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ツイン・タクト (外部世界の不思議な物語)  作者: スラ君
第三章 転移 魔人族の国、獣人族の国
85/144

085話 囚われのタクト 前編

新章に突入ですが話し自体は続きです。所は魔の国、拉致された少年タクトと魔女エルーザ、その二人の会話から物語は再び始まります。

その頃、拉致されたタクトとジュートことエルーザは、魔の国ソドムにいた・・・


拉致されて気絶した振りをしながら運ばれた先は、高い円形の古い塔だった。螺旋階段を上がり、中央に応接室擬きの広い部屋、それを起点に各部屋へと繋がる扉が三つ・・・寝室と書斎、そして開かない扉が一つだった。


無理に開けては後で問題が増えるのでは?と考えて、タクトが開けるのを躊躇していたら「どうせ脱出するのじゃから問題は無いとも言えるが、情報集も目的の一つじゃからの、それをネタに騒がれても困る、じゃから無理に開けるには及ばぬじゃろ?」「そうだねジュート、それに懸けてもいいけど、屹度碌な部屋じゃ無いよ、唯一扉を締めて隠すくらいだからね・・・」


その後他を見渡して「けれど高そうな家具だ」貴人を幽閉する為の施設だと、二人は考えて「鉄格子がある地下よりは、未だましの様じゃの」「そうだね、壁もぶち抜けそうだから何時でも脱出出来そうだ」壁を軽く叩きながら厚みを測る・・・


その最上階に閉じ込められてから部屋の周囲を確認するタクトとエルーザは「どうじゃタクト、何かあるかの」「窓に鉄格子があって出られない、それとさ、随分と立派な内装と言うだけかな・・・」「全くじゃがセラの特性を知ってか知らずか、窓には魔法の障壁を張って居るの・・・」「セラ姉ちゃんなら霧に成れるからね、転移で即脱出するよ」「隠して居るが壁もじゃな」「だったら脱出は厳しいね」


「解除は可能じゃ、いざとなったら妾に任せよ」「何だ可能なのか・・・」


此処へ来る迄にタクトは、自らの細胞を周りに気付かれない程度で少し落として、多少の自我がある生体探査プローブ代わりにした。


情報集を担わせたのだが「けれど解除する迄こりゃ~情報を受け取るのにも苦労をしそうだね」「全くじゃがあのミニスライム達なら扉の隙間を抜けて来るじゃろ」全てを承知しているエルーザは、会話に疑問を挟まずに返事が返る「あぁ、天井を伝って帰って来そうだね」見れば扉には、魔法の障壁が仕掛けられていなかった。


少し前、バカ丁寧に此処まで運ばれた後、カントンと部下が出て行く・・・遠くで「このお方を丁重に扱うのだぞ」「畏まりました閣下」「言うまでも無いが、逃がせばお前達の命は無いからな、そう思え!」「ハッ!」その後は常に警戒する様に中の様子を密かに窺い、下の詰め所に何時の間にか人数が、増強された様子だ。


暫く様子見をしていたが寝台から起き出したタクトは「どうやら上手く行ったね、囮の剣は取り上げられたけど、ジュートに対しては全く気にも留めていなかった」「然もありなんじゃ、妾が細紐にまで身体を圧縮して、巧みに縒り込んだ今流行はやりのベルトじゃからな、洒落た装飾くらいにしか思って居らぬわえ」「だよね・・・」元の紐へと姿を変えて行ったのが、部屋を物色する前の話しだった。


クローゼットを開けてエルーザは少し驚く「女物の衣類が沢山あるが、余り趣味の方は良くないの・・・」「それは残念だよ、まぁどうせ僕には不必要だけれどね」タクトの衣服は似せて作っているが、身体の一部を変化させている・・・


今のエルーザは、此処へ来る前の人型に紐をより合わせて形作り、行動している。


拓斗や皆には未だ内緒なのだが、自らの髪の毛と失敬したスラのスライム細胞を融合させて、体組織の代わりに使えるか?と研究をバロンと始めているエルーザは、或る意味悪魔的な受肉を果たそうと、考えている模様なのだ。


拓斗達と此れからも行動を共にするのならば、研究は必須の行為だと、エルーザは認識しており、何れ皆を驚かせる事を楽しみにしている・・・余談だが、成功時に無限の吸収力も、意図せずにだが手に入れる事に成るのだが、エルーザにもそれは想像が出来なかった。


