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ツイン・タクト (外部世界の不思議な物語)  作者: スラ君
第三章 転移 魔人族の国、獣人族の国
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106話 魔の国漫遊記③混迷の都ソドム 中編

未だ災害が進行中のソドムで、話し始めた女官長とシュンカ達、代表して話す女官長が言い出したその内容とは・・・

魔力さえ充実していれば、身体は睡眠を全く必要と為ずのタクトとエルーザだが、タクトは人間だった頃の癖なのか?精神的に休息は必要としていた・・・


だがしかし、有ろう事か女官長が代表して話し始めた内容がぶっ飛んでいたのだ。


一気に疲労感が押し寄せて来たタクトを襲ったその内容は・・・


女官長は佇まいを正して「お願い事と申しますのは・・・実は、移住を希望したいのです」「それは女官長、何処へ移住をすると言うのじゃな?」早目に立ち直ったエルーザが問い返すと「わたくし、実の所この子達と同じく、人族の血が色濃く流れております」「うむ、それで?」


エルーザの問い返しに「私共の様な、オークと申しましても、多産に耐えられない身体を持つ者は、此れ迄も大勢いました。なので私を含めて結婚自体を諦めたり、不幸にも妊娠する事が無い様に、立ち振る舞いにすら、日頃から気を配らなければ成りませんでした」女官長の述懐に周りの女の子達は、もう半泣き状態だった。


女官長は更に続けて「その様にしなければ、生きても行けない者は、初めからこのオーク世界では、住みづろう御座いました。けれども逃れる術も無い私共は、諦めて居りましたが、あの方の様な転移魔法を見せられては、しなくても良かった期待、希望を持って仕舞います」


此処で息を吸い自身を落ち着かせる様に女官長は、周りの女の子達を見て「私共はオークなどでは無く、獣人系の魔族で御座います。日頃はオークがどうのこうのと申しまして、この子達を厳しく叱咤しておりましたが、此が嘘偽りの無い私の誠、本音で御座います」「女官長様・・・」八人の侍女達は我慢出来ずに泣き出した。


カリンが侍女達、イヤ、身内を宥める姿を見ながら「私共はその特性故、どの様な方々種族とでも交配は可能ですが、命の危険が少ないお方と恋愛をして子を育て、幸せに暮らせる地へ行きたいと望むのです。いえ、望んでしまいました」「人族の住む場所が良いのかの?それとも他かの地かの?」エルーザが希望を問う・・・


女官長は否定する様な眼差しを向けて「殆どが獣耳に尻尾が御座います。この様な容姿で人族の方々と暮らすには、噂話で聞く限り微妙で御座いましょう、けれども獣人族が住まうヘキサグラムなら可能かと考えました」「成る程の・・・」


だがしかし「僕達の国へ来たいと言う話しだけれど、大勢が移住出来る程の余裕は無いと思うな」タクトは同情しながらでも、問題の大きさに尻込みしている様子だ「まぁ何も動かずに断る事はあるまい、未だ向こうでも此れから開発を行う予定の場所が無きにしも非ずじゃ、先ずは相談して見る事じゃな」


やや明るい兆しが見えて女官長は「是非、是非ともご検討の程をお願い致します。女性許りでは無く、男の中にも人族の血が濃く、力も無く前途を悲観して居る者も御座います。我らオークは労働を厭うものでは御座いません、移住先の地域に融け込み、働きを持って先住の方々に貢献致しますので、何卒宜しくお願い致します」


エルーザは真摯な物言いに感銘を受けて「ならば妾に任せるが良い!」アッサリと引き受けるが「駄目だよエルーザ、安易に受けちゃ」「何、問題は少なかろうぞ」「どうしてだよ?」「性の問題も種族問題も、幾世代かを経れば血も薄れ、何れは普通の獣人と成ろう、それに今はステラ村も人手不足じゃ、そして獣系の魔族は、獣人の祖とも言われておるしの(獣魔の祖と言う話しもあるが・・・)」


