093話 動き出したヘキサグラムの状況④旅の始まり
颯爽とラプトルに跨がり、見送る銀狼のメンバーとオーク奴隷を残して、拓斗達はアルビオンへと向かった。其処で待つものは・・・
ボチボチ歩いて行くと拓斗は言ったが、こんな近くでは転移陣のマーキングをする気は全く無い・・・ステラ村とイーストアランに印しが出来ていれば、次の目標は現在建設中の砦と、この峠近くの旧関所に印を付ければ、暫くの所は終わりだ。
事前にロボスからは、最低限の設置箇所として、絶対条件のジャッカ、ザイオン、プティマ、アルビオンには、何時でも転移が可能な様に指定された箇所を諄い程、当該地図を見ながら説明して、都市の内外数カ所に設置する事を頼まれていた。
既に南門から出た迷宮の入口付近と、元ジャッカのカルロスが建設中の南砦付近、そしてザンザのノースアランには、旧転移陣でだがマーキング済みだ。
後に新転移方法によるマーキングへと、改変していく事に成るのだが、その過程で旧転移陣でも、既に設置されている都市の転移陣も、拓斗が一度認識すれば、新旧共に使用可能と成る事に気が付く・・・
個人的な都合(実は昨日の思わぬドタバタで、精神的な疲労と魔力が消費されて、立っているのが辛い)もあって「砦迄はスラ達に甘えるかな」「賛成スよ」「まぁ仕方無いわね」「それもええですな」「はいデス」「なら峠の上まで行ってくれ、頼んだよスラ達」〔あいよぉー!〕〔お姉さんも頑張るわ〕〔ゲボにお任せを!〕景気の良い返事をするなり一気に駆け上がる・・・
風景は飛んで行くようだったが、崖崩れの爪痕に何故か隧道が見えて来た・・・
未だ整備中で作業員が大勢いたのだが、隧道自体は開通している模様で「此の中にアランさんは居ますか?」「何だ坊主、アランさんなら砦に居るぜ」「有り難う」お礼を述べて拓斗達は通り過ぎた。やや歩調を弱めて「結構広いトンネルだよな」「そうだわね」「天井は半円形で何かの加工をしているスね」
「その様子だな、崖は態と崩して敵を封鎖したんだろうか」「確かそんな事を言うとった様な気もしまんな」「だが当分は崩れ易い土砂が載っているだろうからな、水を逃がす工事でもしていたんだろう?」「そう言えば両側に側溝がありますわ」「当分砂の除去は必須だな」
「けど効率はええんとチャイますか、崩れた土砂を撤去するより経済的ですわな」「そうだろうな、固めて道を付ける手もあるが、この方が一番良さそうだ」「所々修繕した跡があるスよね」「土砂の圧力に耐えられなかったんだろう」「それでも経った二ヶ月で此処迄にしたんだ。大した物だよ」通り抜けると旧関所に出た。
旧関所を最終防衛線とする構想で、石壁や防御施設を強化中だった。そして兵士を相当数駐留させる為、その施設などを建設中で、ジャッカ難民や前回の捕虜達が、人夫や大工として大勢働いていた。
ノース、イーストのアランでも同様で、恐らくこの先の砦でも然りだろう・・・
取り敢えず、関所の内外に印を付けると「此処も建設中だけど、可成り強固な物に成りそうだよな」「此処にも建設資材を置いていくんでっしゃろ?」「そうだな、イーストアランでも置いて来たが、此処の分を聞いていた通りに出すぞ」
ガッチャは勢い込んで「了解やで大将、ポコちゃんも手伝て」「はいデス」責任者に伺いを立てて、二人は事前に打ち合わせていた様な気の合い方で、次々と資材を始め生活物資を異空間から出して行った。
終了した頃、ガッチャは「次は砦でんな?」「そう成るな」「暫くは降りだわよ、昔ジャッカ領へ行ったんで憶えているわ」「あぁ、ミウ、俺も記憶の中にあるよ」「砦は屹度、此処から東に降りた三叉路だわね」「そうだな、そお言えば、サウスザイオンにも転移マークを付けたい所だがな・・・」「そう慌てんでも宜しいでっしゃろ?大将もせっかちでんな」ガッチャは笑い飛ばした。
拓斗は頷いたが行く機会を失い、近くでありながらサウスザイオンには、縁遠くて三年後に行く事に成る・・・
実の所、拓斗の計画では親書を受け渡す使者と、並行して頼まれている物資輸送や各所との連絡係などを頼まれている為、実際の所はステラ村とは可成りの頻度で、行きつ戻りつしながらの、野営など一切考えていない旅だった。
