097話 動き出したヘキサグラムの状況⑥
上手く天然の要害を利用して作られたザイオン城、その麓にあるザイオンの街へと到着した拓斗達は、その規模に驚く事に成った。
ザイオンの街に到着した拓斗達は、やや小高い丘に建つザイオン城を眺めていた。
平野が主で中央に河川が流れている・・・その中で起伏を上手く利用しているのがザイオン城で、その麓には街が拡がっているのだが、内陸部という地勢的に不利な所を長い年月を費やした万全な治水で、川を利用する事で不利を補い、物資輸送の一翼を担っているのが特徴だ。
真上から俯瞰すると瓢箪型、大きな円と小さな円が川を挟み橋で繋げている街だ。
因みに小さい円には転移陣、そして大きな円の方には城がドーンと鎮座している。
元々は小さい円を中心に発展して行った模様なのだが、次第に規模が膨れ上がり、防衛上有利な対岸の丘に城を移転させたことから大きな円が発展した、と言う話しなのだが実に利に適った状態だ。
余談だが共に獣魔避けの外壁で囲まれていて、最悪の場合でも橋を落とせば、転移陣からのスタンピードや敵の軍勢などを防ぐ事も容易い・・・
対人戦でも役立つ程度の高さは確保している模様で「6メートルはあるな・・・」「そんな雰囲気でんな」「個人的な感想を言わせて貰えれば、アレくらいなら跳び越えられるわ」「ミウさんの言う通りス、自分も出来るスね」「俺でも個人的には破壊も出来る・・・だから獣魔と通常の軍勢対策だろうな」
「城の方は10メートルほどでっか?」「見た目ではその位だな」「堀があるし、相対的な高さは変わるわよ」「ミウさんの言う通りスね、此処からでは見えないスけど、当然ながらあるスよ、昨日丘から見たスもんね」「だったわね」
拓斗は呟く様に「流石は元伯爵家だな、今はワイツ家が子爵に降爵されていても、威勢の方は全く変わらない様だ」「北に行けばアルビオン、西北西にはプティマ、南西にはジャッカね」「ミウ、その先にはステラ村とサウス・ザイオンだからな、此処は真に交通の要衝だ」
東側の話が出て来ないのは、中央山脈で遮られて東の辺境伯領とは疎遠だからだ。
その山脈からふんだんに流れて来る水が東から西へと流れて、ザイオンを中央から分断しているのだが、少し先で南へと向かい、山脈の麓を流れる大河へと発展して行く・・・この水が肥沃な土壌を産む元だ。そして河川を利用する事で中流のザイオンと、下流のサウスザイオンが近く成ると言う寸法だ。
話しながら門に到着すると、一行は指示されて列の最後尾に着く、その間も話しは続き「街だけど行政区分の方は市スよね」「確かそうだったよ、こんな大きな所の子爵家跡取りだったら、ラーハルトも天狗に成っていて仕方無いかな?」「そんな訳無いわよ」ミウが突っ込むと「そうだったよ、環境と本人の資質だった」
本来は昨日の遅くにでも、ザイオンの街に到着は出来て居たのだが、ワイツ卿との面談を終えた後にアビス達と打ち合わせなどをして、ディアナ達には不確定要素が多いから一旦帰るか?と相談したが聞き入られず、仕方無いので昨日先行させて、連絡する迄は大人しく宿屋から動くな!と指示する一幕もあった。
ガッチャが昨日の事を思い出して「ワイはあのボンとお初やったんやけど、会って見れば聞いとった話しと感じが全く違いましたわ」「あれから半年だからな、屹度凹んだ後、ラーハルトは随分頑張ったのだろう」「そうね、アタシもそれは素直に見直したわ」「自分もスよ」
日頃は無口なポコが「ラーハルト様に対してはやや複雑デス」それを聞いて拓斗は「色々とあったからな、気持は察するよ」「はいデス、けれどポコは恨みません、悪いのはあの三人ですから」「そうだな、怨みを引き摺るのはポコの為にも悪い、前向きに生きた方が良いよポコ」「はいデス」
