36話③ 暗殺一家
零地「…奴らは?」
浜津陸曹長「まだ見えませんがもうそろそろでしょう」(双眼鏡で村を確認している)
エレー「軍は何しにこの村に来たんですかね…?」
零地「一応自分達の国だし、ただ立ち寄るだけだと思うが…」
モバンダ陸曹「通り過ぎて欲しいな」
龍馬「こんな所で相手してる暇はないんだよな」
マイルズ「アフガンでもこんな数を相手することないぞ…? しかも支援砲撃や空爆無しでなんてよ?」
するといつも前向きでポジティブなダナトが取り乱した感じになって零地達に
ダナト「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないだろ!? 国軍(帝国軍)と帝国義勇軍が隊列を組んで近ずいて来てるんだぞ!!?」
取り乱すダナトに困惑する
龍馬「お、おい…落ち着け、いつもと雰囲気が違うぞ?」
零地「(引っかかることを言っちまったか…)」
ダナト「落ち着いてられねぇよ!? もしかしたら自分の村が襲われるかも知れないんだぞ?! 今すぐ倒しに行くべきだ!!」
取り乱したダナトに零地は冷静に
零地「故郷や村の人達を守りたい気持ちは分かった。だがこっちは少数だ。いくら技術力で勝っていても相手は1万…分が悪すぎる」
そしてレミアも零地に続き
大魔術師レミア「零地の言うとうり。日本の技術は確かに凄いし、大魔術師の私でも1万の数を相手するのは自殺行為」
ダナト「けどよ…!」
納得しないダナトに、零地はダナトの目の前に立って
零地「誰かを守りたい気持ちは痛い程分かる。だがその気持ちだけで先走ったり考え無しに動くな。何もかも失うぞ」
ダナト「っ…」
強めに言われたダナトは不満げに、人がいない方へ歩いていってしまう
エレー「ちょっとダナトどこ行くの?!」
するとマティナが
マティナ「…ダナトはバカです。見てきます」
ダナトの後を追いマティナも行ってしまう
零地「…やっぱり毒口だな」
エレー「あれでも十分心配してるんですよ?」
零地「心配のしかたがな…?」
エレー「否定はしません」ウム
零地「…っと言うより、マティナはダナトの気持ちを分かってるのか?」
モバンダ陸曹「分かってないと思うぞ?」
マイケル「ダナトは男だが、どちらも恋愛には疎そうだからな〜」
エレー「マティナが人を好きになったことって今までありませんでしたし、ないですね…」
零地「だろうな」(笑)
龍馬「マティナはエレー大好きちゃんじゃないか?」(笑)
エレー「えっ!?…\\\\\\\\」(顔真っ赤)
モバンダ陸曹「どっちかと言うとエレーの母親じゃないか?」
龍馬「確かに」
エレー「で、ですよね…?」(ホッとする)
マイケル「(もっとツッコムところあるだろ…!)」(汗)
そして日が沈んだと同時に村の入口で動きがあり
浜津陸曹長「隊長、見えてきました。…やはり凄い数です」
零地も双眼鏡を覗く
零地「…幸い歩兵だけって感じか。全員明かりを消せ」
龍馬「(ライフルが欲しいぜ…)」
そして村の入口では…
フェレード「村長、俺が相手する」
村長「いいのか…?」
フェレード「住ませて頂いているお礼です」
ダナトの父親が司令官の前に立ち
フェレード「軍の方がどう致しました?」
司令官「…村人共を1箇所に集めろ」
指揮官「ハッ! 村人を捕らえよ!」
フェレード「な、何をする!? 離せ!!」
村長「やめてくれ! 離してくれ!」
兵士達がダナトの父親達を捕まえて村の中央に連れていかれ、その様子を見ていた零地達は予想外のことが起きて
浜津陸曹長「兵士が村の中央に民間人を連行しています!!」
零地「クソっ! 読みが外れたか…!!」
モバンダ陸曹「零地、どうする…?」
零地「…まだ殺されてないんだよな?」
浜津陸曹長「見た感じは集めてるだけですが、乱暴的です。…そのうち殺されますよ?」
そして零地は銃を強く握り
零地「………皆、恩を仇ので返さないよな…?」
全員頷く
零地「…なら、やるか」
龍馬「やるっきゃないよな」
平塚 栗落花二等陸曹「けどどうするんです? 相手との数は段違いです」
マイケル「ひゅうがに支援要請でもしてみるか?」
零地「…やってみるか。龍馬、頼めるか?」
龍馬「任せろ。誘導や監視もしてやる」
零地「じゃあ俺らは村人の救助だな」
大魔術師レミア「私達も行くよ!」
エレー「はい!」
ランデス「はい!」
ヴァルダ「…」
その頃ダナトはマティナに慰められ、落ち着きを取り戻していて…
マティナ「……落ち着いたか?」
