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お父さんは『勇者』さま  作者: 鴉野 兄貴
『黄金の鷹』と『真銀の隼』

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ごーほーむ。あぽーん

「もけけ!」

「ぴろぴろぴろ~~~~~~~!」


 あははは。おっかしー。

こんにちは。フィリアス・ミスリルです。

ローラ市国に住む12歳です。もうすぐ13歳になるのですよ。

私がこうやってつついたり声をかけて遊ぶ奇妙な人形は『もけけ』と叫ぶと『ぴろぴろぴろ』と叫び返すのです。結構面白くて最近のお気にいりです。


 お父さん。ですか? そうですね。私も13になるので少しは落ち着いたのです。

ふつうの家の女の子はこれから反抗期なのでしょうけど、うちはちょっと事情が違いますし。

というか、よその国でいえば13と言えば結婚が控えている歳になりますし。

ローラは魔導士が多いので結婚までの時間がのんびりとして長いのです。私も魔法が使える人間の一人。ですし。

 あ。私本当は人間じゃないのでしたっけ。自覚がないのですけど。

そうそう。魔法使いや精霊や神に愛される人は老化が普通の人の倍遅いのです。一般的な知識ですけど念のためにお教えしておきますね。


 今日は初のお留守番です。え? いつもお留守番だって? 今日はラフィエルも休暇でいないので本当に一人でお留守番なのです。

煩い伯父もいませんし、普段なら伯父がいなければ誰かがいる父の旧友やご近所の皆さんもいません。本当に私一人なのです!


 うーん! 開放感!!

勉強をしても良いし寝ていても良いし、本当に何をして遊ぼうかなって思うのです。

外は大雨ですけど大したことはありません。襤褸屋敷ですけど雨漏りはしませんし、むしろものすごく頑丈な家だということを私は知っています。



 ところで。この侵入者をどうしてあげましょうか。

私を追いつめたつもりになって調子に乗ったのが彼の運のつきです。

仮にも私は勇者の娘にして伯父の姪なのですけど。

 私が発した『もけけ』に反応して『ぴろぴろぴろ』と叫んで動く性質を生かして落ちてきた罠にかかってくれた人の処遇を私は決めかねていました。

こうしてロー・アースさんの真似をして決して近づかないように確認したところ息はありますし。

父はことあるごとに盗賊の技や剣技や魔術や軍学等を私に仕込もうとする伯父や友人たちに『ふぃりあすを修羅の道に引きずり込まないで』と本気で泣いて怒っていますけど、伯父の身隠し術と罠作成術はそれなりに私の身を守る役にたったようです。


 私の名前はフィリアス・ミスリルです。

ちょっと派手にお屋敷を罠屋敷にしちゃいました。

多少ですけど壁や床や天井に大穴をあけてしまって、執事に見つかった後の始末と言い訳を現在必死で考えている最中です。


 伯父や父の仲間たちは責任の取り方は教えてくれませんでしたからね。

本当に本当にこれからどうしましょう。

ラフィエルのあの視線に耐えるのはつらいです……。

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