閑話休題・・・


エルーザは衣類を物色して「どうやら下僕セラのサイズに合わせて居る様じゃな、どの様にして知り得たものやら興味深い・・・」「そうなの?でもセラ姉ちゃんには、例の縛りがあるから無駄じゃ無いのかな・・・でもジュート、セラ姉ちゃんサイズまで分かるんだね」


エルーザはニヤリと笑い「妾ほどの眼力を持ってすれば、容易い話しなのじゃが、下僕の身体なら隅々まで熟知して居るからの、まず間違い無い」自信ありげに宣うエルーザ、だが何を熟知して居るのかは、避けた方がいい話題だと判断して「僕は知り得た方法を敢えて詳しくは聞かないよ」「賢明じゃな」


話しながらエルーザは「仮にじゃがな、もしあの豚がセラを直接罠に嵌めた張本人じゃったなら、縛りの問題を此れらの品々は、解決して居るやもの?タクト、下僕専用アイテムなら変に魔力を品々に通すでないぞ」


「そうかも?気を付けなきゃだね・・・だったら此は、セラ姉ちゃんなら着られる品物なのか、持って帰れば、セラ姉ちゃんは喜ぶのかな?」「余り良い趣味の服や下着では無いが、マニアなら喜びそうな品物が何点かあるの、自由にするが良い」


一体何のマニアなんだよ?などと思いながらタクトは「じゃあ一応だけど、持って帰ってセラ姉ちゃんに直接選んで貰おうよ?」変な突起物が固定されている革製の下着を手に取って、お手上げ状態のタクトは判断を委ねる・・・


エルーザには当然、それらの品も理解は出来るが、人によっては何故こんな所に開閉が出来る工夫が為されているのか?疑問に思う様な紫の下着を見ながら「それもありじゃな、面白そうな品物が満載じゃ、奥も深く実に興味深い・・・」態とマニアックな品物を取り出して、手を突っ込んでタクトに見せる・・・


恥ずかしそうなタクトは「流石に此は無いか?屹度人前では着られないよ」胸元を大胆にカットして、背中の方は、お尻まで丸見えのドレスを見ながら呟くと、後ろから確認したエルーザは「それもありじゃ」にべも無く告げる・・・


部屋の盗聴などを警戒しながら「ジュートは長く眠っていたんだろうに良く現在の魔国事情を知っていたね?」「それはバロンの奴が、比較的新しい情報を持って居ったからの、暇に飽かせて聴き取った。魔の国だけに留まらず人族や妖精族辺りの国情も多少は理解して居る積もりじゃ」「成る程ね・・・」


室内の盗聴器や監視装置などは、最初に調べて仕掛けが無い事を確認しているが、階段外の扉から此方を窺う気配は常時している事から、二人は大きな声で話す事はしていない・・・何故なら此処には、セラフィナに変化したタクト以外は、居ない筈に成っているからだ。


一通り物色して見れば、どの部屋も立派な家具や調度品が調えられて、中にはチョットしたお茶会にでも使えそうな道具があった「どれタクト、お茶でも飲むか?」「僕がするよ」「まぁ妾達は飲まぬでも良いが、此も又気分じゃな」「そうだね」相づちを打ちながら少しタクトは笑った。


どうやら二人は共に、人として普通に生きていた頃の習慣が懐かしい模様で、拓斗達と一緒にいる時も、何故か実際に必要も無いのに入浴や食事をしたりするのが、妙に楽しい行為なのだ。


因みにスラ達にも同様の心理が働いて、率先して楽しんでいる事が多い。魔物や器物としての生だが、人としての何かを失う、と言う事を本能的に恐れているのかも知れない・・・


再び閑話休題・・・


実際、何か混ざっているかも知れないが、二人は問題が発生しないので平気で飲み始めた。どうせならと二人は、窓に近い椅子に座って、遠くの景色が見える場所を自然と選ぶ・・・


魔の国では気候もややヘキサグラムとは違い、未だ熱い程の外気だったが、流石に此処は涼しい・・・気温は感知出来るが、極寒以外では平気なタクトは「魔の国は何処もこんな感じの気温なの?」「場所に拠るの、だが大昔に豚共の居た場所は、もっと寒かった様に憶えて居るのじゃがな、奴らは何時の間にか南下しおっての、其処彼処そこかしこ蔓延はびこって居る・・・何処にでも存在して居るゴブ共と同じじゃ」


