091話 動き出したヘキサグラムの状況③
予告も無く現れたガイアは、セラの可笑しなこの状況をどうやら知っている・・・
ガイアは拓斗の目の前に現れて「間に合った!良かったよ」セラに首筋を噛まれた状態で拓斗は「この状態で間に合ったと喜ばれてもな・・・」「未だ一線を越えていないよね?」「危ない所だったが未だだな」「それじゃ彼女を少し借りるね!」「一体どうするんだ?それにこの原因をガイアは知っているのか!?」
セラをガイアの空間へと誘いながら「知っているよ、けれど今は少し待っててよ」「待てだと?この中以外は、世界の時間が静止しているんだろう!時間は在る筈だ話せよガイア、話さないとセラを渡せない」ややガイアは焦りながら「拓斗、僕を信じてよ」真剣な眼差しを向けてくるが「いや駄目だ!狡いぞお前」
ガイアも言い方が狡かったのは重々承知しているが「向こうの時間も動いているんだよ、此方の影響を受けていないから急ぐんだ。分かってよ拓斗!君に邪魔をされたく無いんでご免ね」言い放つとセラを別空間へと移して二人は消える・・・
残された拓斗はセピア色の世界で自分だけは白黒、だが風景は自分の元いた部屋と言う不思議な空間で、次の動きを待たされる事に成った。ほぼ全裸状態だった事を思い出して、拓斗はベッドの上で散乱している衣服を着ようと、その手を伸ばすが何故か触れる事すら出来無い・・・
見えている風景は何時もの部屋なのだが、全く違う別世界みたいで、腰掛けているそのベッドですら仮初めの物で、立ち上がれば身体がベッドを摺り抜ける・・・
そして覚束無い足元を踏みしめるが、何となく浮いている様な感覚に成った。
最初に此処へ来た時には神殿だったが、余りその場から動かずにガイアと会話していたので、こんな違和感を拓斗は感じ無かったのだ。しかし今、初めて異質な空間だと、改めて思い知らされて分かった様な気がした。
確かあの時、嘘か誠は未だ判断出来ないが、俺の事を【調停者見習いの手前】だと言っていた。だったらこの空間から出て、ガイアの後を追えるのかも?いや、追わねば成らないんだ。
拓斗は全神経を集中した・・・あらゆる物を感知出来る様に、特に奴隷紋の気配を追って、その意識を拡げた。そうすると、元いた部屋で、再生の一時制止ボタンを押したかの様な状態で、全く動かない自分と抱き付きながら噛み付いている、全裸姿のセラを見付けた。
と言う事は・・・今の俺は幽体離脱をしている状態なのか?拓斗はセラの奴隷紋を更に辿り、その痕跡を追い掛けると、この部屋ともう一箇所に何か壁のような物の存在は感じるが、微かだが確かな反応とセラの存在を感じた。
其処へ意識を飛ばすと、一瞬で目を閉じているセラと、ガイアが目の前に居る事を感じた「あれ?凄いね拓斗、もうこの段階に至ったんだ」「何をしている・・・」「そう怒らないでよ、もう済んだからね、今セラちゃんの魂を戻す所だよ」「訳を聞かせてくれるのだろうな?ガイア、俺は今怒っているんだぜ」
申し訳無さそうにガイアは、初めて会った時のような灰色のローブを纏、女神然とした姿と話し方では無く、飄々とした話し方で「何処から話そうか?」「当然初めからだよ」「だよね、一つ先に言って置くと、拓斗は此処へ来る迄に此方の時間で一時間ほど経っていて、僕は君達の危険を取り除く事に成功しているよ」
拓斗の時間感覚では一瞬だったが、壁の通過には時間が可成り必要とした模様だ。
何となく力も随分と落ちている事にも気が付いたが、それよりも今は先に話しだ。
それを聞いて「だから俺に怒るな?と言う事なのか・・・だがお前巫山戯るなよ、勝手に黙って事を進めて、助かったのだから感謝しろ!とでも言いたそうだよな、それこそバカにするなだ」「ご免ね、何度でも謝るし、やり方が不味かったのも、僕理解している積もりだよ」