長い列に並びながら拓斗達は彼是と、取り留めも無く話していたが、暫くしてザイオンの街へと入る審査の順番が来る・・・
数カ所在る城門の入口で、本来はカードを提示すれば、意図も簡単に通り抜けが出来るのだが、拓斗達は不十でもステラ村発行の身分証明書とギルドの身分証明書の二つで通り抜けるしか無い・・・
ジャッカ領でも此手の作業が煩わしかったのだが、OWOの運営がほぼ間違い無くカードを利用していると考えている限りは、拓斗達には必要な手間だった。
証明書の真贋を見極める為の作業をしている間に門の審査官は「何故カードを使用しないのか?」や「成人した許りの者達数人で何処へ行くのか?」等々の聞き取り調査が行われるのだが、予め決めてある受け答えを全員が口裏を合わせて告げると「よし、分かった。入市税は一人銀一枚だ。それを払えば通ってよし」
ニヤニヤと笑いながら「おおきにオッチャン有り難う」ガッチャがお礼を言うと、やや若そうに見える審査官は嫌そうな顔をしたが、手振りで通行を許可した。
因みに入市税の支払い証明書は、この時点から一年間は有効で、カードが無くても此を見せれば、出入りの方は自由に成るらしい・・・但し他所の商人は別で、荷物に対する税が掛かるのだが、地元商人は別の売上税方式なので、納税を済ませて仕舞えば鑑札が貰えて、出入りの方は簡素化される模様だ。
入市税の支払い証明書は、この街に於ける審査済みの証明でもあり、税金を払ってでも一旦入れば、何かと得に成ると考えられるザイオンの様な大きな街の特権だ。無論小さい街や行政の方針で税金額を抑えたり、或いは内需拡大を目指して、人を呼び込む為に無税の市町村なども存在するのだ。
考えた物で川が交通の邪魔をして、銀一枚程度で一年間橋が使えるのなら安いと思わせる・・・河川の渡しを使う手もあるのだが、回数を重ねると足が出る寸法で、地形を上手く利用しているのが巧みだ。
余談だが無税にした結果、財源不足などで審査を緩めると、人は集まるのだがその質が問題で、歓迎できない無法者達が増えたりするのだ。そして反対に治安維持で費用が嵩み、内需が拡大しても痛し痒しの場合がある・・・
通常は最低限でも税を徴収して審査官の費用を捻出、出入り審査を厳しくする方が得策でもあり、民の安寧にも繋がると言うのが一般的なものの考えだ。
因みにディアナは偽名の証明書を段取りして、クラン雌虎の会員証も作って貰っていた。更にメンバーのカムセラとアムセラが同行していたお陰か、入市税を支払うだけで素通りした様な安易さで、既に昨日から滞在潜伏している・・・
余談だが雌虎本部近くでは、双子の二人も顔が指すと言う事で、メンバーが余り来ない反対側の別地区で、最高級の宿屋で滞在している、などと言う念の入り様だ。
カムセラとアムセラは、憧れの高級宿に泊まれるとあって、実は贅沢を楽しんでもいたのだが、ディアナだけはもう不満タラタラだ。宥め役も彼女達の仕事に成って仕舞っていた・・・
話しは戻るが、ガッチャは審査官の態度にどこ吹く風だったのだが「大将、毎度冒険者カードが無い、冒険者を詐称するんは骨が折れまんなぁ~」「アタシも同感」「自分もスよ」「はいデス」「あぁそうだな、俺も同感だ面倒臭いよ、ステラ村のギルドで身分証明を協力して貰っているから、詐称の問題は無いんだが・・・」
やや笑いながらガッチャは「まぁ歳は誤魔化してるんやが、此は見た目がもう10歳では通らんから仕方おまへんな」「何でアタシが15歳なのよ」「自分もスよ」「俺何か見た目は12歳くらいだけど、人族は成長が遅いと言い張っての15歳、言い訳するのも一苦労だよ」
チラリとポコの豊満な胸を見て、誰も疑わない容姿を拓斗は羨ましがる・・・
