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ツイン・タクト (外部世界の不思議な物語)  作者: スラ君
第三章 転移 魔人族の国、獣人族の国
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102話 魔の国漫遊記②混迷の都ソドム 前編

混乱の最中、その時人々は・・・

ミーメとタクトが死闘を始めた時点に話しの方は、少しだけ遡る・・・


地響きを立てて揺れる王宮の奥では「近衛師団長は何処なの?」「はっ!王妃様、只今我らに此処の警備を任せて一人様子を伺いに表へと向かったやに思われます」「それは成る程頼もしいわね、妾も此で安心よ」「はっ!」「けれども我が子達はどうなの?心配だわ・・・」「おそらく未だ北離宮で御座いましょう」


元々が王宮の北寄りで両者の戦いは始まったが、タクトが態と人が少なそうな裏山方面に戦いを誘導して行った。


人的被害を抑える為には当然の考えで、人々の気配が多い街方面と、奥宮殿からは離れる積もりだった。


しかし、ほぼ当初の技量実力は拮抗、いや正直に分析すると、やや劣勢だった為に思う様には行かなかった。だが徐々に拮抗、後に凌駕し出すと、何とか北の塔周辺一帯と、破壊された北離宮辺りを戦場とする事に成功している・・・


後に北方面の壁を破壊した事が、裏目に出る結果と成るのだが、この時点では知るよしも無く、この周辺を瓦礫混じりの更地と化して行く・・・


その結果は不幸にも北離宮と奥宮殿が裏山からの火砕流に対して、むき出しの最前線と成るのだが、取り敢えず不幸な息子達の話しに戻そう・・・


何時もは昼過ぎから動き出す王宮では、前夜の酒池肉林と乱れた生活の疲れを取る為に遅いのだ。深夜、或いは明け方から就寝した王妃の息子達は、ご多分に漏れずこの騒動が始まった時には、複数の美姫や下女達に囲まれ爆睡中だ。


其処へ降って湧いた災難が空から本当の意味で飛んで来る・・・タクトが変化した三つ目の鬼人と打ち合い、その反動で身体ごと飛ばされて、北離宮を直撃したのは巨体のミーメ、複数の部屋に別れて寝て居たが、何部屋にも渡り巨体が突き抜け、外へと勢い良く再び飛び出した。


戦い初めて直ぐの頃で、タクトも未だ戦いのコントロールが出来て居なかった。


当然ながら通り道に成った部屋では、押し潰された息子達と、哀れにも巻き添えに成った数人の女達は、全員即死だった。そして壁や柱の支えを失った北離宮は音を立てて崩壊する・・・


他の兵士から知らせを受けて知ってはいた。轟く爆音と喧噪も聞こえてはいたが、真逆こんな奥深くまで被害が及ぶとは考えもしなかった。赤備え隊の下級兵士達は周囲の警護をしていたが、崩壊する北離宮を見て、責任が我が身に降りかかる事を恐れたのも一因だが、この破壊を齎した者に対する恐怖で四散する・・・


北の塔に近かったのが不幸だったが、そんな事とは知らぬ王妃は「陛下にも困ったものですわ、昨日は女狩りに現を抜かし、兵士共を甘やかしての乱痴気騒ぎ・・・妾の気持も考えずに勝手な事許りをなさる、何時も独り寝の寂しさを耐えていると言うのに今朝も早くからこの騒ぎ、誰か早く妾の疑問に答えて貰いたいものだわ」


実際は近衛兵団の師団長を咥え込んで朝を迎えた王妃だが、誰もがその事には目を瞑り「もう暫くすれば、兵共か師団長殿が何らかの報告に参りましょう、王妃様、何卒今暫くのご辛抱を・・・」王妃付の女官長がその様に宥める・・・


