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ツイン・タクト (外部世界の不思議な物語)  作者: スラ君
第一章 始まりは突然に・・・
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004話 混迷するミウと美優、そして美優?

意識の無いタクト以外は、三者三様に状況を確認しだした。何とか此の迷宮から脱出するべく動き出したのだが・・・

一体どれほどの時間が経ったのかも判然としないのだが、タクトの記憶からお腹の具合を考えると、それ程の時間を無駄にしたとも思えない拓斗が、辺りを見渡す。


既にタクトの意識は無く、抑えられている状態で、拓斗はその事を気にすることも無く、自身の状況確認に余念が無い・・・


タクトの記憶が曖昧で、突発的に順次蘇るもので、拓斗は後ろに居るミウに迄は、全く意識が向かない状態が続いた。


対するミウの方は、不可解な行動が目に付く、タクトに不信顔を向けている・・・


そして(何よ?話しが違うんじゃ無い?)とミウの中に居る美優は、焦りだした。


身体も思う様に動かず、アバター?自身の身体が勝手に話し出す・・・その顛末てんまつに一番驚いているのは、間違い無く事態を認識している美優だった。


可笑おかしいわね?何これ?不具合なのかしら?一度ログアウトしようかな・・・と言っても、一体、コレ如何どうすれば?如何すれば、良いのォよォ~!!!)


立ち上がり状態を確かめる様に身体を動かし始めた拓斗が、タクトの記憶を頼りに「状況が不味い、先へ進まなければ、食料も水も無しでは、俺達は確実に飢える」


ほぼ、タクトと同時期に気絶から立ち直ったミウだったが、頭の芯が疼く・・・


スッキリとしない頭だがミウは(此処はアタシがシッカリしなくては)「そうだわね、タクトが後衛で、前衛はアタシに任せて」「了解した」違和感を覚えてミウが「タクト、緊張しているの」拓斗も相手からの違和感を察知して警戒した「ああ、突然の、イヤ、急な出来事の連続だったからね」違和感は未だ収まらないが、少し納得した様子で「行くわよ」ミウは、先頭を切って歩き出した。


洞窟内では、弱いスライムが出て来る以外の敵は無く、拓斗達は順調に進んで行く「スライムばっかりね」「そうだな」


辺りを見渡すと薄らと光る壁のお陰で随分と助かっているが、見通しは悪い「分岐だな」「どっちに行く?」「こんな時には、当然左手の法則だな」「何よそれ?」「壁を伝い歩くと道に迷わない」


少し苛立った様子で「何よ!此処に来てから偉そうに」「何を言っているんだ?」「何時もはアタシの言う通りしていたタクトだったのに言葉使いも僕から俺、全然似合わないわよ」合点が行った拓斗は「済まない、緊張をしているんだ」チラリと上目使いで見た後「分かったわ、取り敢えず左に行くから付いて来てよ」(此は、どうもにも仕方無いか、道を覚えるしかないか)「分かったよ」(ヤレヤレだな)頭を振りながら付いて行く拓斗だった。


どうにも調子が狂うわね・・・タクトはアタシの言う通りにすれば良いのよ、次は絶対右に曲がってやる(オーイ、オーイ、何考えているんだろうこの子は、タクト君が正解なんだけどね、しかし困った。話が違うよ全く)


「分岐だな、左に行こう」「今度は絶対右!」「何を言ってる、そんな事をすれば迷うだろ」「此方が絶対近道なの」聞かないミウを拓斗は、宥めに掛かる「ミウ、例え遠回りに成っても確実に行こうよ」しかし「アタシの勘が正しいの」と言って聞かないから、分岐に印を付けて任せる事にした。


せめて右なら右を進めば、引き返しても覚えやすいのだが、戦闘を繰り返しては、その後はまた気分で曲がるものだから、当然の如く迷った。


しかし、道順を記憶していた拓斗は、子供(実際子供なのだが)をあやす様に旨く誘導して、元の場所まで引き返すと「俺の付けた目印だよね」それを見て悔しがるミウだったのだが、一応素直に反省して今度は従った。


しかも左に曲がって、もう一度曲がれば、次への階段を見付けたのだ。なんの為の彷徨ほうこうだったのか、実際やるせない拓斗だった。(タクト君が正解だったのだけれど此は出来過ぎね)


