110話 動き出したヘキサグラムの状況⑪襲撃
交渉事はロボス達に任せて、旅立った拓斗達だが、その前途は多難の様子だ・・・
翌日の早朝、北の門が開くのを待ってザイオンからプティマへ向けて出発した一同だが、本来ならプティマに向かうなら川を渡った西の門から出るのが正解なのだ。
人々の耳目を躱す為、態々北門から出てアルビオンへと向かう素振りを見せているのだが、門を出ると転移陣が目前だった。
門から高い壁で両方を遮り、幅の広い通路の様な物を作り出している・・・
可成りの距離が在るのだが、遠くでは更に夜間には閉じる門が存在していて拓斗は「ステラも門の二箇所に態々人を配置するよりは、ザイオンを見習って作り直した方が良いかもな?」「此処ほどの使用者が増えれば、何だけどね」スラが答えると「そうだわよね」「言えてるスね」ミウとセラも追従する・・・
見れば稼働を始めて転移を済ませた人々や早くから開門を待って居た大勢が、街に入る為に門へと向かって動き出していた。
反対に門を出た人々は、のんびり行く者と、我先に外門へと向かう者に別れたが、拓斗達は前者で、ガッチャとポコは、二人で何やら話しながら、皆の後ろを歩いている・・・その一行が外門を通り抜けた辺りで、八人の男が冒険者風を装って後を付けて居るのだが、その事実を知って居ても無視を決め込んだ。
その少し前の時間帯では・・・
ホテル・キングダムを出発した一行を見張って居た男達は、更にスラ達の監視下にある事に気が付かない様子で「おい、出て来たぞ」「了解」他の場所で待って居る男達に知らせる為、此処を離れて行くのだが、後から出て来たディアナ達の一行を未だ門が開かないだろうと、のんびりしていた数人が偶然見付けた。
何故此処にカムセラとアムセラが居る?それもこのホテルにだ・・・五人連れの一行は、拓斗達とは距離を開けるように暫く待った後、橋を渡って西方面へと向かい始める、それを追いながら「プティマへ行くのか?」一人が呟く・・・
小声で問われて考え込む男達は「彼奴らはステラで仕事をしくじって、確か死んだ筈では無いのかよ?」「俺はそう人づてに聞いたがな?」「俺もだ」
他に雌虎へ潜入していた者も消息を絶った様だし気に成る・・・カイザーⅡも追いながら「どうするんだ」「此処に居る事が可笑しく無いか?それもこのホテルから出て来たんだぜ」先程から考え込んでいたファイアーバーストは「確かめるか?」「それよりも皆は先に行っちまったぜ。的は向こう何だろ?」カイザーⅡが問う。
やや考えたが、ファイアーバーストは「ヤハリ気に成るぜ。俺は彼奴らを追うわ」「だったら俺が皆に伝えてやらぁな」「おう、頼んだぜ」「任せろ、序でにお前も行けよ」前日仲裁役をしていた男にカイザーⅡが告げると「分かったよ」「兄貴の登場なら妹達も行き先くらいは吐くかな?」「言ってろ!」そして二手に分かれてディアナ達の後を追って行った・・・
前日にワイツ家を襲撃したのは、怪しい髭の重臣ザンデルが雇った者達だった。
クロノスのメンバーなのだが、アルビルが関係している者達とは、別に構成された者が襲った。ザイオンなどの大きな街では珍しくも無い話しで、他の組織を含めて大組織のクロノスなども、何組かに分かれて各々が独自に活動をしている・・・
或る程度の事は情報を共有化して、上部の者は横の連絡を絶やさないのだが時間的なものと、今回はチーム総出でカイザーⅡ達は独自に動いて居た為、取り纏め役の男ザパンですらも、前日深夜の襲撃の事は知らなかった。
閑話休題・・・
スラの分体が監視しているとは、全く知らずにザンデルは「襲われたと言う事実が在ればそれで良い、今のタイミングならその程度で話し自体が瓦解する筈だ。何も使節団を派手に狙う必要も無い」「成る程承知しました。それでは使い捨ての下部組織を使います」「成功する必要も無いが見届ける位はしておけよ」「委細承知、お任せを・・・」