物音で起こされて不機嫌な王妃は、やや心の平静を取り戻し、前夜の乱れた自分を思い出すと「ならば風呂の支度を致す様に、もう妾はスッキリとしたいの」などと我が侭を言い始める・・・そんな場合ではもう既に無いのだが、逆らえば我が身に災厄が及ぶので「畏まりました」と女官長が下の者達に命じた。


男女数人のお気に入りを連れて、王妃は何時もの乱れた朝の伽を当然の如く命じ、思う様彼女は快楽を貪った。こうなると途中で邪魔される事をいとう彼女には、もう果てるまで報告など出来無く成る・・・


暫くすると地響きを伴う物音が消え、今日一番の爆発音が響いた後、拓斗の念話が聞こえて来た「誰なの?この妾に偉そうな物を言うとは何と無礼な!」それだけで反発した王妃は〔逃げろ!〕と言われても逃げる気は失せる・・・


裸の男女は驚き、中には素直に逃げ出す者達もいたのだが、北離宮に近い奥宮殿は裏山にも近く、最初の火砕流に呑み込まれて逃げる事は適わなかった・・・


その奥宮殿にいた子供達や女官達、近衛の女兵士達はそれぞれの危機感覚に従い、逃げ出す者や担当している子供達を逃がす為に努力している者などが、右往左往と迷っている者達と混じって大混乱、大多数が逃げ遅れる結果と成った。


成人男性、或いは成人間近の男女は、各々の部屋に移されて暮らしていたが、その者達も中庭の騒動に気が付かない程の場所だったもので、念話で起こされた感じに成った。その結果逃げ遅れる事に成る・・・庶民はもう疾っくに起きて働いて居る時間なのだが、彼らや彼女達は前夜の放蕩が祟ったのだ。


中には慕われていて、兵士や女官に助け出された者達もいたのだが、少数の諸子や王宮内では余り目立たない身分の低い者が、こうして救われたのは皮肉な話しで、継承権上位で踏ん反り返り、為たい放題していた者達の殆どが死ぬ事に成った。


或る兵士は「おい、陛下が負けそうだぞ?」「その様だな、赤備え達も近衛の者も慌てているぜ」「どう成るんだよ?」「今は逃げるのが優先だろ?」「いや、俺はこの機会にお宝を頂くぜ!」「そうだそうしようぜ!俺達は彼奴らとは違って安く扱き使われているんだ。日頃の働きに見合う物を頂戴するんだ!」


徴兵が言い出すと、もう収拾は付かず赤備えや近衛が制止しても、居ないところで略奪暴行が始まる・・・無論、拓斗の念話に対して素直だった者は、一目散に逃げ出して命を拾うのだが、邪な者達は命を落とす結果と成った。


不幸なのは女達だった・・・欲望に目がくらんだ兵士共の慰み物にされた挙げ句、逃げる事も侭ならず、次々その憎い相手と共に一瞬で命を落として行く・・・


理不尽にも敢え無い最後を迎える嵌めに成る何て、などと言う程の悪い事は、全くこの者達は何もしてもいないのだ。


オーク世界は力が全て!此れ迄も征服された種族は、理不尽にもこうした略奪暴行などは、当たり前の話しで、その不幸が到頭自分達に巡り巡って返って来た。


などと割り切れる物でも無く、抵抗して下級兵士などは蹴散らして逃げ出す女兵士達に守られながら、逃げ出した者も多くいたが、奥向きで暮らして居る逃げ遅れた者達の数は多く、その殆どが不幸な目に遭う・・・


最初の念話で素直に退避した者達は、辛うじて救われたが、自業自得の生活をしていた者達や不心得者達には、この奥向き自体が北の裏山に近すぎたのだ。


騎馬隊の兵士や非番の兵士達が駆け付けた時には、もう後宮の方は手の施しようも無く、彼らは残された王宮の者達や下女、そして市民の避難を手伝い始めた。


我先に逃げる者達に対して行った拓斗の一喝、それに従って我を取り戻した者達もいたが不埒な者は数多く、やや焼け石に水の状態だった。だが諦めずに二度三度と拓斗は非道を止め様と念話での一喝を続ける・・・