タクトもエルーザに言われて見ればそうかも?などと思い返して「だったら拓斗を呼んで、一応相談して見るよ」「そうじゃな、成るべく早い方が良いぞ」「何だよ他人事みたいに・・・」「まぁそう細かい事を言うのでは無いぞ、タクトよ、妾も此で考えては居るのじゃからな」「何をだよ?」「秘密じゃ」


未だ朝の内と言う事は、向こうはそれ程遅い時間では無いと言う事で、先程寝ると言いながら帰った拓斗に申し訳無いがと、呼び出して事情を話すと「此は俺だけの判断では、到底返事が出来な、父さんとロボスさん行きの案件だぞ」何故か付いて来たスラが「そうだわさよ、ご主人様だけでも何とか成りそうだけど、あの二人を巻き込むべきだわさ」


「まぁ、それは当然じゃの」常識的にタクトも「そうなるよね、僕もそう思うよ」


タクトの同意が取れて「と言う話しだな、返事は相談して置くから待ってくれよ」「何卒、宜しくお願い致します」女官長がそう言いながら頭を下げると、カリンを初め女の子達が頭を下げる・・・其処へ口を挟んだ男が居た。


デップリと肥えた此れがオークだ!とした様な体型の男が「私感激したアル、良い話しアルよ旦那さん、何卒実現して欲しいものアルね」「アンタは誰だ?」「此は失礼したアルよ旦那さん、私は商工業組合会頭のチンシェンアルよ、呼び出されて朝から待たされて居たアルから、話し私全部聞いてたアルね、会としても支援するアルから旦那さん、是非ともお願いアルよ、因みに私も力無いオークアル」


バロンが進み出て「現在使える物資の報告と今後の事を話し合う為には、彼が必要だとバショク殿から提案されまして、経済は当然疎かに出来無い物ですから、被害報告の第一報を待って会議を行う事にしていました」「それが私アルよ、今後とも宜しく頼むアルね」


チンシェンはニコリと笑い「旦那さんが転移魔法の使い手アルか?アナタの事には随分私興味がアルよ、是非とも貿易をしたいアルね」拓斗は怪しい雰囲気の男を胡散ぐさげに見たが、笑い顔には愛嬌もあり「この時点で貿易とは商魂逞しいがな、時と場合があるだろう・・・」不機嫌そうに言うとチンシェンは慌てる・・・


両手を前に出して大袈裟に振ると「あいやぁ~違うアルよ、誤解アルね、実は足りない物資もアルから其方にアルかな?と思ったアルね、それに此方の子達も新しい仕事が出来るアルよ、此の私が支援すればどんな商売でも商売繁盛アルね」「そう話されれば確かにそうかもな・・・」「それに旦那さんにも損はさせないアルよ、運び賃も出るアルし、良い商品も回すアルね、互いに損無いアル」


ブハハハ!突然大声で笑い出したエルーザが「主殿、活動資金も必要じゃ、此奴の言う事は理に適うて居るわ!それに主殿がバックに付けば、この者達が移住しても何とか成るじゃろ?」「まぁ少数ならばだが、しかし大勢を移住させるのは許可が必要だ。俺の勝手には出来無いからな」「それで良いのじゃ、先ずは実績を作り、貿易を拡大していけばじゃ、双方に利がある事じゃ、いつの間にやら向こうでも、此奴らが・・・オークが居る事が当たり前に成る筈じゃ」


拓斗は今日の出来事を話す「実は此方でもソドムの事を話したんだがな、ギエンが額を何度も擦り付けて【帰って復興に尽力したい!】などと言い出してな、それを聞いて他の者も同調しているんだ。帰す事には実質の被害が少なかったので抵抗は無いが、ノースアランでは労働力が足りなくなる、その時は正解の話しだったが、一度ルウにオーク達を自由に使ってくれと、言った手前があるからな・・・」


その時大きな腹を揺すりながら「戻して貰うアルよ、そして質の良い労働者と交換アルね、軍人さん許りなら見様見真似は出来ても、専門家に勝る物は無いアルよ」「だがその専門家は此方でも必要だろう?」「あいやぁ~旦那さん、良いとこ突くアルね、けれど心配はご無用アル、軍人以外のオークは、誰もが何でも出来るアルから問題無いアルよ」「だったら先ず移住希望者から選抜して、現在二百チョイが居るから交換だ。その後は進展を見てからの話しだな」