タクトは前から気に成っていた事を恐る恐るエルーザに質問した「ジュートにさ、一つ聞くね、前々から僕思っていたんだけど、魔の国に住む人達のことを魔人族や魔族って言うでしょ、一体僕達と、どこがどう違うの?」


「難しい質問じゃな、だが妾はこう理解してる・・・一種の変異なのじゃ、元々基本的には変わらぬのじゃが、大量のマナによる影響を受け続けて、長い年月の中で変質、或いは特殊化していったもの達や獣達なのじゃ、今は太古より続いたマナの影響も可成り薄れて居るが、一旦変質した流れはもう元へとは戻らぬ」


「それらの影響でじゃ、本能に逆らえず獣に近い個体は魔獣族、人としての知能を持つのが、魔人族や獣が知恵を持った魔族じゃ、全体では魔族と一括りには言って居るがの、その知能も高いものと、低いものが居るのじゃな、ゴブやオーク何ぞはその低い方の部類じゃ、魔獣族に近いんじゃ、いや獣魔と言っても良いのじゃ」


「成る程、本能の儘に生きるのが魔獣族か・・・」「迷宮や其処ら中に徘徊してる獣魔とは別物じゃが、その魔獣族の中にも人に近い程の知恵を持って居る者もいるからややこしく、一応は知能の高い者を一括りにして、魔人族と分類しても良い」「ゴブリンやオークが人を理解出来るのかなぁ~?僕は疑問だよ」


「それに近い考え方が出来ると言う話しだけじゃ、実際には奴らには奴らの風習や常識があるじゃろうからな、お互いに理解し合えるとは全く限らぬわ」「了解だよジュート、その辺りは心して掛かるね」「賢明じゃ、同じ人の感覚でいると、辛い目や不快な目に合う事に成ろう」「ジュート、忠告感謝するよ、有り難う・・・」


「まぁ言葉の一つを取っても全く違う言語じゃからな、理解に到る迄には遠い先の話じゃな」「え?僕は奴らの話しが普通に聞こえていた」「それはプレイヤーなのじゃから、理解が出来る様に何らかの細工が施されておるのじゃろう。まぁ話しを聞けばじゃ、確か選択出来るのが種族を問わぬ、と言う話しだった筈じゃ」


「だからなのかな?彼らを鑑定すると獣系魔族と表示されるんだよ」「妾の鑑定では魔人種のオークと理解して居る」「ジュート、どう違うんだろうね?」「それは妾も分からぬが、プレイヤー機能の鑑定とは、ズレがあるのじゃろうな、言葉などの変換しかりじゃ」


「成る程ね・・・だったら拓斗とポコは、何を言っているのか理解不能だったんだろうね」「ポコは兎も角も、主殿は理解して居った模様じゃ、理屈は理解出来ぬがフレアの輪っかが、それらを可能としておるのやもな・・・」


二人はそんな会話をしながら外を見れば、既に日が暮れた上に厚い雲が多そうで、全く星の一つも見えない・・・エルーザは意識を窓から外へと向けると「未だ雨が降るにはちと早いのじゃが、下を見れば夜景の方は、そこそこ見応えがあるの」


「そうだね、此処からよく見れば、王宮は明暗がハッキリしているよ、主要な場所以外では暗いけれど、此の方が構造が分かり易い、それに城壁の向こうは街並みがハッキリと分かる・・・屹度豊なんだね」「そうじゃの、確かにその様じゃ」


二人はその後、もう二箇所ある窓から眺めて、万が一の逃走経路を確認するが如く熱心に頭の中へと、叩き込んで行ったが、最初に見た窓以外からは、街並みの方は全く見えなかった。


どうやら他の二箇所は暗く、山を背に王宮は建てられている模様だ「残念じゃの、星か月が出て居れば、簡単に方向くらいは判明したのじゃがな・・・」「街は彼処だけなのかな?」「もう一部屋の窓を確認して居らぬから微妙じゃがな、造りから言ってもじゃ、街が見えた方向が正面じゃろな」「その様だね、賛成だよ」


