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ツイン・タクト (外部世界の不思議な物語)  作者: スラ君
第三章 転移 魔人族の国、獣人族の国
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094話 誤算だらけのミーメ 中編

誤算で身動きが出来ないミーメ、対するタクトは今迄の疑問を知ろうとしていた。

タクトには、反抗的な眼差しを向けるミーメだが、エルーザには素直な模様だ。


考えた末にタクトは、先ずエルーザに質問をして貰おうと「エルーザ、尋問は先に頼むよ、その方が素直に話して貰えそう」「成る程じゃ、ならば妾から先に問うとしようかの・・・」「何なりと」ミーメも素直に応じた。


内なるミーメは・・・可笑しい?何故じゃ?理解が出来ぬ・・・混乱中だった。


別部屋は同時体験をしている筈なのに、何故か急にその感覚が希薄と成ったのだ。


素直には応じたが、実際の所は凄く焦っている・・・何故なら別部屋のミーメとの繋がりは未だあるが、反応が薄く連絡が付かない、何かあったのか?何時もは女を抱く位の事でも、五月蠅いくらいに指示がとんで来るのに、肝心な時には何時ものだんまりかよ・・・(別部屋のミーメは仕事の関係で、時折り連絡不通に成る)


実際ミーメは、過去エルーザから縛りを受けたが、既にその状態を脱して元の様に魂転移が可能に成っている・・・只長年この身体に馴染んだ事と彼の性癖、いや、彼らの趣味を行うには、オークの世界は都合が良かったのだ。と言うよりは、元のミーメにオークの欲望が影響して、悪い方に加算されていた・・・


自分が作った決まり事「法律じゃ!」と言えば人々は従い、誰もが敬服して気持ち良い、女が足りなければ、遠征してでも手に入れて、贅沢も思いのまま飽食三昧、こんな世界は元のミーメも、当然心地が良いものだった。


執着心が生まれる・・・この状態を何時までも続けたい、こんな事で・・・過去の亡霊の様な相手に邪魔をされたくない、しかし、過去に絶対者として君臨していたエルーザは、今でも怖い、恐ろしい・・・


だが縛りが解けている以上は、何時でも此の身体から抜け出して、別部屋のミーメへと魂の大部分を移せば、生き残れるから安心だ。とも考えて居たのだが、現状はエルーザの言霊に、意思が束縛されて逆らえない状態だった。


だからミーメは、混乱している・・・戸惑っている・・・だが何とかしたい。


王国で絶対者として君臨しているミーメは、大昔ならいざ知らず、今の彼ならば、特別に得た力も存在していて、エルーザ相手でも負けない位の自信を持っていた。


だが言霊を含んだ命令に逆らえぬ状態に驚き、彼は信じられない思いだったのだ。


しかもそれは、時間を追う毎に強まって行く・・・


ミーメとてこの王国の支配者なのだ・・・


矜持もあれば自負もある・・・昔のオークは弱く虐げられる存在だったが、過酷な状況を生き残る事で、各々がレベルアップを果たし、知識を与えて貴族にもした。広大な領地を治めて繁栄させた今のオークは、数で相手を圧倒出来る程に成った。


嘗て不死の王に故郷を追われたミーメは、悔しさをバネに訓練の方法を工夫して、自らに役立つ軍団を編成し、そして戦う事で更に上位個体を増やした。そして今の繁栄を築いたのだ・・・


余談だが、彼の若さを保つ為、取っ替え引っ替え男女の別なく生気を吸い取った。


一人から吸い続けるとその個体が持たない、などと言う事情も存在して、その結果何時の間にかオークの殆どが、彼の血を受け継ぎ、世代を通じて相手種族の特性をも取り込み、強い個体が生まれながらにして存在する様にも既に成っていた。


とは言ってもたかだかオークレベルでの話しではあるのだが・・・


因みにミーメが、女や男を取っ替え引っ替えするこの行為が、オークには「陛下は気前が良い、女に執着しない」などと思われ、尊敬されている誤解もあるのだが、都合が良いので彼は否定しない・・・


