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お父さんは『勇者』さま  作者: 鴉野 兄貴
『黄金の鷹』と『真銀の隼』

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つんつん

つんつん。


 こんにちは。城塞都市国家ローラ王国に住む淑女見習い。

年齢は今年で一四歳。フィリアス・ミスリルと申します。


 とはいえ。

「ぷにぷにしていて楽しい」「やめて」「こらやめろふぃりあす。ぶっとばすぞ」

幼児の頬をつつく私に、淑女らしさはかけらもありませんが。

そしてその幼児。私の両の膝にそれぞれ乗っているのは私の父と伯父なのです。

かたや涙目。かたや悪態を尽きながらも逃げ出さないあたりは彼等らしいというか。

「心配ばかりかけて、どうしてくれましょうか」私がそう告げると「う」「ナンノコトダネ? 偉大ナル伯父にワカルようにイイタマエ」とそれぞれ絶句したりとぼける二人。

この辺、兄弟と言えども性格がまるで違います。


 なんでも、父の一族は子供が育つか夫婦が喧嘩別れする、あるいは何らかの理由があれば即座に家族は解散し、それぞれの人生を歩むのが普通なのだそうです。

なので、伯父が生まれて間もなくミリオンお爺ちゃんはアップルおばあちゃんと再婚したということで、そこで生まれたのが父らしいのです。

でも、父の態度を見るに、子供が育ったら即座に家族解散には見えませんよね。

むしろ、私が結婚してもついてきそうです。相手が考え付きませんが。


 私は振り返り、お茶を片手に佇む執事にほほ笑むのです。

「ね。ラフィエル」「???」むか。

「知らない」「????」初めて慌てるような彼には憔悴の色が深く、ほとんど寝ずに父を見ていたのを存じています。

「たぶん、ラフィエルはないかな」「何が。でございましょうかお嬢様」自分で考えなさいッ。ふーんだ。


 私の名前はフィリアス・ミスリル。

父の名前はファルコ・ミスリル。

一四歳なんてあっというまです。

一五歳になった私は、いったいどなたと共に歩んでいるのでしょうか。

あるいは、若干一五にして家事見習いの行かず後家を満喫しているのでしょうか。

私は、未来を気にするより、今は手元の幼児もどきたちで遊ぶのが先決なのです。

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