此処まで運ばれて理解したのだが、塔の最上階は途中幾つかの部屋を通り過ぎて、兵士だまりを突破しなければ、下へ降りることは不可能な造りだ。窓にも鋼鉄製で強靱な格子がタクト達の脱出を阻んでいる・・・


エルーザはそれを見て「格子なんぞ妾は勿論、お主にもまるで役立たぬ無用の長物じゃがの、相手はそれを知るまい」「そうだねジュート、だが僕達が此処へ連れられて来てからでも暫く経つ、もうソロソロ動きがあっても良さそう・・・」


それを聞いてエルーザは、タクトを諭す様に「ヤキモキしても始まらぬの、沙汰さたを待つしか有るまい」「そうなるね、こうなったらまな板の鯉さ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

少し時間は遡るが、中庭に帰還したミーメは・・・


焦燥感と恐怖感、あらゆる感情が押し寄せて脂汗を掻きながら「手足の震えと未だ動悸が治まらん・・・」呟く様に口に出すと、バショクがそれを聞き付け「何がで御座いますか陛下」「何でも無いわ!」だがイレギュラーが使用した精霊魔法は、確かにあの方が開発された魔法だった・・・


やや憤りを込めて「それよりも儂が最後の転移に成った。残された者を救出為ねば成らぬが、如何程の数が撤退出来たのじゃ?」「それに付きましては現在確認中で御座いますが、大凡見た限りでは半数程かと思われます」「そうか・・・残された者共は、全滅したと考えるか?」


バショクは質問を受けて「それも判断付きかねますが、転移を開始する時には既にその程度の損害は受けていたかと・・・我らは必死に抵抗を致しましたが、後半は数も倍する程で向こうには余裕すらありました。悔しながら半数が転移出来たのも向こうの情けによるものかと愚考致します」


話しを聞いていたミーメは(それは間違いじゃ、恐らくじゃがたんに手間を省かれただけじゃろ・・・)などと思ったが、それは賢明にも口には出さない・・・


最後の方は巻き狩り(狩り場を四方から囲み、その中に獲物を追い込んで捕らえる狩りの方法)でもする様な感じで、転移陣へと追い込んで居ったからの、此奴らが勘違いするのも無理はないか・・・


しかし、前日は儂も頭に血が上って、全くよく見ておらなんだが、今朝の戦いでは我が兵団は、全くの役立たずじゃった。未知の相手とは言え、此奴らは相手に怖じ気付きおって、誠に不甲斐ない者共じゃ、鍛え直さねば成るまいて・・・


既に中庭の転移陣を後にして、本殿へと急ぎ歩き出したミーメの後を付いて来る、そのバショクの話しを聞いていたが「カントンは如何にした?」「先に帰っている模様で、部下に確認を致しましたら、現在は北の塔へ向かったよしに御座います」


満足そうに頷きながらミーメは「ならば満足じゃ、其方は明日にでも儂自らが対処するが、此方は怪我人の救護と、元気な者達には一時金を与えて軍を解散させよ」「御意」「儂は一旦休養する・・・妙に疲れたわ」


実最ミーメは急速な肉体再生を二回も行い、体力と自らは認めたくは無いのだが、無自覚にでもエルーザの影に怯えて、心身共に疲れ果てていた・・・


其処へタクト達の軟禁を終えたカントンが降りてきて「陛下、仰せの通り拉致に成功致しました」「うむ、何れ褒美を取らせる」「有り難き幸せ!」「丁寧に扱っておろうな?」ミーメはやや鋭い目線を向けて確認する・・・


カントンは報償話しに浮き立つ心を抑えて「ハ!それは勿論抜かりなく」「今回は儂も見込みが甘かったわ、亡き将兵の家族や戻って来た兵共の慰撫を忘れるなよ」「御意!」「陛下、兵共の証言では、ギエン将軍が怪我が元で逃げ切れず。捕虜に成ったか、或いは死亡したやも知れません」バショクが報告した。


ミーメはひと言「そうか・・・」と呟いた後「後宮の下女三百を下賜いたす。その方らを含めて、下級の者共への褒美じゃ、公平に分けて楽しめ」「御意」「その方らには、改めて儂自らが褒美を取らせる・・・半数でも生還させた功績じゃ」