日頃からの投資が効いて内部へと手引きして貰い、深夜に襲撃が始まったが結果は失敗、見届け人すらも捕らえられて、自害する話しで終わったのは、スラの活躍と話しを信じたラーハルト達が頑張ったお陰で、依頼者を突きとめられなかったが、見届け人の正体自体は、五芒星が付いた武器を所持していた事で、スラからの情報提供と、ワイツ家の情報機関も同様に判断して、クロノスの仕業と判明した。
因みに離れて居た見届け人を捕らえたのはスラで、クロノスとしては誤算だった。
翌早朝に呼ばれたランデルには、襲撃の事実を伝えられ、拓斗達の活躍で事無きを得た話しを聞くと「此はお館様、形だけでも捕縛に向かわなくては成りませぬな」「お館はよせ」「ならば兄上」「うむ」ランデルは改めて「責める格好だけでも、一応は付けなくては成りませぬ」
ワイツ卿は「もう既に門が開く頃だ。小僧は出発しておろうの」「ならば一芝居を打ちますかな」「臭くならぬようにの」「此は兄上、可成り手厳しい」ランデルが照れる様に笑う・・・
やや真剣な面持ちをして「この儂が死んだ。或いは怪我をした事にしても一向に構わぬが、今回は襲撃された事を持って破談した格好で良い、襲撃を依頼した者が、それで騙されてくれるのならば、もっけの幸いじゃの」「はい兄上、この後の不満分子のあぶり出しと調査はお任せを」「頼むぞ」
二人の考えでは、ワイツ卿が自ら冒頭で一連の方針を伝えたにも拘わらず。
プティマ擁護派は、どこ迄も反対する姿勢を崩さず。そんな勢力を当主自身が許せなく成って行く事を、何故考えないのかが不思議な位だったのだ。
それ程彼らはプティマの威勢を恐れ、彼ら同様ワイツ卿も同じ穴の狢と考えて居たのかも知れない・・・
その後、時間の猶予を与えて捕縛に向かわせ、そしてロボス達を軟禁したのだが、忽然と消えた事を理由に表向きでは、ステラとの決裂を印象付ける話しとした。
本当と嘘を巧みに織り交ぜた情報を小出しに流して『ご領主様が襲われたらしい』『昨日派手に現れたステラの外交使節団が行方不明だそうだ』『いやいや、犯人がその一行らしい』『同盟の決裂は間違い無い』『血相を変えて追っ手が出たぞ!』『加担した雌虎にお咎めがあるかも?』等々、街の噂話は拡がる一方だった。
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話しはザイオン・ステラ会談の前、拓斗達が早朝に出発した頃に戻る・・・
北に向かえばアルビオン、本街道を進めば東に幾重にも重なり、遠くそびえる中央山脈を眺めながら幾つかの町と村を経由して二十日ほどの行程だ。此処から西北に位置するプティマを経由する事に比べれば、当然ながら早く着く・・・
因みにプティマには、西の門から出て徐々に北へ向かえば、ほぼ同距離の道程だ。
本来なら近隣領地とは、転移陣で結ぶ事が少ないのだが、王都やサウスザイオン、サウスプティマやウエストプティマなどの主要地区などは、交易量を考えると結ぶのが必然とも言える訳で、ザイオンは先の四都市ともう一箇所を結んでいる・・・(六箇所を最大で結べるのだが、残りは不明で使用不可)
密かなワイツ家からの配慮もあり、ザイオンを何のお咎めも無く出発した拓斗達の一行を、急ぎ足で次の町なり村なりに向かう行商人や前夜はザイオンに宿泊して、大きな荷物を抱えて帰る近隣の者達、或いは農具などを持って近郊にある畑などに向かう・・・
そして冒険者や探索者が有名な迷宮へと急ぎ、一行を次々と追い抜いて行った。
未だザイオンへと向かう人々とはすれ違うにも時間的には早く、急ぎの用事がある者達などは、門の前で待機していて早々に中へと入っていた。
ゆっくりと進む拓斗達の道行きは、徐々に人々と離れて単独に成って行く・・・
本街道と言えども真っ直ぐでは無い、中央山脈の麓では歪にせり出した丘陵地帯や低地、他には河川などの障害物は存在していて、街道自体は領地を預かる統治者の力量や裁量で、比較的に通り易く整備されて居るだけの道だった。
時折り曲がりくねる道では見通しが悪い箇所が存在していて、その曲がった先では拓斗達が、やや小高い場所を確保する・・・そして後から追い掛けてくる追跡者を待ち受けたのだ。此では何方が襲撃者なのかは微妙な所だ。
