086話 動き出したヘキサグラムの状況①
オーク・ディザスターを退けて、戦場に残されたロボス達の長い話しを聞き終えた一同が、今後の方針を話し合う・・・
ロボスからの長い説明と拓斗のお詫びを聞いた一同は、一段落着いて今後の方針を話し合おうとしていた。
一同を見渡してロボスは「今後の方針何だけど、君達はタクト君との合流を考えているのかな?」「そうなりますね、その後の事は未だ確実では無いですが、二手に分かれて中央山脈にあると聞いている竜の巣を一先ず此方は、目指したいと考えています」拓斗はミウとセラ、ガッチャやそれにポコとスラへと、次々に自らの顔を一々向けて確認する・・・
ロボスは予期してた答えの様で「ヤッパリそうなるか・・・だったら序でで悪いけれどもね、是非その前に僕のお使いを頼まれて貰えないかな?」拓斗は考えながら「お使いですか・・・一体何処へ?」「それはね、アルビオンさ・・・」
早朝から始まった戦いが終了して、多少の残敵は取り逃がしもしたが、一段落着いたと判断して、昼前頃にミウねえ達も拓斗達と合流した。
帰って来たミウねえは「大凡済んだと思うわ」「ご苦労さん、だったら一度ステラ村に戻るかな・・・」「賛成」「賛成スよ」「まぁタクトはんの事は気に成りまっけど、しゃぁ無いでんな」「此方も分体の回収が終わったから何時でも良いわよ」既に追撃部隊はミウねえ達が、胃袋空間に収容済みだ。
追撃部隊は投降したオーク達百未満を引き連れて捕虜としている・・・現場の戦場に残って居たギエン将軍と傷病兵八十程と共に、拓斗のゴーレムが見張っているのだが「それでご主人様、此奴らをどうするんだわさ」「どうしようか・・・昨日の捕虜は返したが、今度は送り返せないだろ?」
スラがニヤリと笑い「昨日からの死骸を回収して魔核を随分と集めただわさ、これ以上はもう要らないかも?今の状態でも五百は後でものに成るわさ」それを聞いたオーク達は、恐怖して全員が祈りだして拓斗達の動向を卑屈に窺う・・・
先程迄、自分達と戦っていたゴリラや猿達、ラプトルと同じ目に合う可能性を考え出した。彼らには一つの宗教観念があり、ゾンビの如く死後にまで扱き使われる事を厭うのだ。実際はスライムの身体には成るのだが、知的生物なら意思次第でその意識が残る事を彼らは知らない・・・
戦闘脳と下半身脳が主体のオーク達だが、恐怖心から来る生存本能は、人一倍ある模様で「あの様な姿に成るくらいならば、我らは必死に働く!一生の忠誠も誓う!何卒ご温情を賜らん事をひとえに請い願う!」ギエン将軍が頭を下げると、指揮官クラスの上位級を含めて、その他のオーク達も土下座を始めた。
少し脅す積もりだったスラは、その効果に驚き「社会性は不明だけど見た限りでは一応従順と言っても良いのだわさ」「全くだな、此は予想外だよ」「我らは強者に絶対逆らわぬ、何卒ご温情を・・・」「一つ聞いても良いか?」「如何様にも」
拓斗はその返事に頷くと「スラ達の疑似兵軍団をお前達は随分嫌っていると見たが正解か?」「然様で御座います。我らの元いた場所に死の将軍が支配している地域が御座います。その哀れな様子があの疑似兵団には御座いまして、恐怖に駆られて我らは思う様に戦う事が出来ませなんだ」「そんな理由があったのか・・・」
ギエンの答えを聞いたが拓斗はその片腕姿を見咎めて「だが怪我人が多数で真面に動けるのは少数か・・・何処かで働いて貰うにしてもなぁ」などと気の無い振りをすると、ギエンは腕を急に再生させだした。その他も欠損再生は無理でも、多少の怪我は自力修復して働けると、元気な様子を必死に見せて、拓斗の慈悲を請うた。
実際死因では、切られた個体は案外少なく、ゴーレムやゴリラによる撲殺や圧殺、そしてスラ達による窒息死だった。生き残った者達は、骨折や頭部外傷による気絶した個体が多く、ギエンはフェルに切られたので、欠損していただけである・・・
その姿を確認して拓斗は「実は君達の扱いは既に決まっているよ」一呼吸置くと、固唾を呑んでいるオーク達の息が止まる「そんなに悪い話しじゃ無い」ハーと息が吐き出されてホッとした様子を見せると「だが暫くは役に立って貰うからな、全員一時的に僕の奴隷だ!」