ガッチャは15歳相応の、いや少し老けた顔で「ワイはもう十分大人顔やさかいに問題おまへんが、普通10や其処らで旅は無理でっしゃろ、それやったら言い訳にもう成人やと言える方が宜しいやん」「確かにそう何だが・・・」
拓斗は溜息を吐きながら「実際、村や小さな町規模なら問題も無いし、何らかの理由で持っていない奴も多いんだけどな、此処みたいに行政がシッカリしている場所では、もうカードは必須アイテムに成っているよ」「そうでんな大将、個人的にも便利やし、行政の方も市勢調査や市民に納税させる為、便利使いしてまんねんや」
毎度の事だがやや審査官に対する言い訳に疲れた拓斗は、ガッチャの尤もな意見に屈して「そうだよな・・・」「けれど最近はカードを持っていない人も増えているのかもね」「ミウ、どうしてそう思うんだ?」
拓斗が問い返すと「だって大勢の人達が入市審査を待っていたじゃない」「そうでんな、確かに多かった様な気がしまんな」ガッチャも同意すると「徐々にカードが敬遠されて来ているのかもな・・・」拓斗は首を傾げながら呟いた。
今回の審査官は真面目タイプで、結構な質問を根掘り葉掘り拓斗に対して行った。
ガッチャも半分ほどは同情しながら「行政にとって便利な道具やさかいに強制してでも使うんとちゃいまっか、ワイらにも今回の審査官はその点をクドいほど聞いて来てましたやんか、まぁ大将は年齢の事で辟易してましたけど・・・」「まぁそう何だがな、貴族や大商人、その他噂で聞き込んだ者達は、使っていない筈だよな、だったらこの不便な状況を変えたいと思うのは自然だろ?何故そうしないんだよ」
反問されてガッチャは「そない言われたら、まぁそうでんな、ホンならこんなんどないでっか?金持ちや権力者には、カードを使用しないシステムが構築されると、恐らく都合が悪いんとちゃいまっか?自分らは利用せんと一般民だけに押し付けるんやから、そんなんバレたら大事でっせ、難儀な話しやろうと思いますわ」「そうかもな・・・ガッチャの言う事が意外と的を得ていそうだ」「そりゃおおきに」
答弁に聞き飽きたミウはアッサリと「まぁ何れ答えは分かるわよ」切って捨てた。
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カード談議をしながら進んで行くと通りの角に備前屋の看板が見えて来た「大将、彼処、備前屋はんの店ですわ」「ガッチャは頼まれ事があるんだろ、先に済ませて来いよ」「そうでんな、ほな遠慮無く、ポコちゃんも手伝ってぇな」「はいデス、分かりましたガッチャさん」
ステラ村の特産品やら物資を届けて、替わりにザイオンの商品をステラ村へとガッチャは持ち帰る・・・所謂中間業者や輸送を担う事で利益を得ていたが「その間に俺達は冒険者ギルドにステラ村迷宮の素材を渡して来るよ」「其方も行きたいんやけど、もう大将に任せますわ」
辺りを見渡して拓斗は「だったらこの先に見える広場で集合だな」「了解ですわ」「アタシは拓斗と行くわ、セラはどうする?」「自分も拓斗さんと一緒が当然良いスよ」「なら三人だな」「良いわよ」「了解スね」
例の一件以来、セラは拓斗から離れる事は無い、対抗意識を燃やしてミウも同様で「相変わらず大将はモテまんな」「何の話しだ?」拓斗は惚けているのでは無く、実際ミウにもセラに対しても、体付きは兎も角も、精神的に現在は同年代とは見ていなかったのだ。
だがガッチャは「惚けんでも宜しいやんか、お二人の事でんがな」言われて初めて拓斗は二人を見たのだが、何も言わずに先へと進んだ。
セラとつい最近だが素っ裸襲撃事件があった許りだし、今恋愛を話題にするには、俺もだがセラにも微妙?何だよな・・・と内心では判断が付かなかった。