彼らの預かり知らぬ裏事情で表向きでは、ザイオンのワイツ家とステラのディオン家が、交渉を破談させる為、お互いに動き始めた頃なのだが、それを知って居れば無駄な襲撃だった。
前方を伺いながら「勘が良いのか予測されていたのかは分からぬが、どうやらこの気配は待ち伏せの様だ」ザパンが注意を促すと、先行する六人の男達が頷きながら二手に分かれて回り込もうと動き出した。
カイザーⅡは「俺は高みの見物をするぜ」「ああ、構わない、そう言う話しだったからな」ザパンが本街道を歩き出すと、少し見渡して右に行った三人の後を追い、よく見えそうな丘陵地帯に向かうカイザーⅡの姿が見えた。
こんなに早く正面から堂々と襲う段取りでは無かったが、人気が途切れた事と待ち伏せされたのなら仕方無いか、などと割り切り、左に動いた三人が挟撃位置に着くタイミングを見計らいながらザパンは進んだ。
最初は子供相手で何時でも人気が途切れれば、簡単に済む仕事とザパンは考えて居たのだが、待ち伏せをする位の相手ならば(油断は禁物か・・・)考えも改まって慎重に近付く。
見通しが良く成ると、右手で弓を構える少女が狙いを定めていたのが見えて、街道正面を塞ぐように黒白の兎が獲物を構えて居た。
少年がザパンを咎める様に「何で俺達の後を付けるんだ?」やや高い場所から以外と落ち着いた声で、前方の少女達と弓を構える少女との間で問い掛けて来る・・・
弓を構える少女のその横には、男の子が見えたのだが、一緒に歩いて居た女二人が見当たらない、ザパンは一瞬で陣容を確認すると「いや、お前達が何を勘違いしているのかは知らないが、物騒な事は止せよ」「勘違い?笑わせる・・・後の七人はどうしたんだ?」「七人?何の事だ」
油断しまくりでゾロゾロと八人が固まって団体行動をしていた訳では無く、街道を並んで歩いていたカイザーⅡ以外は離れていた為、ザパンは一応惚けて見たのだが「ザイオンを出発した初めから警戒していたんだ。誤魔化し方が下手だなお前達、それを言うなら並んで歩いて居たもう一人の姿が見えないぞ?」「彼奴はチョット用を足しにな、後から追って来る」
話しの流れで隠れて見ていたカイザーⅡが惚けて「待ったか?悪い悪い!」などと手を振りながら出て来ると「と言う事だが誤解は解けたか?」「真逆な、アンタの冗談だろ?」「大人に刃物を向けるのは感心しないな、盗賊の真似事かガキ共!」「未だ惚けるのか?往生際の悪い」
少年がニヤリと笑うと後ろから襲って来る三人と、弓を構える少女と少年に、他の三人が襲い掛かるが、足元から突然現れた女が二人を包み込んで窒息死させると、少年が無詠唱の土魔法で一人を倒す。そして離れて居たもう一人の少年が、少女を庇いながら他の三人を相手取る・・・
同時に動こうとしたザパンは正面の黒白兎に牽制されて「おいお前手伝え!仲間がやられるぞ」カイザーⅡが黙っていると「危なければ手伝うと言っただろうが!」「ちぇ、仕方無いか」動き出したカイザーⅡは、リーダーポイ少年に向かって動き始める・・・
二人を窒息死させた女が三人と対峙する少年の加勢に向かい、一人に成った少年に駆け寄るカイザーⅡに向けて、弓を構える少女が連続で矢を放ち、足止めしようと頑張ったのだが、動きが素早く躱された。
しかし少年が又もや無詠唱から水流弾を放つと、躱して驚いたカイザーⅡが「オイオイオイ!何て威力なんだ!?」直撃した街道に巨大なクレーターが出来上がるのを見て「彼奴、ゲームなら即クソゲー認定の超チート仕様じゃね?」射線上にいたザパンも躱した後で驚く・・・
不意を突かれた三人とは違い、他の三人は警戒して女二人と少年相手だが、慎重に対処して切り結んでいた。硬質化した剣を振るう女二人と、木刀を持った少年が、荒事に慣れた相手の動きにやや翻弄されて、ほぼ互角の状態だった。
戦闘経験は積んできた拓斗達だが本格的な対人戦は初めてで、今迄は猿やオークがそれに近い経験だったのが、妙に勝手の違う頭を使った経験に裏打ちされた動きに戸惑ってもいた。
人化状態のオークと戦った経験はあるのだが、無我夢中の戦場とは又違い、経験が圧倒的に不足している事を少年少女達は感じている最中だった。