元々道徳心など存在しないのだ。好き勝手を彼はしていただけなのである・・・


閑話休題・・・


戦えば烏合の衆でしか無いオークは、勝っている時には無類の強さを発揮するが、一旦劣勢状態に陥ると生存本能が働き途端に脆く成る・・・その劣勢を覆してきたのが、別部屋のミーメから送られて来る敵の情報だった。


今、その情報源が断たれて、ミーメは混乱状態に陥り、嘗ての様な屈辱的な状況に追い込まれて、不本意ながら昔と同じ追従や従服、弱かった当時のへりくだった態度を何故か歓喜を交えてさせていた。


訳も分からない、自分自身では認めたくも無い恐怖心を持ちながらも(クソ!糞!クッソォ~オ!何とか連絡を付けて情報を貰い、会話を続けて相手の真意を探り、今の状況を変えねばならぬ、逃げられない状況を探って、何とかこの場を脱出する方法を探らねば成らぬ・・・)必死に考えていた。


既に負けを認めている事にも気が付かない程、ミーメの精神は追い込まれていた。

実際、会って見れば、嘗ての強大なエルーザを思い出し、負けいぬ根性が発露する。


同時にエルーザは・・・此奴どうにも腑に落ちぬ、今は遜って居るが怪しい事此の上無い、縛りを強くする為に力を強化して居るが、目の奥で妾に対する反抗心が、ふつふつと伺えるわ、どれ試してやるか・・・


エルーザはミーメをジロリと睨んで「何でオークの分際でじゃ、今迄生き延びられたのじゃ?」タクトはOWO運営の事を聞きたかったのだが、エルーザの質問にも興味が湧いて黙っていた。そしてミーメは「新たに生気を吸い取る力を得まして、若さを保ち身体を強化して、何とか今迄生き延びまして御座います」


因みにこの能力を買われてOWOの運営参加に引き込まれ、魂転移の罠と魂吸収のシステムをミーメは開発、その後別部屋の彼は、深く関わっていたのだ。その中でスライム細胞を研究し、生体衛星や生体プローブなども開発、そして運用していたお陰で、情報収集では抜きん出ていた。


それを利用して本体であるミーメの王国建設に寄与、自らの欲望を満たす為に女を攫い、喰らい、貪り、彼は本体と同化、或いは追体験する事で、自分の利益として享受してきたのだ。本体は本体で権力欲、支配欲、色欲などあらゆる欲を満たして彼は至福の世界を得ていた。


再び閑話休題・・・


未だ試す様にエルーザは「成る程のぉ・・・生気か、魂を吸収するのならばじゃ、そのエネルギーは膨大じゃ、オークの分際で、長年生き延びた事を褒めてやろう、じゃがそれだけではあるまい、まず正直に申して見よ」「エルーザ、彼は生気とは言ったけど、魂とは言って無いよ?」答えの前にタクトが指摘する・・・


エルーザは「良い質問じゃタクトよ、普通ならばじゃ、エネルギー吸収なら魔力やマナなのじゃ、それでも活性化されて肉体や精神の若さを多少は保てるがの、だが生物の気を吸う事は、魂を吸う事と同義なのじゃ、動植物を食べる事で生きて居る者共は、栄養とその魂の一部成りをも奪う行為なのじゃ、此奴の場合は直接吸って居る様じゃがの・・・」


「流石はエルーザ様、ご明察恐れ入ります」ミーメが肯定すると「そうなんだね、取り敢えず分かったよエルーザ、僕達も罪が深い、と言う事もね・・・けどそんな事をして、吸われた方は無事なのかなぁ~?」


エルーザが先に答える「大量に吸われれば駄目な筈じゃ、徐々に少しずつならば、まぁ何とかじゃろうの・・・」「へぇーそうなの?」ミーメに改めてタクトは顔を向けると、忌々しそうだが「長く吸い続けると身体が持たぬが、征服した種族なら関係が無いからな、一気に魂を吸い付く尽くす場合もある・・・」