詫びてはいるが、惚けた様なガイアの物言いに「だったら何故なんだ!今日こそは理解出来るまでチャンと話せよ」「時間が許す限りだけど、手早く話すよ」拓斗は未だ怒りを抑えながら頷いてガイアを促す・・・
「今の僕は管理権限を制限されて大して動けない話しはしたよね、覚えている?」
拓斗は前回の話しを思い出しながら「聞いたな、憶えているよ」「そんな中でも、僕は数ある世界よりも此処を重点的に観察しているんだよ、そして今迄は薄い手掛かりしか無かったんだけれど、もし正体不明の何者かが君達に干渉すれば、それを知らせる様に最初接触した迷宮で、各々に少しだけ細工させて貰っていたんだよ、あの女神像を介してだけど・・・」
拓斗は思い出しながら「全員なのか」「違うね、プレイヤーだけだよ、セラフィナ君、ミウ君、ガッチャ君、それと序でにカメリア君かな」「俺には細工しなかったのか?」「拓斗には細工自体が無理だし、そんな事をする必要も無いからね、だがプレイヤーなら正体不明の何者かは干渉をし易いからね、何時か接触して来るかも知れない・・・だから僕はその機会を待っていたんだ」拓斗は頷いて話しを促す。
内緒だけど、他のめぼしいプレイヤーにも細工は施しているんだ。けど今回初めて反応があったんだよね、正体不明の何者かは拓斗達に、いやこの場合はセラフィナ君にだね、余程執着している者が、存在している事の証しでもあるんだよ・・・
「そして今日、今この時にセラフィナ君に干渉をして来た。僕はその痕跡を追って向こうに逆干渉を仕掛けたんだ」「干渉とは一体何だ」「どうやらセラフィナ君のパーソナルデーターを初期化して、新たに何かを上書きする積もりだったらしいんだけど、僕はそれを阻止して解析、反対に彼女の縛りを解除したんだ」
何れは自分自身の此の手で何とかする積もりだった、セラの縛りプレイをアッサリ解除したと聞き、驚いた拓斗は「縛りの解除だとぉ!出来たのか?」「だから僕、解除したと言ったよ」「そう・・・そう、だった」「その後、送信先を突き止めて攻撃したんだけど、気が付いた向こう側が部下を見捨てて逃げたんだ」
そう、残念な事に糸が途切れて仕舞ったのは、返す返すも無念な事だったよ・・・
拓斗はそれを聞いて「問題解決には至らなかった、と言う訳なんだな?」「一応は少しだけ情報を手に入れたけど、根本的な問題解決には程遠いかな?それでもセラフィナ君のプレイヤーとして得ている、エクストラスキルや強奪した能力の頑強は残した儘、縛りプレイの方は解除出来たのが救いだよ」
「痛覚の快楽変換や恥辱のパワー変換の能力はどう何だ?」「エクストラスキルは残った儘だと僕言ったよ」「そうだったな、ガッチャも解除出来るのか?」「パスコードが不明だから未だ不可能だよ、セラフィナ君の場合は、先に書き換えよりもコマンドの方を打ってくれたから、何とか気が付いて対処出来たんだ。書き換えを先にされていたら駄目だったのかも?でも多分、今まで通りのセラフィナ君だよ、特典も残しているし、まぁ安心してよ拓斗」
「それから君達と関係する他の人も、多少は解析できた部分があるからね、個々のコードが不明でも、同質の障壁なら改変して張る事に成功したんだよ、今回の様に行き成りパーソナルデーターの書き換え何て真似は、今後出来無い様に細工した。だからね拓斗、完璧だ!と迄は言わないけれど、僕が施した対抗処置がバレる迄は安心して良いよ」
「理解したよ、今迄の非礼は、お詫びする。済まなかった」「いや良いよ、急いでいたとは言え、心配掛ける事を僕は承知で攫ったんだからね、おあいこにしよう」「有り難いよ」「それで如何するんだい?」「何がだ?」
