099話 動き出したヘキサグラムの状況⑦
友好団体のクラン雌虎で、何故か包囲されて緊張の瞬間を拓斗達は迎えていた。
やや緊張しながら拓斗は・・・突破する事は容易いが、おトキさんに悪いからな、さて・・・どう切り抜け様か?同じく緊張しているミウが「拓斗、此は一体何?」「なんやこれ、どない成っとんねんな?」「拓斗さん・・・どうすんスか?」突発的な今の状況で、ゴールデンローズの面々も可成り緊張している・・・
それを見たミカゲが「あ!ご免・・・ご免なさい言い方が悪かったわ、アンタ達が出て行こうとしたから、アハ♪アタシ慌てちゃったね」話し振りも途中から徐々に砕けて来て「と言う事は?」警戒していた拓斗も様子を伺いながら問い質す・・・
やや恥ずかしそうにミカゲは「報告書をざっと読んでいたらばさ、最後に出て来た此の一枚に、トキの姉さん達が大変君のお世話に成っているから、アンタ達を持て成してくれ、と書いて有ったのよ、慌てたお陰で言葉の使い方を間違っちゃった」テヘ♪とでも言い出しそうな雰囲気で、可愛らしく舌をペロッと出した。
話の途中から拓斗達も他の女性達からも、緊張の糸が抜けて警戒を解きながら「副代表ぉ~もう勘弁して下さいよ」「メンゴ!メンゴ!アタシが悪かったわ、許してみんな・・・」「まぁ、仕方無いすけどね、副代表は慌てん坊さんだから・・・」その場の全員から生暖かい目で見られているのだが、ミカゲは平気そうだった。
だが数少ない何人かの実力者は、底の見えない拓斗達の雰囲気に内心では(何此?嘘でしょ、何だよこのガキ共は・・・)などと考えて戦闘回避は願ったりだった。本当の所は心底ホッとしていたのだが、それを理解出来無い程度のお調子者は、口々に副代表を揶揄っていたのだ・・・
堪らないのは拓斗で「全く冗談にも成ってませんよ、万が一があればおトキさんに済まない、などと本気で考えて居たんですからね、次からは無しにして下さいよ」負ける事など微塵も考えて居ない拓斗は、やや上から目線の物言いだったのだが、子供の体付きと変声前の声では格好が付かない・・・
しかしミカゲは、そんな事には何の拘りも無く「ご免ねぼく、いや、この手紙では拓斗君だったね、お願い・・・代表にアタシが下手を打って逃げられた!何て知られると、アタシの顔も丸つぶれ、何だったら土下座でも何でもるするからさ、気を悪くしないで歓迎を受けてよ」両手を合わせてニコリと笑いウインクした。
ミカゲの内心では・・・手紙には【世話に成った実力者達だから、気を付けて取り扱え、後接待も忘れるなよ!】何て追記してあるから真逆こんな子達がねと、悪戯心でチョット試しただけなのに、何此地雷なの?時限爆弾?もう完全に冷や汗ものだわね、心の中では涙目だわよぉ――――――!恨んで良いよねトキ姉さん・・・
ホッと緊張が解けたセラは「チョット焦ったスよ」「だわね」「訓練が行き届いてまんなぁ、流石は雌虎さんや」ミウもガッチャもやや非難気味にミカゲを見たが、拓斗は一瞬(俺達試されたのか?)などと考えていた。
勘違いとは言え命令一下、一糸乱れぬ動きを見せた面々が「副代表は偶にあるの」「そうそう、もう毎度の事ね」口々に言いつのるので(勘違いだったのか・・・)少し許り誤解を解くと「もっとトキさんからミカゲさんの人となりを聞いて置けば良かったかな?」「まぁそう言わずお願い♪」
再びミカゲが今度は全員を拝む仕種をするとミウが「仕方無いわね」「自分は良いスよ」「ワイも構しまへんで大将、どうせ宿屋で食べるのも、此処でご馳走に成るも同じやさかいにね」「何言っているの、当然泊まっていって貰うわよ、お泊まり決定!」「泊まる?女許りの此処でですか?」「そうよ、何か文句あるのぉ?」
やや驚きながらも拓斗は「此処は男子禁制でしょう」「大丈夫よ、子供だからね」「いや不味いよ」俺達の実年齢は子供じゃ無い、などと内心で喚いても、見た目は子供だった「まぁ♪背伸びしてきゃわゆい、お姉さんもう食べちゃいたいわ♡」