魂の吸引が出来る!と言質を取ったエルーザは「と言う訳じゃがお主、ミーメよ、魂を分離させる事も可能じゃ無いかの?」「はい、ゆっくり分離してから取り込む方が、相手への影響は少なくて済みますです。昔ならいざ知らず、近年同胞には、専らこの方法を使いますです」


エルーザは含み笑いをしながら「そうじゃと思ったわ」分離も出来る!との言質もミーメから取った。


ジロリとミーメを睨み、エルーザは「貴様は謎の組織と関わりが深いのじゃろう?セラに対して随分と執着して居ったしの、何らかの方法でセラに命令が出来ると、信じ込んで居った模様じゃし、もう誤魔化しは効かぬぞ・・・」「それは・・・」ミーメの目が泳ぐ「それは、からの後は何じゃ?」ニヤリとエルーザは笑う・・・

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

その頃ガイアは・・・


幾重にも防御の障壁が設けられている「そんな物、僕には通用しないし関係無い」などと呟きながら解析を開始したいのだが、予想外に優秀なシステムで、ガイアも可成りの苦労をしている・・・デップリと肥えた体のミーメを拘束して、頭の中を覗き見ようと試みているのだが、此方も思わしくない「何故?」


幾度も破壊した障壁が次々と復活しては、ガイアの侵攻を邪魔して進まない・・・


既にガイアの感覚では、半時間ほどは経過しているのだが、一向に進まない作業に焦り苛立っていた。強固な防壁に綻びが出来たのは、ミーメに何処からか魂が割り込み隙が出来たからに他ならない・・・


ガイアは思わず「やったね!」と叫び、直接機械に繋がっているミーメを通じて、システム本体に割り込む事に成功した。大事なファイルを探し出してプロテクトを一々解析、徐々にだがデーターを抜き出して行った。


しかしその時、邪魔が入ったのだ・・・


最初に不審を感じたのは、シュミットだった。中央管制室と言っても過言では無いその部屋で「何だ?次々と秘匿ファイルが開いている・・・」調べて行くと、サブリナ達の部屋では無く、ミーメとアルベルトが使用している部屋のコンソールから引き出されていた。


シュミットは、急いで新たな障壁を展開して「ヘイムが構築した本丸迄には、未だ到達はしていないが、障壁が破られるのも時間の問題だな、既に汚染された場所は仕方無いが、中央だけでも守らねば成らぬ」などと考えて汚染場所を確認する為、彼は内緒で設置していた部屋をモニターする監視装置を作動させた。


各部屋には、監視装置が無いと言う建前に成っていたが「問題が発生したのなら仕方無い」独り言を言いながら見ると、其処には見た事が無い「男?いや女か・・・だが誰だ?此処へ侵入出来るとは信じられんな」暫く何者か?と考え倦ねて様子を伺っていた。


左右の手で機械とミーメの頭を探っている様子が映し出されると「如何イカン!」慌ててシュミットは、部屋毎隔離して別空間へと放逐した後、彼は躊躇いなく爆破した。現在の場所からヴァルハラを移動させて、シュミットは急いで破壊した部屋に瞬間移動で舞い戻り、正体は未だ不明のガイアと対峙した。


全く無傷な状態で佇むガイアは「君・・・だぁれ?」シュミットは、ガイアの巫山戯た質問が妙に腹立たしく「お前こそ一体誰だ?ミーメはどうした?」「彼なら死んだ様だよ、全くの無防備で、核爆発級の攻撃を受けたんだからね、蒸発しちゃった」ガイアは詰まらなそうに話す。


端末を破壊すれば、取り敢えずはデーターの漏洩は防げると、咄嗟に考えての処置だったが、此処迄侵入が出来た相手だ。そんな侵入者を確実に排除出来ている?と迄は考えておらず、シュミットは確認と後始末をする為に此処へと現れたのだ。