既に転移陣を設置してあったフレアの所へも、昨夜転移マーキングに差し替えて、何時でも温泉に入れると話した所、全員がもう大喜びで「お風呂セットを常に用意しなきゃ」ミウが発言すると「毎日楽しみスね♪」「はいデス」「そやけど大将、何でフレアちゃんの所に行ったんでっか?」此処でツッコミが入る・・・
一瞬ギクリとしたが「新しい転移方法が確立出来たんだ。だからフレアの所にも、頻繁に進捗報告をした方が良いだろうな、と思ったんだ。勿論従来の転移陣も使用可能だが、何だか慣れて来ると此方の方が使い易いんだよ」ガッチャや他の者達も納得した様子だったが、スラは拓斗の顔色を見て、少し腑に落ちない様に感じた。
しかし、敢えて気持を抑えてスラは「だったら旅と言うよりは・・・」「旅と言うよりは?」「日中だけのお散歩だわさ」「言えてるわね」「そうスね、散歩スよ」「散歩デス」「まぁ資金も稼がんとアカンからなぁ、しゃあないわ」「活動資金は大事だからな、後は携帯の方が出来れば俺も少しは楽に成るさ、頼んだよアイ子」〔お任せ下さいご主人様〕「アタシも頑張ってるわさ」「アハハ、スラも頼むな」「あいよぉー♪まっかせなさい」
そんな話をしながら旅の夕方には「未だ砦までは時間が掛かるな・・・」「急げば間に合うわさ」「そうか間に合うか、ならば急ごう」「あいよぉー!」やや速度が上がって夕刻前に到着すると「よう、初めてと挨拶しておこうか、俺がアランだ」「タクトの時に会っている様ですが、改めまして拓斗です」
アランはニヤリと笑い「あぁ、ウチの奴らに聞いているぜ。所で頼めば、イーストアランに俺を送ってくれるのか?少し話しは聞いているぜ」「はい、此方も生活の為の商売ですからね、気持ち良く働かせて貰いますよ」「だったら頼むわ、彼処の管理小屋に物資は納めてくれよ」「はいな、了解しましたわ」妙にルンルン気分のガッチャと、平常通りのポコが小屋へと向かう・・・
所在なげなミウとセラは「アタシどうしようかな・・・」「自分は勿論付いて行くスよ、ミウさんも一緒スね」やや明るい声で「セラがまぁ言うなら付き合うわよ」「了解だよ(少し大きな声で)ガッチャ後を頼む!」「了解ですわ、どうぞごゆっくり」ガッチャは、ポコと二人きりに成るのが嬉しい様子だが、ポコは拓斗へ頭を下げただけだった。
建築状況を確認して、一応アランへと伺いを立てる「此処へ転移マークを付けても良いですか?」「付けるなら既に出来上がっている部屋で良いだろうな、他の者に転移しているところを見られると、不味いんだろ?」「確かに」などと言いながら付いて行くと「此処の地下で良いだろう、この辺りには物を置かない様にするぜ」
拓斗はそれを聞いて「その必要無いですよアランさん、壁があれば十分ですから」などと話しながら繋げると、イーストアランの様子を伺い、転移接続を済ませた。
陣が必要だと思っていたアランは、ややビックリしながら「おい、いやに簡単なんだな?」「まぁ一応特別なんですよ、だから気兼ねなく何時でも言って下さい」とアランに試作信号発信器を渡した。
丸い球体で子供が遊びに使うサイズ、臍のような場所を押す事で、拓斗へと信号が送られる「今はこんな物しか出来ていませんが、何れ話しが双方向で出来る、携帯電話と言う物を作りますので、今の所はこれで辛抱をして下さい」「ほーう・・・それは楽しみだ。此で他と連絡が付かないのか?」手で球を玩びながら、アランは質問をして来る・・・
「今は僕だけです。他の人では感知の方が出来ませんので、それでも僕が伝言を伝える事が出来ますし、直接本人を送る事も可能ですから、僕の手間を考えなければ十分でしょ」「成る程な、だが確かに有り難い品物だぜ」「そう言って頂けると、僕も嬉しいですね、それに費用は頂きますから先程言った様に、どうか遠慮無く」既に通り過ぎて、フェル達がキャンプしている場所へと向かっていた。
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驚いたのはオークだった・・・