拓斗の顔を豊満な胸にブニュ♡と押し付けて、軽くプルプルさせると、そんな事をミカゲは宣った。ミウやセラからの冷ややかな目線を、拓斗は痛いほど受けたが、内心では、危ない所だった。思わずパフパフしてしまいそうだった・・・
因みにパフパフとは・・・又はぱふぱふは、柔軟な弾力を持つ物の状態を形容する擬音語。或いは作者の個人的なイメージ的表現では、豆腐売りのラッパをパフ~♪パフ~♪と鳴らす柔らかいゴムの部分的な所を握る感じです。皆様には諸説異論は御座いますでしょうが、当作品ではこの説を強引に採用させて頂きます。作者拝
閑話休題・・・
他の雌虎一同も同様な感想を抱いた模様で「ぼく遠慮するなよ」「そうよ僕ちゃん達、何なら今夜お姉さん達が一緒に寝・て・上・げ・る・・・♡」などと言う者も出る始末で「それでは段取り始めぇー!」ミカゲの号令一下、雌虎の面々は有無を言わさず拓斗達を歓迎する為に動き出したのだ。
広い食堂に案内されて「お客さんは此処、ゆっくりしていて居てね♪」などと広い食堂のホールなのだが、端っこで座らされた。
見ているだけだったのだが、大勢で料理を作り出す者や飾り付けを始める者、見る見る僅かな時間で、沢山在った机や椅子が或る程度片付けられ、次第に用意の方が調えられて行った。
テーブルクロスは新しい物に変更して幾人かで歓談出来る様に配置、広い場所では立食パーティ形式の模様だ。何故なら周囲では屋台の様な物が持ち込まれている、そして沢山の食べ物やお菓子の類いが別のテーブルに並べられて、飲み物なども各種取り揃えて個人個人が適当に作る方法だ。氷や水そしてカクテル用に添える果物なども段取りしていた。
横にやって来たミカゲが「ウチはパーティーが始まると上下関係無く、気が付いた人が飲み物を作るのよね、個人的にも強い人と弱い人がいるし、自分で加減したい人が居るからこの方が良いのよ、食べ物も乾杯が済んだら自由に取ってね、一応は度数の低い、麦酒やワインもあるけどお酒は駄目よ、さっきロズの子達から聞いた話しでは、アンタ達は未だ未成年だからね」などと説明をしてくれた。
肉や魚の焼き物、揚げ物、ピザなどの粉物?ン・・・粉物コーナーで「何でウチのスラが彼処にいるんだよ?」「あれ?あの人達はお仲間何でしょ?」「仲間なんだが・・・」「ロズの子達が、お仲間の焼いたたこ焼きは、絶品だったと言うので、お願いしたのだけれど駄目だったの?」「いや良いよ、本人がやりたいのなら構わない」一体どうやって入って、その上あんなに融け込んでいるんだよ?不思議だ。
既に千手観音降臨モードで、次々と焼き上がった物を開始前から配っていた。
ジャッカで同様の作業をしたのだが、スラ達にはザイオンの街には入らずに、周囲の転移マーク設置予定地に分体を残す作業を頼んでいた。その方が効率良く分体の位置に拓斗が転移をして、場所の確認を済ませば、数時間掛かるところの手間を短縮が出来るので採用した方法だった。
拓斗が従魔であるスラ達の居所を調べようとすれば分かる様に、スラ達も拓斗の居所が感知出来る模様で、何時の間にか雌虎本部へと来ていた様だった。
どうやら作業が終了して遊ぶ気満々なのだが、可成り好評な様で列が途切れない、ミウねえとゲボも手伝い初めて、焼き上がりにソースをツーンと塗る係、魚の削り節と青海苔を振り掛ける係にと、分業して神がかっているスラの補佐をしていた。
慌てたミカゲが「こりゃ駄目だわ!早速始めなくっちゃ♪」などと言いながら前に出て「はぁーい注目!今日は素敵なゲストをお招きしています」拓斗達を手招くと前に寄せて紹介する・・・そして「それでは既に食べ始めている人も居るけども、カンパーイ♪」口々に笑顔で「乾杯!」と続いた。
その後は色々と聞かれた・・・トキさん達の活躍話が当然受けたが、自分達の事は話せる範囲内に留めて楽しい時間を過ごした。因みに部屋で拓斗が一人の時、予告通り酔ったお姉様軍団が乱入、一騒動あった事を付け加えて置く・・・
やや早い時間に起き出した拓斗は、準備を調えてスラ達の分体へと転移、それぞれマークをして雌虎本部の割り当てられた部屋へと戻ると、同室のガッチャが起きて「ホンマご苦労さんでんな大将」「あぁ、昨晩は色んな意味で大変だったからな」「ショタ好みが仰山いてましたな、チョット笑かして貰いましたわ」