バショクも驚いたが喜びもひとしおで「有り難き幸せ。この忠誠は、陛下お一人のもので御座います。更なる忠勤に励みます」ミーメは満足そうに頷くだけだった。


だがしかし、先に褒美の約束を取り付けていたカントンは、同僚の功績を我が事の様に喜んだが、同時に疑問も湧き上がり「陛下、あの者達は一体何ものですか?」「儂も未だよく分かって居らぬが、恐ろしい相手の尾を踏んだやも知れぬ・・・」


それを聞いて二人は黙り込んだが、中庭を見渡せる二階のバルコニーへと到着したミーメは、下の兵共に対して宣言する様に「者共!既に余からの褒美をこの二人に伝えてある、存分に楽しむがよい」言うなり奥へと進む・・・


その場に残ったカントンは「有り難くも陛下から後宮の美女三百人を下賜された。今からお前達は籤でも引いて順番を決めておけ!」その声が終わらぬ内に大歓声が沸き起こり、王宮中に響くほどに大騒ぎを始めた。


既に亡き同僚の事も忘れ去った様な雰囲気だが、更にカントンは「この宴の終了を持って軍を一時解散、更に一時金が下賜された。その後は留守部隊も宴に参加してよしだが其方は交代制だ。警備に支障なきようにな」留守部隊も大騒ぎを初めて、実働部隊の後へと順番待ちの列が出来上がった。


実際彼らも今日一日中、兵站補給や前日部隊の怪我人やら、精神的な疾患を抱えた兵達の面倒を見ていた。ミーメの王国は力頼りだけの圧政では無く将兵の心をよく掴み、民に対しても善政を敷いていた。


只、規範はオーク社会だけに通じる偏ったまつりごとだった為に多くの種族や複合国との紛争が絶えないのだが、あらゆる欲望を満たす事が、彼らの生きるよすがだったので、それを満たしてくれるミーメは、彼らにとって良い王様だったのだ。死んだ同僚の事を直ぐに忘れる位に・・・


その頃には、中庭を中心に彼方此方で大騒ぎの宴会が始まり、オーク兵達は飲むわ食うわを初めて、美女が現れるのを今か今かと待ち構えていた・・・そう、男共は変身も解かずに醜怪、醜悪な姿で熱り立つ物を隠しも為ず、中に混じって居た女戦士も戦いの興奮が、未だ冷めやらずに手近な者共と、肉の宴に参加し始めていた。


因みに知能が高い女戦士や近衛の女指揮官達は、巻き込まれるのを厭い、既に一時金を貰ってこの場から消え失せていたのだが、興奮した者共は男女共に気にもしていない・・・

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

一方、塔の最上階に閉じ込められた。籠の鳥の少年タクトとエルーザは・・・


時ならぬ歓声に驚いたタクトは「一体何が・・・」「どうやら親玉が帰ってきた様じゃな」「向こうはどうしたんだろうか?彼奴が帰って来たと言う事は、討伐には失敗した様だけど、情報収集も駄目だったのかな?」茶器も既に片付けて、二人で夜景や下の様子を見ていたのだが・・・


「妾はお主と共に此処へ捕らわれて居ったのじゃぞ?じゃから正確には当然ながら分からぬがの、この短時間で帰って来たのじゃ、恐らく主殿とて大した情報は得て居らぬじゃろうの・・・」「どうやらその様だねジュート、だったら僕達が頑張らないといけないね」


「その事なんじゃがな、タクトよ、お主情報収集の手立てはあるのか?」「それがサッパリ、良い考えが思い付かなくて困っている・・・」「然もありなんじゃな、じゃが何とか為ねば成るまい」「そうなんだけど、どうしたら良い?」「その様な事を妾に尋ねられてものぉ~?」二人は角を突き合わせて考えてる・・・


だが持ち前の豪胆さといい加減さでエルーザは「まぁ成る様にしか成らぬな、出たとこ勝負じゃ!」「ヤッパリそうなのか・・・聞いた僕がバカだった」「失礼な奴じゃな、ならば考えを申してみよ」「十歳の僕を追い詰めるのかい?大人げないよジュート」その時外の気配が伝わり二人に緊張が走る・・・