奴隷と聞いて嘆く者、或いは命が助かる事で安堵した者、様々の反応を示したが、ギエンが将軍として代表した「我らは一生お主の奴隷なのか?」「一生縛り付ける気は無いよ、大人しく言う事を聞いて、暫く働いてくれれば、後に開放する。だが働き次第では開放も速く成り、また遅くも成り得る・・・」「相分かった。お主に我ら全ての身柄を預ける」後に降ったものを含めると、百八十以上の数に上った。
その後、ギエン達を奴隷紋で縛ると、拓斗達は次の行動に移ったが閑話休題・・・
各方面に事態の収束報告と、残敵掃討の支援をする為、銀狼のメンバーとリズは、二手に分かれて、ノースアランへと向かう者と、間道を使って東に向かう者達とに別れて、今は既に別行動中だ・・・因みにリズは、スラの分体と共にステラ村へと報告に向かった。
ロボスの頼みで依頼を受けた拓斗達だったが、後始末と渦の発生した跡地の調査を済ませて残敵掃討部隊の帰りを待っていた。漸くして戻って来たミウねえとゲボ、それにロックウルフを指揮していたアイ子を迎えて帰路に就いた「それでタクト君達とは、もう連絡が着いたのかしら?」心配そうにゲボも拓斗の様子を窺う・・・
アイ子はスラと合体したが、魔力補給の為にミウねえとゲボは、小型化して拓斗に張り付いていた。その行動を微笑ましく許して拓斗は「ミウねえ達にも随分と心配掛けたが、一応連絡は着いたよ、当分は向こうからの連絡待ちだけれど、話しの進展がある迄は、此方は別行動に成るね」
ミニ人型・・・二頭身化したミウねえとゲボは妙に可愛らしく、そして拓斗の両肩から耳元で話すものだから妙に耳が擽ったいが、その甲高い声に最近は拓斗も既に慣れた様子で、仲間はずれのスラが少し拗ねている・・・因みにミニならゲボでも人型に成れるのだ。
ホッとした様子のミウねえが「そうなの?お姉さん少し安心したわ、それでアタシ達は、此れから何をするのかしら?」「ゲボも安心ですが、其方も気に成ります」
「そうだったな、一から説明をするよ」
そしてロボスからのお使い依頼を受けた。その話しを拓斗は始めた・・・
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それはね、アルビオンさ・・・
全員の反応を伺いながらロボスは「夏にさ、僕達は突然の襲撃を受けて勝った後、残務処理で敵対者をプティマに強制送還した。その後で転移陣の設定を君に弄って貰っただろう、覚えているかな?」「はい、覚えていますよロボスさん」
「まあそんな事は此れ迄、誰も出来無い不可能な話しだったんだけど、拓斗君が実現させてしまったからね、ウチとしては防衛上に限り大助かりなのさ」「此れ迄は出来無かった事ですか・・・」
頷きながらロボスは「その後なんだけどね、此方の商人と後からサウスザイオンを経由して、ステラ村に来た商人からの評判が、当然ながら可成り悪くって、今度は困っているんだよ」「可成り破壊しましたけど、彼処との街道はもう使えるのですか?」「未だ工事中だけど、荷馬車程度なら何とかかな・・・ムウ姉さんが手下を集めて随分と頑張ってくれているよ」拓斗はガテン系のお兄さん達を思い出した。
因みに東はアラン達が中心となって、街道の復旧と砦建設、そしてイーストアランの町割りを始めていた・・・
未だ話しが見えていない拓斗だが「そお言う話しでしたら転移陣を元の設定に戻しましょうか?」「それもまぁ出来無い事情が此方にもあってね、中央山脈方面へと向かうなら、少し遠回りだがアルビオンに赴いて、殿下達にアビス閣下の親書を手渡して欲しいんだ。そしてステラ村との親交と交易に一役買って貰いたいんだよ」
漸く拓斗にも話しが見えて来たが「ステラ村に接続する事は可能ですが、向こうは接続箇所が一杯でしょ、ロボスさん枠不足でそんな事が実際に可能なのですか?」「それは此方の親書で、向こうが判断するだろうけれども、恐らく喜んで接続して貰えると確信しているよ」「随分と自信ありげですが、大丈夫なんですね」