拓斗はイヤな事を思い出したが「あれから一緒に寝てくれて実際助かったよ、本当の所は夜のウチに済ませたかったんだが、分体は俺でも正確な位置が分かり辛いんだよ、だから助けが必要なんだが、スラ達も楽しんでいたからな、そう思ったから作業の方を遅らせた」
「偶にはよろしいやん、それよりも今日は城に行くんでっしゃろ?」「そうなるが話し次第では気を抜けなく成るからな」「分かってまんがな大将、そんときゃトンズラや」「あぁミウやセラはそんな機微は疎いからな、ポコの事も頼むよ」「任せといてぇな、逃げるんやったら一流やさかいにね」「あぁ頼んだガッチャ、そんな事に成れば助けに入り俺が足止め役をするよ、いざとなったら秘匿している転移を使ってでも逃げ切る・・・」
「そないでしたな、ロボスさんの言われる所では【良いかい君達、今度の一連の一件では、他の能力は兎も角、拓斗君の新しいマーク方式の転移魔法と、早瀬さんの疑似兵軍団の総兵力を秘匿して欲しい、此が僕達の切り札に成るから要注意だよ】とか言ってましたな」
「その様に言ってはいたが命には替えられない、ガッチャの諜報能力も命があってこそだろ、情報を持ち帰られなければ、まるで意味は無いからな、それと同じだ」「分かってまんがな大将、そや、昨晩はワイツ家の方でも会議をしとりましたで」
「そうだろうな、内容はどうだった?」「ワイツ卿はんが、意見をもう決めてはる模様で、最初にお心を表明した後は、会議の方を参加者の議論に任せ切りで、その後はずうっと黙ってましたわ」「五分五分か?」
「いや、四分六でやや旗色が悪るうおまんな、ワイツ卿の本心は全く話して無かったので分からしまへんのやけど、会議に出てた連中の話ではそんな感じでしたわ、あ!そや、家臣の中にランデルと呼ばれる人が居りましてな、そのオッサンは何やえろうステラ側の事を悪し様に罵って反対してましたわ、因みにあのボンは、いやラーハルトはんはこっち側ですわ」
ランデル?知らない名前だがな・・・などと記憶を辿ったが、身に覚えが無かった「そうか、心して掛かるよ、有り難うガッチャ」「如何致しましてや」ガッチャは同族支配スキルで鼠を動かし、その視覚と聴力を借りる事が可能に成っていた。
諜報で使うには未だレベルが低く一匹だけなのだが、可成りの距離が離れていても扱えて便利なのだ。上がれば大量に鼠を使役する事が可能だと言う話しなのだが、現状でもジャッカ領で既に活躍をした実績を持つ・・・
因みにこの能力は、オーク・ディザスターの襲撃戦以降にスキルが増えている事に気が付き、漸く強奪した能力としてガッチャもベットが可能に成った。その後セラからレベル2に成っていた頑強をレベル1分だけを賭けて戻して貰っている・・・
あの中にプレイヤーが混じっていたのだが、戦いの最中で気が付かなかったのだ。
拓斗達は朝食を済ませると、段取りを付けて「どうもお世話に成りました」拓斗が挨拶をすると、全員が頭を下げる「どう致しまして、又此方に来るようなら寄ってよね」ミカゲとゴールデンローズの三人が見送ってくれた。
イヨイヨ城へ乗り込む時来る・・・拓斗達は気を引きしめて雌虎本部を後にした。
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苛々とランデルは朝を迎えた。呼び出しを待つ間に執務室で家宰と会話している。
今朝はディオン家の養子が来る話しと成っていた為、昨日会議で此の同盟の反対を声高に主張をした一人だった「反目のディオン家ならそんな相手は最初から断れば良い」「いえ旦那様、ディオン家と申しましても、ステラ村のディオン家は別家で御座います」「そんな事は理解して居るわ」
一礼して家宰は「然様で御座いましたら問題は少ないかと愚考致しますが・・・」「彼処では甥を亡くしたのじゃぞ、お館様もさっさと断れば良い物を、相変わらず優柔不断であられるわ!」「その様な事を大声で仰られては、何処に耳が在るやも知れませぬ、ご油断を為されぬ様に」ジロリと睨むだけでランデルは押し黙った。