あら、ホント出口だわ・・・今日のタクトは、何時もと違がっているわね、積極性がチョット頼もしいかも?そうよ、タクトは頭は良いんだもの、今日みたいに格好いいタクトも、アタシ好きかも知れない・・・男の子の真価は、こお言うピンチの時に発揮されるものだったのね、アタシ理解したかも♪素直に従うわ。


少し戻ってスタート地点では・・・


拓斗達が気絶していた場所で、同じ様に気絶していたスライムが動き出した。


そう、七色に輝いていていたのスライムだった個体だが、とろけた状態デローンで気配も弱く、力が失われた残りカスの様な、頼りない状態だった。


その為に拓斗達は、全く気が付かずに先へと進んで行った。


そのスライムの中で(アレ?力が失われて普通のスライムに成っちゃたわよ?如何すんのコレ?)美優は焦りだしログアウトをする為に(メニュー!メニュー画面!ステータス表示!ログアウト~ォ!)有りと有らゆる言い方で探ったが機能せず、途方にくれたが此処に居ても(ヤバイわね)と考えて美優も先へと進み出した。


しかし、あの子らに接触しても殺されるのが落ちだね、どうしよう?・・・遠くでミウがスライム相手に無双していたのだ(諦めるしかないのか?私一体どうなるのよぉ~!)力を失ったスライムでは、移動速度も遅く、偶然にも拓斗が印を付けた分岐辺りで力尽きた。


暫くして分岐まで戻ると「俺の付けた目印だよね」俺は軽くコンコンと叩いた積もり、だったのだが、ミウには、バンバンと壁を叩かれている錯覚に陥り、叩く度にビクついた後「分かったわよ」悔しそうに告げると進み出したが、何故か足取りが軽そうに見えた。


あの子達が帰って来た事で、気が付いた私は(今度こそコッソリと付いて行かなければ)と動き出した時、拓斗の足で践まれて(グシャ)瀕死に成って仕舞った。


「ウワ!ばっちいな」踏みつけたスライムを靴底から剥がしていると声が聞こえた【スライムを従魔と致しますか?Yes/No】「何だ?ミウ、何か言ったか?」「何も言わないわよ?」すると目の前のスライムが、グッタリしているので触ってみると【従魔契約に成功致しました】頭の中で鳴り響く、すると魔力が吸い取られて目の前のスライムが活性化した。


見る見る楕円形に復活するとポョ~ン・ポョ~ンと跳ねて嬉しそうにしている「今のはお前なのか?」ピョーン!ピョーン!二回跳ねる・・・当然返事は無いが更に飛び跳ねて意思を示すから「俺の右横に並べ!」命令をすると素直に従った。


ミウは可哀相なものを見る様に「タクト、これテイムしたの?」「如何やらその様だな」「こんな弱っちいのを従えても仕方無いわよ」嫌そうな顔をして「仕方無いよな、何でテイムが出来たのかも知らないし、取り敢えず戦力としてだな、ウン、使おう!」「成らないわよ」ミウからはすげなくされた。


タクトが身体に触って来ると、早瀬美優は電流に撃たれた状態に成った。

それはタクトの魔力が美優に流れ込んでいく時に発生した高揚感だった。


快感すらを伴うその行為で、美優が復活した時には、既にもうタクトに逆らえない状態に成っていた。

(アタシ、この人に一生付いて行こう!と何故か素直に決めた瞬間だったわね)


それは拓斗が、契約系の魔法を初めて使い、従魔を魂毎縛った瞬間だった。


ミウが「名前を付けないの?」「名前を付けるのか?」「だって従魔に成ったんでしょ?」「そうなんだが」「アタシが聞いた話しだと名前を付けると強くなるらしわよ」何時かはアタシも従魔が欲しかったけどスライムじゃ羨ましくもないわね、などど失礼な事を考えながら「良いのを考えて上げて」そしてニッコリと笑った。


少し考えた後「それではお前はスラさんだ」「安直ね」「仕方無いだろ、こんな事に成るなんて考えもしてなかったしな」「私ならシュバイツァーだわ」「オ、それ良いね、それにしよう」「取らないでよ、将来の従魔に付ける名前なのよ」「また考えろよ、な♪シュバイツァー進め!」と言っても動かないので「スラさん進んで下さい」お願いすると動き出した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


スライムの中に残った美優は・・・


シュバイツァーはしいが、最初のスラさんで固定化したようなの~(涙目)美優から今ではスラに格下げされた気持ちだが【上位個体に進化致しました】ユニーク個体従魔スラは、固有の特殊技能も増えて身体能力も上がり、取り敢えず坊ちゃん嬢ちゃんより早く動ける様に成った。