二人は真っ赤な顔をしてガッチャを睨んだが、自分自身はニコニコしながらポコと楽しそうに備前屋へと入って行った。
ミウ達は慌てて話題を変え様と先にミウが「あの二人・・・この頃ヤッパリ怪しいわね」「そうスねミウさん、最近はポコちゃんも満更で無い様子スよ」「二人共、一体何の話しだ?」
未だにポコが拓斗に対してほの字だから、変な勘ぐりを本人に告げると悪いかな?などと二人は考えて、慌てて話題を変えた事をやや後悔しながら「何でも無い話しだわよ」「そうスね、ミウさんの言う通りス」「何だぁ?仲間はずれかよ」
やや拗ねた様な物言いを二人は可愛らしく思ったが「女同士の話しだわよ」「そうスよ拓斗さん、女同士ス」と誤魔化した。
広大な町並みは、ステラ村とは違っていて、やや無秩序に発展した模様だが、結構高い建造物も多く、見ていて圧巻だった。
その高い建物の間から悠然とそびえる様に見えるザイオン城が、白亜の宮殿とも見紛うほどの白一色で、ザイオンの財力と威勢が近隣では一番と、持て囃されている事が伺える・・・
その中央通りを歩きながら拓斗は、女同士ね・・・関わらん方が無難かと追求する事を諦めた「お、彼処が冒険者ギルドだな」「その様ね」「拓斗さん、今回はどの範囲で卸すスかね?」「俺達の身分なら初級止まりだよ、だが俺が聞いた話しではステラ村産の品物はやや高く買ってくれるそうだ」
セラは話しを聞いて「それは楽しみスよ」「そうね、アタシ達には活動資金、お金が必要だから仕方無いわね」「それはミウ、もう解決しそうだよ」「どうしてよ」「実は備前屋に魔の国特産の品々を売ったら喜んでいたんだよ、定期的に向こうのタクト達が集めた品々を売る事で、バカ高い品物を購入でもしない限り、もう十分金銭面ではやって行けそうな感じ何だ」
ミウは拓斗の話を聞いて「ならどうして此処来て商売をするのよ」「擬態さ、変に目を付けられない為に、敢えて目立たない取引をするんだよ」「成る程スね、成人したてポイ自分らが、変に金回りが良い事を誤魔化せるス」「まぁそう言う事だ」
「分かったわよ、只しアタシは口を出さないわ」「それは俺が何とかするよ」
ギルドの造りは何処でもほぼ一緒で、冒険者が余所に出掛けても、態と使い勝手が変わらない様に大差は無いのだが、規模はその利用客数に応じて建物や中の窓口が多かったりする・・・
拓斗が美女二人、ミウやセラを連れて入ると「おい見ろよ」「ああ何だぁ?」どうやら定番の展開で、ミウやセラの容姿に見とれた若い連中が騒ぎ始めた。
ステラ村では雌虎のお姉さん達に可愛がられた拓斗達は、こんな展開が少なかったのだが、ジャッカを皮切りに幾度か経験して、ボチボチ慣れて来た頃だった。
絡んで来た三人組、年の頃なら二十歳前だが何となく荒んだ生活状況が滲み出て、何故か台詞もお決まりの定番だった「ようようお嬢ちゃん、そんなちんけなガキの面倒を見てないで、俺達と遊ぼうぜ」「違えねえな、楽しくやろう」拓斗は窓口で話し中だったが、此手の話しなら二人に任せ様と、もう見向きもしない・・・
チラリと見たミウは鼻で笑う様に「フン!」たったのひと言、セラは同情する様に「止めた方が良いスよ」などと小馬鹿にした様な事を言うものだから、当然ながら三人組は熱り立つ・・・
ガタイの大きな男が「何だとぉ~!俺達を何だと思ってやがるんだ。表へ出ろ!」流石にギルド内で暴れる事は自重した様だが、更に無視を決め込む二人と、拓斗は我関せず買い取り窓口に向かって一人で歩き出した。
火に油を注いだ拓斗達に、男達は我慢の限界を迎えたのだが「おい!悪い事は言わない止めときな、お前達程度が相手なら瞬殺だぞ」「そうそう、この三人の中の、たった一人にでも、万が一勝てたのなら、お前達はその時点でC級相当だからな、半端なお前達では無駄無駄」言われて振り返る三人は熱り立った「何を・・・」と言い掛けたが相手を見て押し黙る・・・