この家宰はプティマ縁の者でアルビルと言うのだが、長年ワイツ家では有力な家臣ランデルに仕えていた「旦那様、プティマのアルゴス様からの密書が、再び届いております」「又この儂を唆してお家乗っ取りを為よとでも言ってきたのか?」
眉をやや動かしたがアルビルは取り繕って「文面の方は勿論読んでおりませぬが、密使の口頭では然様な事も・・・」この時コトリと物音がしたが、チュウチュウと鳴き声がしたので、その後は気にも留めなかった。
「やはりな、お館様と儂は従兄弟同士じゃ、長年仕えて恩も有る、この儂をバカにしおって忌々しいわ、此のまま何方付かずでは不味く、単独では此方が負けそうな状態で無ければ、プティマ何ぞにザイオンが膝を屈する事も無いのだが、どうやら王太子殿下の方はやや旗色が悪いらしい・・・」
此手の情報は素通りさせている家宰だが、実の所クロノス経由でディオンの本家とも繋がっている曲者だった。ディオン本家は僭王とプティマ方に加担する模様で、知らせによると【どうせ縁が有るステラのディオン家は王太子方】とグラウスから知らせて来ていた。
其処へ拓斗達が来る話しが出れば、その報告の信憑性が増した所だった「旦那様、お館様は何方に付くお積もりで御座いましょうか?」「未だ分からぬが、ステラの方か・・・だがこの家の為にも儂が押し留めて見せるわ」「然様で御座いますか、それは私も安心致しました。どうやら王太子方は味方が少のう御座います故」
彼は組織の力を巧みに使い、ランデルの信用を得てからは、大過なく勤めていた。だがそれは上辺だけの話しで、組織にも忠実な手駒なのだ【今回の騒乱ではワイツ家を王方に付ける様に動け】と使令が来ているのだが、前回の使令では【ステラのディオン家と確執を作れ】だった。
不和の種を作る為、ランデルの甥っ子と、お調子者を扇動したのは彼だったのだ。
アルビルは昨夜密かに、闇に紛れてクロノスに使いを出した【ステラ村のディオン家から養子が使者として到着、確実な好機到来!】此により組織は使者暗殺に動き出す展開に成る筈だ。何故ならザイオンで、ステラ村からの使者が暗殺されれば、同盟の話などは消し飛ぶのだから・・・
出発前の僅かな時間を利用して、ガッチャと拓斗は、情報のやり取りをした・・・
情報収集が可能に成ったと言っても、集める中味が問題で拓斗達は未だ未熟だった「大将、今朝は盗聴しとかんで宜しいんでっか」「ガッチャは会議なんかの盗聴は出来ても、密談などの盗聴は偶然性が高すぎて、不特定な場所に居合わせなくては駄目だろう?だからな、其方方面はスラに任せるよ」
「そう言われればそうでんな、ワイの盗聴は一度に一箇所やさかい不便や、その点早瀬さんやったら大勢で張り込めるんやさかいに適任ですわな」「だろう、便利な奴が味方で助かるよ」「それで其方はどないでおますんや?」
「どうやら家臣の陪臣が夜間へんな男と繋ぎを付けていたらしくてな、追跡させるとザイオンの歓楽街へ向かったらしいんだ。其処での会話をスラの分体が聞けた」「ほぉ、それは興味おまんな、たこ焼きを焼きながら大したもんや、ワイは会議が始まると集中する為に折角のパーティーから態々抜けたちゅうのに・・・何や理不尽や、けどまあええわ、それでどんな事に成りましたんや?」
「俺を殺しに来る・・・」「えー!?」「し!声がデカい」「こりゃ済んまへん」
拓斗は淡々と説明するかの様にガッチャへ「確実に同盟を阻止するのなら、使者や養子を名乗っている俺が、此処でもし暗殺でもされたら話しもそれで終わるだろうからな、相手はそれを狙っている模様だ」「大変な事やおまへんかぁ!」「し!」
「来るのが分かっているのなら、警戒の仕様もあるだろうからな、安心してくれよガッチャ、だがミウやセラには心配を掛けたく無いな、それに変な警戒をされては敵の尻尾を掴み損なうかも知れない、だからガッチャが彼奴らを敵の不意打ちから守ってくれ、ポコを含めてな、俺の事は良いから頼んだ」「了解ですわ、この大役引き受けました」「あぁ任せたガッチャ」