各色付きの兵団は遠征中で、この場に残って居たのは、赤備えの兵士達と近衛隊の一部、非番や休暇中の兵士が賢明に働く最中さなか、反対にオークらしくモラルが低い、徴兵や程度の低い一般民が、貴族街や一般民が暮らす街中でも暴行や略奪を働き、何やら酔った様な状態で際限なく暴れ出していた。


後日色々な証言から原因が判明するのだが、我を忘れたオーク・ディザスターが、無意識に同族支配スキルを発動して、自らが本能の侭に動いていた影響を可成りの数のオーク達に与えていた。意志の弱い者から集団心理も働き、酷いこんな状態が伝播して、拓斗達は次第に諦めざる逐えなかった。


拓斗とタクトはこの様な場合には、被害者と制止する兵士は助けたが、暴れている者達は放置する事に決めた。


何故なら逃げ遅れそうな弱い者や真面な者達が、数多く見受けられたからだ・・・


タクトが被害者を助けると、拓斗が念話で真面な兵士達に避難を促す。


そんな話しや場面が至るところで発生していた・・・


何故此処まで混乱を来したのかは、その当時には不明だったが、オークの性としか言い様も無いと、その時は考えざる逐えない程の無秩序ぶりだった。


カントンやバショク、カリンなどが指揮せずとも、同格の有能な指揮官が大勢いたのだが、一旦堰を切った様な状態から立て直す事は不可能だった。


そう・・・何か強力な力が必要で、その者達にはそれがまるで足りなかったのだ。


強力な同族支配の影響は、特に日頃から戦い慣れている兵士や乱暴者が、より多く伝播して暴れる・・・日頃有能だった者達も、中には酷い影響を受けて、比較的にまだ真面だった不幸な女達に襲い掛かる事例もあった。


吹っ飛んでくる巨体のミーメやタクト、その戦いを側で見て居た者や近辺に飛んできて、畏怖を感じた者達の中には本能が刺激されると、恐怖に駆られて同族支配の影響を多く受ける、我を忘れた者達が続出する・・・恐怖や生存への渇望は、より純粋な本能だったのかも知れない。


最初はのんびりと構えて居た貴族街も例外では無く、快楽に身を任せる事に慣れた貴族達は、最も影響を受けて逃げるよりも本能を満たす事を優先した者もいた。


立地的にも王宮に近い貴族街では、早い段階で同族支配の影響を受けた。そして火砕流に呑み込まれて、多くの命を失う結果と成り、支配体制は完全に崩壊寸前まで追い込まれる・・・生き残った者達には、もう先も見えない状態だった。


欲望や快楽に身を任せ続けたオーク社会のモラルが、可成り低い事は十分に拓斗も理解出来ていた積もりなのだが、それでも命が懸かるこんな場合でもこれ程かと、拓斗が勘違いしても可笑しくは無い・・・


だがしかし、拓斗達には何ら影響を及ぼさない同族支配スキルが、こんな形で崩壊寸前まで作用しているとは、誰もこの時は未だ考えにも及ばなかったのだ・・・


後に判明するのだが王族は九割、貴族の五割程は死滅して、市民も四割が失われる大惨事だった事が判明する・・・ミーメの邪な欲望の付けは大きかったのだ。


閑話休題・・・


最初は助けられた者を含めて茫然自失としていたが、誰かが「彼奴らの所為だ!」「そうだ!彼奴らが原因だぞ」口々に言い募りながら徐々に集まって来ると、拓斗達も危機感が増す「此はヤバいかな?」「何だか余裕そうだね拓斗」「まぁ主殿も妾も転移が出来るのじゃ、もう少し様子を見ようかの?」