他の者達の考えは不明だが、拓斗自身は慣れていく感覚が嫌だった。
ザパンは水流弾を躱した後、驚きながらも黒白兎二人を相手取った。
ムチを振るうセラが「此奴格上スよミウさん」「その様ね、さっきから棍が掠りもしないわよ」「二人がかりでもス、相手は余裕すら感じるスよね」「セラ!兎も角此奴を抑えるわよ」「そうスね、その内応援が来るス」
ザパンは連続で繰り出される二人の攻撃を避けながら、舐めて居たことを後悔する「やるな!」一旦距離を開けて集中すると、何かのスキルを発動させた。
拓斗の後方へ何かドス黒い物が飛来して行くと「拓斗!気を付けて!」ミウが声を掛けるとセラは邪魔をしようとムチを振るったが間に合わず、視線を送ると死んだ筈の三人が動き出して拓斗を襲った。
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ザイオンに入る時には厳しい審査がある門だが、何かの問題が発生しない限り出る時には素通り状態の門を抜けて、冒険者風の格好をした五人の女が出て行った。
先頭をディアナが歩き、カムセラとアムセラがだべりながら後に続く・・・
門を出てから暫くして態とフードを被り直した大柄の女と小柄な女が、大剣と弓を構えて後から付いて行く、そしてその更に後から二人の男、ファイアーバーストと兄貴と呼ばれた男が続く・・・
ファイアーバーストが男に「おい、此れからどうするんだ?」「お前が気に成ったからと言うので付いて来たが、行き先はプティマだよな」「まぁ此方方面ならそう成るが、ステラの関係者ならプティマの様子見?と言った所か・・・」
「連絡が途切れた妹達が気に成ったのは事実だがよ、裏切って居たのなら何で奴隷紋が働らかねえんだ?」「そんな事俺が知るかよ」「まぁそうだよな、死んでねえのなら裏切って居ねえんだが、アレから何の連絡も無く、その後の動き方が彼奴ら可笑しいぜ。此処に居る事を含めてな」
「確かめるにしても相手は五人、此方は二人で戦う事に成ったら不利だぜ」「アンタの実力なら問題無いだろう、俺もそこそこ戦えるからな」「何を言ってやがる、暗殺一家の跡取りの癖して妹達が怖いのか?」
ファイアーバーストの質問に対して男は「そんな事はねえよ、それに奴隷紋が一応チャンと働いているのならば、彼奴らの命令権は分けて貰って居るからな」「なら問題は無いか・・・暫く様子を見て人気が途切れれば、仕掛けて見るぜ?」「あぁ了解だぜ!」
可成り離れて居るが背の低い方の女が「ラブラ姐さん、どうやら付けられている」「コチャ、風上で気が付かなかったさね、流石はお前さんの探査能力は優秀だよ」「シェパは範囲外から付けてくれて居るんだよね?」「そう言う段取りさね」
その会話にカムセラが割り込む様に「ジャッカ領でも拓斗さん達は追尾された模様なんだよ」「そんな事を言っていたね、ウチらは街に寄ってもいないからさ、そんな事は無かったけれど、今度は一緒に泊まっていたから目を付けられたのかな?」アムセラが問い掛ける・・・
ラブラがそれに答える様に「今回は目立っていたんだろうさね、ジャッカ領では追尾して来た連中は、銀狼のメンバーで始末したんだがね」「そうだったんですか?知らなかったね姉様」「そうだねアムセラ」「まぁ分かり易く付けてくれるのなら問題は無いかな?襲って来るのなら別だけど」
コチャが言うとラブラは「気持が悪いさね、山岳地帯に入れば、人気も少なく成るからその時に考えようかね、それに追跡者があるのなら拓斗達と合流する迄は足を止めるなと、軍師から指示されてるのさ、真逆此方に付け馬が来るとは、アタシは可能性が少ないと考えて居たんだが、全くウチの軍師様は先が見えているのかね」
コチャもその時話しを聞いていたので「分かったよラブラ姐さん」などと従うと、話しを聞いていた残り全員が頷く・・・だがしかし、気持ち的にも少し足が速まったのは仕方無い話しだった。