悄然しょうぜんと・・・私スラだよ、人間、止めちゃったよ、あたしゃ~OWOの運営に絶対文句を言ってやるよ、でも今頃は屹度きっと夜なべだね、半泣き状態で復旧作業をしているんだろうな(笑)焦りはあるが気分的には、未だ楽観視している美優だった。


しかし、運営からの救済は、何時まで経っても来る事は無かったのだ。


本来、初期装備に成る筈だった特典従魔のスライムは、美優の意識が残り、本体のミウの身体には、意識と初期スキルが移って仕舞っていたからだ。


その上、特典従魔に成る筈だったユニーク装備のスライムは、タクトの身体を通り抜けた際に特典技能は奪われて、更には拓斗が支配すると言うオマケ付きで現在に至っていた。


運営が気が付いたとしても、この様な特殊ケースの美優の場合では、全くお手上げ状態だった事だろう・・・


一方ミウの中に居る美優は・・・


全くこの子はどんな育ちをしたんだろうか?子供の我が儘程度で可愛げもある様子だけど・・・


タクト君を好きな様子は、見て分かるんだけど、その態度が頂けないかな?時たまタクト君引いちゃってるしね、お姉さんが指導したい所だけど(もう、如何すれば良いのよ、アバターは思う様に成らないし運営、早く助けてよ)


今日のタクトは何時もと違う・・・言葉使いもそうだけど、言っている事が的確で頼りに成る「ヤッパリ、アタシのタクトは、格好良いわね♪」「何か言ったか?」「何でも無いわよ」ヤバイ!声に出ていたわね、しかし、スライム無双をしたけど今日は妙に身体が軽い、何か武術のコツを掴んだのかしらね?タクトはテイムしたスライムに戦わせる許りで未だ一体も倒していないのに呑気な物ね。


未だ一体も倒していないのに力が漲って来る・・・スラさんが相手を呑み込む度に力の流入が有る為、経験は共有しているんだなと理解出来た。思わず「頑張れ~♪スラさん」と言いたく成ったが、現在俺は検証をしているのだ。


倒した場合と呑み込んだ場合では、違う感じがしているので動きを確認しながら、フィードバックする感覚を吟味している・・・


一方スラさんこと美優は、早々に諦めて迎えに来るまで楽しまにゃ~損とばかりに身体能力や技能、特に固有のスキルを試していた。物理耐性は強めと・・・今いる獣魔程度では(フッ、アッシニャ~勝てないわよ!)捕食能力を使うと身体に力が漲るけど時間が掛かるのが難点だね、それでも最初に比べれば、早く成って来た。


単に倒すより、食べた方が力に成る様だわね(アタシ、ゲテモノ食いだったんだ)


此の身体では表示はされないが、レベルアップした感覚が有るね、本来の身体ならメニュー画面位は使えて今頃ファンファーレが鳴っているかもね、隣の本体もサクサク殺しているし(ヤッパリ私の選んだアバターは、優秀だね・・・ウァア、早くリセットしたい、もう炎上しろ!運営)


程なくして階段を降りた二人と一匹は、森林エリアへと辿り着いた。


階段の途中から崖の中腹に出て、麓に見えるエリアを一望してから、続いている階段を降りたのだが「ウワー!此は広い、一筋縄ではいかない様子だな」思わず声に出して仕舞った。


「タクト、此から如何するの?」「先ずは、水の確保と食料調達をしながら進むしかないな」「成る程ね、分かったわ」と進み出したが道は細く蛇行している・・・


見えて居るので真っ直ぐ行くと近そうなのだが、罠があるかも知れないし、背丈の高い樹木も多く見通しが悪い箇所もある「取り敢えず道に沿っていこう」タクトが告げると真っ直ぐ行きかけていた美優の足が、一瞬止まったが素直に従った。


確かにミウが迷ったお陰で洞窟エリアでは、初回特典なのか宝箱が豊富で役に立つアイテムを沢山手に入れた。


特に補助系の魔道具であるマジックバッグやマジック水筒、他には中層以上にしか無いとも言われていたマジックテントなどだ。


そお言う意味でミウの勘は、素晴らしい働きをしたと思えるので、此処では不味い状態に成らない限りは、好きにさそうと思う。


前衛の二人?は、早速水源を見付けた模様でスラさんが、触手を伸ばして吸い上げるのを見てから、試しに飲んだ後、空の水筒へと水を注ぎ入れた。


随分と大量の水を入れたが一向に満杯とは成らず、諦めて「一体、どれ程の量が、此に入るんだよ?」「確か込めた魔力の量で変わるらしいわよ」「それでか・・・蓋を開けた時に立ち眩みがしそうな程、魔力を持って行かれたぞ」「最初に込めた魔力が基準に成るらしいから、其処まで入るなら大した物よ」


