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ツイン・タクト (外部世界の不思議な物語)  作者: スラ君
第三章 転移 魔人族の国、獣人族の国
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112話 動き出したヘキサグラムの状況⑫尋問

カイザーⅡを虜にして尋問を始めた拓斗達、だが意外な反応に戸惑う・・・

常時人通りがある街道では、拘束した男をのんびりと尋問が出来無い、そこで道中所々で分散させたスラの分体に問い合わせて、都合の良い場所へと転移した。


そして拓斗は未だに拘束中の男に対して問うと「先ずは自己紹介をして貰うとするかな?」「ああ、俺はカイザーⅡと名乗っている」「名乗っている、と言う位なら別の名があるんだろう?」「何時、何処で知ったか知らねえが、プレイヤー反応を隠しているお前達だ。当然ながら俺の事は、プレイヤーだと気が付いているよな?それらしい発言も態々したりして、俺なりに気を遣った積もり何だが……」


拓斗は視線を離さず「あぁ、それを聞いたから他への追撃は必要が無くなったよ」ニヤリとカイザーⅡが笑うと「俺達と同じ様に奴隷にでもしたんだな、あ!そうかそうだよな、今朝双子を見掛けたから屹度彼奴らの情報だ」「へェー、アンタ今朝あの人達を見掛けたんだわね、それでその後はどうしたのよ?」


ミウが問うと「気に成るか?此れからチャンと白状するぜ。今は仲間が二人で動向を探っているよ」「随分と素直だな?」拓斗が再び問うと「だ・か・らぁ~、俺は口が軽いのが取り柄だと先に言っただろう、信じていなかったのかよ」「未だな、当然ながら疑って居る……まぁひとつひとつ行こうか、確認だがアンタはクロノスに協力しているプレイヤーで良いのか?」「まぁそう言う事だ」


素直な受け答えで拍子抜けしながらも「それでは何で態と掴まったんだ?」「ほぉ~う、何故そう思った?」「何、簡単さ、アンタなら取り囲まれる前に逃げる事が出来たんだろうなと思ったんだ」「正解だぜ」


不貞不貞しく笑いカイザーⅡは「俺は以前、高坂次郎だった。お察しの通り罠に嵌められて、プレイヤーに成ったんだがな、もう十五年は此処に居る……」「それは気の毒だな、見ての通り俺達は新参者だよ」セラとガッチャは同時に頷く・・・


それを見てカイザーⅡは「元の世界に帰る方法を探しているが、どうもクロノスは俺達を帰す気が無い、この頃はそう考えているんだぜ。その上に彼是と仕事を押し付けて来る、だから抜ける算段をしていた」「それが俺達に態と捕まった理由だと言うのか、捕まる事で組織から抜けられるとは思えないが、だが何故そんな考えに至ったんだよ、そんなに温い組織なのか?」


「そんな簡単な話しだと俺は思っちゃいねえよ、だが少しお前達と話しをしたいと考えただけだ」「俺達と何を話したいんだ?」


「未だこっちに来て一年も経っちゃいねえのによ、既に何人かと組んで行動を共にしている、実の所だがな、単独行動をした奴らは、初期段階で生き残った者は殆ど居ねえだぜ」「そうなのか」「知らばっくれてやがるな、おい、お前達は何時から組んで居るんだ?襲撃を撃退した時の連携も、まぁまぁ良かったからな、昨日今日じゃあるまい」


黙っている拓斗達を不躾に見ながら「先に言って置くがな、此の数日監視していたのは此の俺だ。未だガキのお前達が普通の奴らじゃねえ事はな、プレイヤー反応が無くても襲撃する前から感じていたぜ。あぁ此奴らはお仲間だとな……」


「それに話して見て思ったんだがな、妙に落ち着いていると感じたからよ、随分と余裕がありそうじゃ無いかお前さんはよ、此は俺の勘なんだがな、色々と知って居そうな感じ、だよな……」カイザーⅡの探りに「そんなに多くを知っている訳じゃ無い、恐らくアンタよりも掴んでいる情報は少ないと思うな」


妙なカイザーⅡとの遣り取りで【此では何方が尋問しているのか分からないな?】などと雰囲気に呑まれながら拓斗は考えていた。


「俺に話す気は無いと言う訳か、いや、本当に何も知らないのかもな、まぁそりゃそうかもだ。可成りの時間を費やした俺ですら、未だに打開策が無いからな、もう元の身体ですら疾っくの昔に風化していると思うぜ」