エルーザの物言いに拓斗は「随分と余裕があるじゃ無いか?」「いや、何も余裕で言って居るのじゃありゃ為ぬ、主殿が助けた連中の中にはじゃ、憤怒で我を忘れて居る者達を止めて居るのがいるじゃろ、それを見ただけじゃ」タクトの周りには、女官長と侍女の八人が囲んで守ろうとしている・・・


カントンとバショク、そしてカリンは助けられて、恩義を感じている者達を率いて「お前達が幾人集まろうとも、あの方達には太刀打ち出来ぬ、殺されるだけだから無謀な事は止せ!」などと制止していると「俺達はこんな理不尽な目に遭っても、我慢しろとでも言うのか?!」「そうだそうだ!ぶっ殺せ!」


そんな揉め事の最中でも、拓斗達は救援活動を続けて空から次々と動けない者達や女子供を鷲掴みにして、この広場へと運んで来る・・・拓斗も最初は念話だったが次第に声を出し始めて、やっと周囲の皆が気が付いた。


既に原因のオーク・ディザスターは無く、同族支配の影響も薄れて、一旦我を取り戻すと、冷静な判断をする者達が徐々に増えて行く・・・


そう自力で動ける者達を誘導したのも拓斗、空から人々を助け出しているのも少年タクトだと、人々は気が付いて振り上げた拳を次第次第に下ろして行った「俺は、あの声を聞いて逃げただよ」「俺もだ」「私もそうだった」「俺は間違った方向へ行こうとしたら此方だ!と言われただ」そうなると人々は落ち着いて行く・・・


拓斗の視界に入る場所では、遠隔で転移門を構築すると、無事な方で手招く人々が「此方、此方だ!早くしろ」「此方に来るのよ、早く逃げてぇー!」などと、驚き逃げ回っていた人々をオーク達自身が出口に誘う・・・転移魔法がガイアのお陰で向上して、こんな芸当も可能に成っていた。


火災が酷い場所を狙って拓斗は消滅魔法を打ち出し、火元と共に火を消すと「何だアレは!」「凄いわ!一瞬で火を消したわよ」其処に残って居た人々を誘導して、炎に囲まれた者達を逃がすと「アレを見て!」遠くからでも炎が消えた場所を急ぎ足で通って逃げるオークの姿が伺われると、次第に人々は額ずいて行った。


小一時間もすると、取り敢えず危ない場所の人々は、もう既に待避を終えて、後は間に合いそうな雰囲気に成ると「一つ聞きたいんだ」カントンが拓斗へ質問をする「何だ?」「陛下は何時もと全然違われていた。理由を知って居るか?」「俺達もよくは分からんな、だが自我を失っていたぞ」


それを聞いてカントンは「そうか・・・あのお姿に成れば、多少は凶暴性が増して居られたが、自我を無くす事などは無かった。だからあれ程の破壊が出来たのか」「確かにそうだな、自らの御座所を壊して居られた」バショクも同意する・・・


戦闘で思い通りに成らず、ミーメは癇癪を起こして手当たり次第に破壊していた。


カリンが人々に向けて「私が見た限りでは、この方達は被害を抑え様としてくれて居た様に思いますわ」「確かに最後の爆発は貴族街、そしてその先には庶民が住む場所に向いていたのを裏山へと変えてくれて居たのだ」女官長も「私達がいた北の塔を庇われていたのも事実です」八人の娘達も頷く・・・


その言葉が徐々に染み渡ると、人々は感謝の念を口々に言い表して「私達オークは情けを懸けた事には、水にサラリと流しても、受けた恩は石に刻んで決して忘れないわ、アナタ達もそうでしょ!」カリンが言うと再び口々に「そうだ!その通り」「そうよ、感謝致します」聞いた事の無い格言だったが、流れは此で決まった。


だが先の話しには落ちがある、実はカリンが育った家だけの話しだった。彼女達には人族の血が色濃く残り、その元と成った哀れな人が、子供達に言い聞かせていた話しで、その後に【怨みも刻むのよ】などと続くのだ。