流石はアタシのタクトね♪「幾ら入れても重さは変わらないんだな」「当たり前でしょ、それはマジック水筒なのよ」見ると目安代わりに中の量を確認出来る部分が有ったので、二人分ならと切りが無いので八分目で止めた。


十分な水を確保出来た事に安堵した拓斗だったが「次は食料か?」辺りを見渡すと果物を頬張るスラさんがいた。何も考えていないのかミウも並んで頬張ほおばっている。


怖くないのかよ?と思いながらも下層では毒を持つ果物は少ないと教えられた事を思い出し、拓斗も頬張った「甘いが少し酸味もある独特な味をしているな」「美味しいね」ミウも賛成と許りに食べている「少し持って行こう」と袋に詰め込んだが先の階で諸々のアイテムを入れる為、最初に使用した時に水筒と同じくゴッソリと魔力を持って行かれたのも、記憶に新しい出来事だった。


早くから親父達は知っていたのだが、タクトの魔力総量は、魔族以上と評価されていたらしい・・・


タクトは当然ながら覚えていないのだが、冒険者の両親が赤ん坊のタクトを迷宮に連れて行き、魔力操作のスキルを取得させていたのだ。


魔力量の多い子供には此が無いと危険で、身体も悪くする事が、多いらしいのだ。


そして初級迷宮では、最初に授けらるのが、魔力操作か身体強化なのだそうだ。


因みに連動するアイテムを使う事で、魔力暴走を巧みに抑えるらしい・・・


一般人は余り知らない知識なので、偶然魔力量多い子供が生まれても、早死にする事が多く、その事を知っていた両親は、連れて入る事を決心した。


その当時でも、魔力量が可成かなり多かった赤ん坊のタクトは、楽々と認められて迷宮へと入り、二人は赤ん坊を連れてボス部屋へ侵入した。


そして二人はボスを瀕死状態に成るまで攻撃を加え、重傷を負わせた後にタクトの魔力を暴走させる事で止めを刺した。


中には此の事を知っている一般人に頼まれて冒険者の中には、仕事として請け負う事もあるのだが、迷宮の入口が反応する程の赤ん坊や子供は少ない為、中途半端に魔力量が多い子供は、その成長に合わせる事もある・・・


親父達は、それを知っていて随分後に教えてくれたのだが、この時点でのタクトと拓斗は、初めての迷宮探査だと思っていた。


しかし、拓斗はゲームでの知識も加味されて、実際の冒険も過去生かこせいで経験している事でも有り、少し精神的にも余裕があった事は、否定出来ない・・・


スライムの中に残った美優は・・・


ヒャホー!水だよ水、喉が乾いて居たんだよね、ン?何で乾くの?喉、何処?お腹すいたけど口は何処?何でお腹すいているの?随分同胞を吸収したから減っている事は無いと思うのだけど何故?(・・でも良いから答えてよ)


【解答、食べた物は、胃袋のレベルに応じて亜空間へと収納されます】


驚いた!答えが返って来ちゃたよ(此も特典の一部なのかね)


【解答、唯一残ったメニュー機能の一部、ガイダンスAIです。現在、種族固有の能力も一部、使用不可と成っています】


強く念じれば良いのかも?しかし、前にもメニューを探したのだけれどもね?そお言えば【メニュー機能の一部】と言って居たか?イヤ、進化した時に確か、ウン、一度聞いた声だよ此は・・・


それでは聞かなくっちゃね(何で今迄ガイドが無かったの?)


【解答、先程機能がオンされました。一部レベル上昇に応じて、情報が開示される物も有りますが、此れ迄の言動に起動に関する質問事項が御座いませんでした】


オッ!調子良いぞ・・・(それではゲームを解除する方法は?)


【解答、現在の所は存在致しません】


それを聞いて、愕然としたスラさんだが、本能が示す儘に触手が動いて水の摂取と果物を頬張っていた・・・

拙作ですがご辛抱の程をお願い申します。


当面の間、ストックの続く限り毎日更新致しますので楽しんで頂ければ幸いです。


細かな部分の言い回しやその他で気が付いた間違い等を随時訂正しています。

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