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作者: スーホ

小さいアパートの一室のドアがいつも開いている。



だいたい毎日、深夜の零時を回る頃に愛犬の散歩に出る。

仕事から帰り、食事して風呂に入り、軽くニュースでも見たあとに散歩に出るのが習慣となっている。



毎日通る、国道沿いにあるアパートが気になり出したのはもうずいぶん前のことだ。

一階は老人介護のデリバリーサービスをやっている会社らしく、この時間には誰もいない。

二階部分が4部屋分ほどの賃貸になっているのだろう。

ドアが等間隔に並んでいる。



ドアの前にはスポットライトの様に少し黄色味がかった明かりが点いている。

共用部分となる廊下には胸の高さほどの壁があるため、下の道からはドアなど見えないのだが、国道を挟んで反対側の歩道からならばドアの上の3割ほどが見える格好になる。



そのアパートの階段からみて一番奥の部屋のドアが、いつ見ても開けっ放しなのだ。

ごく稀に閉じられている時もある。

だから、ドアが壊れているなどでは無いようだ。


愛犬の散歩コースは、ちょうど国道の向こう側を通るため、室内が見える。

見えるとは言っても、天井付近の壁が見えるだけで、室内がつまびらかになっているわけでは無い。

室内には弱い明かりがあるらしく暗闇というわけでは無い。

深夜なので、小さな灯りでも十分に目立つ。



気持ちが悪いのは、そこを通るときにかなりの確率で人がいる事だ。

人が住んでいるのなら居て当然なのだけれど、私が道路の反対側を通過しようとしたタイミングで人影がドアの外に出てきて、ウロウロした後また室内に戻る。

それがわかるのは廊下を構成している壁の上に人の頭らしき黒い物体がひょこひょこ見えるからだ。



ドアのすぐ外にあるライトが照らしているためある程度遠くからみえる。


他に通行人がいてもそのドアに変化はない。

しかし、私がそのアパートの向かいを通ると、タイミングを見計らったように人が出てくる。

毎回ではない。

何も変化のない時もある。

しかし、それは本当に稀なケースである。


センサー等で自動的に反応しているとは思えない。

部屋の明かりに変化がある時まである。



動く人影がこちらを見ているようには見えない。

ゴミを出しているとか、玄関を軽く掃き清めているとかそういう感じなのだ。


私は毎日完全に決まった時間に行動しているわけではなく、11時台の時もあれば、1時前になることさえある。

それでも毎度、私が通るタイミングで何かしらの動きがあるのだ。


その部屋の住人が四六時中せわしなく活動していて、私のタイミングに重なっているだけなのだろうか。

とてもそうだとは思えないが。



以前からその場所は、国道を少し気味の悪い影が走っているのを目撃した場所でもある。


国道沿いを散歩コースから外すとルートがかなり制約を受けるため悩んではいるが、最近はその場所を避けることを検討している。


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