女官長が嬉しそうに聞いていたが「あのぉ~魔法使い様」「魔法使い?」「何とお呼びすれば良いでしょうか?」「拓斗で良いよ」「それでは拓斗様、私共は裁縫や家事は得意ですが、建設の方は・・・」「あいやぁ~そうだったアルよね、下女や下男さん達は、軍人さんと同様で、得意分野が偏っていたアル」


「だったら人選の方は任せるが、そうだな二百五十人程に絞るからな」「それなら請け負うアルよ、此で商談成立アルね」「奴隷を買う訳じゃ無いぞ、あ!向こうは奴隷だったがな、此方に移したら開放するか・・・」「それじゃ旦那さんが損するアルね、だから私が買い戻すアルよ」


「それはそれで、アンタが損をするだろう?」「損して得取れアルよ、軍人さんに恩が売れればそれで良いアル、ちゃんと元は取るアルからね」「だったらシュウカさんと、レンカさん達にも、希望を聞いた方が良いかな?ギエン達は戻りたがっていたが・・・」


何時の間にかカントンとバショクも話しを聞いていて「実は守りの方が心許ない、ギエンが戻るのなら有り難い話しなのだが、お願い出来無い物か是非検討して見てくれ」「検討も何も返すよ、けど守りとは?」


「王族はほぼ壊滅、貴族も半数以下と言う有様で、軍を統率する者や行政官もすべて不足なのだ。何より一度は王位の継承を放棄して、地方の貴族と成っている元王族達が、どう出るかと心許ない状態でもある」「継承権を持つ王族の生存者は?」


「生存者は皆無なのだ。北の裏山に奥宮殿が近かったのと、時間帯も悪かったから上位継承者は全滅した。困った事に残された者達は、下位の継承権がある者と諸子だけなのだ」カントンが説明するとバショクも「下位継承者が王を名乗れば、より近かった者達が収まらぬ」「出来ればエルーザ様が君臨された方が良い程なのだ」


「妾がか?」エルーザに話しが飛び火して疑問を投げたが「ありだわさ♪」スラがチャチャを入れると「冗談だろ?」拓斗は疑問派だが「マイレディなら当然の事かと・・・」バロンは肯定派だった。


コホンと咳払いをしたカントンは「然様、既にこの被害は陛下に対して怒り狂った大魔女王エルーザ様の仕業と民達は恐れ戦き、噂が流れ初めている・・・」「そうなのだ。だからエルーザ様が力で君臨されて、他の王族や貴族をたしなめて貰えれば、オーク世界は力が全て!全てが巧く行くと、二人で話して居ったところなのだ」


話しを聞いて驚いたエルーザは「何を言って居るのじゃ、バカも休み休みに言え!何故お前達の尻拭いを妾が為ねば成らぬのじゃ、真っ平ご免じゃ」「しかし、復活為されたエルーザ様の威光は既に轟き渡り、陛下を降したからには、我ら栄えあるオーク一族は、嘗ての帝国傘下に入るのだ!と専らの噂、何とか成りませぬか?」


バショクの話しを聞き終えたが、懇願に対して不機嫌なエルーザは「ミーメを倒したのは主殿じゃ、傘下に入るなら其方じゃろ?」「俺はパス」「僕もだよ」「勿論アタシもだわさ」三人が茶化す・・・


だがバショクは更に言い募る様に「見も知らぬ子供が倒したなどと、誰が信じますか?エルーザ様、実際我らはこの目で見ておりましたが、未だに信じられませぬ、それよりも人々の信仰も厚いエルーザ様が、復活降臨為されて、悪逆非道の王様を倒したぁ~!と言う物語が民には一番受けて居ります」


「受けじゃと?バカな事を、それに悪逆非道のとは・・・又笑わせてくれるの」


お手上げ状態のエルーザは、拓斗を見ると「ネームバリューが、全然違うからな、仕方無いと諦めろよ、俺は影に隠れて嬉しいぞ」「僕もだよエルーザ、流石だね」「魔王様、昔の悪行が祟ったんだわさ」三人とも助け船は出さなかった・・・