ロボスが少し人の悪そうな顔を拓斗に向けて「一応人を派遣して今回の顛末を報告しているんだ。だから屹度向こうも同じ懸念を抱く筈だからね、殿下達とプティマとの関係を見れば、此方と同様の被害を恐れる筈さ、だから空きはプティマを外す事で出来るよ」「成る程ですね、向こうが同意すれば、此方との連絡もし易いし、経済的にもプティマに打撃を与える一石二鳥の策ですね」
我が意を得たりとロボスは「正解だよ拓斗君、プティマの商人共はどうでも良いんだがね、此方の商人には不満を抱えて欲しくないんだ。だからプティマよりも商業規模がデカいアルビオンなら最適さ、各地に支店がある大商会もその方が良いみたいでね、商人達にも恩恵が出るんだよ、まぁ一石三鳥に成る筈さ・・・」
拓斗は知らない話しだったので、教えて貰えるならばと質問をした「アルビオンでお目に掛かるのは、殿下達と仰っていましたが、その話しは詳しく聞いていませんでしたね、相手のことを詳しく教えて下さい」「それも今から話すけれど、もしかしたらもう一役買って貰う話しに成るかもね」
それから暫くは、現在の王都事情とアルビオンへ王妃と殿下、妃殿下が逃げ込んで強引に即位した僭称王と、両境で軍同士が対峙している話しを聞いた・・・
「この話しは、此方の戦いが済む終盤にもたらされた情報でね、それからも随分と時間が経っているから情勢も変わっているかとも思うんだが、アビス閣下も殿下とサウス・ヨーク公を支持為されているから、更なる情報が欲しい所でね、転移陣が繋がれば支援もし易いし、人的交流も盛んに成るから他の情報も得易い・・・」
拓斗もステラ村の行く末は、他人事で無いので「ロボスさん、よく分かりました。お引き受けしますよ」「そうかい有り難いよ、それで閣下には、既に親書を書いて貰っているから、一度村に戻って受け取って欲しい」「その事も了解ですが、何故今頃なんです。もっと早くから動いていても良かった案件ですよね?」
ロボスは拓斗の質問を受けて「此方の商人からの苦情は前から出ていたんだがね、向こうの商人から苦情が出ている話を聞いて、僕は戦略的に使えるかと最近思案をしたんだよ、そしてアルビオンの情報取得は、早い段階で手を打っていたんだが、今更ながらでも転移の接続変更は使えるかと、相談していた矢先だったんだよ」
噛み砕いた説明を拓斗達は聞いて「成る程ですね、親書が出来上がっていた理由も分かりました」「拓斗君達の計画を聞いて渡りに船だったと言う事さ」「それでは僕達は一度アルビオンへ赴き、情報収集と依頼があれば向こうの手伝いと言う事で良いですね?」
拓斗の返事で嬉しそうなロボスは「僕が言う迄も無かったね、是非それで頼むよ、多少君達の計画を遅らせる事に成るけれども、此もステラ村の為だと我慢してくれれば嬉しいかな」「何を言っているんですかロボスさん、勿論喜んで僕はお手伝いをさせて頂きますよ、父さん母さんや皆の為でもありますからね」「アタシも当然賛成だわ」「自分も良いスよ、此処が第二の故郷ス」「ワイもや」「はいデス」
全員でステラ村への帰途に就きながら「とまぁこんな話しだったんだよな」両肩の二人に返事を促すと「お姉さんは理解したわ、ご主人様がそうするなら付いて行くだけだわね」「ゲボも了解ですが、タクト君は一体どう成りますか?」「その話はソドムでの決着が着く迄、此方から一切連絡をしない事に成ったよ」「不味い時に連絡をして、向こうで騒動を起こしたく無いんだわさ」
それを聞いたミウねえはややお冠で「スラ!アンタはタクト君ともう会ったのね?狡いわよ」「まぁ仕方無かったんだよ、向こうで事情を聞いて簡単な打ち合わせをしただけだからな、だがまぁ安心しているよ」「そうなのね、お姉さんは少し心配だけど我慢するわ」「ゲボも心配ですけれど、一応納得です」
拓斗は一同に向けて「取り敢えず意思統一も出来たし、親書を受け取ったら休んだ後で東へと出発だな」「それで良いわよ」「了解ス」「了解でんな」「はいデス」「ご主人様、ラプトルでの騎乗高速移動か、それとも空飛んで行く方が良いのか、決めて欲しいだわさ?」どうやらスラは、乗せる気満々である・・・
スラの質問に拓斗は「そうだな・・・ジャッカ領を抜けてザイオンを経由、一応はプティマにも転移拠点を作ってからアルビオンへと向かうなら、どうしようか?」「拓斗、アタシは何方でも良いけど?」「自分もスよ」