「此のまんま覚醒させると、さっき迄の記憶が残り、彼女が居た堪れない状態じゃ無いかな?」「確かに・・・だが隠し事は無しだ。自分の意思では無かった事を納得させて、チャンと縛りプレイも解除出来た事を伝えねばな」「それは正しい行いだとは思うけども、僕や拓斗の事を如何説明するの?」「それがあったか・・・」
「僕は未だ相手に推察は為れていても、正体迄はバレていない、そして君もだけど今後の為にも隠す方が無難だと思うんだよ」「成る程了解だ。だったら先に部屋へ戻してくれ、セラを綺麗にして彼女のベッドへ寝かせる、そして俺は何も知らない体裁を装うか・・・セラには夢だったと思って貰おう」
「だったらこの一連の流れを記憶の中から取り出せない様にするよ、深層意識では理解するとは思うけれども仕方無い、記憶を全て消してしまうと、何らかの弊害が出るかも知れないからね」「了解したガイア、後は頼むが、他に聞きたい事が未だ沢山ある」「それも理解出来るけど、もう行かなくちゃ、又今度だね拓斗」「仕方無いな、今回は助かった」「どう致しましてだよ拓斗」
気が付けば未だ気を失っているセラを拓斗は抱き締めて、グッタリとしているセラと秘湯温泉に転移して、フレアに頼み込んで身体を洗って貰い「有り難うフレア」「何がどう成ってんの?」「何れ詳しく話しに来るよ」「そう、だったら仕方無いわね、何時でも待っているわ」「済まんな」今度はセラの部屋へと、廊下の様子を見ながら移動して寝かせた後、拓斗は自室へとコッソリ戻った・・・
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何とも言えない、拓斗とセラの一夜は、本当の話しを伝える事が出来無いと言う、やや釈然としない結果と成ったが「確かに昨夜のセラがチャンとした記憶を残していれば、屹度落ち込むのだろうな・・・」独り言を呟きながら朝の日差しを拓斗は浴びていた。あの後色々あって寝付けなかったのだ・・・
そして食堂へと出向き、早目の朝食を摂った後でアビスの執務室へと足を向けた。
一方、素っ裸で起きたセラは、二日酔いの様な状態で、ボ~と周りを眺めている。
セラは生まれて初めての頭痛を経験した。吐きそうな感覚もあるが、それを我慢しながらベッドの内外で、衣服や下着が無秩序に放置されているのを見付け「自分、一体昨夜はどうしてたんスかね?」一人きりの部屋で呟く・・・
記憶も曖昧で、何処かへ出掛けた様な?いない様な?突然ハッ!とした様に大事な物を喪失していないかと、焦って確かめたが杞憂であった事を確認して安心した。
拓斗から預かっている?と言うよりは時折り献血して貰って加工している、セラ専用のドリンクを一気に飲み干し「カァ~♪利くスよ、頭痛も解消、体力モリモリ、元気一杯に成るスね」それから裸で起きた原因を又考え始めたが「サッパリ理解が出来無いスよ、だが何故か大変な事があった様な無かった様な・・・」
取り敢えず網状恥辱レオタードを着て「此れ迄脱ぐ何て考えられないスよね、ドンだけ乱れたっうの!屹度何か・・・」すると昨晩、拓斗と抱き合い口付けした夢を見た・・・夢の中では自ら懇願して拓斗に関係を迫る破廉恥な行為をした事が思い浮かび、その途端に下半身が熱く疼き座り込み、顔もこれ以上無いほど火照り赤く染まった。
ガイアが封印した取り出せない筈の記憶を、不思議な事にセラは、こんな形で思い出したのだが、夢だと勘違いした儘、誰にも告げる事無く心の中に仕舞い込んだ。
しかしこうなるともう我慢が出来ずに、セラは夢の続きをタップリと済ませた後、支度を済ませ何食わぬ顔で、拓斗の部屋へと辿り着き「拓斗さんお早うぉス」扉を開けて入ると、さり気なく挨拶した積もりだったが、拓斗と目が合うと、恥ずかしくって俯いた。
