歳くらいの時に交通事故でなくなっており、父と兄、私の3人で一軒家に暮らしている。
最近お父さんはいつも私たちが起きてからだいぶ遅くに一階に来ている。
「しょうがないよ。父さん最近また仕事で夜遅くまで起きてたんだから…」
「そうだけど…」
「ダンダンダン、ドンッドン、」
「ごめんごめん海斗、杏、今日も父さん寝坊した、、、ってフレンチトーストじゃないか!今日も仕事が忙しいから元気チャージしないと、、!」
お父さんが早足で二階から降りてきて自分の席について朝ごはんを食べ始めた。
お父さんはいたって普通の警察官で、少し特殊な部署にいるせいか、最近なんだ大変な仕事が多いみたい。
「お父さん、もうちょとゆっくりしっかり噛んで食べないと消化に悪いし喉に詰まるよ?」
「いや〜父さんもそうしたいんだが今日も朝から仕事が入っててっぐ、ゲホゲッホ、ウ”,ウ”ンび、びっくりしたぁ」
「言わんこっちゃない、、」
ほんとお父さんは言ったそばからもう…
「ーーーーー〇〇街で、火災が発生し、二軒が全焼、二人が軽傷で、目撃者によると何者かが手から炎を発生させ、放火したと証言しており警察は放火事件として犯人を探して、、ーーーーー」
「こんなことあるのかなー」
最近こんな感じで、変な事件や事故がよく起きている。だから父さんも色々忙しいそうだ。本人はなんだか嬉しそうだけど、、
「兄さんはどう思うこの事故?」
「目撃者の人が何か幻覚でも見たんじゃないかな?」
「父さんは本当の魔法を犯人は使ったと思うな!」
「父さんには聞いてないんだけど…」
お父さんの言うように本当に魔法なんて本のようにこの世に存在するのだろうか?
私はそんな疑問を抱きながら、少し冷めてしまった残りのフレンチトーストを黙々と食べていった。
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私は朝ごはんを完食し、カバンを二階に取りに行ってから一階に戻ってきて、今はお母さんの仏壇の前にいる。
私のお母さんは、さっき言ったように亡くなっていて、小学校に入学してから私はお母さんの仏壇の前で毎朝何か一言行ってから登校している。
「お母さん、今日二学期の始めの登校日なんだ。夏休みなんてあっという間に終わっちゃったよ。みんなと会うのは久しぶりだからなんだか緊張しちゃうな。じゃあ行ってくるね。」
私は一本線香を立てて、登校するために玄関に向かった。
お母さんの仏壇にはとても綺麗なシオンの花が飾ってあった。
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「じゃあ兄さん、放課後ね!」
「あぁ、遅れたらすまない。」
「了解!」
お兄さんと私は帰宅部なので、いつも放課後は一緒に下校している。兄さんぐらいの運動神経があればどんな部活でも行けそうなのに。実際たくさんの部活から勧誘来てたもんな…
私はちょい運動できるくらいで家でゆっくり絵を描くほうが好きだから帰宅部にしたんだ。
私は昇降口で兄さんと放課後一緒に帰る約束をして別れて、自分の教室に向かっていた。
この学校では、上から四階が三年生、三階が二年生、二階が一年生とフロアごとに教室は学年が違う。
前兄さんが教室まで送ろうかと言ってくれて、嬉しかったけど、イケメンでなんでもできる兄さんと一緒にいると女子の視線が痛いし目立つから断ってしまった。
兄さんには悪かったかなと思っている。
(体育祭も終わったし、次は文化祭か…)
そんなことを考えていると教室につき、私はドアを開けて入って約一ヶ月ぶりに自分の席についた。
「おはよう杏ちゃん!」
「おはよう莉里華ちゃん。」
この子は親友と言うほどではないけど、まあまあ仲のよい莉里華ちゃんだ。
少し高い位置に結んでいる茶髪のツインテールが可愛らしい子だ。
基本的に私に親友と呼べる人はいない、あの頃から。
「ねぇ杏ちゃん今日の朝のニュース見た?」
「うん、見たよ。」
「あの事件やばくなかった!?手から炎を出すだなんて魔法みたいだよね!」
「あぁ確かに。でも兄さんは幻覚じゃないかっていってたなぁ。」
「へぇ、海斗先輩ってそう言う考え方するんだ」
莉里華ちゃんは兄さんの顔を思い出したのか少し頰を赤らめている。
(兄さんはかっこいいのに、なんで私には可愛さ遺伝しなかったんだろ…悲し、)
「キャーー!!」
「あ、葵くんだ!杏ちゃんまた後でね!」
「うん!」
そう言うと莉里華ちゃんは葵くんのがいるたくさん人が群がって居るところに行ってしまった。
葵くんはクラスのリーダー的存在でかっこよくて、あの高成績じゃないと入れない生徒会にも入ってるし、陽キャで、とても女子からの人気が高い。
私は彼とは真逆でいつもクラスでは浮いている、世間で言うところの隠キャである。
初対面の人とはベラベラまではいかないが、すこしだけ話すぐらいならできて、ほんの少しコミュ障なのかなと感じることもあった。
「みんな元気してた?俺夏休み、みんなといろんなとこ行けて楽しかったよ!」
「葵くん遊び行ってたんだ!今度私も誘ってぇ!!」
「葵さぁ海水浴行った時、ナンパしようとしてたら逆ナンされてたなぁ」
「へぇそうなんだ!私も葵くんと海行きたかったなぁ」
「冬休み、みんなでどこか行けばいいじゃん?そんな落ち込むなって!」
そう言うと葵くんはニッと笑って見せた。
「「「キャーーー!!」」」
葵くん、自分がかっこいいと知っててあんな顔するのかな…
こんな感じのがうちのクラスの毎朝起きる恒例行事といったところだろうか。
(私の鼓膜いつまで持つだろう………って今葵くんこっちをちらっと見たような?…)
「キーンコーンカーンコーン」
「おらみんな全員席つけー!ホームルーム始めるぞー!」
「「「「「はぁーーい!!」」」」」
(気のせいかな?まぁあの葵くんが私のことなんて見ないか。)
チャイムがなって先生の指示でで全員席につき、朝のホームルームが始まった。
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