忌々しそうなエル-ザは「まぁ話しを戻そうぞ」「確かにな、雲を掴む様な帝国を語っても先には進まない」「その通りじゃ」「その方が良いよ」「だよねぇ~」


そんな話しから災害二日目は始まったが、一連の問題はその後も話し合いが続き、アビスからの了承を得て人的交流と技術交流、何より貿易を始める事に成ったが、翌年本格的に転移陣を繋いだ事が、物議を醸す事に成るとは思って居なかった。


何故なら他国との貿易は、王家独占の事業でオーク世界とは違う国と結んでいた。


ヘキサグラム獣人王国と、魔の国で独占していた都市国家ゴモラが、その牙を剥く事に成る・・・五つほどの主権国家の集合体だが、ほぼ対等の国同士が合議制で、貿易のみはその富を均等に分配していた。


各々に国名と同名の首都が存在するのだが、その中心のゴモラが転移陣の所在地で盟主的な存在だ。


五王国などとも呼ばれているが、皮肉にもタクト達には次の目的地だった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

その後昼過ぎから会議が始まるのだが、何処にでも居る文句が言いたいだけの輩が「当然こんな事態を引き起こした責任は、取って貰えるのでしょうな」生き残った貴族の中でも高位の者がそう口火を切る・・・


その上に近衛師団の副師団長が強気で「然様、それに陛下殺害の犯人を此方に差し出して貰わねば我らも面子が立たぬ、その者を処断して、此方は初めて戦後交渉が始まると考えて頂きたい」同調する者も多く、雰囲気は最悪だった。


民達の救済を語る事よりも、その後の復興よりも、先ずは自分達の面子を保つ為に文句を付ける輩に、一瞥を向けてエルーザは「此奴らは一体何を勘違いして居るのじゃ?」敢えて大人しく黙っていたカントン達に聞くと、話し辛そうにしながらも「何度も理解を求めましたが聞き入れて貰えず。会議の趣旨を補償交渉と皆様方は勘違いをして居られるのです」


馬鹿が・・・その理屈で言うのならばじゃ、妾達は勝った側と言う事で賠償問題を持ち出す事も出来るのじゃがの、此奴らは理解して居らぬのか・・・


エルーザは心底理解が出来ぬと言った様子で「何故妾達がそんな事を為ねば成らぬのじゃ」「事態を何と心得て居るのじゃ、盗っ人猛々しい話しじゃな」副師団長が言い放つと、エルーザは立ち上がる、カントンは焦り「あいや暫くお待ち下さい、閣下も抑えて下さりませ」「正当な申し出をして居るだけじゃ!」副師団長は更に言い募る・・・


エルーザは薄く笑いながら「ならば話しは此で終了じゃな、その方達で後は何とかする事じゃ」タクトとエルーザは、バロン達を促して出て行こうとするが「お待ち下さい」慌ててカントンが止めると「何を勝手な事を・・・」などと文句を付けていた者達も騒ぎ出す。


どうやら法衣貴族達は今後の保障、高位貴族達はその立場の確保、軍上層部は面子と支配維持などの思惑が絡んで必死の様子だが、現状を認識していない状況には、変わりも無く「何が勝手じゃ、述べて見よ」エルーザが挑発すると「ソドムをこの様な状態にした罪を問うて居るのじゃ!」


見た目は妙齢の美女、そして子供、優男に見える執事とその従者、話しには聞いていたのだが、迚も陛下を負かした強者の一団に見えない事が、彼らの判断を一様に曇らせた。そして自分達に非がある事は、情報が錯綜して嘘の話しも混じり合い、誰も認め様ともしていなかったのだ。


フン!と鼻でエルーザは嘲り「自業自得じゃが、それが何か?」真っ赤な顔をして副師団長は「自業自得じゃとぉ~!言い掛かりは止して頂きたい、例え嘗ての大魔女王様の話しでも、当方は受け居られぬ!」「だったら好きにするが良い、妾達は面倒事は真っ平じゃ、言われるまでも無く此処から出て行くわ!じゃがもし妾達の行動を阻止すると言うのなら、もうひと合戦して決着を付け様ぞ」