其処には地元ではそこそこ有名な顔見知り、便利屋のガンズと索敵屋のオロンが、ニヤニヤとしながら立っていた。男達三人は「此はガンズさんとオロンさん、だがどうして余所者を庇うんだよ」「俺達はお前達を庇ったんだがな・・・」オロンが事もなげに言うと、ガンズも「全くだ!お前達、俺達が偶然居て命拾いをしたな」
言われている事に納得が行かない三人だが、やや不自然に二人の美女を見る・・・
数量も少なく一般迷宮と変わらない品物を敢えて卸した拓斗が、買い取り窓口から早々にこの場へと帰って来て「あれぇ?アンタ達は確か・・・」「何だもう忘れちまってたのか?そりゃねえぜ、なあ相棒」ガンズが嘆くと、溜息を吐いてオロンは「俺達はあの時、全く影が薄かったからな・・・」
セラはそれを聞いて「あ!思い出したスよ、ラーハルトさん達といた冒険者の二人スね」「そう言えば確かにそんなのが居たわね」ミウも何気に素っ気ない・・・
三人は此のD級二人を下っ端扱いしているのが見え見えで「何でアンタ達が此処に居るんだ?」拓斗が問うと「俺達は地元、此処に居て当たり前なんだよ」ガンズがふて腐れた様に言うと「そうか、悪かったよ」拓斗も素直に詫びる・・・
ガンズは漸く話が出来ると「だが久し振りだな坊主達、元気だったか?」「まぁ、一応は・・・」「姐さん達はどうだ?此処暫くはステラ村に行ったと聞いたがな」「トキさん達なら相変わらず元気だよ、ステラ村でも見事に大活躍さ」「然もありなんだな、ガハハハ」何時の間にか退散した男達は既に影も無い・・・
暫く二人と話しをしてスラのたこ焼きが話題に出ると「今晩食事でもどうだ坊主」ガンズが誘ってきた。だが拓斗は「二三日仕事があるんだよ、その後なら良いけど此処には長居しない予定だから、有り難い話だけど又の機会にでもお願いするよ」「そうかそれは残念だ。俺達も明日から依頼がある、仕方ねえが此でお別れだぜ」
拓斗は思い出した様に「いや助かったよ、もし相手に怪我でもさせたら面倒だったからね」「酷いわね、アタシ達を加減が出来無い愚か者扱いだわよ」「そうスよ、何気に拓斗さん酷いス」「アハハハ、ご免ご免、それじゃ二人共元気で」「おう、又此処へ来たらギルドにでも伝言を残してくれ、俺達もあの時の礼を是非したい」
「了解しましたよ、それでは・・・」後の話しだが、拓斗は申し出を快く受けた。
そして冒険者ギルドで三人は商売を終えて、待ち合わせ場所へと向かうのだった。
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合流した一行はザイオンで転移は不味いなと、宿屋で一夜を明かす事にした・・・
拓斗がクラン雌虎の本部を探している「宿屋を探す前にトキさんからの頼まれ事を済まそうか」「そないでんな、確かぁ・・・本通りの目印・・・あ、おましたわ」目印を見付けて曲がり、教えられた場所をガッチャは探し当てると、曲がった先にピンク色の子猫が描いてある看板を見付ける・・・
話しを聞くと子猫では無く、子供の虎だと教えられたのだが、可愛らしく描かれていて子猫にしか見えないのだ。営業中の昼間は出入りが自由らしく、解き放たれた扉から中を覗くと、用事で訪れている男以外は女、又女、そして女、女許りの場所だった。
中から拓斗達の様子を見ていた複数の人達から代表して、案内役の美人が「ぼく、何かご用かな?」女許りの集団にやや気圧されていた拓斗だったが気を取り直して「はい、おトキさんからの使いです。副代表のミカゲさんはいらしゃいますか?」