所が周りを見ると、既に全員が揃っていて「セラ、遅かったな、らしく無いぞ?」「全くそうだわよね、何時もは一番に来ていてベッタリと、拓斗にくっ付いているあのアンタがねぇ」ミウの台詞もどこ吹く風、いや上の空だったが・・・
誤魔化す様にセラは頭を掻きながら「いや~あのスね、旅の準備に少し手間取っていたス」「そう、だったらもう良いわよね、行きましょうよ」「そうだな、みんな揃った事だし出発するか」「そうでんな」「はいデス」「アタシらも良いだわさ」ミウねえとゲボも同意すると、拓斗の部屋を出た。
朝一番でアビスから親書を受け取り「拓斗頼んだぜ」「了解だよ父さん、母さんも心配しないでよ、毎日転移で帰って来るんだからね」「はいよ、行ってきなさい、旅は良い勉強に成るさね、仕事なんかホッパラかして楽しんできな」リズは拓斗を抱き締める・・・
少し嬉しい拓斗は「その言い方、母さんらしいや」「銀狼のメンバーがフェル達と合流する為、お前達と一緒に行くと言ってたから、声を掛けて行けよ」「そうだったの、分かったよ父さん、それじゃ行って来るね」「あぁ、気を付けてな」頷くと拓斗はその足で兵舎へと向かい、オーク女性達を代表する最上級者を呼び出した。
拓斗は前日既に告げていたのだが「もう直ぐ出発するから準備を宜しく」「はい、畏まりましたご主人様」「確か秀花さんだったよね」「はい秀花です。憶えて頂き光栄です」彼女を含めての数人だったが、女性でありながら人型の姿で、最後まで抵抗を試みていた女丈夫だった。
近衛の上級士官で彼女達の代表と、拓斗も認めているのだが、ギエンが女性達と別行動と成る際に「ご主人様、この秀花が女性兵士の中では、最上級仕官ですので、何事も彼女に言い付けて下さい」などと推薦もあったのだ。
キリッとした面差しの中にも、優しさが混在していて、話しぶりからも頭の良さが伺い知れた。拓斗も妙に気に入ってるので、昨晩から色々と頼み事をしてる・・・
流石はガッチャで身の回りの品々を袋に纏めて、既に男女共支給を済ませていた。
見ると怪我人も回復力の良さか、又は生命力の高さもあるのだろうが、一日経って元気一杯の様子だった「それでは身支度が済んだら練兵場にでも、みんなを纏めて整列しておいてくれ」「畏まりましたご主人様」「あっ!と、一人連絡係で連れて行きたいんだけど良いかな?」「はい、それではこの者を・・・」
手招くと、未だ若そうだが長年戦い続けた風格を持つ女性が走り寄り「姉様、何でしょうか?」「ご主人様、妹の蓮華です。レンカ、ご主人様に付いて行きなさい」「畏まりました」「悪いね、出発の準備はもう出来てるの?」「軍人たる者、既に完了しております」「そう、良かったよ、それじゃ付いて来て」「はいご主人様」二人は連れだって拓斗の部屋へと向かった。
廊下を歩き拓斗の部屋へと到着すると「大将ぉ、何処へ行ってましたんや」ポコも既に中へと入っていた「いやぁ~悪い待たせたか?父さんの用事を済ませに行っていた」「あぁそうでしたな、それでは親書を受け取りましたんやな」「確かに受け取った」俯いた儘で真っ赤な顔をしたレンカも部屋へと入る・・・
其処へミウが現れて「お早う」「早いなミウ」各々が挨拶を交わす「大将この子は何方さんでんねんな?」「この子はレンカさんだよ、オーク女性達との連絡係だ」可愛らしい豚耳を真っ赤にさせて「皆様、お見知りおきを、レンカで御座います」レンカは拓斗の部屋へ入る直前迄、伽を仰せつかるとスッカリ誤解していた。
オーク世界では極当然、当たり前の話しで上位者の伽は或る意味義務、そんな事が罷り通る世界でも、彼女達のその殆どは、自らの力で操を守り通してきた。