ダナト「うん…ごめん、皆の前で感情的になって…」
マティナ「私は構わん。他の全員にちゃんと謝れ」
ダナト「そうするよ…」
マティナ「……ダナト、聞きたいことがある」
ダナト「えっ? なに?」
マティナ「お前、剣の腕はイマイチなのになんで私達と一緒についてきた?」
ダナト「えっ!? そ、そ、それは…色んな…理由があって…」(焦)
マティナ「…言いたくないなら別に構わん」
ダナト「えっ、あっいや、ちが、あの、えっと…」(焦)
マティナ「…」
ダナト「いや、その、えっと、ああ、えぇっと…」(焦)
オドオドするダナトにマティナはブチギレる
マティナ「だあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!! お前男だろ!? 男なら男らしくハッキリ言わんかぁぁい!!」
ダナト「ぎゃあああああああああ!! すいません!! マティナのことが好きになって勢いでついて行くことにしたんです!!」
マティナ「ならもっと自分が似合う武器を使えぇぇ!!」
ダナト「すみませぇぇぇぇん!! …ってえっ? そこじゃなくなi…」
っとそこへ零地達が来て
零地「2人とも来い!! 村の人達が軍に捕まってるぞ!!」
ダナト「ええ!!?」
マティナ「自分の村の人達を守りたいんだろ? ほら行くぞ!」
急いで村まで降りた時には村の人達は全員中央へ集められ、占領されていた
指揮官「村の者を全員集めました」
司令官「なら村を焼け。家畜はもらってけ」
指揮官「ハッ! やれ!」
兵士達が村のあちこちを焼き始め、家畜も連れてかれる
村長「む、村が…!!」
男性村人「おら達の財産(家畜)が…!!」
村の建物が次々と燃やされ、家畜も奪われ、これに我慢出来なくなったダナトの父親が司令官のもとまで行って
フェレード「おい!! なぜ自分の国の民にここまで酷いことが出来る?! こんなことしたら帝国の崩壊に繋がるだろ!? それにあんたも司令官ならこの村を襲うのはダメだと知っているはずだろ?!!」
司令官「…もちろん知っているさ」
フェレード「なら…なぜやる??!」
司令官「なぜ…? …選択権は常にこちらにあるのだよ」
フェレード「なっ…くっ、どうやら忘れてるみたいですが私ら一家と、この村に手を出したらどうなるか、忘れたみたいですな…?」
司令官「フッ、忘れてはない。しかし、その手段を選べばお前は居場所を失うぞ?」
フェレード「そちらの命も危ういかと…?」
司令官「ほぉ? ならやってみるがいい」
フェレード「なら…容赦なく…」(悪い笑)
その時兵士が慌てた様子で走ってきて
兵士「報告! 村の南でニホン隊を発見し戦闘状態へ。ここに向かってきております!!」
司令官「やはりニホン隊を匿っていt…」
ドォーーーーーーーーーーーーン!!!
司令官「なんだ今のは?!!」
指揮官「逆方向の北の方からだぞ?!」
別の兵士が走ってきて
兵士「報告! 北側で、ラジュー・ヤラマーンド・ビスカルが確認されました!! 北側の我が軍は壊滅したもよう…!!」
司令官「なっ…なに!?」
指揮官「あのラジュー・ヤラマーンド・ビスカルだと…?!」
司令官は真っ青になり、非常焦って
司令官「ニ、ニホン隊なんかどうでもいい!! 英雄ビスカルをどうにかしろー!!」
兵士「は…ハッ!」
するとその瞬間司令官に向かってダガーが勢いよく顔面に飛んできたが、肩に刺さる
司令官「グオッ…!?!」
指揮官「司令!!」
指揮官がダガーが飛んできた方を見るとダナトの父親がおり
フェレード「仕留め損ねた…」
指揮官「へ、兵士!! そいつを殺せ!!」
兵士達がダナトの父親を囲うとそこにアサシンのような恰好をしたダナトの母親が兵士達の前に出て、ダガー二刀流で次々と薙ぎ払っていく
兵士「ゴホッ!」
兵士「ガバッ!」
サレン「…来なさい、その首狩りとってあげる…」(笑みを浮かべる)
指揮官「っ!? 司令官を後方へ! 他の兵はこの者達をやれ!」
兵士「ハッ!」
兵士「ハッ!」
兵士達がダナトの親達や村人達を囲うとダナトの兄もアサシンのような服を着てダガーを持ち現れる
レーゼスト「やってくれるじゃねぇか…」
サレン「それでどうするのあなた?」
フェレード「…レイジ達が来ている。それまで耐える」
レーゼスト「俺達がやるって言ってるのに勝手にやりやがって」
サレン「それは後にしなさい? 今は耐えるだけよ…?」
レーゼスト「分かったよ…」
一方零地達は村に降りてクーガーを盾にして中央へ向かっていた