「ぐぬぬぬぬ!もう我慢が出来ぬわ、者共!此奴らを捕らえて罪を贖わせてやる」


それこそ揶揄う様にエルーザは「ほぉ~お主命が要らぬと申すのかの?今、火砕流を抑えているのは、妾の横に居るタクトの絶え間ない放水に因る物じゃ、ドームの周囲を固めて居るから徐々に高さも増して、溢れる回数を減らしておるがの、一度中止して崩れた後は、自然に収まるまで待つしか無くなるが良いのか?」


この事は既に周知の事実で、火災の方も消火作業は現在進行形で、タクトの尽力が大きい事を全員が認識してる・・・だが感情はそんな事をアッサリ跳び越えて行く模様で「構わぬわ、それよりもこの屈辱を晴らさねば、儂の気持がもう収まらぬ」「成る程の、それでは問うがの」「何じゃ?何が言いたいのじゃ!」


エルーザは態と勢いを落として大人しく問い掛ける「ある日にじゃ、突然他国から攻められて、お主達は黙って蹂躙されるが侭にするのか?」「そんな事は誇り在るオークが我慢などするものか、痛い目に遭わせて追い返してやるわ!」


此奴単純で思いの外チョロいぞ・・・


為て遣ったりとエルーザは、返事に同調する様に「そうじゃろ、妾達もそうしただけじゃ、だが何時如何なる場合でも、再び来ると分かって居ったならば、お主達は何としたのじゃ?」「その時は侵攻して来た敵国に派兵して、当然元から絶ってやるわ」「そうじゃろ、そう在るべきじゃ、ならば妾達の正当性は認める事じゃの」


吊られて言い返して居た自分に腹立たしくも思うが、為て遣られた感が強く憤ると「じゃが此程酷い事は我らは為ぬわ、此はやり過ぎじゃ!」副師団長は何とか言い返すと「大元はミーメ、いや、お前達の王様がした事じゃ、我らは被害拡大を防ぎつつ戦い、救難活動に従事して、更に懇願されて復興の手伝いと、そして今現在に於ける被害を食い止めて居るのじゃが、それに何か問題があるのかの?」


此処に来てカントンは口を挟める様に成り「御座いません、何卒慈悲をもちましてお助け願えないでしょうかエルーザ様」「き、貴様ぁ~!」副師団長が烈火の如くカントンに掴み掛かるが、バショクがそれを押し留めて「閣下何卒」「何じゃ!」「落ち着いて下さいませ。此処迄の被害を及ぼしたのは、嘘偽り無く陛下ご自身で御座います。お疑いでも一部始終を見ていた我らがその証人で御座います」


副師団長は驚き、嘘の報告も信じていたが初めて「何と・・・」言葉も無く周りを含めて唖然とする・・・初めて正確な情報を得た者が、カントンとバショクの話しに先入観を捨てて聞き入っていた。


バショクは大人しく成った雰囲気を察して「今一度説明しますが、被害を及ぼしたのは陛下です。同族支配スキルをどうやら無意識に発動為さいまして、我らと民に混乱をもたらし、最後には暴走した陛下のお力を貴族街、その先にあるソドムの街自体を焼き払いかねない、大火力の爆発方向を北の裏山へ咄嗟に向け変えたのは、エルーザ様達の活躍に因る物です。さに在らざればもう疾っくに全滅でした」


次にカントンが「事の初めに侵略を始めたのは我らです。そして逆撃を被り敗退、追跡されて居場所をソドムの位置を知られました。後から聞けばですが、再度の侵略を阻止できればそれで良いと、考えて居られたエルーザ様達の前で、我を忘れて突然暴れ出したのは、他ならぬ陛下だったそうです」


エルーザが勝ち誇った様に挑発を交えながら「此で分かったじゃろう、後は好きにするのじゃな、もう妾達は面倒を見る事は在るまいからの、サラバ!じゃ」「ま、待ってくれ」副師団長はこの時、何故か咄嗟に止めた。