拙作ですが楽しんで頂ければ幸いです。次回の更新予定は11月11日です。


何時も応援有り難うございます。又ポイントが上がるのは、励みに成ります。

此れからも頑張りますので、感想などを聞かせて頂ければ幸いです。作者拝


拓斗 男性 人族 魂転移者 本名 板垣拓斗


本編の主人公・・・精霊魔法使いにして従魔使い、未だ謎の多いアウターワールドへ転移?転生したが、次から次へと事件や問題が発生して翻弄される・・・


だがしかし、恋心を寄せるミウやセラ、他の仲間達に助けて貰いながらも、魔法を駆使して次々と試練を乗り越えて行く・・・


【エクストラスキル:契約魔法LV5(UP)従魔〔スライムのスラや少年タクト、分体のミウねえとゲボ〕奴隷〔セラフィナ〕仮奴隷〔ポコ・ミウ・ガッチャ〕対等契約〔フレイアー〕】

【精霊契約:従魔精霊ジュート・火の精霊サラマンダー・土の精霊ゲブ・水の精霊アプスー・大気の精霊シュー】


装備品:形見の胸当とマント・風林火山のブーツ・ワンド・ナイフ・フレアの守り(頭部装備)・魔力制御の指輪・絆の腕輪(パーティー編制用の道具、装飾品)・フレアの木刀


ミウ 女性 兎人 OWOプレイヤー扱い


嘗て少年タクトに救われて、淡い恋心を抱いて居たが、OWO運営(仮)の所為で他人の思考や記憶を植え付けられる・・・その後、性格が変貌して知らず知らずのうちに少年タクトから拓斗へと、心惹かれて恋心を寄せる様に成った。


拓斗の前では時折り素直で無い事もあるのだが、心根は優しい・・・


装備品:白の燕尾服バニー仕様、ピンクの兎着ぐるみ、くノ一スタイル服、ヒットマンニット(生地自体は光を吸収するが、明るい状態で魔力を使えば、真反対の光学迷彩機能付き)革製の防御装備一式 魔綱製のロング・ソード、くノ一スタイル時の忍者刀(名は黒鐘くろがね)・フレアの棍棒

装飾品:魔力制御のイヤリング・イメージ・チェンジ・リング(五着分の変身を可能にする)


スラ 性別不明 拓斗の従魔スライム 元OWOプレイヤー 本名 早瀬美優


嘗て不幸な事件に見舞われて引き籠もり、とあるサイトからアウターワールドへ魂転移、その時の事故でスライムの身体へと魂が定着した経歴を持つ・・・


紆余曲折を経て、分体したミウねえとゲボが、別人格を形成するが生来の暢気者?複雑な経歴の割にはスライムに成ってからの性格は我が道を行く!と言わん許りの発言と行動力を発揮して、拓斗の顰蹙を偶に買いながらも、自らの欲望に忠実で、強く逞しく生きている・・・お姉さん的要素も持ち合わせて頼りにもされている。


【強奪した能力:強制支配LV1同族限定】

【ガイダンスAI協力体制、命名アイ子】


少年タクト 性別不明(一応男性)拓斗の従魔スライム 元人間


もう一人の主人公・・・OWO運営(仮)に運命を玩ばれて人間の身体を失う。


フレアとスラの助けを借りてスライムボデーに魂を定着させたが、それは樹核石のお陰だった。嘗ては大人しい性格だったが、拓斗の考え方と記憶の一部を引き継ぎ現在変貌中、仲間内での立ち位置を模索中なのだが答えは未だ出ていない・・・


未知の経験で苦しんでいた時に優しく励まされた、早瀬美優ことスラに淡い恋心を抱いて居る・・・姉とも慕うスラの仲間入りを果たしたが、本人にとって良かったのか悪かったのかは不明、能力は現在も進化中でこの世界での役割も不明だ。


セラフィナ 女性 吸血姫 拓斗の奴隷 OWOプレイヤー 本名 山口桃子


OWO運営(仮)の罠に掛かり魂転移、セラフィナの身体に宿ったが、自らの選択ミスで現在は縛りプレイを続行中、サッパリした性格と持ち前の陽気さで、次から次へと襲い掛かる運営の魔の手から、拓斗達の力を借りて乗り越える・・・