テントの設営や貸し与えられた小屋で、食事の準備などを進めていた所へ拓斗達が現れたのだ。逸早くそれに気が付いたレンカが「拓斗様、どうして此処に・・・」そう、数時間前に出て行った筈の拓斗達が、フェル達が居る本営に向かって歩いているのだ。不思議に思わない方が可笑しい・・・
昨日身に付いた能力だが、拓斗は既に自分の物へと為して、自在に操っていた。
奴隷が相手なので秘密をバラすな!と命令すれば済む事だったから、気楽に拓斗は「此は内緒だけどな、俺は特別な転移が可能でね、此れからもちょくちょく物資輸送の序でだけど、君達の様子を伺いに来るよ」「そ、そうなのですか、わ、分かりました内緒にしておきます」レンカは心底驚いた。
ハンカイ陛下ですら大掛かりな転移陣を使い、使用後は大層疲れると聞いていた。それを毎日知人へ挨拶する程度の気安さで、意図も簡単に行っている拓斗の実力に驚いたどころか、心底恐怖したと言っても過言では無かった・・・此処に居ないと言っても、油断が成らないお方だともレンカは考えた。
ギエン閣下と姉に相談して、他の人達の気を引き締めなくては、とも考えたのだ。
其処へ有り難い事に「頼むよ、或る程度の幹部なら仕方無いけれど、他の人達には知られたく無いからね」拓斗から情報共有のお許しが出る「はい、それでも疑問に思う者が出れば、どう致しましょうか」「その時は普通に行ったり来たりしているとでも言って誤魔化して欲しいな」「了解致しました」幹部迄なら良いと仰った。有り難い・・・警戒すべきはあのスライムでは無く、このお方なのだ。
そんな話しをしながら到着すると「ロボスさん、アランさんを連れて来ましたよ」「やあ拓斗君、ご苦労さん、さあさあ入って・・・」「全く便利な物だなロボス」「それ言えていますね、此で更に貴方をこき使えるよ」「勘弁してくれよロボス、この俺を殺す気かぁ~!」「冗談ですよアラン」「冗談に聞こえないわね」ミウが突っ込むとセラも「全くスよ」横で拓斗も頷く・・・
最近拓斗は、ロボスの人使いが荒い事に気が付き、上手く乗せられない様、可成り警戒していた「それでどうしますか、僕達は今夜直接館へと転移して、朝一番で用意されいるだろう筈の物資を受け取りますが、発注書などや伝言はありますか?」
ロボスは、昨日から使える様に成った拓斗の能力に、可成り期待してる「そうだね拓斗君、此を頼む」そしてその利用法と汎用性の高さを評価していた。
昨日のウチにアランへと伝令を走らせて「今日戻るなら拓斗君に転移を頼め!」とまで指示を出して、どの程度の使い勝手かを確かめる為に実験までしていたのだ。
手渡された書簡を眺めて「アランさん、今日はもう良いですか?」「あぁ此れから此奴と打ち合わせがあるからな、明日にでも迎えに来てくれよ」「分かりました。それでは僕達は、一旦砦に寄ってから帰りますね」「みんなに宜しくな」「はい、お任せを・・・」みんなに一礼した後、ミウとセラを伴い、その場から転移した。
その様子を見てアランは「全く世の中すべてが、ガラリと変わりそうだな・・・」「アラン、彼の存在は確かに大きな力だよ、だから未だ戦闘力、と言うよりは経験不足かな?それが原因で彼らを無くす訳には行かない、悪意ある罠や強者から彼らを守り、我々が補助をして助けていけば、見返りもデカい話しに成ると思う」
「便利なんだが確かに彼に頼り切れば、何かと不味いな・・・」「頼るのは僕達の出来無い事だけにしたいものだ」銀狼のメンバーも、大いに賛成と頷く・・・
ガッチャとポコを砦で回収して、所定の場所へと転移した拓斗は「先ず仕事だな、父さんのところに届けてくるよ、その間に段取りを付けて後からお風呂だ。迷宮に行くからな・・・」「此処のお風呂じゃ駄目なの?」「ミウ、一応俺達は此処に居ないんだからな、成るべく人目を避ける方が良い、必要な物資は俺に言ってくれ、父さん達に何とかして貰うから」「分かったわ」各々の部屋へと向かって行った。
今回の拓斗達の旅では、当初から転移陣を使って戻って来る事を前提としていた。
