うみ~~~~~~~~~!
「海っていいよね!」
こんにちは。フィリアス・ミスリルです。もうすぐ14歳になる淑女見習いです。
14歳と言えば『嫁に出すには少し早いが悪いわけではない』年頃になります。
礼法の先生や舞踊の先生の指導にも熱が入る時期ですね。
私たちは海の中で泳げる軽装に着替え、さわやかな青空のもとはしゃぎながら波打ち際で遊びます。
浮き袋で遊ぶのはうちの父と伯父。と言っても彼らの容姿は幼児のそれで愛らしいのです。
「やーい。やーい。ファルコ。泳げないのか~」「およげるよ~。ぴーと」
お父さんと伯父。彼らはとても泳ぎが巧みというか、離れ小島まで泳いで渡れるのですがどうも『浮き袋で遊ぶのが楽しい』らしく、二人でそれを奪い合っています。
それ、私のなんだけどなぁ。まぁいいか。
『水中呼吸』『抗水圧』の魔術は反則だと思うので控えて海中にドボン。
いつぞやのおまるも持ってきているのですが今回はなし。
青い青い海の下をもぐり、空から漏れる光に目を細めます。
ちょっと塩水が鼻や瞳に沁みますが慣れました。
それより美味しい貝を拾いたいところです。
「こっちこっち~」「ひあはははあっ?」また二人が騒いでる。
貝を採って波打ち際に向かう私。
くすりと笑って父たちが騒ぐそちらに目を向けると。
あれって大きいですよね。
ものすごく泳ぐの、早いですよね。
というより、あの大きな口、牙だらけ……。
私は顔を青くしてしまいました。
父と伯父は魔物に追われていたのです。
彼ら曰く、『遊んでいた』だそうですが、危ないことを私には禁じるのに二人とも何をやっているのでしょう。
私は心の中で今日は一人で貝を焼くことを決意するのでした。
私の名前はフィリアス・ミスリル。
お父さんの名前はファルコ・ミスリル。
私たちの親子仲は、けっこういい。はずです。
フィリアス『二人ともごはん抜き』
ピート『いらない。コレうまい』
ファルコ『また変な魔物食べている』