嫌そうな顔を拓斗はして「余計な話しを……そんな考えをウチの子達に聞かせたく無かったんだがな」チラリとプレイヤーの三人を見ると「拓斗さん、もう疾っくの昔に自分は覚悟していたスよ」「ワイもや」〔承知の上だわさ〕


一番幼い容姿をしている拓斗に対して「お前が一番年上だよな?」「まあな、だがどうしてそう考えたんだ?」「他者への気遣いが見えるからな、そう判断をした。だったら話してやるか……」「何をだ?」


「もう可成り昔の話し何だがな、クロノスではとんでもないエネルギーを元にして時間を過去へと戻す。此処に来る前の状態して元の世界に戻れば大丈夫、その方法があると言われて協力しているプレイヤーが居てな、その中の一人が俺だったよ」「そんな方法が存在するのか?」一同が驚くが拓斗は冷静に問い返した。


しかしカイザーⅡは、少し残念そうに「ある訳がねえじゃんよ、そんな話しは眉唾もんだ。だから利用されるだけの組織を抜けようと考えていた。だがな、俺はどうしてもあの時点のあの世界へ帰らなくちゃ成らねえんだよ」「同情はするが俺達も帰る方法は知らない、それにあの時点のあの世界とはどう言う意味なんだ?」


「こっちに来て未だ間無し、対比するサンプルも少ねえのなら、お前達が未だ気が付いて居ないのは当然だがな、俺は組織に入って色々と確かめたんだ。最初は俺も色々な時代から引っ張られていると考えていた被害者何だが、実の所別の場所から来ている奴らもいたんだぜ。一度お仲間の歴史を確認するが良い、中にはとんでもなく好戦的な奴もいる程だからな」


初めて聞く話しで驚く一同だが「そんな考えは最初から無かったな」「だから同じ様な文明人、同じ感性を持った奴だと考えねえ方が良いぜ。話し合いもへったくれもねえ連中もいる筈だ」「それはヤバイ話しだな、俺は仲間を誘って乗り切ろうと考えて居たんだがな……此れからは要警戒だな」などと言って拓斗は考え込む。


「そうだろうな、もうひと言忠告するぜ。クロノスの様な組織は他にもある、特に此処に来た以上はと、アッサリ帰還を諦めて、やりたいように遊んでいる奴らが、利己的に組んだ組織だ。其奴らは兎に角ヤバイんだよ、俺は独自に此れから帰還の為の調査を始めるがな、其奴らには関わるなよ」「アンタ結構良い奴だな」


少し遠くを見つめて「俺は元日本人だったんだよ、元に帰れば下の弟妹達の面倒を見なければ成らない立場でな、だが今の儘帰っても十五年経っちまった状態では、弟妹達もどう成っているのかが分からない、此処に来たあの時点に戻らなければ、俺に取って全く意味が無いからよ、眉唾物でもその話しに縋っちまったんだ」


拓斗達が黙って聞いていると「初めの頃は、人殺しなんて嫌悪感がバリバリでよ、だが今はもう何も感じ無い、しかし、幼いお前達を殺す算段を話していた奴らに、此の俺が嫌悪を抱いても仕方無いだろう、いや、此も言い訳か……兎に角俺はもうクロノスを抜ける事にしたんだぜ」


妙に方向が違う話と成ったが、気を取り直して拓斗は「だったらクロノスの目的を話してくれないか」「俺も事情通と言う訳でも無い、まぁ一応古株の部類だがな、上部の奴らは妙に余所余所しくてよ、色んな事を隠してやがる……しかし彼奴らのやっている事は、社会不安を煽って戦争を起こす事、それが目的だと思うぜ」


「理由の方は知らないのか?」


「最近一度だけ偶然聞けた話だがな、大勢が死ねば何かのエネルギーが手に入ると話していた。それを聞いた俺は、あの話しは本当の事だったのか?と一瞬考えたんだがな、其奴らは【アルベルト様の為に】【あぁ、アルベルト様の為だな】などと言っていたからな、どうやら個人的に何か?或いは誰かの為に捧げるエネルギーを此奴らは集めているんじゃ無いかと疑いだした訳だ」「誰かに捧げるか……」


「此処まで話したんだぜ。だからもう俺を自由にしてくれよ」


拓斗は話しの流れで「成る程理解したよ」念話で〔どうするのご主人様、放しても良いの?〕頷きながら拓斗は「まぁ良いだろう、放してやるよ」「ありがてえな、オイ!」開放と同時にミウから放り投げられた自分の剣を受け取ると一閃した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