しかし、何時の頃からかは不明なのだが、伝承が途切れて良い部分だけが残った。


人々の様が次第に変わり「改めましてお三方、お礼を申し上げます」女官長が頭を下げると、更に人々は感謝して、お礼の言葉が飛び交う・・・


オーク達が言い始めると拓斗は「もう大丈夫そうだな?」「その様だね」タクトも同意し、エルーザも「既に逆らう気も失せて居るわ」などと宣わった。


この後、一時的に拓斗はステラ村へと帰るのだが、徐々に事情を知らない人々が、再び増えるなどをして、何時まで経ってもオーク達の騒動は収まらない・・・


だがスラが早瀬モードで現れて消火活動や砂防壁をエルーザが作ると、再び人々は前に納得した人達に諭されて大人しく成る・・・


派手に人々の目の前で火砕流を阻む為の長大な土手を、瞬時に構築したエルーザの魔法を後にオーク達は、畏怖する事に成る・・・


そんな事を繰り返しながら夕方近く成ると、スラを迎えに拓斗が再び現れる・・・


前述した一連の遣り取りをした後、バロンを交えて相談事を始める元の話しへと、物語は戻るのだった・・・

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

翌日、被害報告をカントンは聞きながら愕然とする・・・「何と!王宮はもう駄目なのか」カリンが纏めて報告しているので、その話しを肯定する様にバショクにも同時に聞いて貰う事にした。


「はい、当初は半分程度の被害を免れていましたが、土手の向こうに位置した為、現在ではほぼ壊滅しています。幸い持ち出せる範囲の物は、部下達の賢明な努力を持ちまして、行政書類や裁判記録の一部は運び出しました」


「残念ながら文化財や調度品の類いは、生活物資を優先した為に放棄、形在る物は何れ遺失するものだと言われて、何とか現在は王宮図書館の被害を押し留める為に賢明な作業を行って居ります」「その指示は何処から出たのだ?」


「エルーザ様が連れて来たお方の指示です。記録を守るのは文化を守る事に繋がるからと・・・記録さえ残せば再建は可能です。確かに芸術品は複製に成り、残念な事だとは思いますが、非常時ですので此も仕方無いかと思います」


「行政書類や裁判記録の事もその者の指示か?」「はい、特に戸籍や徴税に関する書類を優先せよ、との指示で御座いました」「成る程、此れから何をするにしても必要か、いやご苦労理解した」カントンが労を労うとバショクは「どうやら頼りに成りそうだが、文句を付ける奴は何処にでもいる」「確かに・・・」


街の被害が話しに上らなかったのは、火砕流の被害よりも遥かに火災の方が酷く、消火は現在もタクトが賢明に行っていて、最終の報告が届いていないのだ。


だが被害が比較的少ない商業区にある此処は、前夜接収されて高級ホテルの広間を幾つかに区切り、仮の政調と為していた。そして上階にはタクトを初め、エルーザとバロン、そしてその部下達が一睡も為ずに書類などを点検していた「タクトよ」「何だいエルーザ?」「一晩中消火作業をして居ったのじゃろ、少し休むが良い」


気遣ってくれるエルーザに礼を言いながら「現在進行形だけど元気は一杯!拓斗に魔力を分けて貰ったからね、それはエルーザもだろ?」「そうじゃな、主殿はへたばっていた模様じゃがの」「何だか昨日助けに来る前から本調子では無かった様な気がする」「それは妾も察して居ったわ」「だよね」


「それで裏山はどうなのじゃ?」「徐々に落ち着いて来ているかな?最初は数分、次は数十分、数時間に成った後、更に間隔が長く成ったのは、ドーム近辺の高さが増して勢いを抑えられたからかもね」「ドームの周りは崩れて居るのか?」


「あぁ、それは続いているね、或る程度膨れ上がる迄は、大規模な火砕流には成らないけど、断続的に勢いを増したりしているからさ、早く王宮図書館の近辺は盛り土の嵩上げを頼むよ」「了解じゃ、本は大事に為ねば成るまいの」「そう言う事」