シュミットは、再び問い質せずには居れなかった「お前は誰だ?」「僕が聞きたい話しだよ、もう一度聞くね、君誰?」お互い正体は隠しておきたい二人だった。


シュミットは内心で(此奴はヤバイ・・・俺よりも数段は格上の相手だ。こんな問答をしている場合では無いぞ)と考えて次の行動へと移った。


問答無用でシュミットは魔力を最大限に込めた火炎の一撃を放つ!だが核爆発級の攻撃すら凌ぐガイアに効く筈も無く「温い、温いよ♪」今度はガイアが、見えない手を複数伸ばして、シュミットを拘束しに掛かる・・・


シュミットも逃げる契機になればと放った魔法だったが、全く効き目が無い・・・伸びてきた何かに対して、更に危険を感じて逃げるシュミット・・・


だが追い詰めるガイアは「逃がさないよ、折角の手掛かりだからね」


既に人でも無く・・・動物でも無いその姿は、ひと言で形容しがたい状態だっが、その強力な意思は、ヒシヒシと伝わり、シュミットを焦らせる「此奴に捕まれば、ヤバイ・・・」武術達人は強く成れば成る程、相手の力量が理解出来ると言われているが、そんな次元の話しでは無い、生物としての格が違い過ぎる・・・


後悔しながらシュミットは「あのまんま、逃げていれば良かった・・・」臍をかむ思いだったがその時「ドゴ――――――ン!!!」何者かの攻撃を受けたガイアの動きが一瞬だけ鈍る「今だ!」異空間から脱出を果たし「俺は助かったのか?」


「アレ?逃げられちゃった・・・大失敗だよ」一瞬ミーメの驚きに満ちた顔を思い出して「思い切りの良い敵だ・・・反省、反省しなくちゃね、だが次こそは目にも見せてやるぞぉ~!」大声を出して頭を切り替えると「反省終了!先ずは仕入れた情報の解析からだけど、拓斗に何と言い訳すれば良いんだか・・・憂鬱だよ」


シュミットは、別の異空間へと逃れたが、高鳴る鼓動を感じながらも全神経を尖らせて、追跡者の有無を確かめる・・・


其処へ突然念話が入り〔幾度かの転移を繰り返してからの後に戻って来るが良い〕〔畏まりましたヴォータン様〕〔何者かは知らぬが、儂の一撃を蚊ほどにも感じて居らぬわ〕それ程恐ろしい相手だったのか〔感謝致しますヴォータン様〕


ヴォータンは内心で・・・ミーメが居らぬのなら、今の仕事を早々に切り上げて、此処は早速見切らねば成らぬ、彼奴のお陰で以前よりも格段に進化した効率の良いシステムじゃ、此処が危ういのなら別の場所で再開すれば良い・・・


などとヴォータンは瞬時に損得勘定を済ませて〔ヴァルハラ宮殿のシステムこそが大事じゃ、相手のことは全くの正体不明じゃが危険はおかせぬ、準備が整い次第に次の目標惑星へと移動させよ〕〔畏まりました〕〔このアウターワールドも見切り時やもの・・・〕


呟きながらミーメを損切りするとは、先の見えぬ愚かな部下を持った物じゃ・・・だが瞬時に痕跡を消しながら幾度も転移を繰り返して、ヴァルハラ宮殿へと戻ったシュミットの考えは、ヴォータンと違っていた。


ヴォータンの前で額ずき「ならばヴォータン様、この世界をこの私めに頂けないでしょうか?」「何をする積もりじゃ?」「此処を足掛かりに独立したく存じます」恐怖心を抑えながら請願する・・・


そう言えば此奴、最近はこの儂に内緒で色々と画策をして居る様子だったな・・・バレて居らぬと考えているのかもの、まぁこの位不遜な奴の方が使うには楽しかったのじゃが、今回の不手際は此奴の所為じゃろう・・・


勝手に大量の魂を集めよって目立つからじゃ!其処を恐らく何者かに突かれたのに相違ない・・・此奴も既に見切り時?まぁ何れは敵の事も遠からず知れる筈じゃ、どうせ捨てるのならば、好きにさせるのも又一興か・・・