人物、人となりを伺う様に拓斗を見ると「ぼくは代表のお使いなのね?」「はい、書簡を渡してくれと頼まれました」懐から書簡を取り出して差し出す「そう、有り難うね、アタシがそのミカゲなの、ちゃんと受け取ったわよ」彼女は緊急だったら不味いと、拓斗の目の前だが早速書簡を読み始める・・・
拓斗が勘違いで案内役だと思っていた美人は、副代表のミカゲさんだったのだ。
年の頃なら二十代前半?若く見えるのだが、おトキさんのパーティーメンバーだと聞いていたので、拓斗は少し驚いていた(二十歳前だと言われても、ちゃんと通用しそうな容姿だよな・・・)そしてクラン雌虎のメンバーが大勢いるこの場所で詐称しても意味が無く、全く拓斗は何の疑いも無く手渡して、反対に仕事が終了した事に安心した。
偶然居合わせたご当人に直接受け渡せたので、任務終了なのだが其処へ「あれぇ?拓斗さんじゃ無いですか?」「え!だれ」拓斗は少し顔を振り向けると、元ロズの黄金薔薇リーダーだったロゼッタ、そしてシゼルとミュールが立っていた。
何だか昨日今日は半年前に関わりがあった人達と、次々に遭遇するな・・・拓斗がそんな事を考えて居ると先にセラが「あれ皆さんお久しぶりスね」「何だか次々と会うわね」ミウも同様の感想を抱いた模様だ。
スッカリと成長したポコもゴールデンローズの面々に「お久しぶりデス」怖ず怖ずと挨拶をすると「誰だいこの子は?」三人とも不思議そうにポコを見る・・・だがミウがポコの胸元をチラリと見ながら「成長したポコだわよ」強烈な破壊力がある胸の装甲と、背丈も伸びてポコとは考え付かなかったのだ。
驚いたゴールデンローズの三人は揃って「えぇー!?」一頻り驚いた後「あのガリガリのおチビがこんなに成ったのかい?」ロゼッタが口火を切るとそれぞれが褒めそやし、人目も憚らずに胸を触って遠慮無く弾力や大きさを確かめると、大人しいポコは反対に真っ赤な顔をして黙ったまま恥ずかしがった・・・
彼女達は何時もの調子なのだが、女の園で暮らして居る三人は、こんな時には全く配慮と遠慮が無い・・・散々玩ばれるポコの胸は「良い感触だわね♪」「凄い!」などと話題を独占していた。
其処で見るに見かねた拓斗が「お元気でしたか皆さん」女同士で盛り上がっているのを邪魔するのも気が引けたのだが、ポコがもうタジタジ状態だったので助け船を出したのだ。
拓斗に問われてロゼッタが「まぁね、故郷のロズ村からは遠く離れたけど、此処は居心地が良いから楽しく過ごしているわ」「そうだね、レベル相応の仕事も切れずにシッカリ回して貰えるから、あの頃よりも懐は当然温かいわよ、どう?此れからお姉さん達が奢るからお礼をさせてよ」シゼルが誘うとミュールも「賛成だわね、アレからの話しもしたいわ」ロゼッタもウンウンと頷く・・・
しかし拓斗は「いや、悪いけど遠慮するよ、明日一番にはワイツ家に訪問する事に成っていて、今は未だ早いけど今日は宿屋で、閣下との拝謁準備やら休息をとって置きたいんだ」「なぁ~んだ詰まらないわね」シゼルが残念がると、残りの二人も残念そうにしていた。
だがロゼッタは「だったら良いお勧めの宿を紹介するよ」「それなら有り難い話しだからお受けするよ」「なら決まりね」ロゼッタの返事にセラは「食事の美味しいところが良いスよね」「任せてよ」ロゼッタはサムズアップして請け負った。
話しながら連れ立って出て行こうとした時、突然ミカゲが「お待ち!みんな、この子達を此処から出すんじゃ無いよ!」広いロビーの様に成ってた場所に居合わせた二十人ほどが早速動く・・・
その指図に従い周りを囲んだ女、又女、そして女達が拓斗達の行動を阻止した。
拙作ですが楽しんで頂ければ幸いです。次回の更新予定は12月19日です。
何時も応援有り難うございます。又ポイントが上がるのは、励みに成ります。
此れからも頑張りますので、感想などを聞かせて頂ければ幸いです。作者拝