それを元に本館の東にあった子供部屋を、今日から無人と言う設定で、話しを合わせて隔離作業を行い、詳細を知っているのは極僅か、と言う事に成っている・・・
全員の住まいと、一部の秘匿ルートを通って、アビスの執務室へと入れる工夫をもしている・・・以前から万が一の際には、脱出口を子供部屋には設けていて、それを利用する話しに成った。
人の目に付かない為の苦肉の策で、拓斗やミウですら知らなかった秘密の回廊が、次々と知れ渡る事にアビスは、当然ながら困った様子だったが、此も経費のウチと割り切って使用を許可した。
事情を承知している食堂のおばちゃんから食事を受け取ると、拓斗は一旦部屋へと戻って全員が揃うのを待ったいた。三々五々みんなが集まると「それでは食事は、フレアの秘湯温泉で」「温泉ね」「温泉スよ」「温泉デス」「なんや旅の途中とは思えまへんな」「そうだわ、ディアはどうするの?」
地上に出てからはリズに提案されて、一緒だった子供部屋にディアナの姿は無く、今は母親と寝食を共にしているのだが、拓斗は難しい顔をして「さっき父さんから聞いたら彼奴、俺達を追い掛けて出て行ったと聞いたんだよ」
「えぇ――――――え!」驚く全員に拓斗は頷くと「それにカムセラとアムセラも一緒だと言うんだよな・・・」
ミウは真っ先に気を取り直して「何でそんな事に成っているのよ?」「気が付いたのは、今日の夕方近くで、トキさん達が来る迄知らなかった模様でね、昼過ぎには二人を引き連れて、ディアはもう旅立ったあと何だよ」「それでは今頃、イーストアランですよね、大変な行動力ス」「まぁ急げばぁ、半日もあれば、到着する距離だから・・・それでどうするの拓斗?」ミウが問い掛ける・・・
「どうしようか?判断が付かないんだよ、父さんも母さんも好きにさせておけば、良いと言っているけれど、真逆放っても於けない・・・」「だわね、アタシはね、今一度、ディアには機会を!チャンスを!与えるべきだと思うわ」「そうスよね」二人が揃って拓斗を見る・・・
「何だか俺がディアを態と敬遠している見たいな話し方だな、不本意な話しだよ、アレは母さんの指示で、冷却期間をおいただけ何だからな」「それぐらい分かっているわよ」「只・・・」「只何よ?」「苦手と言うよりは、戸惑っている?と言う方が正解で、どう接したら良いのか困っているのも事実だけどな」「正直ね」
拓斗は頭の中を切り替えながら「まぁな、スラ!」「ハイよぉー♪」「悪いけれどディア達の行動監視と身辺護衛を頼むよ」「任せてだわさ、実はアタシには、もう報告が来ていただわさ」「え?知ってたの・・・」「ノースアランに残して来た、分体からの報告があっただわさ、この話の前に、ご主人様へ言う積もりだったんだけど、機会を逸したんだわさ」
「成る程な、それでは今は銀狼の保護下だな?」「いや違うわさ、少し離れた所で野営しているんだわさ」「彼奴は又面倒な事を・・・」「フェル兄さん達なら追い返されると考えたんでしょうね、全くあの子ときたら、どうしょうも無いわよね」「ミウの考えた通りだと思うよ」「そうスね、先ず間違い無いスよ」
「行動力がおまんなぁ~ワイも見習わんとアカンわ」ニヤリと笑うミウは「何の行動力なのよ」「愛する人への思いでんがな」ミウは鼻で笑って更に追い込む「誰をなの?」チラリとポコを見たが、ガッチャは誤魔化す様に「誰って・・・そんなん決まってまんがな、大将ですわ」「俺なのかなぁ?」
気の無い返事をしたがミウは「そうね、そうに決まっているわよ」「間違い無いスよね」セラも同意して、話しが長引きそうな雰囲気に成ると、スラが話題を変える「まぁ一旦話しをおくだわさ、もうお風呂行きたい」「そうだな賛成」「賛成!」「賛成スよ」「ほな行きましょ」「はいデスね」などと言いながら転移した。
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この様な流れの雰囲気で始まった旅は、翌日には建設中の砦『トライデント砦』と後に呼ばれる場所を出発した。