だが今回の様な状態ならば、何れそれが適わなくなる、こんな困難な場合に代表として選ばれた姉様は、最初に妹を選んでおけば、後の命令がし易くなると考えて、自分を敢えて選んだのだと思った。
しかし、拍子抜けしたのだ・・・先読み、深読みして恥ずかしい妄想に囚われて、付いて行った短い時間、彼女は精一杯の覚悟を決めて拓斗の後ろを歩いたのだが、下手な考え休むに似たりで、馬鹿らしく成って思わず笑って仕舞った。
その様子を訝しんだ拓斗は「どうかしたか?」「何でもありません、どうかお気に為さらずに」などと言いながらツボに嵌まって大笑いをした後、思い切って正直に話すと「何だかなぁ~そんな心配をしていたのか・・・」
「はい、申し訳ございません。ですがご主人様、私共の世界では、上位者に逆らう事が出来ません。以ての外の話しなのです・・・だから私は頑張って、何時も上を目指して居ります」「そう何だね、厳しい世界何だ」「昔はもっと酷い状態だったのですが、ハンカイ陛下の御代に成ってからは、実力次第と言う事に成りまして、子供は保護されて適齢期までに力を付ければ、武力で無くても自由に暮らせます」
話しを聞いて拓斗は想像して見たが、ヤッパリ理解不能だなと結論をだした。
「多少はオーク世界を垣間見た気持だな、だがそんな事は命令しないからシュウカさんにも、チャンと話しておいてくれよ」「畏まりましたご主人様、みんな喜ぶと思いますし、屹度安心すると思います。お礼を申し上げますご主人様」
「そのご主人様も、いいからね」「畏まりましたが、それでは何とお呼びすれば、良いのでしょうか」「拓斗で良いよ」「はいそれでは拓斗様、その様に伝えます」「そうしてくれ」
話しも大凡終了かと拓斗は考えて、セラは未だだが「それじゃもう行くからレンカさん、悪いけどみんなを表まで連れて来てよ」「畏まりました拓斗様」やや早足で伝えに行く後ろ姿を見送ると、拓斗の部屋へすれ違う様にセラがやって来た。
みんなとの挨拶を済ませて廊下へ出ると「さっきの人、誰スか?」レンカとの会話をしていた後だったので、ミウが歩きながら説明を始めた「成る程スね、了解ス」「あの人達の心情なら屹度、奴隷として娼館にでも売り払われる・・・何て考えて居たんでしょうね」
ニヤリとセラは悪魔的に笑いながら「ミウさん、娼館なんて知っていたんスね?」満面のへの字モードで問い掛けると「(仕舞った)いや、あの、その、早瀬さんの知識だわよ」「アタシ娼館なんて行った事ないだわさ」今迄隠遁術でも駆使して、気配を断っていた様なスラが、突然ミウに突っ込む・・・
拓斗はスラから聞いて前々から知っていたのだが、何時もこんな感じで此奴らは、会話をしていたのか・・・どれ助けてやるか「仕様も無い会話をしていないで急ぐぞ!」強めに言うと何時もの「うぃーす!」そしてゾロゾロと玄関に向かう・・・
吹き抜けのロビーで待っていたラブラ姉弟とコチャが「もう少し早く出るのかと、アタシは思ってたさね」「アタシも」「どうもお待たせしました。一緒に来る話しは先程父さんから聞きましたよ、其処で待たせたお詫びに、僕達がラプトルを出しますからどうかご勘弁を・・・」「いや、俺達もラプトルを連れて行くんだ。他の三人の愛騎も連れてな」シェパが断りを拓斗に入れる・・・
拓斗は少し考えて「シェパさん、僕達のラプトルと一緒では、驚きませんかね?」「まぁ大丈夫だろう・・・それよりも急ごうぜ」「はい、それでは外に出る迄は、歩きでお願いしますよ」「分かっているさね」外へと出て見れば、既に六頭のラプトルが、繋がれて待っていた。
その後ギエン達と合流して、イーストアランへ向かう事に成るのだが、相変わらずオーク達は、疑似ラプトルに乗る事を拒むので「命令だ!乗れ」拓斗は仕方無く、強制するしか無かった・・・