他は同意と許りに頷くので「陸路を探検しながら進むかな?歩くのも屹度健康に良いし、ロボスさんも年内なら、慌てずユックリで良いと言っていたからな、便利な転移拠点地を探すにも、その方が見逃さずに済んで良さそうだ」話しを聞いてややガッカリなスラ達だった。
自ら身体を動かすのが好きなミウが喜んで、真っ先に「分かったわ」「了解スね、見物しながら行くのも楽しいもんスよ」「そうでんな、物見遊山ではおまへんが、その位の気持やったら苦にならしまへんがな」「ポコは付いて行くだけデス」
ガッカリとしているスラを見かねた拓斗は「了解だ。だったら帰路は急ごうかな、スラ!ラプトルだ」「了解だわさ♪」「お姉さんも了解よ!」「了解です!」嬉しそうな三人の返事が返り、拓斗は少しだけ笑った。
その後、昼の時刻を回った頃、戒厳令下のステラ村へと拓斗達は到着した・・・
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最初は嫌がっていたオーク奴隷達だったが、拓斗から命令を為れると渋々従って、ラプトルに跨がると怖々乗ったが、その後は一団と成って疾走する・・・
砂塵を巻き上げる・・・と言った具合に北の街道から押し寄せるオーク軍団だが、その先頭に立つのは拓斗達だった。
途中で見付けたオークの残存兵をギエンの説得で収容しながら、次々奴隷と化して行くのだが、先に到達したオークと、既に一戦交えたステラ村に緊張が走る・・・
目の良い雌虎の一員が「キャー姐さぁ~ん!オーク共の、たたい、大軍だよぉ!」悲鳴に近い大声で叫ぶと「ラプトルに乗っているね、こりゃ難儀だ」トキが呟くとスズが「どど、どうすんだい姐さん?」「どうもこうも無いよ、早速白豹の爪に、アビスの旦那に連絡さね、取り敢えず旦那達が来る迄は、アタシらで此処を何としても支えるよ、こんな事なら警備を買って出るじゃ無かったさね」慌てて北の門を改めて閉めた後、壁沿いに雌虎雄志達と警備兵が矢をつがえて待ち構える・・・
カーン!カンカン!と敵襲来の鐘が鳴り響き、この前の戦闘後に追加された門の両脇櫓から、人の動きが慌ただしく配置されていく・・・それを見て拓斗は「あれ?勘違いをされたかな・・・」「そりゃこの勢いでオークを連れて行けば、アタシ達なんか目に入らないわよ」ミウがツッコミを入れると「あ!又ツッコミ損ねたわ、ワイはショックやでホンマに敵わんわ」「拓斗さん此不味いスよ」「だな・・・」
拓斗は跨がっているスララプトルに「おいスラ、取り敢えず皆を止めろよ」「あいよぉ~♪」一斉に停止すると「ご主人様、此れからどうすんだべさ?」「俺が取り敢えず一人で先行するから、オーク達を一旦降ろして、ラプトルは回収してくれ」「了解だわさ」各々が停止したラプトルから降り出すのを見届けて、拓斗はスラに跨がり前進した・・・
慌ただしくミウねえとゲボが、ラプトル回収作業に勤しむのを気配で感じながら、ステラ村北門へと単騎でひた走る拓斗・・・それを見ていたフウが「姐さんアレ!アレを見なよ!」トキとスズもそれを確認して「ありゃ坊主だよ」「確かにアレは拓斗だね」ホッと一息吐くと「鐘を止めな!又伝令だよ、大丈夫だと伝えな」
伝わる間も無く鐘の音を聞いて、既に此方へと向かっていたアビスと白豹の爪メンバーは、鐘が止まり訝しんだ「親父さん!一体どうしたんですかね?」「鐘が鳴り止んだな・・・だが未だ壁で右往左往してるじゃねえのか?急ぐぞ!」「了解!」クランの若手でも古くからいるメンバーは、アビスの気性を慮って一部の者達は、昔の気安さで返事をした。
途中で最初の伝令からオークの大軍が来襲したとの報告を受けたが、更に拓斗達が現れて大丈夫だと知らされた。アビスは取り敢えず安堵したが、疑問も湧き上がり北門へ到着すると「開門だ!扉を開けろ」命令されて開く門の隙間から、アビスは真っ先に飛び出した。
其処にはゾロゾロと歩いてくるオーク軍団、その数は大凡二百足らずだが、中には人型の魔人が混じり、尋常な事では無いとアビスは考えた。
ニコリと笑いながら大きな声で拓斗は「雌虎のお姉さん方達、それに父さん、先触れも出さず迂闊だったよ、ご免ね・・・」最近は拓斗達絡みの騒動には、徐々にと慣れて来たアビスだが、顎でオーク達を指した「此だよね、分かってるよ」