その過程もあるのだが、縛りプレイの影響も受けて拓斗に恋心を寄せる。ミウとは違い積極的なセラは、不利な状況を逆手にとって、何時も拓斗へと迫るのだった。


【エクストラスキル:痛覚の快楽変換LV3・恥辱のパワー変換LV4】

【強奪した能力:頑強LV1】


【現在縛りプレイ中:放置プレイ、羞恥プレイ、女王様プレイ】


標準装備品:伝説の網状恥辱レオタード・奴隷仕様改(能力未公開)女王様のブーツ(能力未公開)黒の燕尾ベスト(能力未公開)パピヨンマスク(赤外線、熱感知、相手に見せる幻視)魅惑の網タイツ他、セラ専属恥辱品装備多数・雷龍の千条鞭(雷撃・ドレイン)・ジュート(貸与中)緊縛のチョーカー格上げ・フレアのナックルカバー


特殊装備品:インビジブルマント(透明裸窃とうめいらせつのマント)・奴隷仕様改(UVカット、セラ専用装備品の強制収納、透明化)日中限定


備品:棺桶〔アルフォンス・シルベスター・ヒッキンゲン男爵、通称バロン〕


ポコ 女性 狸人 拓斗の奴隷


両親を悪辣な者達に亡きものとされたが、健気にも表面にはそれを出さずに不幸を受け入れて生きている・・・やや引っ込み思案だが、大人しく素直な性格なので、誰からも分け隔て無く皆に可愛がられる人気者だ。


ひょんな事故で苦しむポコを拓斗がその命を救った経緯から、白馬の王子様である拓斗に一目惚れ、奴隷であった事から唯一OWO運営(仮)の魔の手を逃れて拓斗達の仲間となる・・・


装備品:絆のチョーカー(物理障壁あり)・弓張月ゆみはりづき・フレアの小刀


ガッチャ 男性 鼠人 OWOプレイヤー 本名 佐藤浩一


OWO運営(仮)の罠でアウターワールドへ魂転移、セラと同様で選択ミスから現在は縛りプレイ中なのだが、持ち前の陽気さと責任感の強さで、仲間としての立ち位置を確保、徐々に兵站役としても活躍しつつある・・・


【強奪した:現在無し】

【現在縛りプレイ中:笑福の呪いプレイ(一日一度他人を笑わせる事、但し滑るとHPにダメージ)デンジャラスショッピング(買い物で負ける事は許されない)】

装備品:フレアの木刀大小・革鎧一式

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ジュート 紐 性別不明(一応女性) 魔道具?武具?微妙 元魔王


大昔に魔の国全土を席捲統一した大魔女王エルーザ、長く統治したが、対抗勢力や味方の悪辣な罠に嵌められ死亡・・・その寸前か死後に嘗て制作した、自らの髪の毛とジュートを編み込んだ紐へと、魂の一部を理は不明だが何故か転生した。


生きて居るとも言えないのだが、紐生に飽きたジュートは眠りに付くことを決心、長い微睡みの年月を過ごしたが、ある日突然にOWO運営(仮)から送り込まれた魂の侵入を許して戦う羽目に・・・だがそれを撃破、その後は縁もあって拓斗達と行動を開始する・・・


奔放な性格と老獪な熟女、二面性を併せ持つ彼女に翻弄されながらも、時折り見せる思慮深さと古の知識に助けられて、拓斗達の仲間としては無くて成らない存在と成った。


アルフォンス・シルベスター・ヒッキンゲン男爵、通称バロン 男性 吸血鬼


嘗ては大魔女王エルーザの配下として、数々の諜報や暗殺を司り、死の代名詞とも恐れられた存在だったが、エルーザの死後は、彼が何をしていた物かは一切不明、ひょんな事からエルーザとの再開後は、有能な執事として仕える事に成るのだが、彼は変態だった・・・未だ謎の多い棺桶が彼の住処だ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

銀の狼、通称は銀狼ぎんろう・・・メンバー紹介


白銀のフェル:30歳リーダー、長剣使い 魔法剣術使い アビスの弟子

堅狼のロボス:27歳フェルの弟 杖使い 後衛回復役

ラブラ:28歳 シェパの姉 長斧使い 前衛、護衛兼突撃役

シェパ:26歳 ラブラの弟 槍使い 前衛、護衛兼突撃役

ギンガ:29歳 蛮刀使い 探査、切り込み役 

コチャ:24歳 ギンガの妹 弓使い 探査役

カメリヤ:21歳 双剣使い フェルの恋人 便利屋 OWOプレイヤー

本名スージー・アナスタシア・ロチェンコフ

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