足早に動く五人を追い掛ける二人の男達は、どうせバレたのならばと、隠密行動を諦めて、気配を隠しもせずに付かず離れず追い掛けて来る・・・


カムセラが「何か不愉快な感覚を覚えたんだけど……」アムセラも「何故かアタシも……」ラブラが「どう言う事さね、二人だけで分かってないで話しなよ」二人はお互いに目配せした後「余り話したくは無いんだけれどもさ、どうやら追い掛けて来る中の一人をアタシ達は知っているかも知れないんだ」


アムセラが言うとカムセラも「此処からじゃ、顔を確認出来ないけれどもね、何か追跡される訓練を昔にした時に感じた、あの嫌な奴と気配がソックリなのよ」アムセラも頷くと「やっぱし、間違いじゃ無かったんだよね、此の感覚は……」互いに心底嫌そうだった。


その様子を見てコチャが「会いたくない知り合い何だね?」頷く二人は「どうする姉様?」「話さない理由は無いか……追跡されている以上は戦いに成るから彼奴の嫌らしさ、汚い手の内をみんなの安全の為に聞いて貰った方が良いよ」「そうだね姉様、だったらアタシが言うよ」アムセラが言うと頷くカムセラだった。


奇妙な双子の様子を伺いながらラブラは「手の内は聞きたいが何かありそうだね、だから詳しい事情は聞かないさね」カムセラは素直に「有り難う」お礼を言ったが「けれど思い切って言うよ、変に手心を加えると手痛いしっぺ返しがあるかも知れないし、奴を逃がしたく無いからね」アムセラが意を決して「追い掛けて来るのは兄貴なんだよ」


聞いた三人が驚くと「兄貴なのに手加減は無しなのかい?」ラブラが不思議がるとカムセラは「彼奴は生かしちゃおけない奴なんだ」「兄妹なんだよね?」コチャが尋ねると「あぁ、兄貴だった」カムセラの返事にアムセラも「もう身内なんかじゃ無いよ」


カムセラは「実は幼いディア様には、詳しく聞かせたく無い話しでね、少し包んだ話しに成るけど良いかい?」一同が頷くとアムセラが「アタシ達姉妹が生まれた家はさ、もうみんなも知っている通りに暗殺一家でね、女の子が生まれるとさ、ある年齢に達すると一家一族でナ二するんだよ」


カムセラが反吐でも吐きそうな顔で「女の武器を鍛える為、などと言いながらね」「ナ二って何?」ディアナが尋ねるとラブラが「ナ二は何さね」「そうだよディアちゃん、ナ二は何よ」コチャも身体は大きいが未だ八つの子供にどう話して良いか悩む・・・


好奇心旺盛なディアナは「ナ二を包んで話すのぉ?女の武器ってなぁに?」此処に到って「全然包んでないさね」ラブラがぼやくとコチャも「全くだよね」しかし、ラブラは強引に「後で双子に聞きな、そして話しを進めるさね」顎で促すと「後でチャンと教えてなの」ディアナのあどけない顔を双子は見た。


気を取り直してカムセラは「その時期に来た時、あの糞兄貴が一番乗りして来たんだよ」「もうアタシ達はプレイヤーに成っていたから油断していた兄貴を撃退して家を出たんだけれども、執念深い兄貴は知らぬ間にクロノスへと移籍して、あの日アタシ達を襲って来たんだ」


ラブラは成り行きを察して「もうそれ以上は言わなくても良いさね」「そうだね、酷い話しだよ」カムセラは「獣だよ」「そうだね姉様」「だから次の機会があるのならばさ、もう殺す事にアタシ達は決めたんだ」「酷い生活だったよ」アムセラも述懐する・・・


だが疑問に思ったラブラが「どうして今迄我慢していたのさね?此れ迄でも機会はあっただろうに……それに此の距離で良く気配を察したよ」「まぁそれは何となくだね、攻撃が出来なかったのは、奴隷紋が許さなかったからよ」


カムセラが伝えるとアムセラも「何人かと一緒に兄貴もアタシ達への命令権を持っていたんだ」「分割出来るものなのかい?」「正式なご主人様から兄貴達の命令を聞く様に促されると、それでもう拒めないんだよ」アムセラが悔しそうに話したが「けれど今はトキ姐さんの名義に変わったからね、もう恐れる事は何も無い」