しかしアレは何じゃったのじゃ、超越者なら見つかった時点で此方は終わりじゃ、だからそうとも思えぬのじゃが別の勢力か?何にしろ警戒は必要か・・・


暫く考えたヴォータンは「永の年月よう仕えてくれたが、褒美も碌に与えなんだ。独立させるのは吝かでは無いのじゃが、此処は先程の者などに知られた・・・何者かは判然と為ぬが、我らとは恐らく相容れぬ存在、そんな危なそうな此の世界が、本当に欲しいのか?又別の世界でも構わぬのじゃが・・・」


シュミットは遜りながらも「恐らく私めも、後少し魂を頂けましたら格の方が上がりましょう、何とか凌いで見せて外部世界を増やし、何れは再びヴォータン様へと献上させて頂きます」「その言やよし!ならばくれてやろう、格を上げた貴様と再びまみえる事を楽しみとする」「有り難き幸せ」


何じゃ以外に小者じゃの・・・格上げが望みじゃと言うのか、此の程度の野心なら好きにさせて、先程の相手を探る為に戦わせてみるのも一興「ならばじゃ、お前が使い慣れたヴァルハラの一部をくれてやる」「有り難き幸せ」


一つの惑星に匹敵する規模も巨大なヴァルハラ宮殿からその一部を分離させた。


それでもヴォータンは、未だ力不足と考えて「そうだの、今お前が使って居る部下達も添えてやろうはなむけじゃ、じゃがヘイムは連れて行く」「畏まりました。ご配慮感謝致します」「期待して居る」「成果を屹度お見せ致します」「うむ」


此れ迄シュミット達が使用していた、中央制御室からサブリナ達の部屋、その他を含めて分離した一角を与えられて、いつの間にか別空間へと移されていた。


因みにシュミットは一部所の所長であり、その他大勢の一人でしか無かった。


シュミット自身は中央制御室と勘違いしていたが、巨大なヴァルハラ宮殿の極一部だったと、この時初めて気が付き、組織の巨大さに改めて驚いた程だった。


ヴォータンは、過去には儲けさせて貰ったが、今はお荷物でしか無い損切り覚悟で子会社化した物へと、数ある本社部長待遇の課長級を子会社の出向社長待遇にして任せた、そんな程度の感覚で(シュミットの手際を確認してやろう)上手く行けば儲け物だと独立を許した。


だがヴォータンの楔から解き放たれて「相変わらず恐ろしいお方だ。だが此で俺も自由裁量が認められたのだ」沸々とシュミット自身は遣り甲斐が出て来る・・・


だが正体不明の何者かと、戦って倒さねばそれもうたかたの夢・・・シュミットは気を引き締めて「先ずは部下達の把握と、俺の格上げが最優先だな、それ迄は戦う事すら儘ならぬ相手の様だ。無謀な事は出来ぬ」独り言を呟きながら彼は自然と、異空間から与えられた自分のアウターワールドを眺めた。


少しだけ話しは遡る・・・


返事を渋る本体のミーメへと、エルーザは「ミーメ、何度も同じ事を妾に言わせる積もりかえ?」可成りの言霊を乗せた台詞に震え上がったミーメは「か、関係しておりますエルーザ様」「うむ、そうじゃろうの、妾の推察に間違いは無い筈じゃ、其処で何をして居ったのじゃな?ミーメ!」再び強く言葉を発した。


抵抗を見せるミーメに「案ずるでない、お主は妾が庇ってとらす故、何でも話すが良い」苦しそうにしながらも「上空生体衛星からの地上監視、生体プローブによる迷宮監視、魂転移による罠の構築と定着、魂エネルギーの収集などで御座います」


聞いて驚くエルーザは「結構派手に立ち回って居るの・・・お主が首魁か?」


首魁と聞いて飛び上がるほどに驚いたミーメは「め!滅相も御座いませんエルーザ様、これ以上はどうかお許しを・・・」「首魁は言えぬと申すか?」「はい、命が無く成ります」「此の妾が態々庇って進ぜると申してもか?」ミーメは黙って俯き返事とした。