ファイアーバーストが「何だ?気付かれたのか、速度が上がったぜ」「確かにな、だが此処は辛抱か?此方まで速度を上げれば不味いだろう、それよりもこの分なら夕方近くには、山岳地帯の麓村まで辿り着くな」「あの宿場なら遣り様があるぜ、手下もいるからな」「まぁな、仮に早く着いても、彼奴らも夜に山岳地帯へ向かう事はねえよ」言われてファイアーバーストも頷く・・・
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後ろで動き始めた三体のゾンビ!ミウの注意喚起で振り向きざまに拓斗は、ブートキャンプで培った恐怖心で憶えた条件反射が物を言い、即座に火球を三発無詠唱で直撃させると、三体が同時に燃え上がる「此はムウさんのお陰だな」などと呟き、再びカイザーⅡと向き合った。
カイザーⅡは、最初の攻撃で感じた印象が正しかったと確信して「おい!撤退だ!撤退するぞー!」叫びながら一目散に逃げ始めるが、拓斗は狙いを定めたカイザーⅡを逃がす気は無く「待て!動くな」と足元に散弾の如く土系の礫を打ち放した。
「「「ガシーン!ガシーン!バシューン!!!」」」
逃げに入った三人も劣勢を悟り、煙玉の様な物を打ち付けて「撤退だ!」黒白兎と戦って居たザパンも、カイザーⅡの判断を認めて「この俺のゾンビを意図も容易く退けるとは・・・」【又会おう】などの陳腐な台詞は言わずに素早く撤退出来たのだが、カイザーⅡだけは足止めされた。
事前に拓斗から【逃げる様なら捕らえるのは一人だけで良い、深追いして逆撃を受けたら駄目だからな】などと指示をされていた物で、残り全員で取り囲むと「さてアンタ、どうする?」「さてどうしょうか?もう降参なんだが一応は聞くぜ。逃がしちゃぁ~(チラリと周りを見る)くれないんだろな・・・」
カイザーⅡが一瞬、逃げ道を探して目線を彷徨わせたその瞬間に、死角を利用してカイザーⅡをスラが羽交い締めにしながら、手足を流動的に動く強靱なスラ細胞で取り押さえた。
そして首を押さえると「絞め殺す事も出来るわよ」更に口と鼻を一瞬だけ押さえて「窒息死もありだわさ」ベルトを外して道具や武器を外すと、手で持って居た武器まで取り上げる「それと敵対的な魔力を感知したら酷いからね」
などとスラが告げると、今度はカイザーⅡも本当に諦めた様子で「スライムが従魔だとはな、これ程高性能なら俺も選んで置けば良かったぜ」「と言う事はアンタ、プレイヤーだな」ミウ以外、スラも他の者達もログを見ながら頷くと「ご主人様、任務完了だわさ」「有り難う」ニヤリと拓斗は笑った。
ミウがカイザーⅡを監視しながら拓斗へ「此処で尋問を始めるの?」「此処じゃ人通りがあるから何処か人気の無い場所へ移動しようか」「だったら一旦気絶させるわさ」頸動脈を押さえる真似をすると「あぁ頼む、俺は街道の修理をするよ」土魔法で応急修理を済ますと、意識の無いカイザーⅡを抱えて転移した。
カイザーⅡが目を覚ます間に「ゲボ」「はい何でしょうか」「ミウねえが魔の国で今日は溶岩ドームの監視をしているけれど、もう一日続けて貰うからさ、ゲボ一人だけで悪いけれども、アルビオンへの中継地点で、当初予定されていた場所まで先行していてくれよ」「了解です。イヨイヨ単独行動が許されて、ゲボも遂に冒険の始まりです」
カイザーⅡを押さえていたスラが「アタシが行っても良いけど?」「スラはその儘拘束して置いてくれよ、交代した時に逃げられては不味いからな」「ちぇ、バレて居たのかよ」カイザーⅡが悪びれるでも無く認めると「それで俺はどうなるんだ」
拓斗は妙に余裕があるカイザーⅡを見ながら「大人しく素直に話してくれればさ、悪い様にはしない積もりだ」拓斗も気楽そうに話し出す。
カイザーⅡはアッサリと「何でも喋るぜ♪口が軽いのが取り柄何でね」一瞬真逆と思ったが「だったら嬉しいんだがな、先ずは自己紹介をして貰うとするかな?」
「ああ、俺は・・・」
拙作ですが楽しんで頂ければ幸いです。次回の更新予定は02月10日です。
何時も応援を感謝致します。少しでもポイントが上がるのは励みに成ります。
此れからも頑張りますので、感想などを聞かせて頂ければ幸いです。作者拝