カムセラも思い出しては悔しそうに「どうやら兄貴は、それを条件にクロノスへと移籍した模様でね、彼奴は嬉しそうに話しながら大事な物を奪っていたよ」二人は頬に流れる涙を拭う事を為ずに話した。


アムセラが嫌そうな顔で「あの獣は魅了が得意でね、薬も使うんだよ、甘い匂いや変な匂いがしたらもう要注意」「接近戦も得意でさ、昔は私達二人がかりでやっと対抗出来る?くらいだったよ」カムセラも手の内を明かす。


ラブラが余り刺激しない様に気遣いながら「魔法は使うのかい?」「体術に魔力を振っているけれど、身体強化と魅了以外は知らないかな」首を傾げながら「姉様はどう思う?」「屹度隠した何かを持っているよ」「アタシもそう思うからみんな、油断しないでね」「もう一人はどうなのさ?」「其方は知らない」「アタシも」


五人は歩調も変えずに話しながら「逆撃するのも手さね」ラブラが言うとコチャも「ありだけれどさ、今は人目が沢山あるよ、山岳地帯に入ってからだよね」残りの三人も頷き、後ろを振り返る事も為ずに戦う覚悟を決めた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

突然、左右にカイザーⅡは剣を一閃させると、手首を変えして伸びた剣先が拓斗の足元を打ち付けた。


「「「ビューン!!ビシ!バシ!」」」鞭の様にしなり足元の地面が爆ぜる!


蛇腹状の剣が拓斗を襲ったが、一瞬で一メートル上空に滞空して「危ないな!行き成り何するんだ!」「話している間があるのかよ」カイザーⅡは距離を縮めて再び剣を振るう・・・


最近、徐々に片言だが意思疎通が出来はじめた風林火山は、能力も向上して気体を固めては、見えない足場と化して行くと、拓斗は更に一歩一歩と踏み込んで空高く登って行く・・・


ミウが驚きながらも棍棒でカイザーⅡの剣を横から弾くと、剣先の軌道が逸れて、明後日の方向へと向かう!ガッチャとセラが追う様にして木刀とムチを振るったのだが、残念ながらアッサリと躱される!しかしその間に拓斗は地上に降り立った。


僅かの間の攻防だったが「蛇腹剣か……」「此はな、そんな名前じゃねえんだよ」油断せずカイザーⅡは少し距離を取り、包囲を回避する様に動くと、そう言ったが「じゃあ何だ?」「隼の剣、或いはダンシングソードだ」足元を狙うカイザーⅡは再び牽制の為に今度はミウを踊らせた。


他の者達も牽制しながら「因みに俺はダンシングソードと呼ぶ方が好みだぜ!あとお前達の名は何て言うんだ?」「拓斗だ!」「ミウよ」「セラ!」「ガッチャや」「スラだわさ」「ポコデス」律儀に答える素直な一同にカイザーⅡは少し笑った。


カイザーⅡのダンシングソードは縦横無尽に動き、その攻撃範囲内に至ると途端に牽制してきて、拓斗達を寄せ付けない、徐々に包囲して隙を伺うのがやっとの有様だった。しかも巧みな足取りと牽制で、中々包囲は完成しない・・・


何故かスラでさえ、的確に核を狙われて、容易に近付けないでいる状態だ。


見れば刃の一欠片毎に魔力を通して繋ぎ、そして自由自在に長さを変える模様で、切られれば鋸で傷を負った様に成るんだろうな、などと拓斗は分析をするが「何故手の平を返したんだ?」「俺はな、子供は襲わねえと誓っているんだが、お前達は見た目通りじゃ無いんだろ?」拓斗も問われて「そうだな」


話しながらもカイザーⅡは再び剣を左右上下、又は斜めと自在に振るい拓斗を襲い出したが、途中から手元近くの空気が反発する様に、剣の横っ腹を魔法で押して、ダンシングソードの軌道を変えた。


驚きながらもカイザーⅡは「お!やるな拓斗さんよぉ」剣先は高速で見えないが、手元に圧縮した風を送って、拓斗が剣を巧みに逸らすとカイザーⅡは攻撃の手法を変えて来る!そして剣を縮めて踏み込んで来た。胴を狙った攻撃を躱すと、拓斗は杖を頭部目掛けて振り下ろしたのだ。