半日遅れで付いて来るディアナ達の事を気にしながら、拓斗達は進む・・・「追い付いて来ないな?」「あの子達の事ね」ミウもやや心配気味だったが「直ぐにでも会いに来ると、自分は思ってたスよ」「そうでんな」
未だ本調子では無い拓斗の注文で、ラプトルに変化しているスラは念話で〔一応、人となるべく接触しない様にしてるだわさ、けれどご主人様、砦を越えた辺りから街道を堂々と進んでいるわよ〕「何でそんな事をするんだ」「屹度、領境を越える迄は、隠れて進んでいる積もりなのよ」
「成る程、一応今夜も父さん母さんに話さないとな・・・送り返す気なら何時でも転移で出来るんだがな」「そうよ、だからあの子は接触してこないのよ」ミウから鋭く指摘されると「あ!そうか、迂闊だったよ」
「となると何か進展がある迄は、このまんまスかね?」「そうなるよなぁ・・・」
〔一応、分体が付かず離れずで、前後左右を守っているけれども、昨夜カムセラとアムセラには、発見されたわさ〕「そうなのか?スラ、聞いて無いぞ」
土煙を上げながら、やや早足で進むスラから〔言う迄も無い話しだわさ、どうやらあの二人も反対に安心した様子だったから〕「成る程、あの二人も保護者の積もりなのか・・・」「どうやらその様子ね」「あの二人なら安心スよ」「そうでんな」
「だったら多少離しても良いか?一々ペースを合わせる必要も無さそうだ。それとみんな降りろ!」拓斗からの命令でスラ達から降りると、ミニ化したスラは拓斗の肩に乗り、ミウねえはミウにそしてゲボはガッチャへと乗って、街道を進む者達とすれ違った・・・
先行したスラ達の分体が、小動物や小鳥に変化して街道を警戒をしている・・・
子供の冒険者が、値段の高いラプトルへと跨がり、旅をするなど考えられない話しなので、面倒臭いが今日はもう、何度も乗り降りしているのだ。幾人かの難民や行商人が申し合わせて、固まって山道を踏破して来る・・・時折り弱いのだが獣魔が出没する地域を通過する際は、こうして集団に成る事も多いのだ。
或いは出発時に隊商などを組んで、街道を進むのが通例なのだが、今すれ違った者達は装いが立派で、幾人かの護衛を引き連れた馬車で通り過ぎて行く・・・
ジロリと先頭を行く騎馬の護衛から睨まれて、拓斗は頭を下げて進んで行くのだが突然「おい、お前達!」「はい、何でしょうか?」拓斗が子供っぽく態と答えると「ジャッカへ行くのか?」「そうですが、それが何か?」「いや何、ジャッカからステラへと向かう者達は、幾人か追い越したがな、向こうへ行く旅人は初めてだ。それも子供ばっかりで・・・何しに行く?」
拓斗を制し、ガッチャはやや前に出て「おっちゃん」「オッチャンだとぉーう!」その返事を無視して「ワイらはなぁジャッカに行くんとちゃうで、その手前の初級迷宮に行くんや」ガッチャは機転を利かせて誤魔化した。
だが未だ疑っている模様で「迷宮か・・・ステラ村にも出現したと聞くがな、又どうしてだ?」「彼処の初級は制覇したんや、けれど未だワイらは実力が足らんで、もう一箇所初級を狙おうちゅう話しに成ったんや」
「成る程な、理解したが、ならば尋ねたい」「何でんねんな?」「街道は無事か?途中で馬車を放置為ずともステラ村へと繋がって居るか?」「未だ工事中や修復中の場所もあるけど、何とか行けるでぇおっちゃん」少し笑いながら「そうか、有り難うよ坊主達」「気い付けて行きやおっちゃん」「あぁ・・・」
上手く受け答えした模様で、一段は立ち去ったが「カムセラか、アムセラへ連絡を着けて、ディアナ達と今の一団が遭遇しない様に伝えてくれ」〔アイョッと!けどご主人様、バレてもいいの?〕「仕方無い、不安要素は少ない方が良い」〔了解!だわさ〕スラは分体に命令して三人に接触をする・・・
拓斗は・・・あの一団とディアナ達が遭遇すれば、何だかイヤな予感がする・・・
何故なら馬車にはプティマの旗が風に靡いて、ハッキリとその姿を現したからだ。
拙作ですが楽しんで頂ければ幸いです。次回の更新予定は12月5日です。
何時も応援有り難うございます。又ポイントが上がるのは、励みに成ります。
此れからも頑張りますので、感想などを聞かせて頂ければ幸いです。作者拝