拓斗の言葉を聞いて更に顔で促すアビスに対して申し訳無さそうな拓斗は「今回の捕虜達で僕の奴隷、何時の間にかそう成っちゃったよ」テへ♪と舌でも可愛らしく出しそうな態度に、思わずアビスは頭を抱えた・・・
「「「えぇぇ――――――――――ぇ!!!オークが奴隷ぇ――――!!!」」」
雌虎のお姉さん方から悲鳴に近い絶叫が上がり、ステラ村全体へと木霊した・・・
当然の話である・・・下半身脳で性欲が直結しているオークが、二百体も此れからステラ村でウロウロするのだ。女性許りの集団である雌虎全員の恐怖感は、当然で半端ない筈である・・・
それを見越してアビスは「拓斗、其奴らを村中へ入れるのは感心しねえぜ」「あ!それも迂闊だったよ父さん、みんな人型に戻れ!」大凡半分以上の百二十ほどが、変身を解くと女性だった「何だ?女が多いんじゃねえのか?」「そうだね父さん、代表に後から聞いたんだけど、女性の生存者が沢山いたんだよ」
オークへと変化して、戦闘モードに一度変わると、一旦その状態を解いた後では、急速に体力が落ちて一時的にだが動けない状態に成ると、拓斗はギエンから聞いた物だから、移動中は敢えて戦闘モードのまんまでラプトルへと乗せた。
更に後からギエンに聞けば、興奮状態が続く変化状態なら、ほぼ一日程度はその状態を継続出来るのだが、長く変化を続けると元に戻った時に使った魔力を補填する為、急速に体力が奪われて疲れの回復も遅いらしい・・・
因みに個人差は有るのだが、限界を超えて変化を続けると、獣魔化して自力では、戻って来る事が出来無い模様で、上位者の手助けが必要と成る・・・放置すれば、獣魔として生きていく事に成る為、彼らや彼女達にとってそれは、矜持を破壊され意思を剥奪されるゾンビ化と同等の、まさしく恐怖の象徴だった。
最初から人型で戦っていた者達は、実力のある強い個体で【手強い敵に遭遇しない限りは、人型で戦う事が多い】などととも教えられていたのだ。実際女性の個体は戦闘モードを解いた後、立っていられない個体がいたほどだ。
それを見てやや安堵する雌虎の面々へ「この者達には同族意外に不埒な真似が出来無い様に縛ってあるからね、安心してよお姉さん達」大きな声で拓斗が告げると、あからさまにホッとした様子を見せた。
だがしかし、アビスは「それでもだ拓斗、女の個体なら構わねえが男はダメだ!」確かにアビスが言う事も尤もなので「だったら父さん、男共はこの先の広い場所で野営にするよ、だけど女性達は良いだろう?怪我を負っている人達も多いからさ、僕としては休ませたい、それに明日か明後日には、ノースアランへ連れて行く事に成っているんだ。準備次第だけど明日にでも出発したい」
その話しを聞いて「ロボスの指示か?」拓斗が頷くと「だったら女はウチの兵舎にでも泊まらせろ、後はテントを持って行ってやれ」「有り難う、食事も外は僕達で何とかするよ」「あぁ、だったら兵舎の方は俺に任せな」「分かった。それと例の手紙をロボスさんに頼まれたんだ」
拓斗の顔付きで、話しは理解しているとアビスは察したが「事情は聞いたのか?」「聞いたよ、そして僕は引き受けたんだ」「なら明日にでも手渡す」拓斗は頷くと「ギエン!」「はい、ご主人様なんでしょうか?」「聞いた通りだからな、此処で待機してくれ」「はい畏まりました」
「それと後からオークが来る様なら対処してくれ」「それも理解しておりますが、余所へ参って糾合致しましょうか?」「余所に行ったのなら残念だけど、もう既に退治されているだろうね」「確かに・・・」「成るべく大人しく捕まっていてくれたなら良いんだけどね、その時は説得を宜しく頼むよ」「了解致しました」
その遣り取りの後、アビスと拓斗達はステラ村へと入り、女性達も助け合いながら後に続く・・・長い騒動も、一先ず終わりに近付こうとしていた。
拙作ですが楽しんで頂ければ幸いです。次回の更新予定は11月14日です。
何時も応援有り難うございます。又ポイントが上がるのは、励みに成ります。
此れからも頑張りますので、感想などを聞かせて頂ければ幸いです。作者拝