だがアッサリと躱されてカイザーⅡは「お前、気迫が有りねえぞ」間髪を入れず、横薙ぎ気味に杖を振ったが、その頭部には魔力を変化させた風の剣がカイザーⅡの腹を薙いだ。


しかし、紙一重でそれを躱すと「その剣の刃は、もっと伸びるんだろうがな、何故そうしない、お前自分の強い意志を持って人を殺した事がねえ様だな、だからここ一番の時に気迫が足りねえんだ!甘えぜ拓斗さんよ」


などと言いながらもカイザーⅡは攻撃を仕掛けてからの後、実の所その結果に舌を巻いていた(チョット此奴らの本気の腕試しと甘い態度を窘める為に、ねじ伏せてから説教をタレる筈だったんだが、上手く魔法を使って剣の軌道を変えるわ、同じ様に身体の支点に力を加えて、俺の動きを制限して来やがるとはよ……)


拓斗はアンデットや獣魔、変化したオークなどには、もう今は容赦無くその武力を行使はするが、対人戦では驚かして降伏させる事はしても、未だ自らの明確な強い意志を持って、相手を殺した事は無い、本音を言えば獣魔でさえ、冷静な状況では躊躇う傾向が、そんな心が無いと言い切れないのだ。


既にその手は血に塗れていても、誰かを守る時や仕方無く、その力を振るっている積もりだった。この世界では、偽善とも言える行為だったとしても、自分を含めて可能な限り仲間達にも、無駄な殺生をして欲しく無かった。


今日は既に拓斗達は三人の命を奪い、実の所心穏やかでは無い気分だったのだ。


他の者達も何となく拓斗の気持ちを忖度して、対人戦ではやや戦意が鈍る傾向なのだが、スラ達やエルーザは承知の上で遠慮が無い、特に魔界出身者は過激な対応を取る事があり、実際拓斗は甘いなどと考えていた。


ミウやセラも拓斗の為なら躊躇うこと無く相手を殺す覚悟など、もう疾っくの昔にあると言うのに拓斗は中途半端で微妙だった。


その甘さを指摘された拓斗は「圧倒的な力の差があれば、それでも良いだろうが!俺の生き方に指図するんじゃねえよ!」無詠唱で石礫を発射するとカイザーⅡは、驚きながらもその全てを叩き落とした。


そして「お前……何で魔法が使えるんだよ?」何を言いだしたのかは理解出来無い拓斗だが、カイザーⅡを見て「何時も通りだが、それが何か?」剣を納めて両手を上げたカイザーⅡは「いやいや、可笑しいだろうお前はよぉ~?」


急に雰囲気が変わって戸惑う一同、だがカイザーⅡは「少し教訓をタレれる積もりだったんだがよ、以外だったぜ」拓斗もその発言で、やや警戒はしながらも「何が以外だ?」「俺は攻撃や防御魔法を抑えるスキルがあるんだがよ、途中からそれを発動していたんだぜ?だからだよ……」


話しを聞いて納得した拓斗は「俺の攻撃や防御の魔法は事情があってな、スキルを今は使っていないんだ。まぁ種は明かせないが、それをお前は驚いたのか?」


「そうだぜ全くよぉ……だがまぁ、一応安心したぜ。此のスキルは後数人が持っているから精々気を付けるんだな、それと簡単に敵だった奴を信じるんじゃねえよ、攻撃面でも甘えがな、此奴らに対してお前さんは、責任があるんだろうが、ならば尚更だぜ全くよぉ~」文句を言われながらも何故か拓斗には響く言葉だった。


辺りを見渡すカイザーⅡの姿を見て「そうだな、気を付けるよ、未だ対人戦の実戦経験が不足とは思っているし覚悟も足りないが、俺はもっと強く成って見せるさ」拓斗も周りを気にしながら話すと徐々に遠ざかり始めたカイザーⅡに「おい逃げるのか?」もう戦いを続ける気持は失せていたがそう問い掛けた。


不敵に笑いながら「次はもうしねえがな、今回は不意打ちを仕掛けたんだ。お前達の気が変わって遣り合うのはご免だぜ。だからアバヨ!」振り返って遁走した。


拓斗は結果が何となく想像出来たのだが、アッと言う間の出来事でミウ達は唖然と見送った。未だ昼頃の出来事で、旅の再開は前途多難だと思わせた。

拙作ですが楽しんで頂ければ幸いです。次回の更新予定は02月14日です。


次回は季節ネタ、日付を見ればネタバレだが、どうぞ皆様お楽しみ下さい。


何時も応援を感謝致します。少しでもポイントが上がるのは励みに成ります。

此れからも頑張りますので、感想などを聞かせて頂ければ幸いです。作者拝

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