だがエルーザはもうウンザリしていて「何じゃ鬱陶しい、タクトよ、面倒臭いから此奴らを滅ぼすか?」「相変わらず極端に走るね、けれどもどうやら歓迎もされて居ない様子だから、あの子達を引き取って、僕達はもうお暇しようかな」バロンも「然様で御座いますなマイレディ、そしてタクト様」


そしてバロンが薄笑いを浮かべて「愚か成る者共よ、悔いるが良い、そして北には二度と来るな、来ればこの儂が、オーク全てを根絶やしにしてやる」底冷えを齎す様な威圧を込めて宣言する・・・


副師団長は「この方は・・・一体何方いったいどなたなのじゃ?」カントンは「聞きますれば北の吸血鬼、迷いの森の不死身王で在らせられます」初めて誰を相手にしていたのかをカントンは思い出す。


そして副師団長と周りの貴族達は、腰が抜けた様にもの一つ言えない状態だった。


エルーザは立ち去りながら「物を知らぬ愚か者共が相手で助かったわ、此で後腐れ無く旅立てるの?」「然様で御座いますなマイレディ、何処までもお供仕ります」「うむ、付いて参るが良い」「残念だけど仕方無いよね」タクト達は、連れ立って出て行こうとしたのだが・・・


出口を塞ぐ様にオーク達が展開して阻む・・・「此は何とした事じゃな?」バロンよりも底冷えのする気配を醸し出して、エルーザが告げると「どうか、どうか何卒お静まりを・・・お願い致します」女官長が前に出てタクト達を制止する・・・


周りの男共や気配を察知出来る女兵士も動けないで居たのだが、勇気ある女官長は更に前へと進み出て「愚かな人々も居りましょうが、それは極一部で御座います。オーク全体をこの様な者共と一緒に為ず、何とかご再考を願えないでしょうか?」


エルーザは、その勇気を認めて「女官長、名は何と言ったかの?」「はい、ハルで御座います。春夏秋冬のあの春と申します」「うむ、春殿」「何で御座いましょうか?」「其処元の言う通り、愚か者は此処に居る豚だけじゃとしてもじゃ、そんな奴らを含めて妾が相手するその見返りは何なのじゃな」「私共の忠誠心では不足で御座いましょうか?既に何も持たぬ私共では、差し上げる物とて御座いません」


ニヤリと笑うエルーザは「それで満足じゃ、ならば手を貸すが、気に入らぬ者共は此処から出て行く事じゃ」副師団長は揺れる心の儘に「ぬわんだとぉ~!此処は我らの国じゃ」「ならば決着を付け様ぞ」不敵に笑うエルーザは余裕の塊で、右手を差し出すとクィクィ動かし手招く・・・


其処へ等身大の三つ目鬼人に変化したタクトが「なら僕が相手だね、巨大化すればこの建物ごと破壊してしまうからさ、アンタ、表に出ようか」そしてその姿を見た事がある者共は、恐怖を再び思い起こして、副師団長を必死に止める・・・


この遣り取りしている間にもオーク達は一人・・・又一人と膝を着き項垂れる様に頭を下げて、服従の意を示し出すと「あれ?やる気があるのは、アンタだけ見たいだけどね、さあどうする?」何とも言えない冷たい汗を全身で掻きながら、副師団長は腰から徐々に砕けて行った。


ハルが立ち塞がると「バード様、皆様方にも既に立場が理解出来た様に思います」見ると全員が額ずいて居るか、腰を抜かしているので「だよね、チョットやり過ぎたかなぁ・・・」「それ位して見せねば、駄目じゃったろうからの、問題は無いわタクトよ」「了解、だったら話し合いの続きをしょう」


もう異議の有る者達は存在しない・・・漸く話し合いの途に就いた。

拙作ですが楽しんで頂ければ幸いです。次回の更新予定は01月23日です。


何時も応援を感謝致します。少しでもポイントが上がるのは励みに成ります。

此れからも頑張りますので、感想などを聞かせて頂ければ幸いです。作者拝

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