そして数時間後、到着した拓斗達をフェル兄弟と小人族のルウが待っていた・・・
ロボスが前に出て「やぁやっと来たね」「ロボスさん、お待たせしました」「早速働いて貰おうかと思ったんだが、見れば随分と女性達が多いんだね」「えぇ、どうやら庇われていた模様で、男より若干女性の方が、比率的に多いんですよ」「その様だね・・・土木関係で助けて欲しかったんだけど、さてどうしようか」
ギエンが代表して「我らの食い扶持くらいは自ら稼ぎます。女共も力は御座いますから、どうか何なりと、ご命令下さい」ギエンは自分の腕を切り落としたフェルの事をどうやら無視出来無い様子だが、シュウカは鎧を脱ぎ捨てて「土木が無理な者でも食事の手伝い成り、何なりと出来ます。設営や工兵の仕事は、私達でも一通り熟せます」
其処で華奢に見えるシュウカをルウは見て取り「軍人さんに穴掘りが出来るの?」「出来ます。男でも女でも、オークはそれ程柔では御座いません」「でっきるっかなぁ?プライドが邪魔しない?」「私共は既にその辺は弁えております」「そう、なら良かった」
拓斗は此処に居ない顔触れを探したが、見当たらないので「セリカさんは、一体何処へ?」「セリカは知らせを聞いて北へ戻った」「未だお目に掛かっていませんがアランさんもですかね?」「アランは更に東」ルウは相変わらずぶっきら棒だが、聞いた事にはチャンと答えてくれるのだった。
やや困った顔を拓斗はして「実はアランさんにこの人達を頼みたかったんですが、どうしょうかなぁ・・・」後ろには二百以上のオーク魔人種が並んでいた。
だがルウは、チョコチョコと前に出て「ロボスから聞いている、アタシが預かる」それを聞いて拓斗は「それは有り難い、一応奴隷化をしていますが、何れ開放する約束です。身の振り方が決まる迄、お願いしますよルウさん」「分かった」「一応男達には、種族の違う女の人を襲えなくしています」「あ、そう」
後ろを振り返り拓斗は「それでは、全員注もぉーく!今この前に居る人達の命令に従って下さい、僕達は時折り見回りに来る積もりですが、貴方方の処分は正式には未だ確定していませんので、これ以降の犯罪や仕事をサボタージュなどをすると、処分が重く成る事もあり得ますから要注意です。分かりましたか?」
今朝の話しをレンカから伝え聞いて女性達は安堵、更に従順な姿勢を見せていた。
此処で駐留する事を事前に聞いていたオークの全員が、額ずいて頭を一斉に下げる「と言う訳で後を宜しく」「了解だよ拓斗君、後は任せて」「はい、それでは僕達はこれで」スラ達が三頭のラプトルに変身すると、スラには拓斗が跨がり、セラとミウはミウねえ、ガッチャとポコは一緒でゲボに跨がった。
未だ戦の爪跡が残るイーストアランから、修復中の街道へと拓斗達は向かい「では行ってきます」「頼んだよ拓斗君」「はいロボスさん、チャンと父さんから大事な物を預かりましたからね、頑張ります」
ロボスが返事代わりに頷くと次々に走り出す拓斗達、それを見送って「あの子達はもしかしたら、僕達にとっては救いの神なのかもね?」「あぁそうだね、兄さん」「未だガキ、子供さね」「姉貴、それはもう言いっこなしだ」「だよね」コチャも同意する・・・
ルウは見送りながらも「ギンガとセリカは一緒に帰って来るかな?」「北の問題が片付いたら帰って来るさ」ロボスが根拠も無く請け負った。
見ればオーク魔人達は、何時までも額ずいた儘で、拓斗達を見送っていた・・・
拙作ですが楽しんで頂ければ幸いです。次回の更新予定は11月28日です。
何時も応援有り難うございます。又ポイントが上がるのは、励みに成ります。
此れからも頑張りますので、感想などを聞かせて頂ければ幸いです。作者拝