「実は訓練を兼ねて大将に言うてへんかったんやけど、勝手に先程まで少し会話を聞いてましたんや、ランデルのオッチャンと家臣との会話をですわ、いや、旦那様と言うとったから執事かも?多分擦り合わせてへんから確実とはちゃいまっけど、早瀬さんが言うその陪臣かも?」「それはどんな話しだ?」
「オッチャンは、お家の為思うて反対する気満々でしたが、何やあの執事は微妙に焚き付けてましたわ、それに謀反の事までも話しとったな」「其方も何やら微妙にキナ臭いよな・・・」「オッチャンは謀反を否定してましたわ、それと甥御さんがステラ村で死んだとも言うてましたわ」
「甥御が死んだ?ヒョッとしてあの三人の誰かか・・・まぁ否定は何よりだ。だがその執事は可成り臭い、何か証拠があれば良いんだが、此の儘では手が出せない、か・・・襲撃者を捕らえて吐かすか?まぁ上手く行けばだがな」「それも含めての出たとこ勝負でんな」「何時もの事だよ」「まぁそう言うことでんな」
隣の部屋でボソボソと、男同士で内緒話でもしている様な声をミウは「何やら隣、怪しいわね」「単に仲が良いだけ何スよミウさん」「いや、ヤッパリ怪しいわよ、時折り大きな声を出したかと思ったら今度は更に低めて・・・」「ミウさんは耳が良いスからね、自分もスよ、蝙蝠の聴覚は凄いんス」「だったらアンタ、チャンと聞こえたの?」
ニヤリとセラは笑って「一部始終聞こえたス」「だったら教えなさいよ、私は所々しか聞こえていないのよ」「それでは教えるス、実はスね・・・」ポコも聞き耳を立てた事で、全員が共通の情報と成って仕舞った。知らぬのは幸せな二人のみで、彼女達も反対に拓斗を守る気満々だったのだ。
と言う会話の後、ミウ達と連れ立って雌虎を出発、途中で大事な人を迎えに行き、城の正門へとタクト達は、無事何事も無く辿り着いた・・・
其処にはラーハルト達と風のバインドが出迎えに来ていた「約束通り朝一番だな」「今日からの交渉、宜しくお願いするよラーハルト」「締結までには時間が掛かるものだ。先ずは実務者会議からだが、拓斗が相手で良いのか?」「いや僕では全く駄目だよ、勉強中だからね、此処に居る代理人が話しを進める事に成ると思う」
今朝、迎えに行ったロボスと護衛のギンガを、雌虎とは違う場所で待たせていた。そして途中から合流して二人は一緒に来ていた「お久しぶりですねラーハルト様、あの時は碌にご挨拶も出来ませんでしたが、銀狼のロボスです。そして同じく横に居るのは、銀狼のギンガと申します」ギンガは挨拶をロボスに任せた。
二人が頭を下げると、バインドは「久しいな二人共」「そうですねバインドさん、今回の交渉相手は、貴方とラーハルト様ですか?」「そうだ。お手柔らかに頼む」ロボスは社交辞令的に笑うと「此方こそ・・・」言いながら二人と握手した。
トキが瀕死の重傷を負った迷宮の通路で会った憶えがあるラーハルトは「あの時は動揺してちゃんとした挨拶も侭ならなかったが世話に成った。それにしても二人は知り合いなのか?」「はい、ラーハルト様、一時は共に競い合った宿敵?で御座いました」「成る程、だったら早速始めようか、会議室を準備して居る」
案内をされた其処には、数人の文官僚が同席して記録係などが控えて居たのだが、対する席の上位に見知らぬ男が不満そうに座っている・・・
挨拶を受けて拓斗は、この人がランデルか・・・やや堅肥りで強面、鼻の下に濃い髭が生えて、強面軍人の代表か?と感じる程の雰囲気を醸し出していた。
ロボスがそんな相手でも気後れせず、やや飄々とした物言いで「それでは早速始めましょう」宣言する様に口火を切った。
長い交渉の開始は、こんな感じで始まったのだ。
そう・・・ステラ村とザイオン双方の運命が懸かる交渉事がだ・・・
拙作ですが楽しんで頂ければ幸いです。次回の更新予定は12月26日です。
何時も応援有り難うございます。又ポイントが上がるのは、励みに成ります。
此れからも頑張りますので、感想などを聞かせて頂ければ幸いです。作者拝
細かな部分の言い回しやその他で気が付いた間違い等を随時訂正しています。