震えるその様子を伺いエルーザは(余程強大な敵じゃと見える・・・)「ならばじゃ、組織の名を明かせ!」「そ、それもぉ、お答え申しかねます」「それでは目的じゃ、目的を話すのじゃ!」「それもお答え出来ませぬ、どうかお許しを・・・」「強制しても良いのじゃぞ?」その脅しに耐えかねてミーメは魂の離脱を試みた。


ミーメは大きな勘違いをしていた・・・


魂を何時でも肉体から転移、或いは完全に離脱できると勘違いをしていた・・・


ミーメは自らの意思でこの肉体を維持して、欲望を叶える為に態々残って居ると、大きな勘違いをしていた。実は魂の分離に成功して、単にそれが抜け出ていただけだったと、大部分は逃れたが根本の魂は、エルーザの縛りに阻まれて、制御を失い本体に縛られた儘、意識を別部屋のミーメへと強制的に移したのだ。


其処で体験した事は、ガイアに縛られ動けなく成った状態で気が付いた・・・


暫く様子を伺い、元からのミーメと別部屋ミーメの魂が融合した時に、ガイアへと千載一遇のチャンスが生まれた。だが暫くして部屋ごと隔離されて逃げる間も無く彼?イヤ、ミーメ達は爆死したのだった。


そんな事とは知らぬエルーザは「逃げたの?」「何か様子が可笑しいよエルーザ」タクトも同意すると、本体のミーメは突然暴れ出して巨大化した。


吹き飛ぶ様に崩れ去る塔の上層部、タクト達が居た部屋から上は瓦礫と共に下へと落ちると、物音に気が付いたオークは、エルーザが張った障壁を避ける様にして、上空から落ちてくる瓦礫に潰され逃げ惑い、右往左往して悲鳴を上げる・・・


今朝まで騒いでいたオーク達の中庭や奥離宮まで、悲惨な状況に成って仕舞った。


そしてタクト達の目の前には、理性を失ったオーク・ディザスターが立って居る。


タクトがウンザリとした眼差しを向けて「エルーザ」「何じゃタクト?」「此どうすんの?」「どうもこうもあるまい、何とか為ねばな・・・」「だよね、仕方無いやるか」「じゃが此処で戦うと、更に崩れて足場が不味いじゃろ?」「そうだね、それに侍女達が押し潰されて死ぬかも・・・」「ならば飛び降りて逃げるかの?」「それはそれで無責任な様でイヤかも?戦うなら此処しか無いかなぁ・・・」


ウンザリとした眼差しを今度はエルーザ自身がタクトに向けて「ならばじゃ、あの広そうな中庭へと参るかの?」「エルーザ、彼処にも大勢オークが居るよ」「今は逃げ惑うて居るから仕方無いが、妾達が向かえば直ぐに居なく成るわい」


懐疑的なタクトは「あの人達にとっては仮にも王様だよ?加勢で現れて屹度僕達が対応に追われて反対に難儀するかも?」「その時は逃げるのみじゃ、我を失のうて味方を害すればじゃな、それも無いかもじゃ」「そんなあやふやな憶測に僕は頼るのか・・・」「四の五の言って居らんで逃げるのじゃ!もう向かって来て居るわ」「了解エルーザ、下に行ってからだよな」


二人は破壊された塔の上部から飛び降りると、タクトはその細胞を柔らかくして、ポョ~ン!ポョ~ン!と何度かバウンドする・・・


チャッカリと元に戻ったエルーザは、タクトの手元にあり「さて本当の戦いだね」〔そうじゃなタクトよ、決着の時じゃ!〕念話で返事を返す・・・


「「「ズガガァ―――――――――――――――――――――――ン!!!」」」


大きな凹みを中庭に残して立つミーメ、イヤ、今はオーク・ディザスターと二人は向き合う・・・

拙作ですが楽しんで頂ければ幸いです。次回の更新予定は12月9日です。


何時も応援有り難うございます。又ポイントが上がるのは、励みに成ります。

此れからも頑張りますので、感想などを聞かせて頂ければ幸いです。作者拝

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