其処へ拓斗が現れて「此が捕虜のリストだ」手渡されてタクトが「早かったね?」「移動した後、半日程度あったからな、ノースアランに用事もあったし、お風呂を済ませて此処へ来た。此れから帰って寝るよ、随分と寝ていない気がするからな」「分かったよ、有り難う」「あぁ、それじゃな」などと言いながら転移をした。


エルーザが「主殿も大変じゃの」「そうだね、此方が朝なら向こうは夜、向こうが朝なら此方は夜だからね、チョットした用事を頼むにも気を遣うよ」「妾も向こうに行けるがの、主殿の都合もあるじゃろうしの」「そうだね、拓斗の親切心だけが頼りだね」「まぁそうじゃの、だが緊急なら致し方無しじゃ」


話しながらもタクトは見も知らぬ文字で書かれていたリストをシュンカ達に見せて「後でカントン達に持って行ってよ」命じるが、しかし彼女達は聞いていなかった「姉様達が生きている」などと騒ぎ始める・・・


元々彼女達の為に頼んだリストだったので、大体把握はしているが喜んでいたのでタクトは敢えて聞いてみる「誰のこと?」「姉様達は近衛の仕官と、部隊長をしています。二人共健在の様で嬉しいです」「そう、良かったね、それでは言った事は聞こえて居たのかな?」「はい勿論」カヌカが聞いて居た模様で届けに走る・・・


今はシュンカ達がタクト達の世話を甲斐甲斐しく行いながら傍に居る・・・何やらモジモジと話し辛そうにしているので「未だ何か?」「あのぉ~セラ様?」「セラお姉ちゃんじゃ、もう無いんだけど・・・」「それでは何とお呼びすれば良いのでしょうか?」「タクトで良いよ」「前から妾は思って居ったがの、拓斗とタクト、何方もタクトで行ったり来たりするのなら、話しもややこしいの?」


エルーザが指摘するとタクトは「だったらバードで良いよ」「バードじゃとな?」「そう何だよ、産んでくれた母親がエル・バードと言ってね、バード家のタクトが正解何だよ」「父親じゃ無いのかの?」「父さんは戦士だったそうだけど、家名は無かったんだそうだ。だから別名よりは縁のあるバードかな?でも何でも良いよ」


シュンカが話の途切れ目で「それではバード様」「あ!ご免ね、話しが逸れたね、それで何かな」再び話し辛そうに「それでは思い切ってお願いがあります」何?と答え様とした所へカリンが部屋に入って来て「失礼を致します。最新の現状報告をお届けに参りました」それは被害報告書でもあった。


再び話しが逸れてシュンカは「カリンお姉様、シュウカ姉様とレンカ姉様は無事だそうです」カリンは心配事の一つが解消したと喜んで「最近では朗報ね」「はい、その他にも身内の何人かは健在です」「それは何よりだったわ」「其処で姉様にも是非聞いて頂きたい話しが御座います」「何かしら?」


シュンカは襟を正して「先程から何度も言いそびれて居りましたバード様達へのお願い事です」「バード様?」「タクト様の事です」頷くと聞く体勢を整える・・・何時の間にか集まって来た残りの侍女達と、女官長は佇まいを正して「お願い事と申しますのは・・・」


女官長が代表して話し始めた内容にタクトとエルーザ、そしてカリン迄が驚いた。

拙作ですが楽しんで頂ければ幸いです。次回の更新予定は01月12日です。


細かな部分の言い回しやその他で気が付いた間違い等を随時訂正しています。


連休スペシャル、12、13日に乙女の語らいシリーズを続けて投稿します。


何時も応援を感謝致します。少しでもポイントが上がるのは励みに成ります。

此れからも頑張りますので、感想などを聞かせて頂ければ幸いです。作者拝

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